モブサイコ長編(律)
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ある日の休日。
千冬は家のお手伝いに励んでいた。
千冬の家は小さな喫茶店。コーヒー・紅茶・手作りケーキが自慢の店だ。
白いブラウスに黒のロングスカート、黒のサロンエプロンを腰に巻き、髪は編み込みのお団子ヘアー。千冬は可愛らしい看板娘とあって、老若男女問わず人気だった。
店は家族経営で、父・母・千冬の3人できりもりしている。休日は、お手伝いしなくていいと言われている千冬だが、特に予定のない休日は店を手伝うことにしていた。
カランカラン、とドアチャイムが店内に響く。
「いらっしゃいませ」
入ってきたお客様を席へ案内しようと声をかけた千冬の動きがピタリと止まる。お客様の顔を見た千冬の顔はどんどん青ざめていった。
(そんな、まさか、まさか…!かかか影山ファミリー!?)
店内へとゾロゾロ入ってきた四名のお客様は影山父、影山母、影山律、そしておそらく律の兄。
(何でここに!?恥ずかしい!すごく恥ずかしい!!)
律が千冬を見て、驚き口を開けた。
「え、もしかして、逢瀬さん…?」
「かかか影山くん!どどどどうしてここに!?」
「どうしてって…家族で出かけてて、母さんがお茶していこうって、このお店に立ち寄ったんだけど。…逢瀬さんのお家ってここだったんだね。その…、えっと…、学校にいる時と雰囲気違うんだね。驚いた」
千冬のウエイトレス姿を見て、律は照れくさそうに話した。
律と目を合わせるのが恥ずかしくて、千冬は彼の兄へと目を向ける。そして千冬は目を奪われた。
「おかっぱ頭…!しかも、すごく似合っている…!!」
爛々と目を輝かせて見つめてくる千冬に兄の茂夫は赤面した。
(女の子に髪型誉められた…!)
「僕の兄さんだよ。こちらはクラスメイトの逢瀬さん。家が喫茶店っていうのは噂に聞いていたんだけど、本当だったんだね」
「あらあら、律のクラスメイトですって!可愛いわねぇ、お人形さんみたい」
「へぇー、律のクラスメイトかあ。お休みの日にお家のお手伝いなんて偉いねぇ」
「お、お席にご案内します。こちらへどうぞ」
照れながらも千冬は仕事に集中する。影山ファミリーは四人掛けの席につき、ワクワクした様子でメニュー表を眺めていた。
「種類がたくさんあるのねぇ。どれにしようかしら…」
冷水を運んできた千冬は悩んでいる様子の影山母に「ご説明しましょうか?」と声をかけた。
「ええ、お願い」
「かしこまりました。当店はコーヒー・紅茶・手作りケーキのお店です。オススメはコーヒーならオリジナルブレンド、紅茶なら季節のフレーバードティーの苺ですね。ケーキはカウンターのショーケース内にございまして日替わりで種類が変わります。こちらで本日のケーキのご説明も可能ですが、実際にご覧になってご注文頂くことをオススメいたします。カウンターはあちらにございます。」
「ありがとう。しっかりしてるのねぇ。せっかくだからケーキセットにしましょうか。茂夫、律、好きなケーキ選んでいいわよ」
「「ありがとう、母さん」」
ケーキ。それは子ども達にとってとても魅力的である。茂夫も律もキラキラした眼差しでショーケースのケーキを眺めた。
茂夫、影山父は苺のショートケーキ、影山母はシフォンケーキ、律はガトーショコラを選んだ。
席に戻った四名は千冬に飲み物を注文する。
影山父はブレンドコーヒー、影山母は苺のフレーバードティー、茂夫はキラキラした顔でアイスミルクを注文した。茂夫は牛乳が好きだった。千冬もまた牛乳が好きだったため、アイスミルクの注文に嬉しそうだった。
「逢瀬さん」
「はい」
律に声をかけられ、彼を見ると、彼は困ったように恥ずかしそうに苦笑していた。
「えっと…、せっかく来たから紅茶にしようと思うんだけど、種類が多くて悩んじゃって…。何が良いのかな?」
「影山くんはガトーショコラの注文だったので、甘さ控えめのスッキリした紅茶かお砂糖なしのミルクティーが良いと思います。スッキリした紅茶ならダージリン。ミルクティーならコクのあるウバがオススメです。」
「うーん、じゃあダージリンにしてみるよ。ありがとう、逢瀬さん」
「いえ。ご用意いたしますので、少々お待ちくださいませ。」
ぺこりと一礼して千冬は厨房に消えていった。
「お待たせいたしました」
テーブルに並べられたドリンクとケーキに一同は目を輝かせた。
「美味しい!」
「美味しいわねぇ。雰囲気も良いし、お母さん気に入っちゃった」
「ははは、皆でまた来ればいいさ」
律は初めて頂くダージリンティーに口をつける。
「美味しい…!」
千冬の説明の通り、スッキリした紅茶で甘いガトーショコラにピッタリだった。
ちら、と律は千冬の方に目を向ける。
彼女は忙しそうに他のお客様の接客に勤しんでいた。にこやかに接客する千冬を見て、可愛いな、と律は素直にそう思った。
「ごちそうさまでした」
影山ファミリーは食事を終え、会計へと席をたった。
「ありがとうございました。お口に合っていると良いのですが。是非またお越しください」
「千冬のこと、よろしくお願いしますね。この子、消極的だから学校できちんとやっていけるか心配で…」
「ちょっとお母さん!変なこと言わないで!!」
逢瀬父母はそれぞれに影山ファミリーに声をかけると、見送ってあげなさいと千冬の背を押した。
千冬は出入り口の扉を開け、影山ファミリーを外へと案内する。
「本日はありがとうございました。また是非お越しください」
ぺこりとお辞儀する千冬ににこやかにお礼を述べて影山ファミリーは帰っていった。
「逢瀬さん。今日はありがとう。兄さんも凄く楽しそうだった」
「こちらこそ、ありがとうございました。優しそうな素敵なお兄さんですね。兄弟で仲良しで羨ましいです。私は一人っ子だから」
千冬の言葉を聞いて、律はなんだかとても嬉しそうだった。
「わ、わたし何か変なこと言いましたか?」
不安になって律に問えば、律はいいや、と首を振った。
「兄さんのこと、誉めてくれる人ってなかなかいないから嬉しくて。ありがとう、逢瀬さん。また学校でね。お手伝い頑張ってね」
「ありがとう…ございます。」
律は千冬に優しく微笑んで、家族の後を追いかけていった。
千冬は家のお手伝いに励んでいた。
千冬の家は小さな喫茶店。コーヒー・紅茶・手作りケーキが自慢の店だ。
白いブラウスに黒のロングスカート、黒のサロンエプロンを腰に巻き、髪は編み込みのお団子ヘアー。千冬は可愛らしい看板娘とあって、老若男女問わず人気だった。
店は家族経営で、父・母・千冬の3人できりもりしている。休日は、お手伝いしなくていいと言われている千冬だが、特に予定のない休日は店を手伝うことにしていた。
カランカラン、とドアチャイムが店内に響く。
「いらっしゃいませ」
入ってきたお客様を席へ案内しようと声をかけた千冬の動きがピタリと止まる。お客様の顔を見た千冬の顔はどんどん青ざめていった。
(そんな、まさか、まさか…!かかか影山ファミリー!?)
店内へとゾロゾロ入ってきた四名のお客様は影山父、影山母、影山律、そしておそらく律の兄。
(何でここに!?恥ずかしい!すごく恥ずかしい!!)
律が千冬を見て、驚き口を開けた。
「え、もしかして、逢瀬さん…?」
「かかか影山くん!どどどどうしてここに!?」
「どうしてって…家族で出かけてて、母さんがお茶していこうって、このお店に立ち寄ったんだけど。…逢瀬さんのお家ってここだったんだね。その…、えっと…、学校にいる時と雰囲気違うんだね。驚いた」
千冬のウエイトレス姿を見て、律は照れくさそうに話した。
律と目を合わせるのが恥ずかしくて、千冬は彼の兄へと目を向ける。そして千冬は目を奪われた。
「おかっぱ頭…!しかも、すごく似合っている…!!」
爛々と目を輝かせて見つめてくる千冬に兄の茂夫は赤面した。
(女の子に髪型誉められた…!)
「僕の兄さんだよ。こちらはクラスメイトの逢瀬さん。家が喫茶店っていうのは噂に聞いていたんだけど、本当だったんだね」
「あらあら、律のクラスメイトですって!可愛いわねぇ、お人形さんみたい」
「へぇー、律のクラスメイトかあ。お休みの日にお家のお手伝いなんて偉いねぇ」
「お、お席にご案内します。こちらへどうぞ」
照れながらも千冬は仕事に集中する。影山ファミリーは四人掛けの席につき、ワクワクした様子でメニュー表を眺めていた。
「種類がたくさんあるのねぇ。どれにしようかしら…」
冷水を運んできた千冬は悩んでいる様子の影山母に「ご説明しましょうか?」と声をかけた。
「ええ、お願い」
「かしこまりました。当店はコーヒー・紅茶・手作りケーキのお店です。オススメはコーヒーならオリジナルブレンド、紅茶なら季節のフレーバードティーの苺ですね。ケーキはカウンターのショーケース内にございまして日替わりで種類が変わります。こちらで本日のケーキのご説明も可能ですが、実際にご覧になってご注文頂くことをオススメいたします。カウンターはあちらにございます。」
「ありがとう。しっかりしてるのねぇ。せっかくだからケーキセットにしましょうか。茂夫、律、好きなケーキ選んでいいわよ」
「「ありがとう、母さん」」
ケーキ。それは子ども達にとってとても魅力的である。茂夫も律もキラキラした眼差しでショーケースのケーキを眺めた。
茂夫、影山父は苺のショートケーキ、影山母はシフォンケーキ、律はガトーショコラを選んだ。
席に戻った四名は千冬に飲み物を注文する。
影山父はブレンドコーヒー、影山母は苺のフレーバードティー、茂夫はキラキラした顔でアイスミルクを注文した。茂夫は牛乳が好きだった。千冬もまた牛乳が好きだったため、アイスミルクの注文に嬉しそうだった。
「逢瀬さん」
「はい」
律に声をかけられ、彼を見ると、彼は困ったように恥ずかしそうに苦笑していた。
「えっと…、せっかく来たから紅茶にしようと思うんだけど、種類が多くて悩んじゃって…。何が良いのかな?」
「影山くんはガトーショコラの注文だったので、甘さ控えめのスッキリした紅茶かお砂糖なしのミルクティーが良いと思います。スッキリした紅茶ならダージリン。ミルクティーならコクのあるウバがオススメです。」
「うーん、じゃあダージリンにしてみるよ。ありがとう、逢瀬さん」
「いえ。ご用意いたしますので、少々お待ちくださいませ。」
ぺこりと一礼して千冬は厨房に消えていった。
「お待たせいたしました」
テーブルに並べられたドリンクとケーキに一同は目を輝かせた。
「美味しい!」
「美味しいわねぇ。雰囲気も良いし、お母さん気に入っちゃった」
「ははは、皆でまた来ればいいさ」
律は初めて頂くダージリンティーに口をつける。
「美味しい…!」
千冬の説明の通り、スッキリした紅茶で甘いガトーショコラにピッタリだった。
ちら、と律は千冬の方に目を向ける。
彼女は忙しそうに他のお客様の接客に勤しんでいた。にこやかに接客する千冬を見て、可愛いな、と律は素直にそう思った。
「ごちそうさまでした」
影山ファミリーは食事を終え、会計へと席をたった。
「ありがとうございました。お口に合っていると良いのですが。是非またお越しください」
「千冬のこと、よろしくお願いしますね。この子、消極的だから学校できちんとやっていけるか心配で…」
「ちょっとお母さん!変なこと言わないで!!」
逢瀬父母はそれぞれに影山ファミリーに声をかけると、見送ってあげなさいと千冬の背を押した。
千冬は出入り口の扉を開け、影山ファミリーを外へと案内する。
「本日はありがとうございました。また是非お越しください」
ぺこりとお辞儀する千冬ににこやかにお礼を述べて影山ファミリーは帰っていった。
「逢瀬さん。今日はありがとう。兄さんも凄く楽しそうだった」
「こちらこそ、ありがとうございました。優しそうな素敵なお兄さんですね。兄弟で仲良しで羨ましいです。私は一人っ子だから」
千冬の言葉を聞いて、律はなんだかとても嬉しそうだった。
「わ、わたし何か変なこと言いましたか?」
不安になって律に問えば、律はいいや、と首を振った。
「兄さんのこと、誉めてくれる人ってなかなかいないから嬉しくて。ありがとう、逢瀬さん。また学校でね。お手伝い頑張ってね」
「ありがとう…ございます。」
律は千冬に優しく微笑んで、家族の後を追いかけていった。