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尾形
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関係性/尾形
夢主と尾形は大学で知り合った。
たまたま授業が同じであることが多く、サークルでも顔をみかけるようになったことがきっかけだった。
夢主は人当たりがよく社交的な性格で、いつも一人になりがちな尾形を気にかけて話しかけていた。
はじめは尾形は夢主をウザがっていたものの、面倒見の良い夢主といると他者とのコミュニケーションを代わってくれることがあり色々と楽だと気が付いた。
夢主自身もぶっきらぼうな尾形の感情を読み取ることにはじめこそ苦労したが、不器用なりに最低限のことは伝えてくれるし、こちらのことを無理に詮索してくるようなタイプでもないから、気を遣いすぎる彼女としては尾形が相手だと変に身構える必要がなくて楽だったのだ。
気付けば居心地の良さから二人はいつも一緒にいた。
年頃の異性と常に一緒にいると周囲はそういう男女の仲であると勘違いしているが、実は二人は付き合っていない。
それどころか浮ついた話など全くせず、ゲームの話や映画の話などありきたりな話題でいつも盛り上がっていた。
最近、大学では夢主と尾形が別行動をしていると周囲があれこれ尾形のことを夢主に聞いてくるようになった。
どうやら尾形は謎多きイケメンとして有名になりつつあるようだ。
それもただの噂話程度のものであるようだったが。
直接尾形に聞くよりも、安全に情報が得られることから周囲も面白がっている部分もあるらしい。
夢主はたまたま尾形と授業が被らなかったタイミングで、周囲に質問責めにあってげっそりとしていた。
夢主にだって尾形の知らないことはあるものだが、それでも周囲としては尾形自身に聞くよりもずっと効率的なのだろう。
容赦のない質問の嵐に曝されていた。
質問内容はいつも本当に大したことがなくて、「ご飯派?パン派?」「スマホの機種は?」「今何の授業?」「昨日何食べてた?」なんてどうでもよいことばかりだった。
細かいことすぎて確かに本人に聞くのははばかられるようなものだが、それらすべてを完璧に答えられる夢主も夢主である。
「なんで皆、尾形のこと私に聞くの……。」
質問にすべて答えて疲れ切った様子でつぶやくと、周りの友人たちはどっ、と笑いだした。
「そりゃあ夢主ちゃんに懐いてるからじゃない?」「尾形って夢主にはちゃんと話すじゃん?」などと口々に言われて、確かに事実ではあるがそれでも複雑な気持ちは払拭できなかった。
「こんだけ色々尾形の面倒みてるんだから、少しは感謝してほしいな~」
そう呟いた夢主に周囲は、よしよし、と優しく慰めの言葉をかけてやった。
そうこうしていると授業を終えた尾形が教室に入ってきた。
次の授業は夢主と同じ講義である。
「あ、尾形……おつかれ~」
ぐったりとした様子で机にもたれかかる夢主に、尾形はやや驚きながら問いかけた。
「どうした。」
うぅー、と唸る夢主に、周囲の友人たちが夢主を慰めながら尾形に言う。
「夢主に言うことあるでしょ?」「ほら、いつもいつも尾形の面倒みててさ。」とさすがに察するだろうと口々に言うが、尾形は目を丸くして固まり、しばし困ったように黙り込んでしまった。
「なんでそんなに悩むの。」
夢主が不満をこぼしながら上体をやっと起こしたところで、尾形が「あ」と声を上げた。
夢主が「ん?」と視線だけをそちらにやると、尾形は抑揚のない平坦な声で言い放った。
「好きだ、付き合ってくれ。」
「……!?」
教室が騒然となり、夢主は声を失ってぱくぱくと口を動かしている。
尾形は周囲の状態を気にすることなく続けた。
「言ってなかったからな。今更言う必要もないかと思ったんだが。」
「はぁ!?え、じゃあ今まで付き合ってると思ってたの!?」
やっとの思いで夢主が聞き返すと、尾形は頷く。
尾形のその顔は緊張も恥じらいもない様子だった。
「な、なに、なんで……尾形のばか!」
顔を真っ赤にして狼狽えたかと思うと一目散に教室を飛び出していった夢主。
尾形はきょとんとして教室に残されたが、周囲が早く追いかけろ!と叱りつけると、面倒くさそうな顔をして夢主を追いかけて行った。
その後は尾形の必死そうに見えない必死の説得により、二人はめでたく付き合うことになった。
しかし二人の態度は今までと何ら変わりなく、おだやかに日々を送り、周囲もそれを温かく見守ったとさ。
おわり。
【あとがき:こういう関係性の二人こそずっと長続きしそう。】
夢主と尾形は大学で知り合った。
たまたま授業が同じであることが多く、サークルでも顔をみかけるようになったことがきっかけだった。
夢主は人当たりがよく社交的な性格で、いつも一人になりがちな尾形を気にかけて話しかけていた。
はじめは尾形は夢主をウザがっていたものの、面倒見の良い夢主といると他者とのコミュニケーションを代わってくれることがあり色々と楽だと気が付いた。
夢主自身もぶっきらぼうな尾形の感情を読み取ることにはじめこそ苦労したが、不器用なりに最低限のことは伝えてくれるし、こちらのことを無理に詮索してくるようなタイプでもないから、気を遣いすぎる彼女としては尾形が相手だと変に身構える必要がなくて楽だったのだ。
気付けば居心地の良さから二人はいつも一緒にいた。
年頃の異性と常に一緒にいると周囲はそういう男女の仲であると勘違いしているが、実は二人は付き合っていない。
それどころか浮ついた話など全くせず、ゲームの話や映画の話などありきたりな話題でいつも盛り上がっていた。
最近、大学では夢主と尾形が別行動をしていると周囲があれこれ尾形のことを夢主に聞いてくるようになった。
どうやら尾形は謎多きイケメンとして有名になりつつあるようだ。
それもただの噂話程度のものであるようだったが。
直接尾形に聞くよりも、安全に情報が得られることから周囲も面白がっている部分もあるらしい。
夢主はたまたま尾形と授業が被らなかったタイミングで、周囲に質問責めにあってげっそりとしていた。
夢主にだって尾形の知らないことはあるものだが、それでも周囲としては尾形自身に聞くよりもずっと効率的なのだろう。
容赦のない質問の嵐に曝されていた。
質問内容はいつも本当に大したことがなくて、「ご飯派?パン派?」「スマホの機種は?」「今何の授業?」「昨日何食べてた?」なんてどうでもよいことばかりだった。
細かいことすぎて確かに本人に聞くのははばかられるようなものだが、それらすべてを完璧に答えられる夢主も夢主である。
「なんで皆、尾形のこと私に聞くの……。」
質問にすべて答えて疲れ切った様子でつぶやくと、周りの友人たちはどっ、と笑いだした。
「そりゃあ夢主ちゃんに懐いてるからじゃない?」「尾形って夢主にはちゃんと話すじゃん?」などと口々に言われて、確かに事実ではあるがそれでも複雑な気持ちは払拭できなかった。
「こんだけ色々尾形の面倒みてるんだから、少しは感謝してほしいな~」
そう呟いた夢主に周囲は、よしよし、と優しく慰めの言葉をかけてやった。
そうこうしていると授業を終えた尾形が教室に入ってきた。
次の授業は夢主と同じ講義である。
「あ、尾形……おつかれ~」
ぐったりとした様子で机にもたれかかる夢主に、尾形はやや驚きながら問いかけた。
「どうした。」
うぅー、と唸る夢主に、周囲の友人たちが夢主を慰めながら尾形に言う。
「夢主に言うことあるでしょ?」「ほら、いつもいつも尾形の面倒みててさ。」とさすがに察するだろうと口々に言うが、尾形は目を丸くして固まり、しばし困ったように黙り込んでしまった。
「なんでそんなに悩むの。」
夢主が不満をこぼしながら上体をやっと起こしたところで、尾形が「あ」と声を上げた。
夢主が「ん?」と視線だけをそちらにやると、尾形は抑揚のない平坦な声で言い放った。
「好きだ、付き合ってくれ。」
「……!?」
教室が騒然となり、夢主は声を失ってぱくぱくと口を動かしている。
尾形は周囲の状態を気にすることなく続けた。
「言ってなかったからな。今更言う必要もないかと思ったんだが。」
「はぁ!?え、じゃあ今まで付き合ってると思ってたの!?」
やっとの思いで夢主が聞き返すと、尾形は頷く。
尾形のその顔は緊張も恥じらいもない様子だった。
「な、なに、なんで……尾形のばか!」
顔を真っ赤にして狼狽えたかと思うと一目散に教室を飛び出していった夢主。
尾形はきょとんとして教室に残されたが、周囲が早く追いかけろ!と叱りつけると、面倒くさそうな顔をして夢主を追いかけて行った。
その後は尾形の必死そうに見えない必死の説得により、二人はめでたく付き合うことになった。
しかし二人の態度は今までと何ら変わりなく、おだやかに日々を送り、周囲もそれを温かく見守ったとさ。
おわり。
【あとがき:こういう関係性の二人こそずっと長続きしそう。】