空欄の場合は夢主になります。
上等兵シリーズ
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共有/尾形・宇佐美
大学生の夢主が、尾形と宇佐美と知り合って少し経った頃。
悪い噂やストーカー被害が収まり、夢主も穏やかな日常を取り戻しつつあった。
状況が好転したきっかけはトラブルの渦中にいた夢主に尾形と宇佐美が声をかけて助け出したことである。。
基本的に無口な尾形はほとんど宇佐美に任せていたが、結果的に上手くいった。
普段夢主と宇佐美はキャッキャッと2人で盛り上がることが多いが、夢主と尾形の場合は夢主が一方的に話していて会話が続くことが少ない状態だった。
この状態が今回のお話の中心となる。
それは大学の食堂でランチを取っているときのことだった。
「ねえねえ、明日遊園地いかない?」
宇佐美が急なことを言い始めた。
夢主と尾形は揃って目を丸くした。
宇佐美はおもむろに知り合いからもらったチケットを見せた。
どうやらその知り合いの都合が悪くなったとのことで、しかもちょうどチケットは3枚ある。
夢主はそれを見てすぐにパアァッと顔を明るくした。
その様子を見て宇佐美も嬉しそうにしていた。
尾形は表情は変えなかったが、ぽつりと「お前らで行けばいい」と呟いた。
その言葉を聞いて固まる2人。
宇佐美は不思議そうにしており、夢主は悲しそうな表情を浮かべていた。
というのも、尾形は実際のところ夢主に興味を持っているが、いつも話が盛り上がるのは尾形とではなく宇佐美とだった。
夢主は話しかけてくれているが自分は積極的に話すタイプではないし、それなら2人でデートに行って、いっそ付き合えば良いとすら思っていた。
尾形自身は気付いていないが、本心では幼馴染の宇佐美を取られることも夢主が自分の前からいなくなることも尾形にとっては物凄く嫌なことだった。
誰かと一緒に幸せになることを想像できないひねくれた性格のせいか、「幸せにできないなら二人でくっつけば良い」と考えてしまっていた。
付き合いの長い宇佐美は尾形のそんな態度には慣れていた。
むしろ尾形が考えそうなことだとお見通しであった。
「何言ってるの。3枚あるんだから一緒に行こうよ。」
その言葉を聞いて夢主もうんうん、と頷く。
そして潤んだ瞳で、上目遣いに尾形を見つめて声をかけた。
「ねぇ、尾形……行こ?」
夢主に悪い噂が立つ要因の1つでもあった、その愛らしく庇護欲を刺激する仕草に、尾形は「ぐっ……」と小さく唸った。
宇佐美は尾形のそんな姿を見て「あーあ」と内心であきれ半分に笑っていた。
結局、尾形の目論見通りにはいかず、3人で遊園地に行くことになった。
当日。
ほぼルームシェア状態の3人は朝からクローゼットをひっくり返してお揃いのコーディネートを組んだ。
現地につくと浮かれた様子で遊園地で販売しているカチューシャや帽子などをさっそく購入し、記念撮影をあちこちでする。
夢主のはしゃいでいる様子を見て尾形と宇佐美は視線だけで「可愛いな」と頷き合い、意思疎通をしていた。
その後は様々なアトラクションを回った。
~ジェットコースター~
宇佐美は「わー♪」と余裕な様子。
夢主は「ひぃぃ」と悲鳴を上げて尾形にしがみつく。
しがみつかれた尾形は「ヴェッ……」とカエルのような鳴き声を放った。
そんな状態であったのにジェットコースターを降りてすぐに夢主は「もう1回!」と言い出し、これを何度か繰り返した。
~お化け屋敷~
宇佐美は「へえよくできてるねぇ。」とまじまじと観察している。お化けに追いかけられても冷静で歩くペースを変えなかったため、むしろお化け役の人間たちが戸惑う結果に。
夢主は「いやーーッ」と半泣きで尾形を盾にする。
尾形はというと、「……勇作さん?」とお化けの仕掛けとは違う方向を向いて呟いていた。
ちなみに「勇作」と言うのは尾形の異母兄弟であるが、存命である。
尾形の様子を見て夢主が更に怖がってしまい、途中でリタイアすることになってしまった。
~観覧車~
宇佐美が「高いね~」などと言いながら観覧車内をウロチョロする。
揺れにビビった夢主が「揺らさないで宇佐美……!」とやや怒る。
尾形は無言で歯を食いしばり、同じく揺れにビビっていた。
観覧車から降りたあと、夢主と尾形は無言で宇佐美に肩パンを食らわせた。
~グリーティング~
着ぐるみを見つけると一直線に駆け寄る夢主。
夢主は着ぐるみにむぎゅうと抱き着いて2人に「写真撮って!」と満面の笑みを浮かべる。
遊園地の他のどのキャラクターよりも大きくて重そうな装飾の多いそのキャラクターは、おそらく中身は男性スタッフであろうと予想がついた2人は、青筋を立て殺気を放ちながら無言でシャッターを押し、さっさと着ぐるみから夢主を引きはがした。
夢主が後で「着ぐるみの人、体調悪かったのかな?写真撮るとき震えてたよ。」と呟いたが、2人は「へぇ~」と知らんぷりをしていた。
最後に夜のパレードを場所取りをしながら待っているときのこと。
夢主がトイレに行くとその場から離れ、一時的に尾形と宇佐美は2人になった。
2人になってすぐ、宇佐美は尾形を肘で小突いた。
「百之助ェ、僕と夢主をくっつけようなんて余計な事考えるなよ。」
尾形は自分の考えが宇佐美にバレているとわかると少し悔しくなった。
ついムッとしながら答える。
「俺より、お前と話している方が楽しそうだろ、あいつ。」
「そうかなぁ~夢主は、百之助のこと「も」好きだと思うよ。」
宇佐美はわざと「も」と自分を含めた言い方を強調した。
それに気が付いた尾形は、ははあ、と笑いをこぼした。
「宇佐美、お前、夢主を俺と共有しようってか。どんな性癖だよ。」
尾形は宇佐美を批判しつつも、自分も同意見であったため半ば自虐のようなセリフを吐いていた。
「最初からそういうつもりだったんだけど?独り占めなんて許さないよ。逆に僕だけが夢主と付き合ったって、たぶん長続きしないよ。このまま3人で死ぬまで一緒に居ようよ。」
名案だと言わんばかりに、むしろそれが当然だとすら思える口ぶりで宇佐美は断言する。
尾形はそれを聞いて、前髪を撫で上げながら満足そうに「フン」と呟いた。
こうして、尾形と宇佐美の中では告白をしていないのにも関わらず夢主を恋人として勝手に認定し、2人で共有することが決定した。
話がまとまったタイミングでちょうど夢主が戻ってきた。
夢主に気付いた2人は自分たちの間に夢主を座らせる。
宇佐美は夢主の肩を抱いて、尾形は夢主の腰に腕を回した。
いつもより距離が近いことに気が付いた夢主が不思議そうに2人を交互に見る。
「どうしたの?」
それに「いや。」と答えつつ尾形の表情は柔らかく、宇佐美も夢主の肩を撫でながら「別に~」と微笑んでいた。
不思議に思いながらも、「仲が良いならいいや」と夢主は考えを放棄した。
パレードが始まりライトアップされた演出をキラキラした眼差しで見つめていた夢主がしんみりとした口調で「これからも3人で色んな所に行きたいね。」と呟くと、尾形と宇佐美は夢主の頭を優しく撫でた。
おわり。
【あとがき:テーマパーク参考、東京ディズニーラ●ド+富●急ハイランドです。】
大学生の夢主が、尾形と宇佐美と知り合って少し経った頃。
悪い噂やストーカー被害が収まり、夢主も穏やかな日常を取り戻しつつあった。
状況が好転したきっかけはトラブルの渦中にいた夢主に尾形と宇佐美が声をかけて助け出したことである。。
基本的に無口な尾形はほとんど宇佐美に任せていたが、結果的に上手くいった。
普段夢主と宇佐美はキャッキャッと2人で盛り上がることが多いが、夢主と尾形の場合は夢主が一方的に話していて会話が続くことが少ない状態だった。
この状態が今回のお話の中心となる。
それは大学の食堂でランチを取っているときのことだった。
「ねえねえ、明日遊園地いかない?」
宇佐美が急なことを言い始めた。
夢主と尾形は揃って目を丸くした。
宇佐美はおもむろに知り合いからもらったチケットを見せた。
どうやらその知り合いの都合が悪くなったとのことで、しかもちょうどチケットは3枚ある。
夢主はそれを見てすぐにパアァッと顔を明るくした。
その様子を見て宇佐美も嬉しそうにしていた。
尾形は表情は変えなかったが、ぽつりと「お前らで行けばいい」と呟いた。
その言葉を聞いて固まる2人。
宇佐美は不思議そうにしており、夢主は悲しそうな表情を浮かべていた。
というのも、尾形は実際のところ夢主に興味を持っているが、いつも話が盛り上がるのは尾形とではなく宇佐美とだった。
夢主は話しかけてくれているが自分は積極的に話すタイプではないし、それなら2人でデートに行って、いっそ付き合えば良いとすら思っていた。
尾形自身は気付いていないが、本心では幼馴染の宇佐美を取られることも夢主が自分の前からいなくなることも尾形にとっては物凄く嫌なことだった。
誰かと一緒に幸せになることを想像できないひねくれた性格のせいか、「幸せにできないなら二人でくっつけば良い」と考えてしまっていた。
付き合いの長い宇佐美は尾形のそんな態度には慣れていた。
むしろ尾形が考えそうなことだとお見通しであった。
「何言ってるの。3枚あるんだから一緒に行こうよ。」
その言葉を聞いて夢主もうんうん、と頷く。
そして潤んだ瞳で、上目遣いに尾形を見つめて声をかけた。
「ねぇ、尾形……行こ?」
夢主に悪い噂が立つ要因の1つでもあった、その愛らしく庇護欲を刺激する仕草に、尾形は「ぐっ……」と小さく唸った。
宇佐美は尾形のそんな姿を見て「あーあ」と内心であきれ半分に笑っていた。
結局、尾形の目論見通りにはいかず、3人で遊園地に行くことになった。
当日。
ほぼルームシェア状態の3人は朝からクローゼットをひっくり返してお揃いのコーディネートを組んだ。
現地につくと浮かれた様子で遊園地で販売しているカチューシャや帽子などをさっそく購入し、記念撮影をあちこちでする。
夢主のはしゃいでいる様子を見て尾形と宇佐美は視線だけで「可愛いな」と頷き合い、意思疎通をしていた。
その後は様々なアトラクションを回った。
~ジェットコースター~
宇佐美は「わー♪」と余裕な様子。
夢主は「ひぃぃ」と悲鳴を上げて尾形にしがみつく。
しがみつかれた尾形は「ヴェッ……」とカエルのような鳴き声を放った。
そんな状態であったのにジェットコースターを降りてすぐに夢主は「もう1回!」と言い出し、これを何度か繰り返した。
~お化け屋敷~
宇佐美は「へえよくできてるねぇ。」とまじまじと観察している。お化けに追いかけられても冷静で歩くペースを変えなかったため、むしろお化け役の人間たちが戸惑う結果に。
夢主は「いやーーッ」と半泣きで尾形を盾にする。
尾形はというと、「……勇作さん?」とお化けの仕掛けとは違う方向を向いて呟いていた。
ちなみに「勇作」と言うのは尾形の異母兄弟であるが、存命である。
尾形の様子を見て夢主が更に怖がってしまい、途中でリタイアすることになってしまった。
~観覧車~
宇佐美が「高いね~」などと言いながら観覧車内をウロチョロする。
揺れにビビった夢主が「揺らさないで宇佐美……!」とやや怒る。
尾形は無言で歯を食いしばり、同じく揺れにビビっていた。
観覧車から降りたあと、夢主と尾形は無言で宇佐美に肩パンを食らわせた。
~グリーティング~
着ぐるみを見つけると一直線に駆け寄る夢主。
夢主は着ぐるみにむぎゅうと抱き着いて2人に「写真撮って!」と満面の笑みを浮かべる。
遊園地の他のどのキャラクターよりも大きくて重そうな装飾の多いそのキャラクターは、おそらく中身は男性スタッフであろうと予想がついた2人は、青筋を立て殺気を放ちながら無言でシャッターを押し、さっさと着ぐるみから夢主を引きはがした。
夢主が後で「着ぐるみの人、体調悪かったのかな?写真撮るとき震えてたよ。」と呟いたが、2人は「へぇ~」と知らんぷりをしていた。
最後に夜のパレードを場所取りをしながら待っているときのこと。
夢主がトイレに行くとその場から離れ、一時的に尾形と宇佐美は2人になった。
2人になってすぐ、宇佐美は尾形を肘で小突いた。
「百之助ェ、僕と夢主をくっつけようなんて余計な事考えるなよ。」
尾形は自分の考えが宇佐美にバレているとわかると少し悔しくなった。
ついムッとしながら答える。
「俺より、お前と話している方が楽しそうだろ、あいつ。」
「そうかなぁ~夢主は、百之助のこと「も」好きだと思うよ。」
宇佐美はわざと「も」と自分を含めた言い方を強調した。
それに気が付いた尾形は、ははあ、と笑いをこぼした。
「宇佐美、お前、夢主を俺と共有しようってか。どんな性癖だよ。」
尾形は宇佐美を批判しつつも、自分も同意見であったため半ば自虐のようなセリフを吐いていた。
「最初からそういうつもりだったんだけど?独り占めなんて許さないよ。逆に僕だけが夢主と付き合ったって、たぶん長続きしないよ。このまま3人で死ぬまで一緒に居ようよ。」
名案だと言わんばかりに、むしろそれが当然だとすら思える口ぶりで宇佐美は断言する。
尾形はそれを聞いて、前髪を撫で上げながら満足そうに「フン」と呟いた。
こうして、尾形と宇佐美の中では告白をしていないのにも関わらず夢主を恋人として勝手に認定し、2人で共有することが決定した。
話がまとまったタイミングでちょうど夢主が戻ってきた。
夢主に気付いた2人は自分たちの間に夢主を座らせる。
宇佐美は夢主の肩を抱いて、尾形は夢主の腰に腕を回した。
いつもより距離が近いことに気が付いた夢主が不思議そうに2人を交互に見る。
「どうしたの?」
それに「いや。」と答えつつ尾形の表情は柔らかく、宇佐美も夢主の肩を撫でながら「別に~」と微笑んでいた。
不思議に思いながらも、「仲が良いならいいや」と夢主は考えを放棄した。
パレードが始まりライトアップされた演出をキラキラした眼差しで見つめていた夢主がしんみりとした口調で「これからも3人で色んな所に行きたいね。」と呟くと、尾形と宇佐美は夢主の頭を優しく撫でた。
おわり。
【あとがき:テーマパーク参考、東京ディズニーラ●ド+富●急ハイランドです。】