代償
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
―――……っ…―――
―――なに…?
―――お…ぃっ…おい―――
―――だ…れ……
―――しっかりしろっ―――
―――誰か呼んでる…
「おい!ユキノ!!」
ハッキリと自分を呼ぶ声が聞こえてユキノは微睡みの中手を伸ばす。
誰かがそっと握った感触…暖かい…。
―――起きなくちゃ…
わかっていても瞼が開いてくれない。
体が重い…。
力が入らない。
何をしていたのだろうか…私は…。
何か大切なことを…。
「ダメだ…
意識がハッキリしてないみてぇだ」
誰かの話し声が聞こえる。
「それって大丈夫なの?
見た目にはそんなに大きな傷はないけど
ユキノが倒れてた所血まみれだったんでしょ?
服も破れてるし…」
聞き覚えのある声だった。
誰だっけ…?
「おそらく…怪我をしたのは間違いない
ユキノは治癒力が高い…
対外の怪我はすぐ治る」
サスケの声だった。
「もしそれなりにでかい怪我をしたんであれば
暫くは起きない」
心地よく鼓膜を揺らす愛おしい人の声。
ユキノはなんとか起き上がらねばと
そう思って握っていた手に力を入れた。
「ユキノ…?」
それはシカマルの声だった。
では、先ほどの女性の声はいののものであると理解する。
ならチョウジもいるのだろうか?
どうしてみんな一緒にいるのか…?
そこまで思ってハッとした。
―――そうだ…私は……!?
そこでようやく瞼が開いた。
「ユキノ!?大丈夫か!!」
最初に映ったのはシカマル。
少し視線を動かすと心配そうに見下ろすいのやサクラ、チョウジ
そして険しい顔をしているサスケの姿があった。
『私…』
ユキノは状況把握のためなんとか上体を起こす。
あまり力が入らずまた倒れそうになったが手を握ってくれていたらしいシカマルが肩を支えてくれた。
「お前が倒れている所をあのテンテンて人が拾ってくれたらしい」
見ればシカマル達だけではなくネジやリーもいた。
「ユキノ起きたのか!?」
叫ぶナルトどうやら彼も無事なようだ。
『そうなんだ…』
サスケを見る。
霞む視界…それでも
匂いであの男に唾をつけられたのがわかってしまった。
一体奴はサスケに何をしたのか
試験中はこれ以上手を出さないのか
呪印のようなもので縛り付けていたりするのだろうか…。
結局自分は奴を止めることなどできなかったのか…
己の無力さに誰にもばれないように自嘲的な笑みをこぼす。
様子がおかしいと感じたのかサクラが心配そうに呼びかけるが
いつもの何の感情も映し出さない表情に戻ると『なんでもない』と首を振った。
そこでやっとぼんやりとしていた視界が晴れてきてサクラの顔を見て驚愕した。
『サクラ…怪我
それに髪も…』
戸惑っている様子のユキノにサクラはヘラリと笑う。
何も言いはしなかったがきっと大変だったに違いない。
サクラが戦っていたということはきっとサスケやナルトも倒れていたのか動けなかったのだろう。
ユキノはそっとサクラの両頬に手を伸ばすとそっと包み込んだ。
死人のような冷たいユキノの手にサクラは微かに肩を揺らすが抵抗はせず。
と、ユキノは一瞬だけ
ほんの一瞬だけ悲しげな顔をして俯いた。
『ごめん…』
あまりの痛々しい姿に胸のあたりが痛むのを感じたのだ。
どうしてあの時もっと踏ん張れなかったのだろうか…。
そんな思いが少女を責めたてる。
と、今度はサクラがユキノの両頬を包んだ。
そしてぐいっと顔をあげさせられて
戸惑いに瞳を揺らす少女にサクラはふわりと笑った。
「短いの 似合わないかな?」
突然問うものだからユキノは一瞬呆けてしまうがすぐに首を左右に振った。
『かわいい…すごく』
そして思ったことをそのまま伝えるとサクラは照れ臭そうに
それでいて切なそうにより一層笑顔を深めた。
かと思えばすぐにその笑顔は消えてユキノは何か間違っていたのだろうかと不安にかられが
「私のほうこそ…ごめんなさい」
何に対しての謝罪なのかわからずに口を閉ざしていると
「やっぱりあの時ユキノを一人になんかするべきじゃなかった」
―――ごめんなさい…
そういって俯いてしまった。
『サクラは悪くない』
その言葉にサクラは顔を上げる。
『あの時…私のお願い聞いてくれたこと嬉しかったよ』
―――ありがとう
サクラを安心させるためなのか
無意識なのかユキノは初めてフワリと笑った。
それは今まで見せてきた控えめな笑みとは違う
ハッキリとした笑顔。
見ていた誰もが驚いていたが
そんなことなどつゆ知らずユキノにいつもの表情に戻って
『ごめん…』
「え…?」
『まだ…ね、むいみたい…』
「おっと…」
そういうと瞼を閉じその体からカックリと力が抜けて
倒してしまいそうになったところをシカマルが咄嗟に支えた。
「寝てる…」
聞こえてくる穏やかな寝息。
先ほどまでの寝苦しそうなそれとは違いすやすやと規則正しい呼吸の音。
「ユキノも眠ったりするのね」
なんて当たり前のことなのだが
人前で眠りにつくのが意外すぎて
いつもは大人びた表情もこのときばかりは歳相応に見えてふふっと笑みを零した。
