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宇佐美
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幼馴染の時重くん/宇佐美
俺は宇佐美時重。高校2年生。
部活は柔道部で、顧問の鶴見先生の信者。
部活も勉強も優秀だって言われているけど、今は全然楽しくない。
なんでかっていうと……。
「時重くんおはよう。」
隣の家のコイツだ。
名前は夢主っていって、学校も学年も同じ。なんなら幼稚園からずーっと一緒。
幼馴染ってやつで、腐れ縁だとも思っている。
何が面白くないって、夢主は元々俺がいなくちゃ何もできない弱虫だった。
小さいときに引っ越してきて、母親同士が仲良くなったことで必然的に俺たちも一緒にいるようになったのだが、はじめはすぐ泣くし弱いしで苦手だった。
でも、俺が怒ろうが無視しようが時重くん時重くん、と後をついてくる夢主の姿に俺はどこかで満足感を覚えていたようだ。
もちろん元々の素質もあったのだろうがそんな歪んだ気持ちを小さいころに植え付けられてからは、俺は夢主とずっと一緒だった。
なのに、なのにだ。
中学校から高校へ上がるあたりで少しずつ夢主はモテ始めた!
ずっと一緒にいて泣き虫顔ばかり見ていたから気づかなかったが、夢主は顔立ちが良い。
更に背も伸びて華奢なのに肉付きも健康的で圧巻のスタイルの良さ。
しかもなんか良い匂いするし、笑顔は可愛いしでずるいだろ。
確かに勉強もできて、スポーツも芸術も得意で、誰にでも優しくて友達も多くて、欠点なんて何もなさそうに見える。
俺たちは相変わらず毎日一緒に登下校してるし、クラスも今年は同じで割と近くにいるけど、……俺たちは付き合ってない。
それを良いことに男女問わず夢主にアタックするやつが後をたたない。
何なら学校の外でも、ちょっとファミレスに寄って俺がドリンクバーに行っている間に別のテーブルのやつからナンパされてる始末。
こういう時夢主は押しに弱いと言うか、悪意を知らないのか、俺が戻るまで困ったように笑いながら弱々しく俺に目線を写す。
その姿に正直グっときて、ああ俺は夢主がたまらなく好きなんだなぁと思い知らされる。
もちろんナンパしてきたやつは後でしっかりボコボコにするけど、その辺の始末もバレないようにしないといけないから大変で、でもやりがいすら感じちゃってる。
俺を狂わせたのは間違いなく夢主だ。
今日も登校途中に、すれ違い様にサラリーマンたちが「今のコ、めっちゃ可愛くない!?」「連絡先渡してみるか?」なんてこそこそやっているのが聞こえた。
夢主は気付いていないようで、楽しそうに笑いながら俺の母ちゃんの手料理の話をしている。
呑気なもんだと思いつつ相槌を打ち、リーマンたちへ振り返って血管が切れそうなほどぶち切れてる顔を見せやると、リーマンたちは慌てて逃げて行った。
そんな風に日常を送っていたある日のこと。
いつもは夢主が俺の家のチャイムを鳴らすが、今日はこなかった。
大体、こんな時は寝坊していて俺が起こしに行くのだが、チャイムを鳴らすと夢主の母が少し焦ったような困ったような表情で出てきた。
夢主の母も、歳をとっていても美貌が衰えない。
そういえば父親もなかなか美形だな。
家族ぐるみで付き合いがあって意識していなかったが、夢主の家の顔面偏差値の高さは異常だ。
「時重くん、おはよう。夢主ちょっと体調を崩しててね。」
「そうですか……。あの、お母さん急いでます?」
「え、ええ、そうなの。今日は私仕事が休めそうになくて。もうそろそろ家を出ないとなのよ。」
「じゃあ俺、今日学校休みますよ。」
「え?でもそんな……。」
困惑する夢主の母親に構わず、俺は家に上がり込んだ。
「いいから。夢主は俺が看てるから、行ってらっしゃい。」
「ありがとう、ごめんね時重くん。なるべく早く帰ってくるようにするわね。」
こういうとき、幼馴染というのは特権だよな。
夢主の母親が出勤したのを見送って、友人や学校に休む連絡を手短に済ますとキッチンに入る。
ミネラルウォーターとパンを手にして、冷えピタや常備薬の入った救急箱も抱えて2Fへ上がる。
「夢主~、俺が来てやったぞ。」
「うー……時重くん……?」
夢主は布団で辛そうに寝ていた。
まぶた薄く開けて、熱で潤んだ眼を向けられる。
不謹慎にも、色っぽいと思ってしまった俺は重症だった。
「……ありがとう、ごめんね。」
夢主を抱え起こし、解熱剤を飲ませて再度寝かせる。
冷えピタを貼ってやると気持ちよさそうに目を細めてそのまま寝てしまった。
それから特にやることもなくぼんやりと夢主の隣に座っていると、夢主が急に呟いた。
「……だいすき。」
ドキッとした。
寝言だったようで、俺がギョッとしているとすーっすーっと規則正しく吐息が聞こえる。
心臓がバクバクするのを感じつつも、声をかけてみる。
「……誰が好き?」
「うーん……、時重くん……。」
むにゃむにゃと聞き取りにくい声であったが、俺にはちゃんと聞こえた。
その瞬間、とてつもない多幸感に包まれた。
俺の存在が認められたというか、今まで不安に思っていたけど、ちゃんとこいつは俺をみていたのか、とか言葉では表せられないような気持ちになった。
あんなに可愛い夢主が?皆に愛されている夢主が?俺を好きなんだって!?
嬉しすぎて叫びたいくらいだったが、俺はグッと歯を噛みしめて「俺も好き」と呟いて体育座りをして頭を抱えた。
落ち着こう落ち着こうと意識しているうちに俺は眠ってしまった。
目を覚ますと夕方だった。
昼飯も食べないで寝続けるなんて、寝不足だったのかと目をこすりながら顔を上げると、夢主は起きていた。
上半身だけ起き上がって、視線を合わせたりすぐそらしたりと落ち着かない様子。
「時重くん……あの……。」
「おお。」
夢主の顔はまだ赤い。
熱が下がっていないのかと何か食べられるものと薬と水を用意しようとしていると、夢主が消え入りそうな声で言った。
「あの……朝の……さっきの、ほんと……?」
「は?何が?」
顔を向けずに聞き返す。
しかし間があいて夢主の様子が変だったので、視線を上げると夢主は耳まで真っ赤にしながら布団を握りしめている。
目には涙がたまっていて、やっぱりこいつはよく泣くなぁなんてぼんやり考えていた。
「ぉ、ぉ、……俺も、好きって……。」
「!?」
夢主の声に俺はバシャッと水を零す。
起きていた?いや、あれは寝言で……。
混乱している俺に、夢主は続ける。
「なんか……その、熱でわけわからなくて、誰が好きって聞かれて……あの…わ、わたし……。」
言い訳にすらなっていない夢主の言葉に、俺はワーッと声を上げて夢主のベッドに飛び上がり、夢主の口を手で覆いもうこれ以上言わないようにさせる。
夢主がおとなしくなったのを確認すると、ベッドの上で正座して改まった。
「……俺はお前のことが好きだ。俺がお前とずっと一緒にいてやるから、もう泣くな。」
一世一代の大勝負の気分だった。
でも、夢主はパァッと顔を明るくしたあとに、すぐにくしゃ、と顔をゆがめて泣き出した。
「ふぇ……。」
「泣くなって!」
「だってぇ嬉しいんだもん……時重くん、ずっと一緒にいるのにどっか見てて、もう私のことなんか見てないんだって思ってて……私だけが時重くんのことずっと好きなんだって思ってて。」
夢主はぽろぽろと涙をこぼしながら呟くように言う。
まるで小さいころから変わっていない姿に、俺も夢主も長いこと片想いしていたんだな、と思い知らされた。
「……俺のもんだ。でも俺は独占欲が強いから、お前に執着するし束縛もすると思う……。」
「いいよ、私、ずっと時重くんに束縛されたかったんだと思う。」
とんでもないことを言っている気がするが気付いていないのはお互い舞い上がっているからだろうか。
潤んだ目で見上げてくる夢主に、そっと口づけをしてあとはぎゅっと抱き合って寝た。
病み上がりの夢主はそのまま夜まで寝て、仕事から帰ってきた夢主の母親には「相変わらず仲良しなのね。」と呑気に笑われたが、ベッドで寝ているフリをしている夢主の顔は真っ赤だった。
こうして学校1、いやこの町1番の人気者で、俺の幼馴染の夢主は俺のものになった。
俺は夢主を一度手に入れたら満足してしまうのではないかと恐れていたが、それどころか次から次へと色々な欲求が出てきてしまって困るほどだった。
夢主はというと、相変わらず泣きべそをかくことはあるが、ほとんどは俺が夢主を甘やかした結果の嬉し泣きのようだった。
ずっと一緒にいたから生活は変わらなかったが、お互いの両親や学校の友人にはあっという間に付き合っていることがバレ、めちゃくちゃに冷やかされたが皆諦めてくれたのか知らないがなんだかんだ祝福してくれた。
相変わらず知らない人からはナンパはされるが、夢主も堂々と恋人がいると言えるようになったためか断れるようになって、それでもしつこいやつには俺がボコボコにすることで夢主を守っている。
「こうして、俺と夢主は付き合うことになったとさ。」
「はー?」「なんだそれ」「俺たちは今まで何を聞かされてたんだ」「NTRだ」と部員から大バッシングをされる。
部活が終わり部室を片付けながらいきさつを話してやったら、部員は皆口々に文句を言ってくる。
聞いたのはそっちじゃないか、とふんぞり返った。
その時、部室の入口からひょこっと顔を出した夢主が声をかけてきた。
「時重くん、部活終わったー?帰ろう。」
部員全員が顔を見合わせ「宇佐美の創作や妄想じゃないようだ」と絶望している様子の中、俺は夢主の手をとって颯爽と部室から出て行った。
後ろからは大ブーイングが起こっていたが、それすらも気持ちよかった。
おわり。
【あとがき:宇佐美くんめっちゃ一途そう。】
俺は宇佐美時重。高校2年生。
部活は柔道部で、顧問の鶴見先生の信者。
部活も勉強も優秀だって言われているけど、今は全然楽しくない。
なんでかっていうと……。
「時重くんおはよう。」
隣の家のコイツだ。
名前は夢主っていって、学校も学年も同じ。なんなら幼稚園からずーっと一緒。
幼馴染ってやつで、腐れ縁だとも思っている。
何が面白くないって、夢主は元々俺がいなくちゃ何もできない弱虫だった。
小さいときに引っ越してきて、母親同士が仲良くなったことで必然的に俺たちも一緒にいるようになったのだが、はじめはすぐ泣くし弱いしで苦手だった。
でも、俺が怒ろうが無視しようが時重くん時重くん、と後をついてくる夢主の姿に俺はどこかで満足感を覚えていたようだ。
もちろん元々の素質もあったのだろうがそんな歪んだ気持ちを小さいころに植え付けられてからは、俺は夢主とずっと一緒だった。
なのに、なのにだ。
中学校から高校へ上がるあたりで少しずつ夢主はモテ始めた!
ずっと一緒にいて泣き虫顔ばかり見ていたから気づかなかったが、夢主は顔立ちが良い。
更に背も伸びて華奢なのに肉付きも健康的で圧巻のスタイルの良さ。
しかもなんか良い匂いするし、笑顔は可愛いしでずるいだろ。
確かに勉強もできて、スポーツも芸術も得意で、誰にでも優しくて友達も多くて、欠点なんて何もなさそうに見える。
俺たちは相変わらず毎日一緒に登下校してるし、クラスも今年は同じで割と近くにいるけど、……俺たちは付き合ってない。
それを良いことに男女問わず夢主にアタックするやつが後をたたない。
何なら学校の外でも、ちょっとファミレスに寄って俺がドリンクバーに行っている間に別のテーブルのやつからナンパされてる始末。
こういう時夢主は押しに弱いと言うか、悪意を知らないのか、俺が戻るまで困ったように笑いながら弱々しく俺に目線を写す。
その姿に正直グっときて、ああ俺は夢主がたまらなく好きなんだなぁと思い知らされる。
もちろんナンパしてきたやつは後でしっかりボコボコにするけど、その辺の始末もバレないようにしないといけないから大変で、でもやりがいすら感じちゃってる。
俺を狂わせたのは間違いなく夢主だ。
今日も登校途中に、すれ違い様にサラリーマンたちが「今のコ、めっちゃ可愛くない!?」「連絡先渡してみるか?」なんてこそこそやっているのが聞こえた。
夢主は気付いていないようで、楽しそうに笑いながら俺の母ちゃんの手料理の話をしている。
呑気なもんだと思いつつ相槌を打ち、リーマンたちへ振り返って血管が切れそうなほどぶち切れてる顔を見せやると、リーマンたちは慌てて逃げて行った。
そんな風に日常を送っていたある日のこと。
いつもは夢主が俺の家のチャイムを鳴らすが、今日はこなかった。
大体、こんな時は寝坊していて俺が起こしに行くのだが、チャイムを鳴らすと夢主の母が少し焦ったような困ったような表情で出てきた。
夢主の母も、歳をとっていても美貌が衰えない。
そういえば父親もなかなか美形だな。
家族ぐるみで付き合いがあって意識していなかったが、夢主の家の顔面偏差値の高さは異常だ。
「時重くん、おはよう。夢主ちょっと体調を崩しててね。」
「そうですか……。あの、お母さん急いでます?」
「え、ええ、そうなの。今日は私仕事が休めそうになくて。もうそろそろ家を出ないとなのよ。」
「じゃあ俺、今日学校休みますよ。」
「え?でもそんな……。」
困惑する夢主の母親に構わず、俺は家に上がり込んだ。
「いいから。夢主は俺が看てるから、行ってらっしゃい。」
「ありがとう、ごめんね時重くん。なるべく早く帰ってくるようにするわね。」
こういうとき、幼馴染というのは特権だよな。
夢主の母親が出勤したのを見送って、友人や学校に休む連絡を手短に済ますとキッチンに入る。
ミネラルウォーターとパンを手にして、冷えピタや常備薬の入った救急箱も抱えて2Fへ上がる。
「夢主~、俺が来てやったぞ。」
「うー……時重くん……?」
夢主は布団で辛そうに寝ていた。
まぶた薄く開けて、熱で潤んだ眼を向けられる。
不謹慎にも、色っぽいと思ってしまった俺は重症だった。
「……ありがとう、ごめんね。」
夢主を抱え起こし、解熱剤を飲ませて再度寝かせる。
冷えピタを貼ってやると気持ちよさそうに目を細めてそのまま寝てしまった。
それから特にやることもなくぼんやりと夢主の隣に座っていると、夢主が急に呟いた。
「……だいすき。」
ドキッとした。
寝言だったようで、俺がギョッとしているとすーっすーっと規則正しく吐息が聞こえる。
心臓がバクバクするのを感じつつも、声をかけてみる。
「……誰が好き?」
「うーん……、時重くん……。」
むにゃむにゃと聞き取りにくい声であったが、俺にはちゃんと聞こえた。
その瞬間、とてつもない多幸感に包まれた。
俺の存在が認められたというか、今まで不安に思っていたけど、ちゃんとこいつは俺をみていたのか、とか言葉では表せられないような気持ちになった。
あんなに可愛い夢主が?皆に愛されている夢主が?俺を好きなんだって!?
嬉しすぎて叫びたいくらいだったが、俺はグッと歯を噛みしめて「俺も好き」と呟いて体育座りをして頭を抱えた。
落ち着こう落ち着こうと意識しているうちに俺は眠ってしまった。
目を覚ますと夕方だった。
昼飯も食べないで寝続けるなんて、寝不足だったのかと目をこすりながら顔を上げると、夢主は起きていた。
上半身だけ起き上がって、視線を合わせたりすぐそらしたりと落ち着かない様子。
「時重くん……あの……。」
「おお。」
夢主の顔はまだ赤い。
熱が下がっていないのかと何か食べられるものと薬と水を用意しようとしていると、夢主が消え入りそうな声で言った。
「あの……朝の……さっきの、ほんと……?」
「は?何が?」
顔を向けずに聞き返す。
しかし間があいて夢主の様子が変だったので、視線を上げると夢主は耳まで真っ赤にしながら布団を握りしめている。
目には涙がたまっていて、やっぱりこいつはよく泣くなぁなんてぼんやり考えていた。
「ぉ、ぉ、……俺も、好きって……。」
「!?」
夢主の声に俺はバシャッと水を零す。
起きていた?いや、あれは寝言で……。
混乱している俺に、夢主は続ける。
「なんか……その、熱でわけわからなくて、誰が好きって聞かれて……あの…わ、わたし……。」
言い訳にすらなっていない夢主の言葉に、俺はワーッと声を上げて夢主のベッドに飛び上がり、夢主の口を手で覆いもうこれ以上言わないようにさせる。
夢主がおとなしくなったのを確認すると、ベッドの上で正座して改まった。
「……俺はお前のことが好きだ。俺がお前とずっと一緒にいてやるから、もう泣くな。」
一世一代の大勝負の気分だった。
でも、夢主はパァッと顔を明るくしたあとに、すぐにくしゃ、と顔をゆがめて泣き出した。
「ふぇ……。」
「泣くなって!」
「だってぇ嬉しいんだもん……時重くん、ずっと一緒にいるのにどっか見てて、もう私のことなんか見てないんだって思ってて……私だけが時重くんのことずっと好きなんだって思ってて。」
夢主はぽろぽろと涙をこぼしながら呟くように言う。
まるで小さいころから変わっていない姿に、俺も夢主も長いこと片想いしていたんだな、と思い知らされた。
「……俺のもんだ。でも俺は独占欲が強いから、お前に執着するし束縛もすると思う……。」
「いいよ、私、ずっと時重くんに束縛されたかったんだと思う。」
とんでもないことを言っている気がするが気付いていないのはお互い舞い上がっているからだろうか。
潤んだ目で見上げてくる夢主に、そっと口づけをしてあとはぎゅっと抱き合って寝た。
病み上がりの夢主はそのまま夜まで寝て、仕事から帰ってきた夢主の母親には「相変わらず仲良しなのね。」と呑気に笑われたが、ベッドで寝ているフリをしている夢主の顔は真っ赤だった。
こうして学校1、いやこの町1番の人気者で、俺の幼馴染の夢主は俺のものになった。
俺は夢主を一度手に入れたら満足してしまうのではないかと恐れていたが、それどころか次から次へと色々な欲求が出てきてしまって困るほどだった。
夢主はというと、相変わらず泣きべそをかくことはあるが、ほとんどは俺が夢主を甘やかした結果の嬉し泣きのようだった。
ずっと一緒にいたから生活は変わらなかったが、お互いの両親や学校の友人にはあっという間に付き合っていることがバレ、めちゃくちゃに冷やかされたが皆諦めてくれたのか知らないがなんだかんだ祝福してくれた。
相変わらず知らない人からはナンパはされるが、夢主も堂々と恋人がいると言えるようになったためか断れるようになって、それでもしつこいやつには俺がボコボコにすることで夢主を守っている。
「こうして、俺と夢主は付き合うことになったとさ。」
「はー?」「なんだそれ」「俺たちは今まで何を聞かされてたんだ」「NTRだ」と部員から大バッシングをされる。
部活が終わり部室を片付けながらいきさつを話してやったら、部員は皆口々に文句を言ってくる。
聞いたのはそっちじゃないか、とふんぞり返った。
その時、部室の入口からひょこっと顔を出した夢主が声をかけてきた。
「時重くん、部活終わったー?帰ろう。」
部員全員が顔を見合わせ「宇佐美の創作や妄想じゃないようだ」と絶望している様子の中、俺は夢主の手をとって颯爽と部室から出て行った。
後ろからは大ブーイングが起こっていたが、それすらも気持ちよかった。
おわり。
【あとがき:宇佐美くんめっちゃ一途そう。】