決闘
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それから暫く
太陽の位置がやや高くなってきた頃。
スノウは数日前、近藤が自身のためにと急いで用意してくれた
彼女専用の制服へと袖を通した。
上着は近藤達と同じデザインでラインが薄灰色。
そして下は柔らかい素材のフリルのスカート。
大方着替え終わると黒のニーハイソックスを履き、スカーフを手にとるが、一度それを見つめては何故か渋り
左耳につけた
姉の形見であるピアスを揺らしながら部屋を出た。
明るい日差しに眩しげに瞼を細める。
するとそこには、柱にもたれかかり煙草を吹かす土方の姿があった。
スノウが支度を終えるのを待っていたようだ。
スノウはそんな土方に驚くことなく、握っていたスカーフを彼に差し出す。
彼女はスカーフの締め方がわからないのだ。
制服を貰ってから何度も練習はしているのだが、あまり器用でないスノウには少し難しいようで…
それを悟った土方は、わざとらしくため息を零すと
手に持っていた煙草を銜え、スノウからスカーフをふんだくった。
「顔あげろ」
そう言われれば大人しく従うスノウ。
天井を仰いで白い首をさらけ出す。
そこには未だハッキリと存在を主張する痛々しい傷痕。
これにはさすがの土方も微かに動揺を見せた。
男所帯のこの屯所に、少女が隊士として働くのはあまりにも不自然で
ただでさえ仕事の関係上、異性との関わりが少ないのにも関わらず
あっさりと無防備な姿を曝す幼い姿と…
それとは相反する少女らしくない大きな傷跡
そのミスマッチさが余計に少女に気安く触れることを戸惑わせる。
しかし、土方は考えていても仕方ない
と、それらの思考を打ち消すように頭を小さく振ると何事もなかったようにスカーフを結んでやった。
「行くぞ」
スカーフを結び終えて、すぐさま踵を返す土方の後を
スノウはひょこひょことついて行く。
大方傷が癒えたために
巡回に出ることになったのだ。
傷も癒えきっていないのにも関わらず
少し仕事を教えていくテンポが早いような気もするが
早くここの仕事に少女が慣れるように、と言う
不器用な土方なりの気遣いだった。
街にでればスノウは忙しなく視線をさ迷わせた。
相変わらず無表情のままだったが
何故か土方には怯えているように見えて
何気なく「気になるもんでもあんのか?」とたずねてみる。
と、数歩遅れてついてきていた少女は土方を見ると一度足を止めた。
そして唇を開く。
しかしそれから言葉が発せられることはなく
また閉ざすと、なんでもないと言うように 首を左右に振って意思表示。
スノウにつられ足を止めた土方は肩越しに振り返りながらそんな少女を見つめる。
俯き加減な顔。
伏し目がちな瞳。
キュッと結んだ唇に
僅かに強張っている様子の肩。
どうみても なんでもないと言える様子ではない。
「何かあんなら言え」
このままでは気になって仕方ないと、渋る少女を促す。
そうすれば少女はやっとこさ
その重い口を開き
か細い声を発した。
『…が、……………ぃ』
しかし、あまりに声が小さく
聞き取れず「あ?」ともう一度問い掛け
今度こそは聞き逃すまいと、少女へ一歩 歩み寄り耳を澄ませる。
と、先程よりも少しだけ大きく声を出そうと
少女は顎を上げた。
『人がいっぱいいるの…
みんな見てる
だから』
しかし、言って良いものかと
不安になっているのか語尾が徐々に小さくなっていく。
言葉を続けることに対する躊躇から俯いてしまった少女は
それでもしっかりと言葉を紡いだ。
『…ここはイヤだ……』
太陽の位置がやや高くなってきた頃。
スノウは数日前、近藤が自身のためにと急いで用意してくれた
彼女専用の制服へと袖を通した。
上着は近藤達と同じデザインでラインが薄灰色。
そして下は柔らかい素材のフリルのスカート。
大方着替え終わると黒のニーハイソックスを履き、スカーフを手にとるが、一度それを見つめては何故か渋り
左耳につけた
姉の形見であるピアスを揺らしながら部屋を出た。
明るい日差しに眩しげに瞼を細める。
するとそこには、柱にもたれかかり煙草を吹かす土方の姿があった。
スノウが支度を終えるのを待っていたようだ。
スノウはそんな土方に驚くことなく、握っていたスカーフを彼に差し出す。
彼女はスカーフの締め方がわからないのだ。
制服を貰ってから何度も練習はしているのだが、あまり器用でないスノウには少し難しいようで…
それを悟った土方は、わざとらしくため息を零すと
手に持っていた煙草を銜え、スノウからスカーフをふんだくった。
「顔あげろ」
そう言われれば大人しく従うスノウ。
天井を仰いで白い首をさらけ出す。
そこには未だハッキリと存在を主張する痛々しい傷痕。
これにはさすがの土方も微かに動揺を見せた。
男所帯のこの屯所に、少女が隊士として働くのはあまりにも不自然で
ただでさえ仕事の関係上、異性との関わりが少ないのにも関わらず
あっさりと無防備な姿を曝す幼い姿と…
それとは相反する少女らしくない大きな傷跡
そのミスマッチさが余計に少女に気安く触れることを戸惑わせる。
しかし、土方は考えていても仕方ない
と、それらの思考を打ち消すように頭を小さく振ると何事もなかったようにスカーフを結んでやった。
「行くぞ」
スカーフを結び終えて、すぐさま踵を返す土方の後を
スノウはひょこひょことついて行く。
大方傷が癒えたために
巡回に出ることになったのだ。
傷も癒えきっていないのにも関わらず
少し仕事を教えていくテンポが早いような気もするが
早くここの仕事に少女が慣れるように、と言う
不器用な土方なりの気遣いだった。
街にでればスノウは忙しなく視線をさ迷わせた。
相変わらず無表情のままだったが
何故か土方には怯えているように見えて
何気なく「気になるもんでもあんのか?」とたずねてみる。
と、数歩遅れてついてきていた少女は土方を見ると一度足を止めた。
そして唇を開く。
しかしそれから言葉が発せられることはなく
また閉ざすと、なんでもないと言うように 首を左右に振って意思表示。
スノウにつられ足を止めた土方は肩越しに振り返りながらそんな少女を見つめる。
俯き加減な顔。
伏し目がちな瞳。
キュッと結んだ唇に
僅かに強張っている様子の肩。
どうみても なんでもないと言える様子ではない。
「何かあんなら言え」
このままでは気になって仕方ないと、渋る少女を促す。
そうすれば少女はやっとこさ
その重い口を開き
か細い声を発した。
『…が、……………ぃ』
しかし、あまりに声が小さく
聞き取れず「あ?」ともう一度問い掛け
今度こそは聞き逃すまいと、少女へ一歩 歩み寄り耳を澄ませる。
と、先程よりも少しだけ大きく声を出そうと
少女は顎を上げた。
『人がいっぱいいるの…
みんな見てる
だから』
しかし、言って良いものかと
不安になっているのか語尾が徐々に小さくなっていく。
言葉を続けることに対する躊躇から俯いてしまった少女は
それでもしっかりと言葉を紡いだ。
『…ここはイヤだ……』