決闘
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「いくら局長命令と言ってもなぁ」
「副長も副長だよ
普段なら絶対反対すんのに
なんで今回は大人しいんだ?」
「あんなニコリともしない
人形みてぇな女、気味悪くてしょうがねぇよな」
所かわり、会議から開放された数人の隊士はさっそくあの場で言えなかった文句を呟く。
もちろん上の目が無いことを確認して。
――わかっていたことだ…
隊士たちは知らない
そんな会話をあの少女が聞いていることを。
――わかっていたこと…
だから傷つく必要は無い
そうは思ってもやはり
――つらい……
何度経験しても
人に疎まれるというのは
慣れないものだった。
けれど
少女は彼らに何かを言うつもりはない。
寧ろ たまたまここに居合わせてしまっただけで彼らの話を盗み聞きするつもりすらなかったのだから。
スノウは一度瞼を伏せてから
息を吐き また瞼を開くと
静かにその場から離れた。
あの日から数日が経過した。
何度目かの会議。
そこに居てもわかりはしないのに
何故か毎回参加させられるスノウ。
相変わらず と言うべきか
少女と隊士らの関係はギクシャクとしていた。
それもそうだろう。
結局あれから
お互いに納得しあえないまま時が過ぎてしまっているのだから。
スノウはほぼ土方と対で行動しているため他の隊士たちとは接点がないので話す機会もない。
「では、本日の会議はこれで終了とする」
一段落がついて
近藤が閉めに入ろうとしたとき
「局長…一ついいですか?」
今まで黙って話を聞いていた
隊士の一人が手を上げた。
「ん?どうした?」
近藤は戸惑うことなく
何の気なしに問いかける。
と、隊士は土方の脇に座っていた少女
スノウを睨み付けるように見てたから近藤へと視線を戻した。
「あれから
その娘について俺達なりに考えてみました
けど
やっぱり、少女が
ましてや天人である娘がここにいるというのは納得いきません」
初めて少女を目の当たりにしたときとは違い
局長や副長の前であろうと躊躇することなくハッキリと告げる隊士に
周りの面々もキリッとした表情で頷いていく。
「訳や理由があるにしても
ここにいる価値があるのかどうか
それだけは見極めたいんです」
それだけ言うと
一同は揃って少女を見据えた。
複数の視線を浴びていた少女も
気にしていないかのように伏せていた視線を持ち上げ
隊士らの顔を一人ずつ見ていく。
煌々と燃える瞳が
奥のほうで暗く
それでいて小さく煌めいた。
「いいだろう」
隊士らの提案に返事を返したのは近藤ではなく土方だった。
くわえていたタバコをつまみ
離すと ゆっくりと煙を吐き出す。
「全員 道場に集まれ
誰がコイツの相手をするのかはてめぇらで決めろ」
言って、目で少女と隊士らを促すと
のっそりとした動きで立ち上がり
それとは対照的に足早に歩き出した。
そんな彼に隊士たちも各々立ち上がっては歩き出す。
最後に取り残された少女も
のんびりとした動作で立ち上がると小さく一歩を踏み出した。
が
「すまない スノウちゃん」
ポソリと聞こえた声に
足を止めて振り替える。
見れば近藤が本当に申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
声もどこか覇気が無い。
力試しをさせられることを謝っているのか
庇いきれない無力さに謝っているのか
まず何を謝る必要があるのか
少女にはわかり得ないが
ふるふると首を左右に振ると
『…ちゃんとするから』
それだけ言って 今度こそ道場へと足を進めた。
そんな少女の小さな背中を見送りながら
それでも近藤は悲しげに眉を下げていた。
自分の責任だった。
少女をこんな目に合わせるつもりはなかったのに。
少女を、自分の偽善によってあの場から出したことによって
彼女は自分に恩を返さねばと
善意を裏切るわけにはいかないと
そんな想いに縛られてしまっているのかもしれない。
近藤は そう思ったのだ。
先程の少女の言葉も
――認めさせてみせる
貴方は間違っていない と…
そう言ったように聞こえて
自分が良かれと思ってしたことが
返って少女の立場を悪くしているような気がして申し訳なくなった。
「すまない…」
近藤は最後にもう一度だけ呟くと大きく息を吸って立ち上がる。
何にせよ
自分は少女の闘いを見届ける必要がある。
そう思って
試合が始まる前に と駆け足で部屋を後にした。
「副長も副長だよ
普段なら絶対反対すんのに
なんで今回は大人しいんだ?」
「あんなニコリともしない
人形みてぇな女、気味悪くてしょうがねぇよな」
所かわり、会議から開放された数人の隊士はさっそくあの場で言えなかった文句を呟く。
もちろん上の目が無いことを確認して。
――わかっていたことだ…
隊士たちは知らない
そんな会話をあの少女が聞いていることを。
――わかっていたこと…
だから傷つく必要は無い
そうは思ってもやはり
――つらい……
何度経験しても
人に疎まれるというのは
慣れないものだった。
けれど
少女は彼らに何かを言うつもりはない。
寧ろ たまたまここに居合わせてしまっただけで彼らの話を盗み聞きするつもりすらなかったのだから。
スノウは一度瞼を伏せてから
息を吐き また瞼を開くと
静かにその場から離れた。
あの日から数日が経過した。
何度目かの会議。
そこに居てもわかりはしないのに
何故か毎回参加させられるスノウ。
相変わらず と言うべきか
少女と隊士らの関係はギクシャクとしていた。
それもそうだろう。
結局あれから
お互いに納得しあえないまま時が過ぎてしまっているのだから。
スノウはほぼ土方と対で行動しているため他の隊士たちとは接点がないので話す機会もない。
「では、本日の会議はこれで終了とする」
一段落がついて
近藤が閉めに入ろうとしたとき
「局長…一ついいですか?」
今まで黙って話を聞いていた
隊士の一人が手を上げた。
「ん?どうした?」
近藤は戸惑うことなく
何の気なしに問いかける。
と、隊士は土方の脇に座っていた少女
スノウを睨み付けるように見てたから近藤へと視線を戻した。
「あれから
その娘について俺達なりに考えてみました
けど
やっぱり、少女が
ましてや天人である娘がここにいるというのは納得いきません」
初めて少女を目の当たりにしたときとは違い
局長や副長の前であろうと躊躇することなくハッキリと告げる隊士に
周りの面々もキリッとした表情で頷いていく。
「訳や理由があるにしても
ここにいる価値があるのかどうか
それだけは見極めたいんです」
それだけ言うと
一同は揃って少女を見据えた。
複数の視線を浴びていた少女も
気にしていないかのように伏せていた視線を持ち上げ
隊士らの顔を一人ずつ見ていく。
煌々と燃える瞳が
奥のほうで暗く
それでいて小さく煌めいた。
「いいだろう」
隊士らの提案に返事を返したのは近藤ではなく土方だった。
くわえていたタバコをつまみ
離すと ゆっくりと煙を吐き出す。
「全員 道場に集まれ
誰がコイツの相手をするのかはてめぇらで決めろ」
言って、目で少女と隊士らを促すと
のっそりとした動きで立ち上がり
それとは対照的に足早に歩き出した。
そんな彼に隊士たちも各々立ち上がっては歩き出す。
最後に取り残された少女も
のんびりとした動作で立ち上がると小さく一歩を踏み出した。
が
「すまない スノウちゃん」
ポソリと聞こえた声に
足を止めて振り替える。
見れば近藤が本当に申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
声もどこか覇気が無い。
力試しをさせられることを謝っているのか
庇いきれない無力さに謝っているのか
まず何を謝る必要があるのか
少女にはわかり得ないが
ふるふると首を左右に振ると
『…ちゃんとするから』
それだけ言って 今度こそ道場へと足を進めた。
そんな少女の小さな背中を見送りながら
それでも近藤は悲しげに眉を下げていた。
自分の責任だった。
少女をこんな目に合わせるつもりはなかったのに。
少女を、自分の偽善によってあの場から出したことによって
彼女は自分に恩を返さねばと
善意を裏切るわけにはいかないと
そんな想いに縛られてしまっているのかもしれない。
近藤は そう思ったのだ。
先程の少女の言葉も
――認めさせてみせる
貴方は間違っていない と…
そう言ったように聞こえて
自分が良かれと思ってしたことが
返って少女の立場を悪くしているような気がして申し訳なくなった。
「すまない…」
近藤は最後にもう一度だけ呟くと大きく息を吸って立ち上がる。
何にせよ
自分は少女の闘いを見届ける必要がある。
そう思って
試合が始まる前に と駆け足で部屋を後にした。