あれから更に数日が経過した。




眠りについた少女は未だ目を覚まさない。

相当疲れていたのか
傷の治療に体力、気力を奪われているのか

それは定かではないがまるで死んだように眠り続ける。
青白い顔がより一層、死人のようだと思わせた。

同時に何もかもが整いすぎた容姿に生き物ではなく
人形を横たわせているだけではと錯覚する。


その傍らで煙草を吹かせながらただただ少女が目覚めるのを待ち続ける土方は何を思うのか。




これからのことか…




少女をどうすべきか
自分はどうすべきか


答えの無い謎を延々と解き明かそうと思考を巡らせる。


こんなにも近くにいるのに
少女の寝息はあまりにも小さい。

傷も酷い。

もしかしたら本当に死んでいるのでは？と呼吸を確かめること
本日数十回目。


そして薄い胸が上下しているのを見て安堵するのもそれと同じ回数。



一体自分は何をしているのか…。


目覚めたら目覚めたで厄介になることはわかりきっているのに
いつまでも目覚めない少女に
いつ目覚めるのかわからない少女に
妙な焦燥感を覚える。



特段、目覚めてほしいわけではない。


ただ……
このままでは何も進まない。


聞きたいことがたくさんある。

話したいこともたくさんある。


ただそれだけ。



近藤もいつまでも目覚めない少女を酷く心配している。
このままでは仕事に集中してもらえない。

局長なのだがらそこは局長らしくどしっと構えていてほしいものだが…

如何せん彼は人が良すぎ
それでいて小心者だ。

ここぞという所では、局長らしい姿も見せてくれるが
普段はそうではない。






だから…早く

目覚めろ と


煙を吐き出しながら胸中で
強く念じ続ける……。






色々思案し続け
土方は溜め息すらも
また何十回目かわからなくなるほどに溢した。