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尾形
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ある日、二人で訓練を終えたあと。
「ねえ、尾形さん、でえと、しましょ。」
「でえと?」
銃の手入れをしていた尾形さんがこちらを見る。
「米兵の言葉を使うんじゃねえ、どういう意味だ。」
「ロシア語は分かるくせに。二人で街を歩いたり、お茶したり、買い物しましょってことです。」
「はあ?断る。」
尾形さんはつれない返事をしてまた視線を銃へ戻した。
まあこの返答は想定内ってわけで。
私はふう、とため息をつく。
「残念です、尾形さんは優秀な狙撃手だから、きっといっぱいお金もあると思ったんですけどね……。」
「ああ、金塊に手を出すくらいだから私に小物を買うお金もないんですね。」
「あー残念だなぁ。銃には際限なくお金使うのに、私にはないんだぁ。」
「私より銃が好きなんですね。あーあこれじゃあいくつになっても結婚できなくて、私、終わっちゃうなぁ。」
次の瞬間、尾形さんはダンッ!と乱暴に銃を置いて、強引に私の手を掴むと歩き出した。
えっえっ怒らせすぎちゃった!?と慌てていると、尾形さんはそのまま兵舎を出て街へ向かう。
道中私の顔を知っている街の人たちは、あらあら……とほほ笑む。
ああ、明日には変な噂が出回るな……とも思ったが、正直尾形さん以外と出かけていても関係なく噂は回るので、もう気にしていない。
そんなことよりこの人の顔が怖くて見れない。
そして尾形さんは小さな雑貨屋さんに入ると好きなもんを選べと言う。
そこは、知る人ぞ知る、高価な一点ものがたくさんあるところで。雑貨の他にも装飾品や美術品など様々ある。
「え、でもここ……」
やばいのでは?尾形さん借金しちゃうのでは?
私は今更ながらやりすぎた、と少し反省した。
とりあえずこの店で一番安いであろう、かんざしを手に取る。
それをここの店主に渡そうとすると、尾形さんが取り上げて、一番高級なやつと入れ替える。
「ちょっ……。」
抗議しようとしても、尾形さんは表情が能面のようだ。怖い。
「旦那、これをくれ。あとあっちの手鏡と、向こうのおしろいもだ。」
「えっ待って尾形さんそんなに……」
尾形さんは他にも勢いでいくつも買って、店を出る。
店主はほくほく顔だ。そりゃそうだ。
帰り道は、手を引くことはなかった。
私は気まずくて、大量の高級品をもって尾形さんの数歩後ろを歩いていた。
まっすぐ兵舎の方へ戻るかと思ったが、尾形さんはこっち、と急に路地を入ったところに誘導する。
うわ、最悪。絶対説教とかお金巻きあげられるじゃん……と泣きそうになる。
「……あの、すみませんでした尾形さん。私、尾形さんとお出掛けがしたくて……心にもないことを……本当にごめんなさい。」
謝罪しても、尾形さんから返事がない。
怒っていると思って、ちら、と恐る恐る彼の顔を見ると、尾形さんは真剣な顔をしてこちらを見ていた。
真剣を通り越してどこか緊張しているような……?
見たことない表情をする尾形さんを思わずきょとんとしてしまう。
驚いていると、尾形さんは私の手を取った。
そして、彼の手にあったのは……
「ゆ、指輪……!?」
驚いて手を引っ込める前に尾形さんは私の薬指に指輪をはめる。
この時代にこんなものが……。しかも買ったのって絶対さっきの店。相当高価だろうに。
何より意味を分かってやっているのか!?
尾形さんは言いづらそうに目をそらす。
「……外人の兵士から聞いたんだ。婚約するときに、相手の薬指に指輪をあげるって。」
絶句した。
意味わかってた。
「散々煽りやがって。銃よりお前が大事なんだから、結婚してくれるよなァ?」
若干顔を赤らめたまま顔を近づけてニヤリと笑う尾形さんに、私はゆでだこのような顔をしているに違いない。
顔が熱くなるのを感じながらこく、と頷くことしかできなかった。
おわり
「ねえ、尾形さん、でえと、しましょ。」
「でえと?」
銃の手入れをしていた尾形さんがこちらを見る。
「米兵の言葉を使うんじゃねえ、どういう意味だ。」
「ロシア語は分かるくせに。二人で街を歩いたり、お茶したり、買い物しましょってことです。」
「はあ?断る。」
尾形さんはつれない返事をしてまた視線を銃へ戻した。
まあこの返答は想定内ってわけで。
私はふう、とため息をつく。
「残念です、尾形さんは優秀な狙撃手だから、きっといっぱいお金もあると思ったんですけどね……。」
「ああ、金塊に手を出すくらいだから私に小物を買うお金もないんですね。」
「あー残念だなぁ。銃には際限なくお金使うのに、私にはないんだぁ。」
「私より銃が好きなんですね。あーあこれじゃあいくつになっても結婚できなくて、私、終わっちゃうなぁ。」
次の瞬間、尾形さんはダンッ!と乱暴に銃を置いて、強引に私の手を掴むと歩き出した。
えっえっ怒らせすぎちゃった!?と慌てていると、尾形さんはそのまま兵舎を出て街へ向かう。
道中私の顔を知っている街の人たちは、あらあら……とほほ笑む。
ああ、明日には変な噂が出回るな……とも思ったが、正直尾形さん以外と出かけていても関係なく噂は回るので、もう気にしていない。
そんなことよりこの人の顔が怖くて見れない。
そして尾形さんは小さな雑貨屋さんに入ると好きなもんを選べと言う。
そこは、知る人ぞ知る、高価な一点ものがたくさんあるところで。雑貨の他にも装飾品や美術品など様々ある。
「え、でもここ……」
やばいのでは?尾形さん借金しちゃうのでは?
私は今更ながらやりすぎた、と少し反省した。
とりあえずこの店で一番安いであろう、かんざしを手に取る。
それをここの店主に渡そうとすると、尾形さんが取り上げて、一番高級なやつと入れ替える。
「ちょっ……。」
抗議しようとしても、尾形さんは表情が能面のようだ。怖い。
「旦那、これをくれ。あとあっちの手鏡と、向こうのおしろいもだ。」
「えっ待って尾形さんそんなに……」
尾形さんは他にも勢いでいくつも買って、店を出る。
店主はほくほく顔だ。そりゃそうだ。
帰り道は、手を引くことはなかった。
私は気まずくて、大量の高級品をもって尾形さんの数歩後ろを歩いていた。
まっすぐ兵舎の方へ戻るかと思ったが、尾形さんはこっち、と急に路地を入ったところに誘導する。
うわ、最悪。絶対説教とかお金巻きあげられるじゃん……と泣きそうになる。
「……あの、すみませんでした尾形さん。私、尾形さんとお出掛けがしたくて……心にもないことを……本当にごめんなさい。」
謝罪しても、尾形さんから返事がない。
怒っていると思って、ちら、と恐る恐る彼の顔を見ると、尾形さんは真剣な顔をしてこちらを見ていた。
真剣を通り越してどこか緊張しているような……?
見たことない表情をする尾形さんを思わずきょとんとしてしまう。
驚いていると、尾形さんは私の手を取った。
そして、彼の手にあったのは……
「ゆ、指輪……!?」
驚いて手を引っ込める前に尾形さんは私の薬指に指輪をはめる。
この時代にこんなものが……。しかも買ったのって絶対さっきの店。相当高価だろうに。
何より意味を分かってやっているのか!?
尾形さんは言いづらそうに目をそらす。
「……外人の兵士から聞いたんだ。婚約するときに、相手の薬指に指輪をあげるって。」
絶句した。
意味わかってた。
「散々煽りやがって。銃よりお前が大事なんだから、結婚してくれるよなァ?」
若干顔を赤らめたまま顔を近づけてニヤリと笑う尾形さんに、私はゆでだこのような顔をしているに違いない。
顔が熱くなるのを感じながらこく、と頷くことしかできなかった。
おわり