人と怪物の辿る道
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「こんばんは」
隠神探偵事務所を結莉が訪れる。
「あっ、結莉さん!!」
結莉に気づいた織はいつもと違い何故かあたふたとしている。
夏羽は結莉の前に歩みでると、彼女の瞳をまっすぐに見つめながら、「結莉さんは恋をしているのですか?」と尋ねてきた。
「えっと…、恋…?」
結莉は突然の質問に戸惑いながらも、屈んで夏羽に視線を合わせる。「どうして、突然そんなことを聞くの?」優しく夏羽に問いかける。
夏羽は話すかどうか悩む素振りをしたあと、意を決して口を開いた。
両親を探していること、両親にたどり着く手がかりが恋なのではないかということ、贈り物をしてくれる結莉が恋をしているのではないかということ。そして、結莉と一緒にいれば恋についてもっとわかるのではないかということ。素直に打ち明ける夏羽に、結莉は小さく微笑んで優しく夏羽の頭を撫でる。
「そう…、夏羽くんは両親を探しているのね。きっと見つかるわ。大丈夫…」
夏羽はそんな結莉にどこかくすぐったいような気持ちを抱いた。
「私が皆に食事を持ってきているのは、恋とは違うのよ。…恋ではないけれど、皆のことが心配で、皆のことが好きだから、持ってきているの」
にこりと彼女は笑って話を続ける。
「隠神さんは昔から食事や掃除に構わない人であったから、放っておけなくて…。きちんとした食事を摂ってもらいたいし、身の回りも整頓して気持ちよく過ごしてもらいたいと思ったの。それからずっと続けてきたわ。皆が来てからもそうよ。それに…、皆と過ごす時間が私はとても好き。だけど、恋とは違うの。恋ってもっと特別な想いなのよ。」
ぽかんとする夏羽に結莉はクスリと笑って、「焦らなくても大丈夫。夏羽くんもきっとそのうち恋がわかるわ。いつも通りの夏羽くんでいいのよ。」
結莉は夏羽の額に自分の額を合わせる。
「ご両親のこと、話してくれてありがとう。恋について、私から教えてあげられるのはこれくらいしかなくて…。それでも、何かまた私に聞きたいことがあったらいつでも聞いてね」
彼女はそう言って額を離すと、夏羽の手を引いて織のいるソファーの方へと向かう。
「今日はね、ハンバーグとポテトサラダを持ってきたの。…あぁ、入口に置いたままだったわ。取ってくるわね」
事務所の入口へと戻る彼女の背中を夏羽と織はぼんやりと見つめていた。
嬉しそうにどことなく笑む夏羽に織は気づいていた。
夕食と片付けを終え、結莉を送る織は、彼女の家の前でもごもごと口ごもる。
「あの…、結莉さんは、その…。すすす好きな人っつーか、こ、恋人とかそーいうの、いねーの?」
顔を真っ赤にして尋ねる織。
結莉はぽかんとして、織を見つめる。
「えっと…、恋人はいないけど…」
「そ、そっか!…あっ、ってことは好きな人はいるのか…」
一喜一憂する織に結莉はふふっと笑う。
「織くんまで、どうしたの?」
「えっ!いや、別にどうもしないけど…!」
「…そう。…織くんは?」
「え?」
「織くんは、好きな人とか恋人とかいるの?」
結莉の質問に織は頬を赤らめて彼女から目を逸らす。「他にそんな人がいたら、結莉さんを送っていったりしねーっての…」と、ボソッと呟く。
「あ、そうよね…。もしお付き合いしている人がいたら、その人に悪いものね…。」
遠まわしに結莉のことが好きだと言ったのだが、彼女はその想いに気がつかなかった。
「って…、結莉さん、誤魔化しただろ!結莉さんの好きな人って誰だよ!?」
「え?私、好きな人がいるなんて言ってないけど…。言ってないけど、私、優しい人が好きよ」
そう言って結莉は織に微笑む。その頬は少し朱に染まっていた。
「や、優しい人…か。…そうか」
彼女の想いもまた、織にはまだ届かない。
二人の想いが届くのは、もっともっと先のお話。
隠神探偵事務所を結莉が訪れる。
「あっ、結莉さん!!」
結莉に気づいた織はいつもと違い何故かあたふたとしている。
夏羽は結莉の前に歩みでると、彼女の瞳をまっすぐに見つめながら、「結莉さんは恋をしているのですか?」と尋ねてきた。
「えっと…、恋…?」
結莉は突然の質問に戸惑いながらも、屈んで夏羽に視線を合わせる。「どうして、突然そんなことを聞くの?」優しく夏羽に問いかける。
夏羽は話すかどうか悩む素振りをしたあと、意を決して口を開いた。
両親を探していること、両親にたどり着く手がかりが恋なのではないかということ、贈り物をしてくれる結莉が恋をしているのではないかということ。そして、結莉と一緒にいれば恋についてもっとわかるのではないかということ。素直に打ち明ける夏羽に、結莉は小さく微笑んで優しく夏羽の頭を撫でる。
「そう…、夏羽くんは両親を探しているのね。きっと見つかるわ。大丈夫…」
夏羽はそんな結莉にどこかくすぐったいような気持ちを抱いた。
「私が皆に食事を持ってきているのは、恋とは違うのよ。…恋ではないけれど、皆のことが心配で、皆のことが好きだから、持ってきているの」
にこりと彼女は笑って話を続ける。
「隠神さんは昔から食事や掃除に構わない人であったから、放っておけなくて…。きちんとした食事を摂ってもらいたいし、身の回りも整頓して気持ちよく過ごしてもらいたいと思ったの。それからずっと続けてきたわ。皆が来てからもそうよ。それに…、皆と過ごす時間が私はとても好き。だけど、恋とは違うの。恋ってもっと特別な想いなのよ。」
ぽかんとする夏羽に結莉はクスリと笑って、「焦らなくても大丈夫。夏羽くんもきっとそのうち恋がわかるわ。いつも通りの夏羽くんでいいのよ。」
結莉は夏羽の額に自分の額を合わせる。
「ご両親のこと、話してくれてありがとう。恋について、私から教えてあげられるのはこれくらいしかなくて…。それでも、何かまた私に聞きたいことがあったらいつでも聞いてね」
彼女はそう言って額を離すと、夏羽の手を引いて織のいるソファーの方へと向かう。
「今日はね、ハンバーグとポテトサラダを持ってきたの。…あぁ、入口に置いたままだったわ。取ってくるわね」
事務所の入口へと戻る彼女の背中を夏羽と織はぼんやりと見つめていた。
嬉しそうにどことなく笑む夏羽に織は気づいていた。
夕食と片付けを終え、結莉を送る織は、彼女の家の前でもごもごと口ごもる。
「あの…、結莉さんは、その…。すすす好きな人っつーか、こ、恋人とかそーいうの、いねーの?」
顔を真っ赤にして尋ねる織。
結莉はぽかんとして、織を見つめる。
「えっと…、恋人はいないけど…」
「そ、そっか!…あっ、ってことは好きな人はいるのか…」
一喜一憂する織に結莉はふふっと笑う。
「織くんまで、どうしたの?」
「えっ!いや、別にどうもしないけど…!」
「…そう。…織くんは?」
「え?」
「織くんは、好きな人とか恋人とかいるの?」
結莉の質問に織は頬を赤らめて彼女から目を逸らす。「他にそんな人がいたら、結莉さんを送っていったりしねーっての…」と、ボソッと呟く。
「あ、そうよね…。もしお付き合いしている人がいたら、その人に悪いものね…。」
遠まわしに結莉のことが好きだと言ったのだが、彼女はその想いに気がつかなかった。
「って…、結莉さん、誤魔化しただろ!結莉さんの好きな人って誰だよ!?」
「え?私、好きな人がいるなんて言ってないけど…。言ってないけど、私、優しい人が好きよ」
そう言って結莉は織に微笑む。その頬は少し朱に染まっていた。
「や、優しい人…か。…そうか」
彼女の想いもまた、織にはまだ届かない。
二人の想いが届くのは、もっともっと先のお話。