人と怪物の辿る道
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赤城・花楓の前にあらわれたのは、紺・野火丸と合体した夏羽だった。
夏羽は赤城達に殴りかかる。赤城達は夏羽から繰り出されるパンチを腕でガードした。
「どうなってんだよ!夏羽クンから色んなニオイすんぞ!!」
花楓は訳がわからず混乱している様子だったが、じっと見つめて思い出した。
「……正面のヤツ…さっき喰い損ねたメス!」
「紺だ!!」
(背面にいるのは野火丸くんだな…。僕たちの始末に来たのか)
「相変わらず八面六臂の働きぶりですね。同情しますよ」
野火丸はジロリと赤城のことを睨みつけた。
「聞き捨てならないなー。皮肉だろ、それ」
蹴り上げる夏羽の脚を花楓は掴み、そのまま脚を引きちぎろうとする。
が、夏羽は頭突きを繰り出し花楓はフラついた。
花楓は負けじと夏羽に頭突き仕返す。
「んのやろ…上等だよ…!俺は…ウデとハナとカラダとハラと…カオの次に…!石アタマが自慢なんだ!!」
花楓は渾身の頭突きで夏羽と張り合った。
「こら!くだらないことに熱くなるんじゃない!とっとと手足引きちぎってしまぇげっ!?」
冷静になるよう声をかける赤城に強烈な頭突きを夏羽はお見舞いする。
夏羽と赤城・花楓は激しい肉弾戦を繰り広げる。そこへ太三郎・隠神の篠突雨龍が放たれ、背後から赤城・花楓に直撃した。
「なんだおまえら!俺と夏羽クンのジャマすんな!!なんなんだよさっきから…、次々…ガッタイとかレンケイとか…!夏羽クンばっかり…!ずるいぞッ!!俺は赤城さんとだけなのに!夏羽クンばっかり!そんなにいっぱいレンケイしてずるい!!」
花楓が子どものように喚きだす。
「ずるくない!夏羽は…夏羽だからだ!」
「日頃の行いの差ですねー。お前なんか味方がひとりいるだけでも奇跡ですよ」
「強さとは…力のみに非ず…!お子ちゃまにはわからんじゃろうがの~~!」
「ウソつけっ!おまえらが群れてるのは弱いからじゃん!強いやつは群れなんか作らない!俺が夏羽クンより弱いみたいに言うな!俺が最強だ!!!」
「『みたい』じゃない。弱い」
夏羽が十掌の技を叩き込もうと右手を繰り出す。
「花楓くん!さっきの大技が来ます!」
「言われなくても…喰らうかよォ~~ッ!!」
赤城・花楓の全身が強く燃え上がる。水龍は気化し、太三郎が吹き飛んだ。隠神は慌てて太三郎を受け止める。
「ノロいんだよ!おまえら全員まとめてミックスグリル定食だッ!!」
花楓の手が夏羽に迫る。
その時、突如として花楓の目から血が吹き出した。
「!?」
「だったらおめーらは…シュラスコだな……!!」
花楓の目を潰したのは織・晶の連携技だった。潜伏していた織・晶が上から氷結した棘状の足で花楓の目を突き刺したのだ。激痛に花楓は目を覆い膝をつく。
「花楓くん!!動いて!来ます!正面!避……」
夏羽は正面から十掌を打ち込む。
合体していた赤城と花楓の体はメリメリと音をたてて剥がれていく。
「お…おおッおごオオォアがアアッ!!!」
赤城が激痛に絶叫する。しかし、赤城はまだ倒れず憎しみのこもった目で夏羽達を睨みつけた。
「調…子に乗る…ゴホッ……!!このォ…炎の価値もわからない汚物の…分際でッ……!!」
赤城は最後の力を振り絞り、屋島を殲滅するべく裏屋島から表へと出ようとする。
「死に絶えろォ雑菌どもッ!!!神を侮辱したことッ悔い改めながら!!浄化されるがいい!!殺菌だッ!!!このォ…脂の塊…!!異臭を放つ肉袋がッ!!聖火の種となって死ねッ!!!」
表へ出ようとする赤城は後ろ脚に痛みを感じ目を向ける。
赤城の後ろ脚には巨大化した狸姿の隠神と狐の頭部をあらわにした紺がかじりつき抑え込んでいた。
そして、足先にしがみついているのは結莉だった。
「赤城さん!!!!お願いだからもうやめて!!!命をかけてまで成し遂げたい理由があるのだとしても、それでも私は赤城さんに死んでほしくない!!!!お願いだから!一緒に生きて!!!!」
泣きながら叫ぶ結莉に赤城は目を奪われる。
愛する彼女を振り切ることなんてできなかった。
『死んでほしくない』と『一緒に生きて』とそう言ってくれる結莉の想いが何よりも嬉しくて。ああ自分はこんなにも想ってもらえていたのだと。彼女の一番愛する人になれなくても、欲しかった言葉を貰えた。
それだけでもう十分だった。
もう何も思い残すことはない。
「結莉さん…。貴女の想いに、答えられなくてごめんなさい…。ありがとう。…もう十分です。…僕は貴女を愛しています。…ずっと」
優しい声色と優しい瞳で赤城は結莉に語りかけた。そんな赤城の姿に夏羽達も驚き、赤城を見上げる。
赤城と結莉が見つめ合う。結莉の目から涙が溢れて止まらなかった。
「うっ、う……うぁあっ、うぁあああっ…!!」
結莉は赤城にしがみついたまま泣きじゃくった。
赤城は止まらなかった。止められなかった。
最後まで彼は自分の想いを貫き通した。
表の屋島にいるヨシヱ達が力を合わせ花楓の頭部に攻撃を放つ。花楓達を裏屋島側へ押し戻すのにあと一歩力が及ばない。
「助太刀します!」
「全吉!」
駆けつけた全吉が母のヨシヱに力を貸す。
「おまえ、どうしたのです!伊代姫さまは…」
「お連れいたしました!」
「!?連れてきたですって?」
驚くヨシヱ達の前に、狸に乗った伊予姫が宙へと勢いよく飛び出した。
「刮目~~く!!みんなの伊代姫!ただいま参上じゃ~~!!皆の衆!今の今までよくぞ堪えた!伊代と一緒にもうひとふんばりじゃ!!」
伊代姫は皆に激励の言葉をかけると、花楓に思い切り力を叩き込む。
伊代姫達の攻撃で花楓の身体は裏屋島へと押し戻された。
力を使い果たした赤城と花楓は完全に分離する。
目を潰された花楓だけは状況がわからず、苦痛の声を上げながら赤城に状況を尋ねた。
「……花楓くん…君は…本来善も悪もない…あるのはただ欲のみ…。風に乗って燃え広がる…炎そのものだ…。だが…その風もたった一陣では………………」
朦朧とする意識の中、赤城は花楓に語りかける。
「はあ!?何言ってんだかわかんねぇよ!!わかるように言えッ!!赤城さんそういうとこ悪いクセだぞ!!」
「ごめんなさい。僕ひとりでは君をここまでしか強くできなかった」
「赤城…赤城!聞いて!」
夏羽が赤城に声をかける。
「…?夏羽クン…、今さら一体…何…」
「もうしないと言って!手伝って!俺は飯生さんより強くなりたい!」
「敵の…敵は味方だと…?死に際に交渉とは…したたかですね…君は…。…………『もうしない』…か…。冗談じゃない。嘘でも言いたくない言葉です。ーでも、これは言ってあげましょう。『敗けました』。花楓くん、君は…より……強い風と……共に…。そして、結莉さん。…どうか、幸せにー」
赤城の姿は狐から人型へ戻り、最期に結莉に目を向けた。虚ろな目で、愛する彼女をその目に焼き付けてー。
「赤城さん!赤城さん!!嫌です!死なないで!!ねぇ!赤城さん!!!!」
結莉は赤城の名を叫び、燃え盛る赤城に駆け寄ろうとする。そんな結莉を織は慌てて羽交い締めにして抑え込む。
「結莉さん!近づいたら駄目だ!!」
「嫌!嫌ですっ…!嫌、嫌ぁあああぁあ!!!!」
泣きながら結莉は赤城に手を伸ばす。
それきり赤城は言葉を発することなく、赤城の全身を包み込む炎がその身を焼き焦がしていく。焼け焦げた赤城は地面に倒れたまま動かなかった。
夏羽は赤城達に殴りかかる。赤城達は夏羽から繰り出されるパンチを腕でガードした。
「どうなってんだよ!夏羽クンから色んなニオイすんぞ!!」
花楓は訳がわからず混乱している様子だったが、じっと見つめて思い出した。
「……正面のヤツ…さっき喰い損ねたメス!」
「紺だ!!」
(背面にいるのは野火丸くんだな…。僕たちの始末に来たのか)
「相変わらず八面六臂の働きぶりですね。同情しますよ」
野火丸はジロリと赤城のことを睨みつけた。
「聞き捨てならないなー。皮肉だろ、それ」
蹴り上げる夏羽の脚を花楓は掴み、そのまま脚を引きちぎろうとする。
が、夏羽は頭突きを繰り出し花楓はフラついた。
花楓は負けじと夏羽に頭突き仕返す。
「んのやろ…上等だよ…!俺は…ウデとハナとカラダとハラと…カオの次に…!石アタマが自慢なんだ!!」
花楓は渾身の頭突きで夏羽と張り合った。
「こら!くだらないことに熱くなるんじゃない!とっとと手足引きちぎってしまぇげっ!?」
冷静になるよう声をかける赤城に強烈な頭突きを夏羽はお見舞いする。
夏羽と赤城・花楓は激しい肉弾戦を繰り広げる。そこへ太三郎・隠神の篠突雨龍が放たれ、背後から赤城・花楓に直撃した。
「なんだおまえら!俺と夏羽クンのジャマすんな!!なんなんだよさっきから…、次々…ガッタイとかレンケイとか…!夏羽クンばっかり…!ずるいぞッ!!俺は赤城さんとだけなのに!夏羽クンばっかり!そんなにいっぱいレンケイしてずるい!!」
花楓が子どものように喚きだす。
「ずるくない!夏羽は…夏羽だからだ!」
「日頃の行いの差ですねー。お前なんか味方がひとりいるだけでも奇跡ですよ」
「強さとは…力のみに非ず…!お子ちゃまにはわからんじゃろうがの~~!」
「ウソつけっ!おまえらが群れてるのは弱いからじゃん!強いやつは群れなんか作らない!俺が夏羽クンより弱いみたいに言うな!俺が最強だ!!!」
「『みたい』じゃない。弱い」
夏羽が十掌の技を叩き込もうと右手を繰り出す。
「花楓くん!さっきの大技が来ます!」
「言われなくても…喰らうかよォ~~ッ!!」
赤城・花楓の全身が強く燃え上がる。水龍は気化し、太三郎が吹き飛んだ。隠神は慌てて太三郎を受け止める。
「ノロいんだよ!おまえら全員まとめてミックスグリル定食だッ!!」
花楓の手が夏羽に迫る。
その時、突如として花楓の目から血が吹き出した。
「!?」
「だったらおめーらは…シュラスコだな……!!」
花楓の目を潰したのは織・晶の連携技だった。潜伏していた織・晶が上から氷結した棘状の足で花楓の目を突き刺したのだ。激痛に花楓は目を覆い膝をつく。
「花楓くん!!動いて!来ます!正面!避……」
夏羽は正面から十掌を打ち込む。
合体していた赤城と花楓の体はメリメリと音をたてて剥がれていく。
「お…おおッおごオオォアがアアッ!!!」
赤城が激痛に絶叫する。しかし、赤城はまだ倒れず憎しみのこもった目で夏羽達を睨みつけた。
「調…子に乗る…ゴホッ……!!このォ…炎の価値もわからない汚物の…分際でッ……!!」
赤城は最後の力を振り絞り、屋島を殲滅するべく裏屋島から表へと出ようとする。
「死に絶えろォ雑菌どもッ!!!神を侮辱したことッ悔い改めながら!!浄化されるがいい!!殺菌だッ!!!このォ…脂の塊…!!異臭を放つ肉袋がッ!!聖火の種となって死ねッ!!!」
表へ出ようとする赤城は後ろ脚に痛みを感じ目を向ける。
赤城の後ろ脚には巨大化した狸姿の隠神と狐の頭部をあらわにした紺がかじりつき抑え込んでいた。
そして、足先にしがみついているのは結莉だった。
「赤城さん!!!!お願いだからもうやめて!!!命をかけてまで成し遂げたい理由があるのだとしても、それでも私は赤城さんに死んでほしくない!!!!お願いだから!一緒に生きて!!!!」
泣きながら叫ぶ結莉に赤城は目を奪われる。
愛する彼女を振り切ることなんてできなかった。
『死んでほしくない』と『一緒に生きて』とそう言ってくれる結莉の想いが何よりも嬉しくて。ああ自分はこんなにも想ってもらえていたのだと。彼女の一番愛する人になれなくても、欲しかった言葉を貰えた。
それだけでもう十分だった。
もう何も思い残すことはない。
「結莉さん…。貴女の想いに、答えられなくてごめんなさい…。ありがとう。…もう十分です。…僕は貴女を愛しています。…ずっと」
優しい声色と優しい瞳で赤城は結莉に語りかけた。そんな赤城の姿に夏羽達も驚き、赤城を見上げる。
赤城と結莉が見つめ合う。結莉の目から涙が溢れて止まらなかった。
「うっ、う……うぁあっ、うぁあああっ…!!」
結莉は赤城にしがみついたまま泣きじゃくった。
赤城は止まらなかった。止められなかった。
最後まで彼は自分の想いを貫き通した。
表の屋島にいるヨシヱ達が力を合わせ花楓の頭部に攻撃を放つ。花楓達を裏屋島側へ押し戻すのにあと一歩力が及ばない。
「助太刀します!」
「全吉!」
駆けつけた全吉が母のヨシヱに力を貸す。
「おまえ、どうしたのです!伊代姫さまは…」
「お連れいたしました!」
「!?連れてきたですって?」
驚くヨシヱ達の前に、狸に乗った伊予姫が宙へと勢いよく飛び出した。
「刮目~~く!!みんなの伊代姫!ただいま参上じゃ~~!!皆の衆!今の今までよくぞ堪えた!伊代と一緒にもうひとふんばりじゃ!!」
伊代姫は皆に激励の言葉をかけると、花楓に思い切り力を叩き込む。
伊代姫達の攻撃で花楓の身体は裏屋島へと押し戻された。
力を使い果たした赤城と花楓は完全に分離する。
目を潰された花楓だけは状況がわからず、苦痛の声を上げながら赤城に状況を尋ねた。
「……花楓くん…君は…本来善も悪もない…あるのはただ欲のみ…。風に乗って燃え広がる…炎そのものだ…。だが…その風もたった一陣では………………」
朦朧とする意識の中、赤城は花楓に語りかける。
「はあ!?何言ってんだかわかんねぇよ!!わかるように言えッ!!赤城さんそういうとこ悪いクセだぞ!!」
「ごめんなさい。僕ひとりでは君をここまでしか強くできなかった」
「赤城…赤城!聞いて!」
夏羽が赤城に声をかける。
「…?夏羽クン…、今さら一体…何…」
「もうしないと言って!手伝って!俺は飯生さんより強くなりたい!」
「敵の…敵は味方だと…?死に際に交渉とは…したたかですね…君は…。…………『もうしない』…か…。冗談じゃない。嘘でも言いたくない言葉です。ーでも、これは言ってあげましょう。『敗けました』。花楓くん、君は…より……強い風と……共に…。そして、結莉さん。…どうか、幸せにー」
赤城の姿は狐から人型へ戻り、最期に結莉に目を向けた。虚ろな目で、愛する彼女をその目に焼き付けてー。
「赤城さん!赤城さん!!嫌です!死なないで!!ねぇ!赤城さん!!!!」
結莉は赤城の名を叫び、燃え盛る赤城に駆け寄ろうとする。そんな結莉を織は慌てて羽交い締めにして抑え込む。
「結莉さん!近づいたら駄目だ!!」
「嫌!嫌ですっ…!嫌、嫌ぁあああぁあ!!!!」
泣きながら結莉は赤城に手を伸ばす。
それきり赤城は言葉を発することなく、赤城の全身を包み込む炎がその身を焼き焦がしていく。焼け焦げた赤城は地面に倒れたまま動かなかった。