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「こんばんは」
ある日、結莉は浴衣姿で隠神探偵事務所を訪れた。紺色に花柄の浴衣で、髪はお団子にまとめ、簪をさしている。大人っぽく美しい姿だった。
「こんばんは。おっ、浴衣か~、似合ってるよ。可愛いね」
結莉の浴衣姿を見て、隠神は素直に感想を述べる。
「ふふっ、隠神さんったらお上手なんですから。ありがとうございます。」
「わ~、結莉さん可愛い!キレイ!どーしたの?」
「きれい…」
晶と夏羽も結莉に駆け寄り、浴衣姿を誉めた。
織は遠くから結莉のことを見つめ、赤面して固まったまま動けずにいた。
「今日は夏祭りなの。皆と一緒に見て回れたら良いなと思って来てみたのだけれど、どうかしら?」
「夏祭り?」
夏羽が首をかしげる。
「知ってる!人間がたくさんいて、お店がいっぱい出て、花火とかあったりするんでしょ?い~な~、行きたい!!」
晶は目をキラキラと輝かせ、興奮気味だ。
「お店?花火?」
疑問の絶えない夏羽の様子に隠神は思わず笑ってしまう。
「ははっ!いいじゃないか。夏羽は初めてかな?よし、皆で行こう!」
「やったー!!」
「わかりました」
盛り上がるメンバー達だが、ふと思い出したように織を見る。
「織、話聞いてたか?」
「へ?」
「シキってば、結莉さんに見とれちゃって~!」
ニヤニヤと晶がからかう。
「なっ!ちちちちがうっての!」
慌てる織に結莉は近づき、見上げる。
「織くんも一緒に来てくれる?」
「!?」
近くで見るとますます可愛くて、織はまた固まってしまう。
そんな織の背中を隠神はバシッと叩いて、「ははは、行く行く。なあ、織?」と話しかけた。
「…行きます」
やっとのことで織が返事をすると、結莉はとても嬉しそうに笑った。
(可愛すぎる…!)
「結莉ちゃん、折角だから、もーちょっとヒト呼んでもいい?」
隠神の提案に結莉はコクコクと頷く。
「勿論です!たくさんいたほうが楽しいですもの!」
呼ばれたのは綾と組、紺、結だ。
「げっ!なんでお前まで来るんだよ」
「アタシがいたら悪いの?お兄ちゃん」
「こらこら、喧嘩しないのよ」
家族集合に織は恥ずかしそうにしていた。
「祭って旨いのか?」
「美味しいものもたくさん売ってるわ。一緒にまわりましょうね」
無邪気な紺の様子にクスクスと結莉が笑う。
「人間がたくさんいるのか。安心しろ、晶は俺が守る」
「もー、兄さんってば心配性!大丈夫だってば~!」
賑やかなメンバーで夏祭り会場へと向かった。
「お兄ちゃん!結莉さんの手くらい握ったら?」
こそこそと綾が織に話しかける。
「はっ?べ、別にそんなことしなくていいだろ!」
「お兄ちゃんの小心者!」
「うるせー!」
紺はクンクンと鼻をひくつかせる。
「うまそうな匂いがする!夏羽!結莉!ついてこい!」
そして二人の手を掴むと勢いよく引っ張っていった。
「あっ!ま、待てよ!」
織は慌てて追いかける。
「これだ!この丸い良い匂いのするやつ、うまそうだ!」
目を輝かせ食べたそうにしている紺を見て、結莉がクスッと笑った。
「たこ焼きね。すみません、一つ下さい」
結莉がたこ焼きを買い、通りの端に寄る。パックの蓋を開けるととても良い匂いがした。
「とっても熱いから、ふーふーして、ゆっくり食べるのよ」
「わかった!」
紺は結莉に言われたとおり、素直にたこ焼きをふーふーして、かじり付く。
「熱っ!!」
「紺ちゃん、大丈夫?」
「熱い!でも旨い!」
一生懸命ふーふーして食べる紺の様子がとても可愛くて結莉は思わず笑顔になる。
夏羽も真似をして、ふーふーしてたこ焼きを食べた。
「確かに熱いけど、美味しい」
そこへ織が追いついた。
「おい紺、勝手に行動すんな!ったく、結莉さん、コイツ甘やかさなくていいから!」
「ふふっ。紺ちゃん、たこ焼き気に入ってくれたみたい。嬉しいな。こうやって人の文化を楽しんでもらえるの、凄く嬉しい。織くんも、たこ焼き食べて?」
「え?あ、ありがと」
織と結莉もたこ焼きをかじる。
「熱っ…!」
「結莉さん、大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
織を見上げる結莉の瞳が涙目でうるうるとしていて、思わず抱きしめたくなる気持ちを織はグッとこらえた。
「結莉、次はこっちだ!」
ガシッと結莉の腕を掴んで紺が引っ張る。
「あっ…!」
急に腕を掴まれて結莉はバランスを崩してしまった。織は結莉の背に手を回し、紺と反対側の手をとって彼女が転ばないよう支えた。
「あっぶねー。おい、紺!!」
キッと織が紺を睨む。
紺は申しわけなさそうに、しょんぼりとしてしまった。
「大丈夫大丈夫。怒らなくていいのよ。紺ちゃん、はしゃいじゃったのよね。そんなに楽しんでくれているんだもの、私とっても嬉しいわ。織くん、支えてくれてありがとう。」
「…結莉さんがそう言うなら」
織はそっと結莉から手を離すと、恥ずかしそうにぷいと彼女から顔を背けた。
そこへ隠神達が追いつき、今度は皆でゆっくりと夏祭り会場を回ることになった。射的や金魚すくいなど、色々なことを体験し、夏羽達はとても楽しんだ。
「そろそろ、花火が始まるから行きましょうか」
結莉に道案内をしてもらい、花火会場へとやってきた一行。
「すごい…人がたくさん!」
夏羽はあまりの人混みに目を丸くしていた。
「はぐれないように手を繋ぎましょうね~」
組は綾と手を繋ぐ。綾は恥ずかしそうにしていたが、まんざらでもない様子だった。
その様子を見て、織は綾に言われた言葉を思い出していた。結莉の手をチラと見る。意識すると心臓がドキドキしてきた。
「織くん」
「へあっ!?」
突然、結莉に話しかけられ変な声が出てしまう。
「あ、ごめんね。驚かせちゃって。織くんは、花火を見るの初めて?」
「初めてだけど…」
「そっか。とっても綺麗なのよ。皆と来られて良かった」
にっこりと結莉が微笑む。
「俺も…、結莉さんと来られて嬉しい」
織は結莉の手に自身の手を伸ばす。
勇気を出して彼女の手を握ると、結莉が驚いて織を見上げてきた。
「い、嫌、か?」
おそるおそる織が結莉に尋ねる。
「…嬉しい」
頬を染めて微笑む結莉がとても可愛かった。結莉も織の手を優しく握る。
花火が打ち上がる。
初めてみた花火はとても綺麗で、繋いだ手があたたかった。
また来年も君と。
ある日、結莉は浴衣姿で隠神探偵事務所を訪れた。紺色に花柄の浴衣で、髪はお団子にまとめ、簪をさしている。大人っぽく美しい姿だった。
「こんばんは。おっ、浴衣か~、似合ってるよ。可愛いね」
結莉の浴衣姿を見て、隠神は素直に感想を述べる。
「ふふっ、隠神さんったらお上手なんですから。ありがとうございます。」
「わ~、結莉さん可愛い!キレイ!どーしたの?」
「きれい…」
晶と夏羽も結莉に駆け寄り、浴衣姿を誉めた。
織は遠くから結莉のことを見つめ、赤面して固まったまま動けずにいた。
「今日は夏祭りなの。皆と一緒に見て回れたら良いなと思って来てみたのだけれど、どうかしら?」
「夏祭り?」
夏羽が首をかしげる。
「知ってる!人間がたくさんいて、お店がいっぱい出て、花火とかあったりするんでしょ?い~な~、行きたい!!」
晶は目をキラキラと輝かせ、興奮気味だ。
「お店?花火?」
疑問の絶えない夏羽の様子に隠神は思わず笑ってしまう。
「ははっ!いいじゃないか。夏羽は初めてかな?よし、皆で行こう!」
「やったー!!」
「わかりました」
盛り上がるメンバー達だが、ふと思い出したように織を見る。
「織、話聞いてたか?」
「へ?」
「シキってば、結莉さんに見とれちゃって~!」
ニヤニヤと晶がからかう。
「なっ!ちちちちがうっての!」
慌てる織に結莉は近づき、見上げる。
「織くんも一緒に来てくれる?」
「!?」
近くで見るとますます可愛くて、織はまた固まってしまう。
そんな織の背中を隠神はバシッと叩いて、「ははは、行く行く。なあ、織?」と話しかけた。
「…行きます」
やっとのことで織が返事をすると、結莉はとても嬉しそうに笑った。
(可愛すぎる…!)
「結莉ちゃん、折角だから、もーちょっとヒト呼んでもいい?」
隠神の提案に結莉はコクコクと頷く。
「勿論です!たくさんいたほうが楽しいですもの!」
呼ばれたのは綾と組、紺、結だ。
「げっ!なんでお前まで来るんだよ」
「アタシがいたら悪いの?お兄ちゃん」
「こらこら、喧嘩しないのよ」
家族集合に織は恥ずかしそうにしていた。
「祭って旨いのか?」
「美味しいものもたくさん売ってるわ。一緒にまわりましょうね」
無邪気な紺の様子にクスクスと結莉が笑う。
「人間がたくさんいるのか。安心しろ、晶は俺が守る」
「もー、兄さんってば心配性!大丈夫だってば~!」
賑やかなメンバーで夏祭り会場へと向かった。
「お兄ちゃん!結莉さんの手くらい握ったら?」
こそこそと綾が織に話しかける。
「はっ?べ、別にそんなことしなくていいだろ!」
「お兄ちゃんの小心者!」
「うるせー!」
紺はクンクンと鼻をひくつかせる。
「うまそうな匂いがする!夏羽!結莉!ついてこい!」
そして二人の手を掴むと勢いよく引っ張っていった。
「あっ!ま、待てよ!」
織は慌てて追いかける。
「これだ!この丸い良い匂いのするやつ、うまそうだ!」
目を輝かせ食べたそうにしている紺を見て、結莉がクスッと笑った。
「たこ焼きね。すみません、一つ下さい」
結莉がたこ焼きを買い、通りの端に寄る。パックの蓋を開けるととても良い匂いがした。
「とっても熱いから、ふーふーして、ゆっくり食べるのよ」
「わかった!」
紺は結莉に言われたとおり、素直にたこ焼きをふーふーして、かじり付く。
「熱っ!!」
「紺ちゃん、大丈夫?」
「熱い!でも旨い!」
一生懸命ふーふーして食べる紺の様子がとても可愛くて結莉は思わず笑顔になる。
夏羽も真似をして、ふーふーしてたこ焼きを食べた。
「確かに熱いけど、美味しい」
そこへ織が追いついた。
「おい紺、勝手に行動すんな!ったく、結莉さん、コイツ甘やかさなくていいから!」
「ふふっ。紺ちゃん、たこ焼き気に入ってくれたみたい。嬉しいな。こうやって人の文化を楽しんでもらえるの、凄く嬉しい。織くんも、たこ焼き食べて?」
「え?あ、ありがと」
織と結莉もたこ焼きをかじる。
「熱っ…!」
「結莉さん、大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
織を見上げる結莉の瞳が涙目でうるうるとしていて、思わず抱きしめたくなる気持ちを織はグッとこらえた。
「結莉、次はこっちだ!」
ガシッと結莉の腕を掴んで紺が引っ張る。
「あっ…!」
急に腕を掴まれて結莉はバランスを崩してしまった。織は結莉の背に手を回し、紺と反対側の手をとって彼女が転ばないよう支えた。
「あっぶねー。おい、紺!!」
キッと織が紺を睨む。
紺は申しわけなさそうに、しょんぼりとしてしまった。
「大丈夫大丈夫。怒らなくていいのよ。紺ちゃん、はしゃいじゃったのよね。そんなに楽しんでくれているんだもの、私とっても嬉しいわ。織くん、支えてくれてありがとう。」
「…結莉さんがそう言うなら」
織はそっと結莉から手を離すと、恥ずかしそうにぷいと彼女から顔を背けた。
そこへ隠神達が追いつき、今度は皆でゆっくりと夏祭り会場を回ることになった。射的や金魚すくいなど、色々なことを体験し、夏羽達はとても楽しんだ。
「そろそろ、花火が始まるから行きましょうか」
結莉に道案内をしてもらい、花火会場へとやってきた一行。
「すごい…人がたくさん!」
夏羽はあまりの人混みに目を丸くしていた。
「はぐれないように手を繋ぎましょうね~」
組は綾と手を繋ぐ。綾は恥ずかしそうにしていたが、まんざらでもない様子だった。
その様子を見て、織は綾に言われた言葉を思い出していた。結莉の手をチラと見る。意識すると心臓がドキドキしてきた。
「織くん」
「へあっ!?」
突然、結莉に話しかけられ変な声が出てしまう。
「あ、ごめんね。驚かせちゃって。織くんは、花火を見るの初めて?」
「初めてだけど…」
「そっか。とっても綺麗なのよ。皆と来られて良かった」
にっこりと結莉が微笑む。
「俺も…、結莉さんと来られて嬉しい」
織は結莉の手に自身の手を伸ばす。
勇気を出して彼女の手を握ると、結莉が驚いて織を見上げてきた。
「い、嫌、か?」
おそるおそる織が結莉に尋ねる。
「…嬉しい」
頬を染めて微笑む結莉がとても可愛かった。結莉も織の手を優しく握る。
花火が打ち上がる。
初めてみた花火はとても綺麗で、繋いだ手があたたかった。
また来年も君と。