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「赤城さん」
暗い暗い闇の中、どこかで自分の名前を呼ぶ声がする。
「赤城さん」
知っている声。待ち望んでいた声。この声は。
「…結莉さん」
彼女の名前を呼ぶ。漆黒の闇が白い白い光へと変わる。眩しい光の中に、確かに彼女がいた。
彼女は優しく微笑んで、自分を見つめている。彼女に近づいて、手を伸ばす。彼女の手に触れる。そのまま手を握れば、彼女はくすぐったそうに笑った。
「どうしたの?赤城さん」
赤城は一度手を離すと、結莉を抱きしめた。
優しくて、あたたかくて。
赤城の頬を涙が伝う。
「泣いているの?」
何も言わない赤城を結莉は優しく抱きしめて、「どうして貴方が泣くの?」と尋ねた。
「僕は、貴女に嫌われる。もう、貴女の笑顔を見ることも叶わない」
言葉にすれば大粒の涙が溢れて止まらなかった。
結莉はそんな赤城の涙を指で拭って、「泣かないで」と言った。
「私が赤城さんを嫌いになったりする訳ないでしょう?」
「いいえ、嫌いになります。僕は嫌われて当然のことをこれからするのですから」
「そんなことありません。私は赤城さんを嫌いになったりしません。どんなことがあっても」
そう言って結莉は小指を差し出す。
「…約束。ほら、赤城さんも」
赤城は言われるままに彼女に自身の小指を差し出した。結莉は赤城の小指に自身の小指を絡ませて、「約束!」とにっこり笑った。
「大丈夫。絶対、大丈夫だから。もう泣かないで、赤城さん」
そうして彼女は優しく笑った。
気がつけば、赤城は飛行機の中で。自身が眠りに落ち、夢を見ていたのだと自覚する。伝っていた頬の涙を拭う。覚悟したのに、それでもどこかでまだ彼女を求めている。
「………約束……」
夢の中で契った約束に心は捕らわれたまま。
屋島到着まであと数時間。
僕は…
暗い暗い闇の中、どこかで自分の名前を呼ぶ声がする。
「赤城さん」
知っている声。待ち望んでいた声。この声は。
「…結莉さん」
彼女の名前を呼ぶ。漆黒の闇が白い白い光へと変わる。眩しい光の中に、確かに彼女がいた。
彼女は優しく微笑んで、自分を見つめている。彼女に近づいて、手を伸ばす。彼女の手に触れる。そのまま手を握れば、彼女はくすぐったそうに笑った。
「どうしたの?赤城さん」
赤城は一度手を離すと、結莉を抱きしめた。
優しくて、あたたかくて。
赤城の頬を涙が伝う。
「泣いているの?」
何も言わない赤城を結莉は優しく抱きしめて、「どうして貴方が泣くの?」と尋ねた。
「僕は、貴女に嫌われる。もう、貴女の笑顔を見ることも叶わない」
言葉にすれば大粒の涙が溢れて止まらなかった。
結莉はそんな赤城の涙を指で拭って、「泣かないで」と言った。
「私が赤城さんを嫌いになったりする訳ないでしょう?」
「いいえ、嫌いになります。僕は嫌われて当然のことをこれからするのですから」
「そんなことありません。私は赤城さんを嫌いになったりしません。どんなことがあっても」
そう言って結莉は小指を差し出す。
「…約束。ほら、赤城さんも」
赤城は言われるままに彼女に自身の小指を差し出した。結莉は赤城の小指に自身の小指を絡ませて、「約束!」とにっこり笑った。
「大丈夫。絶対、大丈夫だから。もう泣かないで、赤城さん」
そうして彼女は優しく笑った。
気がつけば、赤城は飛行機の中で。自身が眠りに落ち、夢を見ていたのだと自覚する。伝っていた頬の涙を拭う。覚悟したのに、それでもどこかでまだ彼女を求めている。
「………約束……」
夢の中で契った約束に心は捕らわれたまま。
屋島到着まであと数時間。
僕は…
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