相容れない
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少女の部屋にたどり着いた沖田は静かに障子を開けると部屋の中を一周見て
スノウの姿がないことを確認
そのまま押し入れの方に視線を投げた。
そこから、微かながら気配を感じたからだった。
そして、静かな足取りで押し入れの前まで進むと小さく・・・ほんの小さく
嗚咽のようなものが聞こえた気がした。
泣いているのかもしれない と思ったが沖田はズケズケと「おい」と声かける。
しかし返事は無く、その嗚咽のようなものさえも聞こえなくなり
シンーーーと静まり返ってしまった。
少しの間があって待ちきれなくなった沖田は無遠慮に襖に手をかけると
まるでそうすることが当たり前のように開いた。
押し入れの下段。
そこには自身の膝を抱え込み、小さく座り込む少女の姿があった。
まさか沖田が追いかけて来るとは思ってなかったのかその表情は驚きにも似た、それでいて困惑した表情を浮かべていた。
そのキラキラと無機質な輝きを放つ真紅の瞳には大粒の涙が滲んでおり
白い頬をツーと雫が伝い、流れ落ちていた。
声を押し殺そうとしていたのか、小さな両手は口元に当てられていて
必死に溢れ出る感情を抑え込もうとしているようだった。
そんな姿を見ても沖田は表情こそ変えることは無かったが
さすがに何かを思ったのか
視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
そこでスノウはハッとして
まるで顔を隠すように両腕を前に出した。
『見な・・・ぃで・・・』
こんな情けなさい姿を誰にも見られたくなかった。
小さな子供のように泣きじゃくる弱々しい姿など・・・
しかし沖田は想像と反してそんな少女の姿を見ても馬鹿にすることは無く
「何が気に入らなかったんでぃ」
淡々と問いかけた。
スノウは一度ピクリと肩を揺らして
ハッと唇を開く。
『攻撃されるのは構わない
避ければいいから・・・』
今にも消え入りそうなか細い声
『でも・・・』
と、一息つくと息苦しそうに息を吸った。
『総悟の言葉は刺さって痛い・・・』
スッと流すように見上げた真紅の瞳。
感情が高ぶっているからか白いまつげが赤に染まっているかのように錯覚するほど
それは底光りするような輝きを放っている。
『痛いの・・・』
まるで絞り出すかのような声。
ギュッと寄せられた眉と溢れ出る大粒の涙。
スノウは限界だった。
慣れない環境で慣れない人たちと過ごしていくことに。
今まで傍には姉がいた。
そして・・・彼がいた。
だから周りの目なんて、言葉なんて
気にならなかったのに
今は独り・・・未だ姉の死を乗り越えることができずにいる。
現在ここにしか少女の居場所がない。
けれどスノウにとって沖田の態度や言葉はここにいることを憚れるような
そんな気分になって、孤独感を感じてしまう。
『見た目・・・みんなと違うのわかってる・・・
同族とも違うの・・・』
言われ、沖田はハッとした。
幾度となく少女の容姿のことについてつついたこと。
猫鬼属は本来
鈍色の銀髪とサファイアのような蒼い瞳を持つのだと
猫鬼族について記された数少ない資料から知っていた。
少女の姉は見つけたときにはすでに無くなっており、瞼を閉じていたためその色を見たことはなかったが
髪の色はたしかに目の前にいる少女とは違っていた。
スノウの髪はどちらかというと雪に溶け込んでしまいそうな白に近い銀色。
きっと彼女は地球に来る前から・・・
故郷にいる頃から容姿の違いによって
異端だと差別を受けてきたに違いなかったのだ。
そこで沖田は今まで別に攻めるつもりではなかったにしても
少女に浴びせてきた言葉の数々を思い出す。
妖のような怪しい輝きを放つ赤い瞳のことも
白にも銀にも見える髪のことも
地球人とは違う形の耳のことも
陶器のような肌のことも
全て、いたずら心でいじってきた。
そこに特段悪意はなく
好奇心からくるものだったが少女にとって
容姿のことを言われるのは良くも悪くもトラウマだったのだ。
しばらく声を押し殺しながら泣きじゃくる少女の音だけが響いた。
スノウの姿がないことを確認
そのまま押し入れの方に視線を投げた。
そこから、微かながら気配を感じたからだった。
そして、静かな足取りで押し入れの前まで進むと小さく・・・ほんの小さく
嗚咽のようなものが聞こえた気がした。
泣いているのかもしれない と思ったが沖田はズケズケと「おい」と声かける。
しかし返事は無く、その嗚咽のようなものさえも聞こえなくなり
シンーーーと静まり返ってしまった。
少しの間があって待ちきれなくなった沖田は無遠慮に襖に手をかけると
まるでそうすることが当たり前のように開いた。
押し入れの下段。
そこには自身の膝を抱え込み、小さく座り込む少女の姿があった。
まさか沖田が追いかけて来るとは思ってなかったのかその表情は驚きにも似た、それでいて困惑した表情を浮かべていた。
そのキラキラと無機質な輝きを放つ真紅の瞳には大粒の涙が滲んでおり
白い頬をツーと雫が伝い、流れ落ちていた。
声を押し殺そうとしていたのか、小さな両手は口元に当てられていて
必死に溢れ出る感情を抑え込もうとしているようだった。
そんな姿を見ても沖田は表情こそ変えることは無かったが
さすがに何かを思ったのか
視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
そこでスノウはハッとして
まるで顔を隠すように両腕を前に出した。
『見な・・・ぃで・・・』
こんな情けなさい姿を誰にも見られたくなかった。
小さな子供のように泣きじゃくる弱々しい姿など・・・
しかし沖田は想像と反してそんな少女の姿を見ても馬鹿にすることは無く
「何が気に入らなかったんでぃ」
淡々と問いかけた。
スノウは一度ピクリと肩を揺らして
ハッと唇を開く。
『攻撃されるのは構わない
避ければいいから・・・』
今にも消え入りそうなか細い声
『でも・・・』
と、一息つくと息苦しそうに息を吸った。
『総悟の言葉は刺さって痛い・・・』
スッと流すように見上げた真紅の瞳。
感情が高ぶっているからか白いまつげが赤に染まっているかのように錯覚するほど
それは底光りするような輝きを放っている。
『痛いの・・・』
まるで絞り出すかのような声。
ギュッと寄せられた眉と溢れ出る大粒の涙。
スノウは限界だった。
慣れない環境で慣れない人たちと過ごしていくことに。
今まで傍には姉がいた。
そして・・・彼がいた。
だから周りの目なんて、言葉なんて
気にならなかったのに
今は独り・・・未だ姉の死を乗り越えることができずにいる。
現在ここにしか少女の居場所がない。
けれどスノウにとって沖田の態度や言葉はここにいることを憚れるような
そんな気分になって、孤独感を感じてしまう。
『見た目・・・みんなと違うのわかってる・・・
同族とも違うの・・・』
言われ、沖田はハッとした。
幾度となく少女の容姿のことについてつついたこと。
猫鬼属は本来
鈍色の銀髪とサファイアのような蒼い瞳を持つのだと
猫鬼族について記された数少ない資料から知っていた。
少女の姉は見つけたときにはすでに無くなっており、瞼を閉じていたためその色を見たことはなかったが
髪の色はたしかに目の前にいる少女とは違っていた。
スノウの髪はどちらかというと雪に溶け込んでしまいそうな白に近い銀色。
きっと彼女は地球に来る前から・・・
故郷にいる頃から容姿の違いによって
異端だと差別を受けてきたに違いなかったのだ。
そこで沖田は今まで別に攻めるつもりではなかったにしても
少女に浴びせてきた言葉の数々を思い出す。
妖のような怪しい輝きを放つ赤い瞳のことも
白にも銀にも見える髪のことも
地球人とは違う形の耳のことも
陶器のような肌のことも
全て、いたずら心でいじってきた。
そこに特段悪意はなく
好奇心からくるものだったが少女にとって
容姿のことを言われるのは良くも悪くもトラウマだったのだ。
しばらく声を押し殺しながら泣きじゃくる少女の音だけが響いた。