傷跡
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しかし
確かに少女を地下から出したあの日も彼女は返り血を舐めていたことを思い出す。
―――まさか…
少女の主食は鮮血なのか…
そう思考が廻ったとき
『っ……っ゙…』
少女は小刻みに震えながら両手を自身の頭に持っていくとくしゃりと髪をわしづかんだ。
酷く取り乱しているようだ。
見られたくない一面を見られてしまったからだろうか。
普段、無機質な輝きを放つ真紅の瞳が大きく見開かれ
動揺に激しく揺れ動き
深海のように暗く沈み始める。
うっすらと開かれた薄い唇から漏れる吐息はやけに荒く細い眉は苦悶に寄せられている。
身体は恐怖か戸惑いか小刻みに震えていた。
わからなくもない
一般人にそのような姿を晒せば 化け物 と罵られることだろう。
もしかしたら彼女は人を食らうのかもしれないのだから…。
そう思ったら
自分も少女に少なからず恐怖を感じる。
人間ではない
人間とは違う。
その事実により
少女は幼いころより
非情な仕打ちを受けてきたに違いない。
彼女からすれば
その行為は人間が牛や鳥を食すことと同じでも
人間からすれば脅威になりえるのだから…。
『……わ………ぁ、い…』
パニックに陥ってしまっているのか
少女から発せられる言葉は的を得ないものばかり。
何か言い訳したいのかもしれない。
――違う
私は化け物のじゃない
人形でもない
感情も心もある
生きている
傷みも苦しみも感じる
だから…………
・・・・・・だから・・・――
『っ!あ・・・ぅ、あ゙・・・!!』
何を思ったのか
少女は自身の肩にあった土方の手を掴み取ると
牙を剥いて噛みつこうとした。
土方は咄嗟に手を引っ込め回避する。
しかし、自分の身を守ることに必死な少女は仕掛けられる前に潰しておきたいと思ったのだろう
たとえ相手にその気が無くとも・・・
押し入れから素早く飛び出すと土方に飛び掛かる。
が、大の大人の男と
年端もいかない、まして手負いの少女では力の差がある。
土方は容易に少女の両の腕を捕らえるとそのままうつ伏せに畳に押さえつける。
ドンッと響く鈍い音。
胸から打ち付けたのだろう 少女が小さく呻くが構っている余裕は無い。
朝の鈍い光に照らされながら舞い上がる埃を煩わしく思いながら辺りを一見。
枕元に置いてある刀の脇にある手錠を手にすると
少女の両手を後ろ手に固定した。
「どうかしたんですか? 副長」
と、丁度 不穏な空気を察したのか
あの僅な音に気づいたのか
様子を見に現れた監察である山崎は
現状を見て唇を結んだ。
「悪いが近藤さんを起こしてくれ
俺一人じゃ対処しきれねぇ」
「わかりました」
言って 山崎はその場から素早く姿を消す。
彼らのやり取りを見ている間に少しではあるが落ち着きを取り戻した少女は
寸前までばたつかせていた足を下ろし
大人しく押さえつけられていた。
相当暴れたのか 手首にはくっきりと手錠の跡が痛々しいほどに残っていた。
確かに少女を地下から出したあの日も彼女は返り血を舐めていたことを思い出す。
―――まさか…
少女の主食は鮮血なのか…
そう思考が廻ったとき
『っ……っ゙…』
少女は小刻みに震えながら両手を自身の頭に持っていくとくしゃりと髪をわしづかんだ。
酷く取り乱しているようだ。
見られたくない一面を見られてしまったからだろうか。
普段、無機質な輝きを放つ真紅の瞳が大きく見開かれ
動揺に激しく揺れ動き
深海のように暗く沈み始める。
うっすらと開かれた薄い唇から漏れる吐息はやけに荒く細い眉は苦悶に寄せられている。
身体は恐怖か戸惑いか小刻みに震えていた。
わからなくもない
一般人にそのような姿を晒せば 化け物 と罵られることだろう。
もしかしたら彼女は人を食らうのかもしれないのだから…。
そう思ったら
自分も少女に少なからず恐怖を感じる。
人間ではない
人間とは違う。
その事実により
少女は幼いころより
非情な仕打ちを受けてきたに違いない。
彼女からすれば
その行為は人間が牛や鳥を食すことと同じでも
人間からすれば脅威になりえるのだから…。
『……わ………ぁ、い…』
パニックに陥ってしまっているのか
少女から発せられる言葉は的を得ないものばかり。
何か言い訳したいのかもしれない。
――違う
私は化け物のじゃない
人形でもない
感情も心もある
生きている
傷みも苦しみも感じる
だから…………
・・・・・・だから・・・――
『っ!あ・・・ぅ、あ゙・・・!!』
何を思ったのか
少女は自身の肩にあった土方の手を掴み取ると
牙を剥いて噛みつこうとした。
土方は咄嗟に手を引っ込め回避する。
しかし、自分の身を守ることに必死な少女は仕掛けられる前に潰しておきたいと思ったのだろう
たとえ相手にその気が無くとも・・・
押し入れから素早く飛び出すと土方に飛び掛かる。
が、大の大人の男と
年端もいかない、まして手負いの少女では力の差がある。
土方は容易に少女の両の腕を捕らえるとそのままうつ伏せに畳に押さえつける。
ドンッと響く鈍い音。
胸から打ち付けたのだろう 少女が小さく呻くが構っている余裕は無い。
朝の鈍い光に照らされながら舞い上がる埃を煩わしく思いながら辺りを一見。
枕元に置いてある刀の脇にある手錠を手にすると
少女の両手を後ろ手に固定した。
「どうかしたんですか? 副長」
と、丁度 不穏な空気を察したのか
あの僅な音に気づいたのか
様子を見に現れた監察である山崎は
現状を見て唇を結んだ。
「悪いが近藤さんを起こしてくれ
俺一人じゃ対処しきれねぇ」
「わかりました」
言って 山崎はその場から素早く姿を消す。
彼らのやり取りを見ている間に少しではあるが落ち着きを取り戻した少女は
寸前までばたつかせていた足を下ろし
大人しく押さえつけられていた。
相当暴れたのか 手首にはくっきりと手錠の跡が痛々しいほどに残っていた。