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有坂閣下
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有坂成蔵は天才的な銃開発者である。彼は三十年式歩兵銃や要塞砲などの数々の重火器を発明した勲章持ちの天才だ。
有坂は仕事に没頭すると人間の尊厳を捨てがちなので、彼には軍の命令で特別に身の回りの世話をする女中があてがわれることになった。
女中は現代で言うところの家政婦のような存在だが、ここで求められた女中は炊事・洗濯・掃除の他にも朝に弱い有坂を起こすことや夜更かししがちな有坂の睡眠を促すなど業務内容はほぼ「お母さん」に等しいものであった。
夢主はまだ若いが女中として幼い頃から長らく色んな場所を渡り歩いてきた。基本が氷のような無表情で、性格も規律に厳しい女である。趣味が読書と手芸。コツコツと積み上げることが得意で間違えても愛想笑いなどしない凛とした女性だ。よほど特殊な性癖でもなければ男好きしないタイプであった。そんな夢主はこれだけ真面目で堅物な女ならば住み込みで良いだろうと有坂にあてがわれた。
「有坂先生、いつも言っていますよね?使った物は元の場所に戻してください」
「有坂先生!いい加減に風呂に入ってください。不潔です」
「有坂先生……夜は図面を見るのを止めてください」
「有坂先生?もうお昼です。なぜ朝ご飯が残っているのですか?」
このように常に規則に従う夢主は、軍から命じられた通り毎日有坂を厳しく躾てコントロールした。
偉い立場の有坂に対しても物怖じしない夢主の厳しく冷たい物言いに、これまで仕事以外はだらしなく生きてきた有坂は半泣きになりながら従った。
有坂はあまりの夢主の厳しさに軍へ女中制度を辞めるよう何度か泣き言を言ったが、夢主のおかげで会議に遅れることも食事を摂らずに開発に熱中して倒れることもなくなったため、軍は夢主の継続雇用を内密に決めていた。
とある日の午後、有坂の部屋を夢主がノックした。普段から声をかけても集中していると有坂から返事はないので、夢主は気にせず入室する。
「失礼します。お茶をお持ちしまし……」
夢主が顔を上げると有坂は珍しく机に突っ伏して眠っている。普段の夜はなかなか寝付けず不眠症気味な有坂を知っているだけに夢主は静かに息を飲んで驚いた。
持ってきたお茶をお盆ごと手近な机の上に置いて有坂の顔を覗き込むと、有坂が珍しく幸せそうに眠っている様子が分かった。
呆れた様子でため息をついた夢主は、毛布を持ってきて有坂の背中にかけてあげる。
夢主はもう一度有坂の顔をのぞき込むと、眠っている彼の頭を優しく撫で上げて、顔を近づけた。
ちゅ、と音を立てて有坂の額の端っこに口づけを落とすと、夢主は部屋の明かりを消して静かに退室した。
(え、エッ……?えぇーっ⁉今のは何事だ……⁉)
一人残された有坂は混乱してしばらく動けなかった。
今まで重火器以外に興味を示さなかった有坂が、ツンデレ夢主に目覚める日は近い。
おわり
有坂は仕事に没頭すると人間の尊厳を捨てがちなので、彼には軍の命令で特別に身の回りの世話をする女中があてがわれることになった。
女中は現代で言うところの家政婦のような存在だが、ここで求められた女中は炊事・洗濯・掃除の他にも朝に弱い有坂を起こすことや夜更かししがちな有坂の睡眠を促すなど業務内容はほぼ「お母さん」に等しいものであった。
夢主はまだ若いが女中として幼い頃から長らく色んな場所を渡り歩いてきた。基本が氷のような無表情で、性格も規律に厳しい女である。趣味が読書と手芸。コツコツと積み上げることが得意で間違えても愛想笑いなどしない凛とした女性だ。よほど特殊な性癖でもなければ男好きしないタイプであった。そんな夢主はこれだけ真面目で堅物な女ならば住み込みで良いだろうと有坂にあてがわれた。
「有坂先生、いつも言っていますよね?使った物は元の場所に戻してください」
「有坂先生!いい加減に風呂に入ってください。不潔です」
「有坂先生……夜は図面を見るのを止めてください」
「有坂先生?もうお昼です。なぜ朝ご飯が残っているのですか?」
このように常に規則に従う夢主は、軍から命じられた通り毎日有坂を厳しく躾てコントロールした。
偉い立場の有坂に対しても物怖じしない夢主の厳しく冷たい物言いに、これまで仕事以外はだらしなく生きてきた有坂は半泣きになりながら従った。
有坂はあまりの夢主の厳しさに軍へ女中制度を辞めるよう何度か泣き言を言ったが、夢主のおかげで会議に遅れることも食事を摂らずに開発に熱中して倒れることもなくなったため、軍は夢主の継続雇用を内密に決めていた。
とある日の午後、有坂の部屋を夢主がノックした。普段から声をかけても集中していると有坂から返事はないので、夢主は気にせず入室する。
「失礼します。お茶をお持ちしまし……」
夢主が顔を上げると有坂は珍しく机に突っ伏して眠っている。普段の夜はなかなか寝付けず不眠症気味な有坂を知っているだけに夢主は静かに息を飲んで驚いた。
持ってきたお茶をお盆ごと手近な机の上に置いて有坂の顔を覗き込むと、有坂が珍しく幸せそうに眠っている様子が分かった。
呆れた様子でため息をついた夢主は、毛布を持ってきて有坂の背中にかけてあげる。
夢主はもう一度有坂の顔をのぞき込むと、眠っている彼の頭を優しく撫で上げて、顔を近づけた。
ちゅ、と音を立てて有坂の額の端っこに口づけを落とすと、夢主は部屋の明かりを消して静かに退室した。
(え、エッ……?えぇーっ⁉今のは何事だ……⁉)
一人残された有坂は混乱してしばらく動けなかった。
今まで重火器以外に興味を示さなかった有坂が、ツンデレ夢主に目覚める日は近い。
おわり