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尾形
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悪魔降臨/尾形
「ちょっと、誰よアンタ!」
ある日仕事を終えて家に帰ったら、見慣れないオジサン(?)がいた。
そいつはドラキュラのコスプレみたいな服装をしていて、尻尾があって、顎に特徴的な傷があって、頭に角のようなものが生えた変質者だった。
「け、警察……110ー!!」
わたわたと震える手でスマホを弄ろうとしていると、そいつが口を開いた。
「無駄だぞ。俺はお前以外には見えない。」
あら良い声。
……じゃなくて、見えないって!?こいつなんなの!?
勝手に人の家に上がり込んでいた変質者が、急にこちらにずいっと近付いた。
それは握手するよりもずっと近い距離。
その異質な間合いの詰め方に恐怖で固まっていると、そいつは至近距離で私の顔をまじまじと見つめた。
「ふん、まあまあだな。」
失礼な物言いに反射的にぶん殴ろうとしたが、彼は私の手をパシッと受け止めた。
掴まれた手首がミシッと音を立てるくらい力が強くて、私は痛みと恐怖に青ざめた。
「っ、あんた、なんなの……。」
「悪魔。」
そう手短に言い放った彼は、あんなに強く掴んでいたのに急に興味をなくしたかのように私を解放した。
私はへなへなと床にへたり込んでしまった。
「悪魔って、あの神話とかに出てくるそういう悪魔……?」
「ほかにどの悪魔があんだよ。」
もうこちらを見ることなく勝手に部屋のソファに座ると、彼は偉そうに足を組んだ。
「お前、名前は?」
「なんでアンタなんかに教えなきゃいけないの。」
不快感を一ミリも隠さずに答えるも、彼は愉快そうに笑うだけだった。
その笑顔さえ不気味だった。
だって目の奥が笑ってないんだもん。
「出てってよ。」
「はは、そりゃあ無理な相談だな。」
彼を睨むことしかできなかった。
出会いの印象は最悪そのものだったが、彼はその後も当然のように私の家に居座った。
彼の名前は「尾形百之助」というらしい。
見た目のわりにかなり古風な名前に驚いた。
本当に悪魔らしく、人間とは違い食事はいらないし、尾形がいるせいでお金がかかるなんてことはなかったから、私は彼が居座るのを許してしまった。
いちいち私の生活にアレコレ口出ししてくる尾形をうざいと感じていたが、寂しい独り身の私にはいつしか彼はちょうどいい話し相手となった。
特に危害を加えてこない尾形に私も気を許して結局名前を教えてしまったし、口うるさいペットでも飼ったと思うことにした。
「尾形さぁ、急に現れて勝手に家に上がり込んで、死ぬほどくつろいでるよね。」
休日の朝っぱらから、大きめなスウェットを寝巻にして着て私のベッドで寝転んで私のゲーム機でゲームをしている尾形を見下ろし、ベッドの脇で仁王立ちした私はジトっとした眼差しを向ける。
「ははぁ。」
彼は気にする素振りもなく笑い飛ばす。
半分くらい聞いていないだろう。
「悪魔ってさぁ、人を誘惑したり堕落させる方へ導くものよねぇ?」
「そうだが?」
尾形はこちらを見ることなく答える。
まだまだゲームに夢中だ。
彼の態度に呆れて「誰よりも堕落してんのはなんでだ……?」とつい口からこぼれてしまった。
それを聞いた尾形は、ゲームの手を止めてこちらを見上げた。
そしてフフンと得意げに前髪を撫でつけて言った。
「俺が羨ましいだろう?」
なんだか腹立たしい。
内心ムッとしてしまったが、表情ではしらけた顔を作ってやった。
「えー微妙……。」
わざとらしく私がそう答えると、尾形は悪戯な笑みを浮かべて私のゲームを適当に放り投げ、ぐい、と腕を掴んだ。
「なんだと?じゃあ堕落させてやろう。」
「ぐぁーやめろー!布団へ引き込むなぁー!」
頑張って踏ん張ったものの、初対面から変わらず尾形の人間離れした力の強さに敵わない私はベッドに引き込まれていった。
そして後ろから抱き枕にされて二人仲良く布団で二度寝してしまいました。
おわり。
【あとがき:100ローのハロウィン尾をイメージしました。】
「ちょっと、誰よアンタ!」
ある日仕事を終えて家に帰ったら、見慣れないオジサン(?)がいた。
そいつはドラキュラのコスプレみたいな服装をしていて、尻尾があって、顎に特徴的な傷があって、頭に角のようなものが生えた変質者だった。
「け、警察……110ー!!」
わたわたと震える手でスマホを弄ろうとしていると、そいつが口を開いた。
「無駄だぞ。俺はお前以外には見えない。」
あら良い声。
……じゃなくて、見えないって!?こいつなんなの!?
勝手に人の家に上がり込んでいた変質者が、急にこちらにずいっと近付いた。
それは握手するよりもずっと近い距離。
その異質な間合いの詰め方に恐怖で固まっていると、そいつは至近距離で私の顔をまじまじと見つめた。
「ふん、まあまあだな。」
失礼な物言いに反射的にぶん殴ろうとしたが、彼は私の手をパシッと受け止めた。
掴まれた手首がミシッと音を立てるくらい力が強くて、私は痛みと恐怖に青ざめた。
「っ、あんた、なんなの……。」
「悪魔。」
そう手短に言い放った彼は、あんなに強く掴んでいたのに急に興味をなくしたかのように私を解放した。
私はへなへなと床にへたり込んでしまった。
「悪魔って、あの神話とかに出てくるそういう悪魔……?」
「ほかにどの悪魔があんだよ。」
もうこちらを見ることなく勝手に部屋のソファに座ると、彼は偉そうに足を組んだ。
「お前、名前は?」
「なんでアンタなんかに教えなきゃいけないの。」
不快感を一ミリも隠さずに答えるも、彼は愉快そうに笑うだけだった。
その笑顔さえ不気味だった。
だって目の奥が笑ってないんだもん。
「出てってよ。」
「はは、そりゃあ無理な相談だな。」
彼を睨むことしかできなかった。
出会いの印象は最悪そのものだったが、彼はその後も当然のように私の家に居座った。
彼の名前は「尾形百之助」というらしい。
見た目のわりにかなり古風な名前に驚いた。
本当に悪魔らしく、人間とは違い食事はいらないし、尾形がいるせいでお金がかかるなんてことはなかったから、私は彼が居座るのを許してしまった。
いちいち私の生活にアレコレ口出ししてくる尾形をうざいと感じていたが、寂しい独り身の私にはいつしか彼はちょうどいい話し相手となった。
特に危害を加えてこない尾形に私も気を許して結局名前を教えてしまったし、口うるさいペットでも飼ったと思うことにした。
「尾形さぁ、急に現れて勝手に家に上がり込んで、死ぬほどくつろいでるよね。」
休日の朝っぱらから、大きめなスウェットを寝巻にして着て私のベッドで寝転んで私のゲーム機でゲームをしている尾形を見下ろし、ベッドの脇で仁王立ちした私はジトっとした眼差しを向ける。
「ははぁ。」
彼は気にする素振りもなく笑い飛ばす。
半分くらい聞いていないだろう。
「悪魔ってさぁ、人を誘惑したり堕落させる方へ導くものよねぇ?」
「そうだが?」
尾形はこちらを見ることなく答える。
まだまだゲームに夢中だ。
彼の態度に呆れて「誰よりも堕落してんのはなんでだ……?」とつい口からこぼれてしまった。
それを聞いた尾形は、ゲームの手を止めてこちらを見上げた。
そしてフフンと得意げに前髪を撫でつけて言った。
「俺が羨ましいだろう?」
なんだか腹立たしい。
内心ムッとしてしまったが、表情ではしらけた顔を作ってやった。
「えー微妙……。」
わざとらしく私がそう答えると、尾形は悪戯な笑みを浮かべて私のゲームを適当に放り投げ、ぐい、と腕を掴んだ。
「なんだと?じゃあ堕落させてやろう。」
「ぐぁーやめろー!布団へ引き込むなぁー!」
頑張って踏ん張ったものの、初対面から変わらず尾形の人間離れした力の強さに敵わない私はベッドに引き込まれていった。
そして後ろから抱き枕にされて二人仲良く布団で二度寝してしまいました。
おわり。
【あとがき:100ローのハロウィン尾をイメージしました。】