モブサイコ長編(茂夫)
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あれから茂夫は自分を変えたいと願い、肉体改造部に入部した。
そして宗教団体の一件に巻き込まれたあと、力を失った悪霊エクボにとりつかれてしまう。とりつかれると言ってもエクボに害はなく、ただエクボは茂夫にくっついているだけだった。除霊するのもなんだか可哀想に思い、茂夫はエクボをそのままにした。登校すると吃驚した顔で陽葵が駆け寄ってきた。
「影山くん!この人魂、何?」
「神木さん。なんか、とりつかれたみたい…。でも害はないから」
大丈夫だという茂夫に「そう」と陽葵は言い、エクボをじーっと見つめる。
「なんだよ!やんのか!?」
「………お茶目な幽霊だね」
陽葵はツンツンと指でエクボをつついた。
「コイツ、俺様のことペットか何かだと思ってるだろ…」
エクボはペット扱いする陽葵に反抗することなく大人しくしていた。
「あれ…?」
ある日。茂夫の下駄箱にラブレターが入っていた。汚い字で書かれた手紙はところどころに誤字があり、差出人は明らかに男子だった。茂夫の淡い期待を「これは悪戯だ」とエクボが否定するも、本当に女の子が待っていたら可哀想だから…と茂夫は呼び出された場所に向かった。
呼び出された公園で茂夫が待っていると、やってきたのは怖い顔をした他校の不良達だった。
茂夫は不良達に捕まり、黒酢中へと連れて行かれてしまった。
ーその頃。
肉体改造部にも手紙が置かれていた。
『影山はあずかった。かえしてほしければ黒酢中までこい』
手紙を見た肉体改造部の部長と部員達は影山を取り返すため黒酢中へとダッシュした。
それから少しして。コンコン、と肉体改造部の部室のドアを誰かがノックした。
「失礼します。影山くん、いますか?」
おそるおそる扉を開いたのは陽葵だった。今日は天気が『悪く』なるから、陽葵は影山と一緒に下校したかったのだ。
「?」
誰もいない部室を不思議に思い、陽葵が室内を覗くと床に一枚の紙が落ちていた。落ちていた手紙を見て、陽葵は慌てて部室を飛び出した。
(大変…!影山くん…!でも、どうして『こんな日』に…!!)
空はどんどん真っ黒になっていく。
『アレ』が来る。間違いない。
それでも…!!
ぎゅっと唇を噛み締めて陽葵は全速力で走った。
陽葵が黒酢中の正門にたどり着いた頃、ゴロゴロゴロ…!!と雷が鳴り、雨が降り始めた。
「ひっ!?」
陽葵の足が止まる。稲光がして、雷鳴が轟く。陽葵は耳をおさえてその場にうずくまった。
(どうしよう。どうしよう。怖い…!)
泣きそうになるのを必死に堪える。
と。
校舎の方からとてつもなく大きな力が爆発したのがわかった。
(影山くんだ…!)
行かなきゃ。
行かなきゃ…!
約束したんだ!『半分持つ』って!!
陽葵は立ち上がり、震える足に鞭を打って力の先に向かって駆け出した。
走って走って走って。陽葵はようやくグラウンドでうずくまる茂夫を見つけた。
「影山くん!良かった…!無事…」
声をかけようとして陽葵は気付いた。
茂夫はグラウンドで泣いていた。
陽葵は少し迷ったあと、茂夫に近付いた。
茂夫は自分に近付いてくる人影に気づいて顔を上げた。
「神木…さん…」
陽葵は茂夫の隣に腰を下ろして、彼の手を握った。
「ごめんね。半分持つって言ったのに、影山くんに全部持たせた。だから、ごめん」
陽葵の優しい言葉に茂夫の涙が溢れ出した。
「話、聞くよ。全部」
「うっ…うっ…うっ…うあぁぁあ…」
泣きながら茂夫は陽葵にすべて話した。
人に向けて超能力は使わない。
それなのに自分は使ってしまった。
そんな自分が悔しくて。悲しくて。苦しくて。
話している間、陽葵はずっと茂夫の手を握っていてくれた。握られた手がとてもあたたかった。
話し終えて茂夫の涙が落ち着くと、陽葵は「帰ろう」と茂夫を立たせた。
「首」
「?」
「絞められたんでしょ?」
「!?」
花沢に一方的に襲われたことは話した。でも、具体的に何をされたのかまでは陽葵に話さなかった。それなのに、どうして。
「ギリギリまで我慢したんだよね。…辛かったね」
陽葵の言葉にまたもや泣きそうになってしまい、茂夫は慌てて堪えた。
「なんで、わかったの」
「少し痕になってるから。そのうち消えると思うけど…ああ、そうだ」
陽葵はポケットからハンカチを取り出すと茂夫の首に器用に巻き付けた。
「家族の人、心配するでしょ?これならスカーフを巻いていると思うから。ああ、でも逆におかしいかな?」
「ううん、…ありがとう」
お礼を言う茂夫に陽葵は優しく微笑んだ。
「影山くん…」
消え入りそうな声がして、そちらを向くと素っ裸で頭頂部が禿げている男の子が立っていた。
「花沢くん」
茂夫の言葉に、この人が『花沢くん』なんだと陽葵は思った。
花沢は反省している様子だった。
そんな花沢の姿を見た黒酢中の不良達は「えげつなく処刑されてるぞ!」と茂夫に恐怖して走り去っていった。
「影山。大丈夫か?」
後ろから声をかけられ、振り返ると肉体改造部の部員達が立っていた。
「大丈夫なら、このままトレーニングだ!行くぞ、影山!」
「あっ、部長…!」
茂夫はどうしよう、と陽葵の方を見る。
「いってらっしゃい、影山くん」
陽葵が茂夫に微笑んで手を振ると、「うん!」と影山は部員達の方へ駆けていった。
そのまま歩き去ろうとする花沢を陽葵は「どこへ行くの?」と呼び止めた。
「影山くんの友達か…、僕を罰するなら罰しなよ」
「………あなたのことは許せない。影山くんに酷いことをしたあなたなんて大嫌い」
「…なんとでも言ってくれ…」
「だけど。それとこれとは話が別」
「?」
「ジャージ。持ってきてないの?取ってきてあげるから」
「! なんで…、いいよ…。これは僕への罰なんだ」
「頭と服、やったの影山くんでしょう?故意にやったわけじゃないと思うけど。影山くんの責任は半分私が持つから。で、ジャージ持ってるの?持ってないの?」
「………持ってる」
陽葵は花沢に言われた場所からジャージを取ってきて彼に渡した。
「…ありがとう…」
「ごめん。頭は、どうにもできない。さっき影山くんにハンカチ貸しちゃったから…」
「いいよ。これくらいの罰は受けるさ。ありがとう、えっと…」
「神木。神木陽葵。それじゃあ、私もう行くから」
「うん…。ありがとう、神木さん」
陽葵は花沢と別れ、黒酢中を後にした。
そして宗教団体の一件に巻き込まれたあと、力を失った悪霊エクボにとりつかれてしまう。とりつかれると言ってもエクボに害はなく、ただエクボは茂夫にくっついているだけだった。除霊するのもなんだか可哀想に思い、茂夫はエクボをそのままにした。登校すると吃驚した顔で陽葵が駆け寄ってきた。
「影山くん!この人魂、何?」
「神木さん。なんか、とりつかれたみたい…。でも害はないから」
大丈夫だという茂夫に「そう」と陽葵は言い、エクボをじーっと見つめる。
「なんだよ!やんのか!?」
「………お茶目な幽霊だね」
陽葵はツンツンと指でエクボをつついた。
「コイツ、俺様のことペットか何かだと思ってるだろ…」
エクボはペット扱いする陽葵に反抗することなく大人しくしていた。
「あれ…?」
ある日。茂夫の下駄箱にラブレターが入っていた。汚い字で書かれた手紙はところどころに誤字があり、差出人は明らかに男子だった。茂夫の淡い期待を「これは悪戯だ」とエクボが否定するも、本当に女の子が待っていたら可哀想だから…と茂夫は呼び出された場所に向かった。
呼び出された公園で茂夫が待っていると、やってきたのは怖い顔をした他校の不良達だった。
茂夫は不良達に捕まり、黒酢中へと連れて行かれてしまった。
ーその頃。
肉体改造部にも手紙が置かれていた。
『影山はあずかった。かえしてほしければ黒酢中までこい』
手紙を見た肉体改造部の部長と部員達は影山を取り返すため黒酢中へとダッシュした。
それから少しして。コンコン、と肉体改造部の部室のドアを誰かがノックした。
「失礼します。影山くん、いますか?」
おそるおそる扉を開いたのは陽葵だった。今日は天気が『悪く』なるから、陽葵は影山と一緒に下校したかったのだ。
「?」
誰もいない部室を不思議に思い、陽葵が室内を覗くと床に一枚の紙が落ちていた。落ちていた手紙を見て、陽葵は慌てて部室を飛び出した。
(大変…!影山くん…!でも、どうして『こんな日』に…!!)
空はどんどん真っ黒になっていく。
『アレ』が来る。間違いない。
それでも…!!
ぎゅっと唇を噛み締めて陽葵は全速力で走った。
陽葵が黒酢中の正門にたどり着いた頃、ゴロゴロゴロ…!!と雷が鳴り、雨が降り始めた。
「ひっ!?」
陽葵の足が止まる。稲光がして、雷鳴が轟く。陽葵は耳をおさえてその場にうずくまった。
(どうしよう。どうしよう。怖い…!)
泣きそうになるのを必死に堪える。
と。
校舎の方からとてつもなく大きな力が爆発したのがわかった。
(影山くんだ…!)
行かなきゃ。
行かなきゃ…!
約束したんだ!『半分持つ』って!!
陽葵は立ち上がり、震える足に鞭を打って力の先に向かって駆け出した。
走って走って走って。陽葵はようやくグラウンドでうずくまる茂夫を見つけた。
「影山くん!良かった…!無事…」
声をかけようとして陽葵は気付いた。
茂夫はグラウンドで泣いていた。
陽葵は少し迷ったあと、茂夫に近付いた。
茂夫は自分に近付いてくる人影に気づいて顔を上げた。
「神木…さん…」
陽葵は茂夫の隣に腰を下ろして、彼の手を握った。
「ごめんね。半分持つって言ったのに、影山くんに全部持たせた。だから、ごめん」
陽葵の優しい言葉に茂夫の涙が溢れ出した。
「話、聞くよ。全部」
「うっ…うっ…うっ…うあぁぁあ…」
泣きながら茂夫は陽葵にすべて話した。
人に向けて超能力は使わない。
それなのに自分は使ってしまった。
そんな自分が悔しくて。悲しくて。苦しくて。
話している間、陽葵はずっと茂夫の手を握っていてくれた。握られた手がとてもあたたかった。
話し終えて茂夫の涙が落ち着くと、陽葵は「帰ろう」と茂夫を立たせた。
「首」
「?」
「絞められたんでしょ?」
「!?」
花沢に一方的に襲われたことは話した。でも、具体的に何をされたのかまでは陽葵に話さなかった。それなのに、どうして。
「ギリギリまで我慢したんだよね。…辛かったね」
陽葵の言葉にまたもや泣きそうになってしまい、茂夫は慌てて堪えた。
「なんで、わかったの」
「少し痕になってるから。そのうち消えると思うけど…ああ、そうだ」
陽葵はポケットからハンカチを取り出すと茂夫の首に器用に巻き付けた。
「家族の人、心配するでしょ?これならスカーフを巻いていると思うから。ああ、でも逆におかしいかな?」
「ううん、…ありがとう」
お礼を言う茂夫に陽葵は優しく微笑んだ。
「影山くん…」
消え入りそうな声がして、そちらを向くと素っ裸で頭頂部が禿げている男の子が立っていた。
「花沢くん」
茂夫の言葉に、この人が『花沢くん』なんだと陽葵は思った。
花沢は反省している様子だった。
そんな花沢の姿を見た黒酢中の不良達は「えげつなく処刑されてるぞ!」と茂夫に恐怖して走り去っていった。
「影山。大丈夫か?」
後ろから声をかけられ、振り返ると肉体改造部の部員達が立っていた。
「大丈夫なら、このままトレーニングだ!行くぞ、影山!」
「あっ、部長…!」
茂夫はどうしよう、と陽葵の方を見る。
「いってらっしゃい、影山くん」
陽葵が茂夫に微笑んで手を振ると、「うん!」と影山は部員達の方へ駆けていった。
そのまま歩き去ろうとする花沢を陽葵は「どこへ行くの?」と呼び止めた。
「影山くんの友達か…、僕を罰するなら罰しなよ」
「………あなたのことは許せない。影山くんに酷いことをしたあなたなんて大嫌い」
「…なんとでも言ってくれ…」
「だけど。それとこれとは話が別」
「?」
「ジャージ。持ってきてないの?取ってきてあげるから」
「! なんで…、いいよ…。これは僕への罰なんだ」
「頭と服、やったの影山くんでしょう?故意にやったわけじゃないと思うけど。影山くんの責任は半分私が持つから。で、ジャージ持ってるの?持ってないの?」
「………持ってる」
陽葵は花沢に言われた場所からジャージを取ってきて彼に渡した。
「…ありがとう…」
「ごめん。頭は、どうにもできない。さっき影山くんにハンカチ貸しちゃったから…」
「いいよ。これくらいの罰は受けるさ。ありがとう、えっと…」
「神木。神木陽葵。それじゃあ、私もう行くから」
「うん…。ありがとう、神木さん」
陽葵は花沢と別れ、黒酢中を後にした。