傷跡
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「そうか…そんなことが……」
慌てて駆けつけたのか
寝巻き姿の近藤が眉を垂れ下げ小さく俯きポソリと呟いた。
現在少女はスペアの手錠で両足をも固定。
敷かれたままにしてあった土方の布団に左向きに横たえて寝かされている。
が、下手に少女に触れることができず手首の噛みついた跡のような傷も、口許の汚れもそのまま。
一応布団を汚すまいと少女の頭の下にタオルを敷いてある。
その瞳は何処を見ているのか
ボーっとしているようだった。
「今回は何も無かったからよかったが…
次も何事も無く抑えられるとは限ら無ぇ
昨日も言ったが
やっぱり俺はコイツをここに置くのは反対だ」
そう…今回は運がよかった。
少女が丸腰で怪我人だったから負傷者を出ずに済んだ。
しかし少女が刀を持っていたら…
正直土方でも危なかっただろう。
もちろん本気を出せばわからないが
土方は少女を殺すわけにはいかない。
たとえ少女が殺意を向けてきても
手加減しなければならないのだから。
それを従順承知している近藤は唸る。
今は土方が傍にいて面倒を見ているが
もしこれが他の隊士だったならば…きっと少女を止めることは難しい。
それだけ少女は腕がたつ。
上からの命令とは言え
これ以上部下を危険な目に合わせるわせにはいかない。
――わかっている…わかってはいるが……
近藤はすぐには答えを出せなかった。
もしここで自分が諦め
少女を手放したら
きっと少女に未来は無い。
そう思うと
土方の言い分はよくわかってはいるが うん とは頷けなかった。
「はぁ~~…」
近藤が言い澱んでいると
近藤の心境を悟った土方が重く長い溜め息を溢す。
「次は知らねぇからな」
「トシ………」
それは少女をまだここに置くことを許す言葉だった。
「すまねぇ…トシ」
近藤は弱々しい笑みを浮かべると少女を見る。
「そして…スノウちゃんも」
大分落ち着いている様子の少女
それでもいつから流していたのか
右の瞳からツー…と重力に従って頭の下に敷かれたタオルへと涙が流れ落ちていた。
「何もしてやれなくてすまん」
近藤はそんな少女にゆっくりと手を伸ばすと慈しむような表情を浮かべ頭を撫でてやる。
少女は何も言いはしなかった。
ただ静かに目蓋を閉ざすのを見て 近藤はひたすら優しく撫で続けてやった。
暫くすると聞こえてくる小さな寝息。
少し気が緩んだのだろう。
それとともにずっとはりつめていた緊張から開放され
どっと溜まりに溜まった疲れに眠りについたようだった。
「もう少しだけ
頼むよ トシ……」
「あぁ…」
自分たちが少女に安息の地を与えられるという保証は無い。
それでも…少しでも少女を救えたらと
二人は眠る少女を見つめ続けた。
・Fin・
慌てて駆けつけたのか
寝巻き姿の近藤が眉を垂れ下げ小さく俯きポソリと呟いた。
現在少女はスペアの手錠で両足をも固定。
敷かれたままにしてあった土方の布団に左向きに横たえて寝かされている。
が、下手に少女に触れることができず手首の噛みついた跡のような傷も、口許の汚れもそのまま。
一応布団を汚すまいと少女の頭の下にタオルを敷いてある。
その瞳は何処を見ているのか
ボーっとしているようだった。
「今回は何も無かったからよかったが…
次も何事も無く抑えられるとは限ら無ぇ
昨日も言ったが
やっぱり俺はコイツをここに置くのは反対だ」
そう…今回は運がよかった。
少女が丸腰で怪我人だったから負傷者を出ずに済んだ。
しかし少女が刀を持っていたら…
正直土方でも危なかっただろう。
もちろん本気を出せばわからないが
土方は少女を殺すわけにはいかない。
たとえ少女が殺意を向けてきても
手加減しなければならないのだから。
それを従順承知している近藤は唸る。
今は土方が傍にいて面倒を見ているが
もしこれが他の隊士だったならば…きっと少女を止めることは難しい。
それだけ少女は腕がたつ。
上からの命令とは言え
これ以上部下を危険な目に合わせるわせにはいかない。
――わかっている…わかってはいるが……
近藤はすぐには答えを出せなかった。
もしここで自分が諦め
少女を手放したら
きっと少女に未来は無い。
そう思うと
土方の言い分はよくわかってはいるが うん とは頷けなかった。
「はぁ~~…」
近藤が言い澱んでいると
近藤の心境を悟った土方が重く長い溜め息を溢す。
「次は知らねぇからな」
「トシ………」
それは少女をまだここに置くことを許す言葉だった。
「すまねぇ…トシ」
近藤は弱々しい笑みを浮かべると少女を見る。
「そして…スノウちゃんも」
大分落ち着いている様子の少女
それでもいつから流していたのか
右の瞳からツー…と重力に従って頭の下に敷かれたタオルへと涙が流れ落ちていた。
「何もしてやれなくてすまん」
近藤はそんな少女にゆっくりと手を伸ばすと慈しむような表情を浮かべ頭を撫でてやる。
少女は何も言いはしなかった。
ただ静かに目蓋を閉ざすのを見て 近藤はひたすら優しく撫で続けてやった。
暫くすると聞こえてくる小さな寝息。
少し気が緩んだのだろう。
それとともにずっとはりつめていた緊張から開放され
どっと溜まりに溜まった疲れに眠りについたようだった。
「もう少しだけ
頼むよ トシ……」
「あぁ…」
自分たちが少女に安息の地を与えられるという保証は無い。
それでも…少しでも少女を救えたらと
二人は眠る少女を見つめ続けた。
・Fin・