打ちつける雨
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地面に倒れている少女よりも、鈍い輝きを放つ銀色の髪を持つ女性――。
「あの餓鬼が悪いんだぜ?言うこときかねぇから…張り付けにされてるアイツの姉を刺してやった
まぁ尤も既に死んでたがな…」
あまりにも非道過ぎる言葉に、近藤は自分で頭に血が上っていくのを感じていた。
「解せねぇな」
それは土方も同じようで、苦虫を噛んだような表情を浮かべている。
考えたく無くとも目に浮かぶ…
死した姉の亡骸を
それでも必死に戦い、守り続けた少女の姿。
そして裏切り…。
その結末はあまりにも悲しすぎるものだった。
「するとどうだ?あの餓鬼突然狂ったように暴れ回ってよ
俺の仲間は何人も殺された」
言われて見ると
あちこちに、パッと見では数え切れないほどの死体が転がっていた。
近藤は瞼を閉じ、土方と沖田は黙ってその光景を見据える。
現状をどう片づけたものか考えていたその時
大人しくなっていた男たちがザワザワと騒ぎ始める。
近藤たちも「なんだ?」とその光景を見やれば三人揃って、目を見開いた。
土方にいたっては銜えて煙草を落とす始末。
先ほどまで優越感に浸っていた傍らの男もガタガタと震え始めた。
一体、何が起こったのか…?
目の前で起きたそれを目の当たりにしても、理解に苦しみ息を呑む。
この空間が大きく震えてはざわめきだす。
死んでいると思われていた少女から
ドクン――と鼓動の音が響き、空気をゆらした。
……そしてピクリと動く
地面を這っていた白く、細い腕
まるでスローモーションであるかのようにゆっくりと開かれる瞼。
長い前髪の隙間から覗く真紅の瞳。
頬に影を落とす、長い睫毛さえも白い。
現実的に考えればありえない光景。
いくつも刺さっている刀の中には心臓を貫いているものもある。
普通なら瞼を開くどころか呼吸すら叶わない状況にも関わらず
少女はまたゆっくり、ゆっくりと
生まれたての小鹿のように
僅かに足を震わせながらも起き上がったのだ。
グッと腕や足に力を入れるたび
ボタボタと地面に落ちる鮮血。
破れた衣服の隙間から
まるで汗が伝うかのように
赤い液が
ツー…と、白い皮膚を伝い、足元へと落ちていくのが見える。
今の今まで閉ざされていた瞳は宝石のように煌々と無機質に輝き
血にまみれた白銀の髪もスポットライトの光を反射し、光沢を宿す。
立ち上がった少女は
一度大きく息を吐き出すと、これまたゆっくりとした動作で身体のあちこちに刺さっている刀をなんてこと無い様子で無造作に抜いていった…。
――カラン―――カラン――
少女に突き刺さっていた刀が一本、二本と地面に落ちていく…。
その度に傷口からコポッと血液が滲み出る。
彼女が動くたびに鎖が擦れる音も響く。
その様子を見て尻込みする男たち…
「もう駄目だ!!」
一人の男が騒ぎ立てれば蜘蛛の子散らすように男たちは一斉に走り出していった。
しかし…少女はそれを「許さない」とでも言うように最後に自分の腹に刺さっていた刀を乱暴に引き抜くと、高く跳躍してはあっという間に男たちに詰め寄り
その刀で躊躇すること無く斬り付けていった。
「ぎゃああああああああ!!!」
その剣技は鮮やかで可憐だった。
素早く、無駄の無い動き。
本来ならば
現状をおさえるのが近藤達の仕事なのだが
未だ思考が追いつかず、指一本
動かすことすらできない。
あの傷でどうして動いていられるのか…
流れるように一人、二人と攘夷浪士を斬っていく…
あまりにも滑らかなその動きは斬っていると言うよりも舞を舞っているように見えた。
煌々と輝く深紅の瞳が
銀色に煌めく髪が
少女の軌道に残像を残す。
動きが速すぎて揺れ動かないのか鎖の音もしない。
が、それとは不釣り合いな男たちの断末魔が地下一帯に響き渡る。
そう 近藤たちはそんな少女に完全に魅せられていた…。
次々に倒れていく男たちに少女は何の感情も映し出さない無機質でかつ冷たい視線を浴びせていく。
中には反撃してくる男もいたが少女は斬られようとも叫ばれようとも眉一つ動かすことなく斬り付けていった。
その姿は、ただそうすることしか知らずに踊り狂う人形のようで…整いすぎている顔立ちがより一層そう思わせた。
そうして、暫くすれば…そこで立っているのは少女のみとなり
文字通り、辺り一帯が血の海と化していた…。
それに沈むは男たちの死体…。
そして少女は何事もなかったかのようにポーと立ち尽くしていた。
それを見ていた近藤達も立ち尽くしていることしかできなかった。
「…見ただろ」
怯えたような声が響く。
近藤に捕まっている男だ。
「あの餓鬼は、どんなに斬りつけても…死なねぇんだ」
土方は怪奇そうに男を見下ろす
「アイツはあの有名な絶滅種、猫鬼族(ミョウキゾク)の唯一の生き残りなんだよ…」
「な、に…?」
それを聞いた三人は更に驚きに表情を染めた。
仕事柄、あらゆる情報を手に入れることのできる彼等はその存在を書物を通してだが知っていた。
酷くぼんやりと曖昧な情報しかなかったが、まさかそんな者が本当にいようとは…。
近藤たちはもはやどのようなリアクションをとればいいのかわからない と言った様子だった。
知らぬ者はいないと言われるほど、あの希少価値の高い種族が
今、目の前にいるのだから…。
少女はそんな近藤たちの存在を肌で感じながらも全く目もくれず
腕や手などに大量に浴びた返り血をペロリと一舐めした。
するとどうだろうか
冷たい輝きしか放たなかった瞳が更に色味を増して
白い睫毛に反射するほどに血色に底光りする…
そのままなめ続ければ小さなものから徐々に傷が治り始めているように見えた…。
先ほどの戦闘能力に加えての回復力…
これが猫鬼族が最強と言われる所以なのだろうか…?
「あの餓鬼が悪いんだぜ?言うこときかねぇから…張り付けにされてるアイツの姉を刺してやった
まぁ尤も既に死んでたがな…」
あまりにも非道過ぎる言葉に、近藤は自分で頭に血が上っていくのを感じていた。
「解せねぇな」
それは土方も同じようで、苦虫を噛んだような表情を浮かべている。
考えたく無くとも目に浮かぶ…
死した姉の亡骸を
それでも必死に戦い、守り続けた少女の姿。
そして裏切り…。
その結末はあまりにも悲しすぎるものだった。
「するとどうだ?あの餓鬼突然狂ったように暴れ回ってよ
俺の仲間は何人も殺された」
言われて見ると
あちこちに、パッと見では数え切れないほどの死体が転がっていた。
近藤は瞼を閉じ、土方と沖田は黙ってその光景を見据える。
現状をどう片づけたものか考えていたその時
大人しくなっていた男たちがザワザワと騒ぎ始める。
近藤たちも「なんだ?」とその光景を見やれば三人揃って、目を見開いた。
土方にいたっては銜えて煙草を落とす始末。
先ほどまで優越感に浸っていた傍らの男もガタガタと震え始めた。
一体、何が起こったのか…?
目の前で起きたそれを目の当たりにしても、理解に苦しみ息を呑む。
この空間が大きく震えてはざわめきだす。
死んでいると思われていた少女から
ドクン――と鼓動の音が響き、空気をゆらした。
……そしてピクリと動く
地面を這っていた白く、細い腕
まるでスローモーションであるかのようにゆっくりと開かれる瞼。
長い前髪の隙間から覗く真紅の瞳。
頬に影を落とす、長い睫毛さえも白い。
現実的に考えればありえない光景。
いくつも刺さっている刀の中には心臓を貫いているものもある。
普通なら瞼を開くどころか呼吸すら叶わない状況にも関わらず
少女はまたゆっくり、ゆっくりと
生まれたての小鹿のように
僅かに足を震わせながらも起き上がったのだ。
グッと腕や足に力を入れるたび
ボタボタと地面に落ちる鮮血。
破れた衣服の隙間から
まるで汗が伝うかのように
赤い液が
ツー…と、白い皮膚を伝い、足元へと落ちていくのが見える。
今の今まで閉ざされていた瞳は宝石のように煌々と無機質に輝き
血にまみれた白銀の髪もスポットライトの光を反射し、光沢を宿す。
立ち上がった少女は
一度大きく息を吐き出すと、これまたゆっくりとした動作で身体のあちこちに刺さっている刀をなんてこと無い様子で無造作に抜いていった…。
――カラン―――カラン――
少女に突き刺さっていた刀が一本、二本と地面に落ちていく…。
その度に傷口からコポッと血液が滲み出る。
彼女が動くたびに鎖が擦れる音も響く。
その様子を見て尻込みする男たち…
「もう駄目だ!!」
一人の男が騒ぎ立てれば蜘蛛の子散らすように男たちは一斉に走り出していった。
しかし…少女はそれを「許さない」とでも言うように最後に自分の腹に刺さっていた刀を乱暴に引き抜くと、高く跳躍してはあっという間に男たちに詰め寄り
その刀で躊躇すること無く斬り付けていった。
「ぎゃああああああああ!!!」
その剣技は鮮やかで可憐だった。
素早く、無駄の無い動き。
本来ならば
現状をおさえるのが近藤達の仕事なのだが
未だ思考が追いつかず、指一本
動かすことすらできない。
あの傷でどうして動いていられるのか…
流れるように一人、二人と攘夷浪士を斬っていく…
あまりにも滑らかなその動きは斬っていると言うよりも舞を舞っているように見えた。
煌々と輝く深紅の瞳が
銀色に煌めく髪が
少女の軌道に残像を残す。
動きが速すぎて揺れ動かないのか鎖の音もしない。
が、それとは不釣り合いな男たちの断末魔が地下一帯に響き渡る。
そう 近藤たちはそんな少女に完全に魅せられていた…。
次々に倒れていく男たちに少女は何の感情も映し出さない無機質でかつ冷たい視線を浴びせていく。
中には反撃してくる男もいたが少女は斬られようとも叫ばれようとも眉一つ動かすことなく斬り付けていった。
その姿は、ただそうすることしか知らずに踊り狂う人形のようで…整いすぎている顔立ちがより一層そう思わせた。
そうして、暫くすれば…そこで立っているのは少女のみとなり
文字通り、辺り一帯が血の海と化していた…。
それに沈むは男たちの死体…。
そして少女は何事もなかったかのようにポーと立ち尽くしていた。
それを見ていた近藤達も立ち尽くしていることしかできなかった。
「…見ただろ」
怯えたような声が響く。
近藤に捕まっている男だ。
「あの餓鬼は、どんなに斬りつけても…死なねぇんだ」
土方は怪奇そうに男を見下ろす
「アイツはあの有名な絶滅種、猫鬼族(ミョウキゾク)の唯一の生き残りなんだよ…」
「な、に…?」
それを聞いた三人は更に驚きに表情を染めた。
仕事柄、あらゆる情報を手に入れることのできる彼等はその存在を書物を通してだが知っていた。
酷くぼんやりと曖昧な情報しかなかったが、まさかそんな者が本当にいようとは…。
近藤たちはもはやどのようなリアクションをとればいいのかわからない と言った様子だった。
知らぬ者はいないと言われるほど、あの希少価値の高い種族が
今、目の前にいるのだから…。
少女はそんな近藤たちの存在を肌で感じながらも全く目もくれず
腕や手などに大量に浴びた返り血をペロリと一舐めした。
するとどうだろうか
冷たい輝きしか放たなかった瞳が更に色味を増して
白い睫毛に反射するほどに血色に底光りする…
そのままなめ続ければ小さなものから徐々に傷が治り始めているように見えた…。
先ほどの戦闘能力に加えての回復力…
これが猫鬼族が最強と言われる所以なのだろうか…?