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上等兵シリーズ
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旅行/尾形・宇佐美
お昼すぎどころか午後とも言って良い時間帯、とあるオフィスの食堂で一人の女性がやや遅い昼食をとっていた。
食堂内はピークタイムを過ぎたこともあり、人がまばらにしかいなかった。
食堂の入口付近には自販機やベンチなどもあるため、食事以外にも小休憩にやってくる社員もいる。
両頬に特徴的なホクロのある宇佐美という男性が休憩がてら自販機に立ち寄り、ガコン、と音を立てて出てきたジュースを手に取り振り返ったところで食堂内で昼食をとる女性に気が付いた。
「あれ、夢主今頃ごはんなんだ?」
夢主と声をかけられた女性は、顔を上げて相手を確認するとテーブルにあった紙ナプキンで口元をぬぐいながらコクコクと頷いた。
口いっぱいに頬張ってなかなか飲み込めない様子の夢主のもとに宇佐美は歩み寄り、彼女の目の前の椅子に腰かけた。
「忙しいのはわかるけど、ゆっくり食べたらどう?」
宇佐美は夢主が急いで食事をとっている様子に、やや呆れ気味に言った。
それに対して夢主がまだ飲み込みきれずにムムッとした顔をしていると、夢主から少し離れた席から横やりが入った。
「夢主主任は、優秀らしいから休憩をとる間もないのでしょうな。」
遠くから嫌味っぽい言い回しをしたのは、夢主と宇佐美の同期である尾形という男性だった。
夢主とは違って尾形はしっかり昼休憩をとっているにも関わらず、明らかに仕事に関係のない雑誌を片手に優雅なコーヒータイムをとって堂々とサボっている様子である。
夢主たち3人は大学時代からの同級生で、共に同じ会社で働く同僚でもあった。
特に夢主は仕事も真面目にこなし人望もある優秀な社員であったが、人当たりの良さから無理難題を押し付けられることもあるため最近はワーカーホリック気味になっていた。
元来やや男勝りな性格の夢主だが、会社では猫を被っていてそこそこ大人しくしている。
しかし尾形や宇佐美の前では、旧友ということもあって素を出すことが多かった。
そんな夢主はようやく食べ物を飲み込んだところで、「そちらさんの部下が起こしたトラブルの尻ぬぐいしていましたぁ~。」と尾形に嫌味を言う。
尾形は「なんのことだか分かりませんな。」とわざとらしく肩をすくめて知らんぷりをした。
宇佐美は「あー」と最近小耳にはさんだトラブルを思い出し、あまり心のこもってない口調で「どんまい」と夢主に慰めの言葉をかけた。
夢主はまたご飯を口に運び、あっと思い出したような顔をして今度は宇佐美を指さす。
宇佐美が何?と聞きたそうな表情をすると、夢主は自分のスマホを操作して宇佐美に画面を見せる。
あるSNSが開かれていて、そこには宇佐美の上司である男が複数枚投稿されていた。
「これ門倉ってオッサンでしょ。」
「あは、見ちゃった?」
宇佐美は画面を見た瞬間にぷーっと噴き出すようにして笑い出した。
画面には宇佐美の上司の門倉を隠し撮りした様々な写真が、インターネットの海に無防備にも大量放流された様子が映し出されていた。
「なんだそれ?」
SNSをまともに見ていない尾形が聞くと、宇佐美に見せていた画面を尾形の方へ向ける。
距離があって見えなかったのか、尾形はコーヒーカップと雑誌を持ってテーブルを移動してきて画面をのぞき込んだ。
華やかな投稿の多いSNSには似つかわしくない、地味なオジサンが多種多様な構図で切り抜かれて投稿されているのを見た尾形は顔をしかめた。
「……。」
「なんでこんなことしてんの。」
呆れた様子で夢主が宇佐美に問うも、宇佐美はケタケタと笑っている。
宇佐美はやや狂気じみた笑顔を浮かべて微笑んだ。
「いやーあのオジサン僕のこと苦手みたいでさぁ。」
「嫌がらせじゃん。」
フッと夢主が馬鹿にしたように笑うと、宇佐美は「これからも楽しみにしててね♪」とふざける。
宇佐美に夢主は「いらんわ!」とツッコみを入れていた。
2人のやり取りを見ていた尾形がつまらなそうに、また雑誌に視線を落とす。
夢主がふと尾形の手元の雑誌へと視線を移すと、そこには旅行の特集があった。
「え!旅行行きたい!」
尾形の雑誌にずいっと身を乗り出して顔を近付けると、尾形が窮屈そうに眉間に皺を寄せた。
しかし夢主があまりにも嬉しそうにしているので何も言えない様子だった。
夢主がパッとテンションが上がったことつられたのか、宇佐美まで「いいね~」と乗り気になる。
こうなると多数決で決まったようなもので、確信を得た夢主は尾形を見上げて言った。
「3人で行こう?いいでしょ?ね?」
「だめっつっても行くだろうが。」
尾形がややうんざりした様子でつぶやくが、もはやどこの宿にするかで盛り上がっている2人の耳には入らなかった。
悲しいかなワーカーホリックたちは有給が余りに余っていることもあり、翌月には連休を取得できた。
職場では優秀な人員がそろいも揃って数日いないことに文句が上がったが、普段から抜け目のない仕事ぶりの彼らに反論できる人物などいなく、簡単に休みを勝ち取っていった。
3人が同期で仲がいいことは周知の事実であったが、まさか旅行に行くと思っている人はいないようだった。
門倉だけはそれでも同時に3人も…とブツブツと文句を言っていたようだが、宇佐美が数日付きまとったら何も言わなくなったそうな。
~旅行当日~
「旅行なんて社会人になってから初めてじゃない?」
「大学生の頃は、あんまり旅行なんて行けなかったしね。」
いざ出発すると新幹線の中で宇佐美と夢主がキャイキャイと騒ぎ立てる。
そんな様子を横目で見ながら尾形はフードを深く被り腕を組んで眠りについた。
しばらくして尾形が目を覚ますと組んだ腕の上に大量のお菓子がねじ込んであって、まるで供物のようになっていた。
尾形が夢主と宇佐美を見ると二人がニシシ、と双子のように同じ表情をして笑っていた。
今回の旅行は宿と新幹線だけとって、あとはぶらぶらと興味の向くままに散策するといったものだった。
さっそく宿につき荷物を置いてから身軽になったところで外へ出るが、
・尾形
集団行動ができない尾形がすぐ離脱してフラフラしてしまい、それを夢主と宇佐美で探す羽目に
・宇佐美
何故か旅行先にも関わず地元のヤンキーのような柄の悪い人種に絡まれてガチギレしそうになったところで、何とか夢主と尾形で宇佐美をなだめるイベントが発生
・夢主
ちょっと買い物で別行動をしようものなら観光客からナンパされて囲まれ、夢主を守ろうと宇佐美と尾形が激怒して騒ぎになりかける
などと、それぞれの短所(?)が爆発してとにかく慌ただしい旅となった。
そんなトラブルを乗り越えて観光地巡りやその土地のグルメを堪能した3人は、楽しい疲れにヘロヘロになって宿へ戻った。
宿には天然温泉があってそれぞれゆっくりと浸かってから夕食を楽しんだ。
久々にゆっくりと酒を飲みかわし、ご機嫌になった3人はその後大人げなく本気の枕投げをし、備品を壊しかけて酔いがさめたそうな。
夜は部屋に布団を敷いて宇佐美・夢主・尾形の順に3人川の字で横になる。
他愛のない会話ばかりしていた夢主が、突然天井を見ながらぽつりと「恋バナがしたい」と呟いた。
「よりによってこのメンツで?」
宇佐美がブハッと笑いながら言うも、夢主は「ベタなことしたい」とニヤニヤと笑った。
夢主はあわよくば宇佐美と尾形の好きな人を聞き出して、職場でからかってやろうと企んでいたのだった。
「じゃあ僕からね。僕が篤四郎さんと出会ったのは……」
宇佐美が話し始めたが、まさかの相手は会社のお偉いさんである鶴見篤四郎で、夢主も尾形もあからさまにガックリときた。
尾形が小声で「これは長いぞ…」と独り言のように言うと、夢主は罰が悪そうに小さく「ゴメン」と呟いた。
長い長い壮大な脚色という名の捏造がふんだんに散りばめられた宇佐美のラブストーリーを聞き終わった夢主はゲッソリとしていた。
自分が言い出しっぺだったことで相槌もちゃんとしなくてはいけない、と律儀にリアクションをとっていたことから夢主の真面目な性格がうかがえる。
やっと解放されたと思った瞬間に、尾形がおもむろに口を開いた。
「俺には勇作さんという異母兄弟がいてな……」
「うそでしょ尾形も話すの……。」
うんざりした様子で夢主が呟くと、宇佐美がケロッとした様子で「聞いてあげなよ」などと後押しする。
自分の恋バナで夢主が消耗しているなどとは一ミリも思っていない様子だった。
尾形の話を聞いている間に、旅の疲れもあってか夢主は眠りについてしまった。
尾形が途中で相槌がないことに気付いて話を止めると、宇佐美も夢主の顔を覗き込んで「ありゃ寝ちゃった。」と言った。
宇佐美と尾形は顔を見合わせたが、夢主が幸せそうに眠っているのを見て、どちらからともなく笑いだしてそれぞれ夢主の頭を撫でて眠りについた。
旅行を終えて会社に復帰した日、それぞれがお土産のお菓子を配ったのだが、お菓子が偶然にも全く同じものであったことから3人が一緒に旅行したことに気付いた門倉が大騒ぎして宇佐美に一発ぶん殴られたとさ。
【あとがきという名のおまけ】
尾形「おい夢主、これ見ろ。」
夢主「うわ、宇佐美ってばせっかく旅行にいったんだからSNSに旅行の写真載せなよ。なんで殴られた直後の門倉サンなのさー……。」
宇佐美「え?夢主が欲しがってると思って。」
夢主「いらんわ。」
おわり。
お昼すぎどころか午後とも言って良い時間帯、とあるオフィスの食堂で一人の女性がやや遅い昼食をとっていた。
食堂内はピークタイムを過ぎたこともあり、人がまばらにしかいなかった。
食堂の入口付近には自販機やベンチなどもあるため、食事以外にも小休憩にやってくる社員もいる。
両頬に特徴的なホクロのある宇佐美という男性が休憩がてら自販機に立ち寄り、ガコン、と音を立てて出てきたジュースを手に取り振り返ったところで食堂内で昼食をとる女性に気が付いた。
「あれ、夢主今頃ごはんなんだ?」
夢主と声をかけられた女性は、顔を上げて相手を確認するとテーブルにあった紙ナプキンで口元をぬぐいながらコクコクと頷いた。
口いっぱいに頬張ってなかなか飲み込めない様子の夢主のもとに宇佐美は歩み寄り、彼女の目の前の椅子に腰かけた。
「忙しいのはわかるけど、ゆっくり食べたらどう?」
宇佐美は夢主が急いで食事をとっている様子に、やや呆れ気味に言った。
それに対して夢主がまだ飲み込みきれずにムムッとした顔をしていると、夢主から少し離れた席から横やりが入った。
「夢主主任は、優秀らしいから休憩をとる間もないのでしょうな。」
遠くから嫌味っぽい言い回しをしたのは、夢主と宇佐美の同期である尾形という男性だった。
夢主とは違って尾形はしっかり昼休憩をとっているにも関わらず、明らかに仕事に関係のない雑誌を片手に優雅なコーヒータイムをとって堂々とサボっている様子である。
夢主たち3人は大学時代からの同級生で、共に同じ会社で働く同僚でもあった。
特に夢主は仕事も真面目にこなし人望もある優秀な社員であったが、人当たりの良さから無理難題を押し付けられることもあるため最近はワーカーホリック気味になっていた。
元来やや男勝りな性格の夢主だが、会社では猫を被っていてそこそこ大人しくしている。
しかし尾形や宇佐美の前では、旧友ということもあって素を出すことが多かった。
そんな夢主はようやく食べ物を飲み込んだところで、「そちらさんの部下が起こしたトラブルの尻ぬぐいしていましたぁ~。」と尾形に嫌味を言う。
尾形は「なんのことだか分かりませんな。」とわざとらしく肩をすくめて知らんぷりをした。
宇佐美は「あー」と最近小耳にはさんだトラブルを思い出し、あまり心のこもってない口調で「どんまい」と夢主に慰めの言葉をかけた。
夢主はまたご飯を口に運び、あっと思い出したような顔をして今度は宇佐美を指さす。
宇佐美が何?と聞きたそうな表情をすると、夢主は自分のスマホを操作して宇佐美に画面を見せる。
あるSNSが開かれていて、そこには宇佐美の上司である男が複数枚投稿されていた。
「これ門倉ってオッサンでしょ。」
「あは、見ちゃった?」
宇佐美は画面を見た瞬間にぷーっと噴き出すようにして笑い出した。
画面には宇佐美の上司の門倉を隠し撮りした様々な写真が、インターネットの海に無防備にも大量放流された様子が映し出されていた。
「なんだそれ?」
SNSをまともに見ていない尾形が聞くと、宇佐美に見せていた画面を尾形の方へ向ける。
距離があって見えなかったのか、尾形はコーヒーカップと雑誌を持ってテーブルを移動してきて画面をのぞき込んだ。
華やかな投稿の多いSNSには似つかわしくない、地味なオジサンが多種多様な構図で切り抜かれて投稿されているのを見た尾形は顔をしかめた。
「……。」
「なんでこんなことしてんの。」
呆れた様子で夢主が宇佐美に問うも、宇佐美はケタケタと笑っている。
宇佐美はやや狂気じみた笑顔を浮かべて微笑んだ。
「いやーあのオジサン僕のこと苦手みたいでさぁ。」
「嫌がらせじゃん。」
フッと夢主が馬鹿にしたように笑うと、宇佐美は「これからも楽しみにしててね♪」とふざける。
宇佐美に夢主は「いらんわ!」とツッコみを入れていた。
2人のやり取りを見ていた尾形がつまらなそうに、また雑誌に視線を落とす。
夢主がふと尾形の手元の雑誌へと視線を移すと、そこには旅行の特集があった。
「え!旅行行きたい!」
尾形の雑誌にずいっと身を乗り出して顔を近付けると、尾形が窮屈そうに眉間に皺を寄せた。
しかし夢主があまりにも嬉しそうにしているので何も言えない様子だった。
夢主がパッとテンションが上がったことつられたのか、宇佐美まで「いいね~」と乗り気になる。
こうなると多数決で決まったようなもので、確信を得た夢主は尾形を見上げて言った。
「3人で行こう?いいでしょ?ね?」
「だめっつっても行くだろうが。」
尾形がややうんざりした様子でつぶやくが、もはやどこの宿にするかで盛り上がっている2人の耳には入らなかった。
悲しいかなワーカーホリックたちは有給が余りに余っていることもあり、翌月には連休を取得できた。
職場では優秀な人員がそろいも揃って数日いないことに文句が上がったが、普段から抜け目のない仕事ぶりの彼らに反論できる人物などいなく、簡単に休みを勝ち取っていった。
3人が同期で仲がいいことは周知の事実であったが、まさか旅行に行くと思っている人はいないようだった。
門倉だけはそれでも同時に3人も…とブツブツと文句を言っていたようだが、宇佐美が数日付きまとったら何も言わなくなったそうな。
~旅行当日~
「旅行なんて社会人になってから初めてじゃない?」
「大学生の頃は、あんまり旅行なんて行けなかったしね。」
いざ出発すると新幹線の中で宇佐美と夢主がキャイキャイと騒ぎ立てる。
そんな様子を横目で見ながら尾形はフードを深く被り腕を組んで眠りについた。
しばらくして尾形が目を覚ますと組んだ腕の上に大量のお菓子がねじ込んであって、まるで供物のようになっていた。
尾形が夢主と宇佐美を見ると二人がニシシ、と双子のように同じ表情をして笑っていた。
今回の旅行は宿と新幹線だけとって、あとはぶらぶらと興味の向くままに散策するといったものだった。
さっそく宿につき荷物を置いてから身軽になったところで外へ出るが、
・尾形
集団行動ができない尾形がすぐ離脱してフラフラしてしまい、それを夢主と宇佐美で探す羽目に
・宇佐美
何故か旅行先にも関わず地元のヤンキーのような柄の悪い人種に絡まれてガチギレしそうになったところで、何とか夢主と尾形で宇佐美をなだめるイベントが発生
・夢主
ちょっと買い物で別行動をしようものなら観光客からナンパされて囲まれ、夢主を守ろうと宇佐美と尾形が激怒して騒ぎになりかける
などと、それぞれの短所(?)が爆発してとにかく慌ただしい旅となった。
そんなトラブルを乗り越えて観光地巡りやその土地のグルメを堪能した3人は、楽しい疲れにヘロヘロになって宿へ戻った。
宿には天然温泉があってそれぞれゆっくりと浸かってから夕食を楽しんだ。
久々にゆっくりと酒を飲みかわし、ご機嫌になった3人はその後大人げなく本気の枕投げをし、備品を壊しかけて酔いがさめたそうな。
夜は部屋に布団を敷いて宇佐美・夢主・尾形の順に3人川の字で横になる。
他愛のない会話ばかりしていた夢主が、突然天井を見ながらぽつりと「恋バナがしたい」と呟いた。
「よりによってこのメンツで?」
宇佐美がブハッと笑いながら言うも、夢主は「ベタなことしたい」とニヤニヤと笑った。
夢主はあわよくば宇佐美と尾形の好きな人を聞き出して、職場でからかってやろうと企んでいたのだった。
「じゃあ僕からね。僕が篤四郎さんと出会ったのは……」
宇佐美が話し始めたが、まさかの相手は会社のお偉いさんである鶴見篤四郎で、夢主も尾形もあからさまにガックリときた。
尾形が小声で「これは長いぞ…」と独り言のように言うと、夢主は罰が悪そうに小さく「ゴメン」と呟いた。
長い長い壮大な脚色という名の捏造がふんだんに散りばめられた宇佐美のラブストーリーを聞き終わった夢主はゲッソリとしていた。
自分が言い出しっぺだったことで相槌もちゃんとしなくてはいけない、と律儀にリアクションをとっていたことから夢主の真面目な性格がうかがえる。
やっと解放されたと思った瞬間に、尾形がおもむろに口を開いた。
「俺には勇作さんという異母兄弟がいてな……」
「うそでしょ尾形も話すの……。」
うんざりした様子で夢主が呟くと、宇佐美がケロッとした様子で「聞いてあげなよ」などと後押しする。
自分の恋バナで夢主が消耗しているなどとは一ミリも思っていない様子だった。
尾形の話を聞いている間に、旅の疲れもあってか夢主は眠りについてしまった。
尾形が途中で相槌がないことに気付いて話を止めると、宇佐美も夢主の顔を覗き込んで「ありゃ寝ちゃった。」と言った。
宇佐美と尾形は顔を見合わせたが、夢主が幸せそうに眠っているのを見て、どちらからともなく笑いだしてそれぞれ夢主の頭を撫でて眠りについた。
旅行を終えて会社に復帰した日、それぞれがお土産のお菓子を配ったのだが、お菓子が偶然にも全く同じものであったことから3人が一緒に旅行したことに気付いた門倉が大騒ぎして宇佐美に一発ぶん殴られたとさ。
【あとがきという名のおまけ】
尾形「おい夢主、これ見ろ。」
夢主「うわ、宇佐美ってばせっかく旅行にいったんだからSNSに旅行の写真載せなよ。なんで殴られた直後の門倉サンなのさー……。」
宇佐美「え?夢主が欲しがってると思って。」
夢主「いらんわ。」
おわり。