空欄の場合は夢主になります。
スパイシリーズ/尾形
お名前をどうぞ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
盗聴器/尾形
尾形と夢主はとある組織に所属している殺し屋だ。
尾形は優れたスナイパーであったが、その手腕と同じくらい性格が悪いことが有名であった。
今まで組んだほかの殺し屋たちから全員NGを食らうほどの扱いづらい人間だった。
対して夢主はあらゆる武術や毒殺、ハニートラップなど様々な技術を持ったオールマイティな殺し屋である。
顔も身体も超一流の彼女は今まで組んだほかの殺し屋たちはまた組みたいと口をそろえて言う。
しかし彼女自身が刺激が足りないという理由で同じ人と2回組むことはなかった。
そんな単独行動ばかりの2人であったが、少し前に「上」からの命令で一緒に仕事をする機会があった。
初対面時は嚙み合わない会話をしていたが、仕事となれば話の進みの早い相性の良さがあり、それ以降は「上」からの指令でペアで行動している。
一緒に任務に出ていた尾形だったが、今日は一足先に事務所についた。
事務所は表向きは不動産会社や探偵事務所のようなありふれた企業に擬態している。
分かりにくい位置にあるため一般の客がやってくることはほとんどないが、万が一何も知らない人間が来てしまっても普通に営業することができるように構えている。
尾形は事務所に誰もいないことを知ると、思いついたように自分のカバンを漁った。
仕事道具の中から小型の機械を取り出すと、おもむろに夢主のデスクの位置まで歩いて、サッと夢主の手荷物にその機械をセットした。
尾形が仕掛けた機械、それは「盗聴器」であった。
なぜ仕事仲間にこんなことをするのかというと、日頃から尾形の嫌味っぽい性格が夢主の天真爛漫な性格と噛み合わず、更に仕事でも夢主に色々押し付けられることが多いため割を食うことがあった。
その腹いせに仕掛けて何か秘密を握って形勢逆転を狙っているのだった。
褒められた手段ではないが、尾形がどれだけ夢主を素っ気なく扱っても、夢主には全然効いていないどころか倍以上に返されるのでたまったもんではないのだろう。
「んもー!尾形さん何で置いていくのよぅ!」
バンッと乱暴に事務所の扉を開けて帰ってきた夢主。
尾形はとっさに夢主のデスクから離れて、髪の毛を撫で上げた。
「ははあ、誰かさんの真似してみたんだよ。たまには残業もいいだろう?」
得意げに笑いながらそう言うと、夢主がむすっとしたまま尾形の横を通り過ぎた。
そしてデスクにある自分の手荷物から化粧ポーチを取り出してメイク直しをし始めた。
尾形はその様子をさりげなく横目で見ていたが、夢主は盗聴器に気が付くことはないようだった。
その日は何事もなく、心なしか尾形の機嫌が良いまま退勤した。
尾形はさっそく自宅に戻ると、気分良くアルコールとつまみを用意してヘッドフォンをつけた。
夢主も帰宅途中なのだろう、はじめはガサガサと雑音ばかりだったが、急に静かになった。
夢主宅に着いたようだ。
フンフンと鼻歌が聞こえてきて、音楽や生活音が聞こえてくる。
上手くいきすぎていることに尾形は笑い出しそうだった。
盗聴器は一方的に夢主側の音を伝えるもので、尾形側の声が向こうに聞こえるようなことはない。
それでも尾形は笑いをかみ殺してくつくつと喉で笑っていた。
尾形の狙いとしてはここで夢主が彼氏や家族、友人にでも連絡を取っているところを盗み聞きしてプライベートの情報をつかみたかった。
しかし狙いは外れて、しばらく聞いていても特に楽しいものはなかった。
スナイパーには忍耐力が不可欠だ。
尾形は目ぼしい情報が出てくるまではじっと耐えていた。
しばらくしてから、ごそごそと雑音と一緒に何か小さな声が聞こえてきた。
夢主の声である。
しかし話し声というのとは少し違った雰囲気を感じた。
先ほど聞こえた鼻声ともまた違うようだ。
尾形が耳を澄ましていると、ヘッドフォンから荒い息遣いが聞こえてきた。
「はぁ……あっ、尾形さん……♡」
自分の名前が呼ばれたことに思わず飛び上がりそうになった。
しかし冷静に考えてみると盗聴器がバレているような、こちらに話しかけているようなものではなさそうだった。
荒い吐息に交じって遅れて、ちゅ、くちゅっと小さな水音が響く。
そして夢主は尾形の名前を湿った声で何度も呼ぶ。
それを聞いてしばらくは何事かと眉を潜めていたが、彼女がナニをしているのか理解した瞬間、尾形は思考が数秒間停止した。
そして我に返ると咄嗟にヘッドフォンを頭からもぎ取り、耳を押さえて項垂れた。
もう聞こえてはいないはずなのに、頭の中には夢主の艶っぽい声がずっと聞こえているような感覚だった。
尾形は生まれて初めて罪悪感というものを覚えた。
翌朝、尾形は死んだ目をして出社していた。
罪悪感に苛まれたことと、夢主のあの色っぽい声が忘れられなくて、寝不足だったのだ。
げっそりしている尾形に誰も何も声をかけなかったが、夢主は違った。
いつものように出社してすぐに尾形に挨拶に来る。
尾形はぼんやりと虚空を眺めていて、夢主に気が付かなかった。
「おはよ~尾形さん♡」
耳元で色っぽく囁かれる。
昨日の耳元に聞こえた吐息を思い出してしまい、尾形はゾワッとした感覚を覚えて飛び上がりながらバッと耳を押さえた。
「?」
不思議なリアクションをした尾形に夢主が首をかしげる。
尾形は心臓がバクバクしているのを誤魔化すように素っ気なく「あぁ」と返事をした。
しかし夢主はにっこりと満足そうに微笑むと、続けて尾形に言い放った。
「どうだった?プライベートの私♡」
その言葉を理解するのに尾形は数秒間を要した。
まさか、バレていたのかと掠れた声で答える。
「は……?お前、気付いて……」
尾形が呆気に取られながらそう口にしたとき、夢主がおもむろに長いネイルをした人差し指を立て、そのまま自分の唇に当てた。
尾形はその指先の動きを思わず目で追う。
すると夢主のぷっくりとグロスの塗られた形の良い唇が細い指に吸い付いて、ちゅぱっと鳴った。
そしてそのまま指にしゃぶりついて、くちゅっ、ちゅぷっと水音を立てて見せた。
尾形があんぐりと口を開けていると、夢主は満足そうににっこりと微笑んだ。
「名演技でしょ♡」
その言葉を聞いた瞬間、尾形が顔を真っ赤にしながらぶち切れ、夢主と尾形の命掛けの追いかけっこが始まった。
ほかの同僚たちは慌てて避難する羽目になりその日は仕事になりませんでしたとさ。
おしまい。
【あとがき:この尾形ものすごくDT感あって好き。精神年齢が中学生で止まってる。】
尾形と夢主はとある組織に所属している殺し屋だ。
尾形は優れたスナイパーであったが、その手腕と同じくらい性格が悪いことが有名であった。
今まで組んだほかの殺し屋たちから全員NGを食らうほどの扱いづらい人間だった。
対して夢主はあらゆる武術や毒殺、ハニートラップなど様々な技術を持ったオールマイティな殺し屋である。
顔も身体も超一流の彼女は今まで組んだほかの殺し屋たちはまた組みたいと口をそろえて言う。
しかし彼女自身が刺激が足りないという理由で同じ人と2回組むことはなかった。
そんな単独行動ばかりの2人であったが、少し前に「上」からの命令で一緒に仕事をする機会があった。
初対面時は嚙み合わない会話をしていたが、仕事となれば話の進みの早い相性の良さがあり、それ以降は「上」からの指令でペアで行動している。
一緒に任務に出ていた尾形だったが、今日は一足先に事務所についた。
事務所は表向きは不動産会社や探偵事務所のようなありふれた企業に擬態している。
分かりにくい位置にあるため一般の客がやってくることはほとんどないが、万が一何も知らない人間が来てしまっても普通に営業することができるように構えている。
尾形は事務所に誰もいないことを知ると、思いついたように自分のカバンを漁った。
仕事道具の中から小型の機械を取り出すと、おもむろに夢主のデスクの位置まで歩いて、サッと夢主の手荷物にその機械をセットした。
尾形が仕掛けた機械、それは「盗聴器」であった。
なぜ仕事仲間にこんなことをするのかというと、日頃から尾形の嫌味っぽい性格が夢主の天真爛漫な性格と噛み合わず、更に仕事でも夢主に色々押し付けられることが多いため割を食うことがあった。
その腹いせに仕掛けて何か秘密を握って形勢逆転を狙っているのだった。
褒められた手段ではないが、尾形がどれだけ夢主を素っ気なく扱っても、夢主には全然効いていないどころか倍以上に返されるのでたまったもんではないのだろう。
「んもー!尾形さん何で置いていくのよぅ!」
バンッと乱暴に事務所の扉を開けて帰ってきた夢主。
尾形はとっさに夢主のデスクから離れて、髪の毛を撫で上げた。
「ははあ、誰かさんの真似してみたんだよ。たまには残業もいいだろう?」
得意げに笑いながらそう言うと、夢主がむすっとしたまま尾形の横を通り過ぎた。
そしてデスクにある自分の手荷物から化粧ポーチを取り出してメイク直しをし始めた。
尾形はその様子をさりげなく横目で見ていたが、夢主は盗聴器に気が付くことはないようだった。
その日は何事もなく、心なしか尾形の機嫌が良いまま退勤した。
尾形はさっそく自宅に戻ると、気分良くアルコールとつまみを用意してヘッドフォンをつけた。
夢主も帰宅途中なのだろう、はじめはガサガサと雑音ばかりだったが、急に静かになった。
夢主宅に着いたようだ。
フンフンと鼻歌が聞こえてきて、音楽や生活音が聞こえてくる。
上手くいきすぎていることに尾形は笑い出しそうだった。
盗聴器は一方的に夢主側の音を伝えるもので、尾形側の声が向こうに聞こえるようなことはない。
それでも尾形は笑いをかみ殺してくつくつと喉で笑っていた。
尾形の狙いとしてはここで夢主が彼氏や家族、友人にでも連絡を取っているところを盗み聞きしてプライベートの情報をつかみたかった。
しかし狙いは外れて、しばらく聞いていても特に楽しいものはなかった。
スナイパーには忍耐力が不可欠だ。
尾形は目ぼしい情報が出てくるまではじっと耐えていた。
しばらくしてから、ごそごそと雑音と一緒に何か小さな声が聞こえてきた。
夢主の声である。
しかし話し声というのとは少し違った雰囲気を感じた。
先ほど聞こえた鼻声ともまた違うようだ。
尾形が耳を澄ましていると、ヘッドフォンから荒い息遣いが聞こえてきた。
「はぁ……あっ、尾形さん……♡」
自分の名前が呼ばれたことに思わず飛び上がりそうになった。
しかし冷静に考えてみると盗聴器がバレているような、こちらに話しかけているようなものではなさそうだった。
荒い吐息に交じって遅れて、ちゅ、くちゅっと小さな水音が響く。
そして夢主は尾形の名前を湿った声で何度も呼ぶ。
それを聞いてしばらくは何事かと眉を潜めていたが、彼女がナニをしているのか理解した瞬間、尾形は思考が数秒間停止した。
そして我に返ると咄嗟にヘッドフォンを頭からもぎ取り、耳を押さえて項垂れた。
もう聞こえてはいないはずなのに、頭の中には夢主の艶っぽい声がずっと聞こえているような感覚だった。
尾形は生まれて初めて罪悪感というものを覚えた。
翌朝、尾形は死んだ目をして出社していた。
罪悪感に苛まれたことと、夢主のあの色っぽい声が忘れられなくて、寝不足だったのだ。
げっそりしている尾形に誰も何も声をかけなかったが、夢主は違った。
いつものように出社してすぐに尾形に挨拶に来る。
尾形はぼんやりと虚空を眺めていて、夢主に気が付かなかった。
「おはよ~尾形さん♡」
耳元で色っぽく囁かれる。
昨日の耳元に聞こえた吐息を思い出してしまい、尾形はゾワッとした感覚を覚えて飛び上がりながらバッと耳を押さえた。
「?」
不思議なリアクションをした尾形に夢主が首をかしげる。
尾形は心臓がバクバクしているのを誤魔化すように素っ気なく「あぁ」と返事をした。
しかし夢主はにっこりと満足そうに微笑むと、続けて尾形に言い放った。
「どうだった?プライベートの私♡」
その言葉を理解するのに尾形は数秒間を要した。
まさか、バレていたのかと掠れた声で答える。
「は……?お前、気付いて……」
尾形が呆気に取られながらそう口にしたとき、夢主がおもむろに長いネイルをした人差し指を立て、そのまま自分の唇に当てた。
尾形はその指先の動きを思わず目で追う。
すると夢主のぷっくりとグロスの塗られた形の良い唇が細い指に吸い付いて、ちゅぱっと鳴った。
そしてそのまま指にしゃぶりついて、くちゅっ、ちゅぷっと水音を立てて見せた。
尾形があんぐりと口を開けていると、夢主は満足そうににっこりと微笑んだ。
「名演技でしょ♡」
その言葉を聞いた瞬間、尾形が顔を真っ赤にしながらぶち切れ、夢主と尾形の命掛けの追いかけっこが始まった。
ほかの同僚たちは慌てて避難する羽目になりその日は仕事になりませんでしたとさ。
おしまい。
【あとがき:この尾形ものすごくDT感あって好き。精神年齢が中学生で止まってる。】