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尾形
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彼と彼と私/勇作と尾形
こんにちは、私は夢主といいます。
地元の高校に通う、2年生の17歳です。
私には悩み事がある。
私のクラスには花沢勇作という、成績優秀・容姿端麗・性格も良く絵にかいたような王子様がいる。
学年やクラス関係なくキャーキャーと騒がれ、男女問わず彼のことが好きな人であふれている。
私はというと、真面目で大人しくて読書が趣味の冴えない地味女。
幸いこのクラスには、イジメやカーストはなく私のほかにも同じような静かな人間もちらほらといる。
人前に出ることは苦手で、なるべくなら卒業まで静かに暮らしていたかった。
あまり目立たないようにしていたのに、皆のあこがれの勇作さんと私は机が隣である。
最近は休み時間になるごとに勇作さんの周りに人だかりができることで、私の居場所がなくなっている。
その結果、私は気を遣って休み時間になるごとにどこかで時間を潰して帰ることにしている。
これが悩み事。
昼休みならともかく、短い休み時間で図書室に行くのも全然話が進まなくてストレスだし、かといってトイレはキラキラした女子が勇作さんにアピールするために化粧をし、香水やマニキュアのキツイ匂いをまき散らしていてちっとも落ち着かない。
居場所がなくて学校中を休み時間ごとに徘徊する痛い女になってしまった。
そのうち、私は居心地の良い場所をいくつか見つけた。
建物内だったら屋上へつながる階段、外だったら中庭に繋がる通路から建物の死角になる場所にあるブロックが腰掛けるのにちょうどよかった。
人の気配もないし、落ち着いて読書ができる。
その日もいつものように中庭の日当たりと風通しの良い場所で読書をしていると、ガサガサと風の音とは違う木々の揺れる音がした。
大体鳥だったりするのだが、ふと目線を向けると人の顔が見えてギョッとする。
中庭にある背が低く葉っぱが密集している木が並ぶところに、人間がいた。
その人間は私に気付くと、シー、と指を一本立てて合図した。
私は驚きながらもコクコクと頷いて、いつものように読書をするポーズをとる。
ポーズになってしまったのは、そのかくれんぼ中の人間に意識がとられてしまっていたから。
どれくらいそうしていただろうか、気づくと遠くからガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきた。
どうやら勇作さん御一行様が大名行列のごとく校舎を徘徊しているらしい。
私のクラスは次は移動教室じゃないけどな、と不思議に思ったが、どうやらその物音たちはこちらへ向かっているようだった。
「夢主さん。」
ひょこ、と中庭の通路から顔を出した勇作さんが声をかける。
彼が私の下の名前を呼ぶのには、深い意味はない。
私のクラスには私と同じ苗字の人がいるため、区別するために誰もが私を下の名前で呼ぶ。もちろんもう片方の人も名前呼びされている。
だから、私が下の名前で勇作さんに呼ばれたとしても、誰も嫉妬はしない、はず。
しかし私は席替えで隣の席になってから、「私だけ夢主さんと呼ぶのは気が引けるから、私のことも勇作と呼んでください。」と眩しい笑顔で言われたから、仕方なく勇作さんと呼んでいるのだった。
勇作さんに名前で呼べと言われたのだから、抵抗すると今度は私がどんないじめに遭うかわからない。
大袈裟に聞こえるかもしれないが、それくらい勇作さんはクラスで権力のある偶像だった。
「勇作さん……どうかしましたか?」
恐る恐る声をかけるも、後ろの取り巻きは一応勇作さんと私の会話を聞き逃すまいと静かにしていてくれるようで、私の小さな声もちゃんと勇作さんに届いたようだ。
「兄さまを見ていませんか?」
勇作さんは子供のような笑顔を浮かべながら問いかける。
兄さま、とは彼の腹違いの兄弟だ。そして、この学校の3年生でもある尾形百之助さんだろう。
誰もが勇作さんの複雑な家庭の事情を知っている。
何故なら彼の父親の花沢幸次郎氏は地元大企業の社長だからだ。
花沢社長が不倫して孕ませた女の子供が尾形さんだった。
跡取りとして人望があり眩しい表舞台で過ごす勇作さんと、なるべく人を避けて生きている日陰者のような尾形さんが対照的だった。
私は静かに首を横に振った。
勇作さんは残念そうに「そうですか」と呟いて、私にそろそろ休み時間が終わりますよと微笑みかけてその場を後にした。
取り巻きは私のことを「あれだれ?」なんて言っていたが、なるべく気配を消していたせいで認知されていないことに驚いた。
あなた方が勇作さんの机に集まるときに視界に入っているはずなんですけどね。
少しの間ぼうっとしていると、ヌッと猫のように人間が草垣から出てきた。
草むらに隠れた人間の存在を一瞬忘れてしまっていて、驚いて身をこわばらせる。
草むらから出てきた人間の顔を見て私は思わず、あ!と声をあげた。
私がさきほど兄さまと呼ばれて思い浮かべていた「尾形百之助」だった。
眠たそうな顔をしながら一度のび~と背筋を伸ばした尾形さんは、こちらに近づいて来て「俺がいたこと誰にも言うなよ。」と念を押していなくなった。
勇作さんと尾形さんが絡んでいるところを見たことがない。
あの2人を絡ませてみたい。
なんて、とんでもない邪心が思わず出てきてしまうが、リアルで平穏な生活を送るためにも分別を身につけなくてはいけないので諦めた。
休み時間が終わる時間になったのでクラスに戻ると、勇作さんも席についていた。
「さっきはすみません。読書の邪魔をしてしまいましたか?」
「いえ……。大丈夫です。」
曖昧に微笑んで返す。
あまり勇作さんと二人きりの会話をしてしまうと、学校中が敵になりかねない。
手短に話を終わらせると、勇作さんは珍しくため息をついた。
尾形さんが中庭に現れた事件以来、私はなんとなく中庭に行きづらくなってしまって、もう一つの隠れ場所である屋上へ続く階段で読書をしていた。
屋上へ続く扉からの日差しで薄暗いながらもなんとか読書ができた。
勇作さんは休み時間になる前にいつも何か私に話しかけようとしているのだが、あっという間に大勢の人間に囲まれて身動きがとれなくなってしまっているようだった。
用事があるなら言えば良いのに、とは思ったが、彼の中で皆の前では話しにくい話題なのだろうか?
でも私から話しかけてしまえば、きっと学校中を敵に回しそうでできなかった。
いつものように階段で読書をしていたときのこと。
下から足音がした。1人だ。
先生だったらどうしよう、怒られるかな。でも、立ち入り禁止の屋上に入ったわけじゃないし、勇作さんの隣の席が休み時間には一瞬で覆いつくされるのを知っているだろうから許してくれないかな。
一瞬で色々と考え込んでると、下から上がってきた人物は尾形さんだった。
「尾形さん……。」
私がつい呟くと、名前を知られていたことに驚いた様子を見せたが、一瞬寂しそうな表情でフッと笑った。
もしかしたら、勇作さんのせいで自分が有名になってしまっていることが彼のトラウマなのかもしれない。
「お前、この前も会ったな。」
「夢主といいます。勇作さんと同じクラスで……その、休み時間は居場所がなくて。」
はっ、と馬鹿にしたように尾形さんが笑った。
尾形さんだっていつも一人でいるそうじゃないか、と少しムッとした。
「ちょうどいい。他のやつを入れるな。俺が屋上にいることは誰にも言うなよ。」
「え、入っちゃダメですよ。」
「知らん。」
優しく笑顔の多い勇作さんと冷たい態度の尾形さん。
なんでこんなに対照的なんだろう。
私はそのまま屋上へ入っていく尾形さんを見送る。
屋上への鍵が開いてるなんて知らなかった。
休み時間が終わる時間になっても尾形さんは出てこないので、扉をちょこっとあけて「そろそろ時間ですよ。」というと「あー」と気が抜けた声が返ってきてちょっと笑ってしまった。
それ以来、尾形さんは休み時間ごとに屋上に行ったし、私もその屋上の扉の前で読書をするのが日課になった。
休み時間が終わる頃にはちゃんと尾形さんを起こしてあげることも日課の1つだった。
相変わらず勇作さんは何かを話したそうにもごもごしていたが、タイミングがつかめないようだった。
私は安全地帯を手に入れたことで心穏やかに過ごせるようになったので、勇作さんには悪いけどあまり気に留めないでいた。
ある日のこと。
その日は雨が降っていて、尾形さんは屋上へ出ることができなかったようで、踊り場で読書する私の横に膝を抱えて座った。
最初は警戒して身じろぎしてしまったが、尾形さんはそのまま何も言わずぼーっとするか、たまに校則違反のパーカーのフードを顔まで被って眠りこけていた。
特に何も会話をすることはなかったが、時々尾形さんが私をじっと見ていることがあった。
さすがにこれには多少の居心地の悪さを覚えたが、何か悪口をいわれるわけでもなくただ見つめられるだけだったのでなんとか耐えた。
たまに、見回りの先生が階段にくることがあった。
もう卒業した生徒のことではあるが、数年前に学生が無断で屋上に入っていたことがあってトラブルになったらしい。
でも授業や部活で屋上を使うことがあるので学校が開いてる時間は施錠はしていないとのこと。
私は屋上には入らないし、静かに読書がしたいだけだと伝える。
先生は私のクラスがどこだかわかると納得がいったように数回頷いて、目が悪くならないように気をつけろよと言い残して帰った。
その時も屋上では尾形さんがお昼寝中だったので、実は心臓がバクバクしていたが普段大人しい私の言うことだからと納得してくれたようだ。
普段から真面目にしていて良かった……。
しばらくすると休み時間だけではなくて放課後も少しの時間だけ読書をするようになった。
というのも、勇作さんがあちらこちらの部活の助っ人に呼ばれるせいで、今度は練習試合などで他校の生徒にまで勇作さんの素晴らしさが広まってしまったようで、放課後しばらくの間は学校が騒がしくなった。
特に門の前で勇作さんの出待ちをする人や、部活に勤しむ姿を見ようと学校の周りに人だかりができてしまって、とてもじゃないが下校がしづらい。
一般の生徒たちもさすがに下校時には居心地が悪そうにしていた。
学校側も注意喚起はしているのだが、あまり効果が出ていないようだ。
そういうことで、私は放課後も読書をしていたのだが、尾形さんも帰り道に人混みを歩くのが嫌になったのかいつからか放課後にも休み時間と同じ状態に自然となった。
他の部活が終わる前で、かつ屋上の施錠に先生が来るまでに帰ることにしていた。
帰る方向がほとんど同じだったので途中までは尾形さんと帰ったが、なにも会話はなかった。
無言で歩き、別れるときに「また明日」と声をかけてそれっきり。
以前に尾形さんに「受験じゃないんですか?」と聞いたこともあったが、「フン」と鼻で笑われただけだった。
腹が立つが、多くは語らないところが彼の良さだと思ってあきらめた。
そして事件は起きた。
時間は放課後。
いつものように私は階段で読書。尾形さんは屋上でお昼寝。
珍しく今日は勇作さんが職員室に用事があったせいか、取り巻き立ちも早々に解散していた。
部活に参加の予定もなかったようで他校の生徒も勇作さんがどこにもいないと情報を得て帰っていった。
せっかく早く帰るチャンスではあったが、尾形さんを起こす仕事があるから私だけの都合で帰るのはなんとなく気が引けた。
静かで落ち着いた雰囲気の放課後の読書もまた趣があって良い!と思っていると、足音がこちらへ向かってきていた。
見回りの先生かと思って少し身構える。
すると、階段をあがってきたのは勇作さんだった。
勇作さんは私を見つけると、あっ、と声をあげて少し嬉しそうに笑った。
思わずドキッとするほどの眩しい笑顔だったが、私はペコリと会釈しただけだった。
「いつもここにいたんですか?」
「え……。」
どういう意味だろうか、彼が探しているのは「兄さま」だろう。
あ!まずい、今屋上にはその「兄さま」がいる。
なんとか話を逸らして勇作さんには帰ってもらわないと、と私は読んでいた本にしおりを挟み、頭を一生懸命回転させてどうやって彼を追い払おうかと考えていた。
彼は質問に答えていない私を無視して、意を決したような表情を浮かべた。
私が階段の上にいるので、彼は踊り場から私を見上げるような形だった。
スッといつも以上に姿勢を正し、私に向き直る。
私もつられて立ち上がり背筋を伸ばした。
え、なにごと?と思う暇もなく、勇作さんは私に思いのたけをぶつけてきた。
有り体に言えば、告白ってやつだった。
はい?と素っ頓狂な声が出た。
間抜けにも口が開いたままアホみたいな面を長いこと晒してしまった。
勇作さんは耳まで真っ赤にしつつも、唇をキュッとまっすぐに伸ばしてこちらを見上げていた。
こんな表情をしていてもカッコイイのだから、美形は得だ。
さて、どう返事をしたものかと頭をフル回転させようとした。
その時、タイミングが悪いことに、珍しく屋上の扉をあけて尾形さんが出てきてしまった。
勇作さんの声が聞こえていたのかいなかったのかは分からないが、「夢主、帰るぞ」なんて呑気なセリフが聞こえた。
私は狭い階段の上で尾形さんの方へ振り返ってギョッとしたり、勇作さんの方へ振り返って言い訳をしようとワタワタと慌ててしまったせいで、ズルッと階段を踏み外し足をすべらせた。
「わっ!」
階段を踏み外した瞬間、私はたまたま尾形さんの方を向いていた。
尾形さんが一瞬驚いた表情を浮かべて私に手を伸ばし、私もとっさに尾形さんの腕を掴んだ。
が、尾形さんが2人分の体重を支えきる前にこちらに引っ張ってしまってせいで尾形さんごと階段を落ちてしまった。
そして踊り場で見上げていた勇作さんのもとに2人でダイブ。
ドスンッと鈍い音が響いた。
「う……」
私たちの下敷きになった勇作さんが呻く。
仰向けになった勇作さんの上で、私が勇作さんに背を向ける形で同じく仰向けで乗っていた。ちょうど勇作さんの胸の辺りに私の頭がきていた。
更に私の上にこちらを向いてうつぶせに尾形さんがいた。私の顔の横には尾形さんの顔があった。
2人に守られたおかげか私には怪我などはなさそうだったが、心臓がバクバクしていてすぐには状況が理解できなかった。
起き上がれなくて私も小さく唸り声を上げた。
「うぅ、すみません尾形さん、勇作さ「おいふざけんな。」……え?」
私の上に乗っていた尾形さんが勇作さんを無視して私ごと馬乗りになっている。
さすがに「重い……」と勇作さんが悲鳴をあげるが、尾形さんは反応しない。
尾形さんに顔を近付けられて動揺したが、よく見ると尾形さんは私を飛び越えて頭上の勇作さんの方を睨んでいた。
勇作さんは苦しそうに「兄さま、おりて……。」と呟くだけだった。
2人に挟まれる形で身動きがとれずにいたが、尾形さんが起き上がったことでフッと身体が軽くなって、私もやっと勇作さんの上から離れられた。
お二人共すみません、と謝ろうとしたが、それより尾形さんの先ほどの「ふざけんな」の意味が分からなくて何も言えずにいた。
踊り場で3人で向き直る。
勇作さんはゴホゴホとむせ返り、尾形さんは相変わらずムッとしたまま何も言わない。
沈黙が流れたが、ようやく落ち着きを取り戻した勇作さんが問う。
「兄さま、ふざけるなとはどういう意味でしょうか。」
「勇作、お前、夢主に告白してただろ。」
……!聞かれていた。
私は居心地が悪くなって俯きながら両手の指をもじもじと動かす。
2人の顔が見れなかった。
「俺が先に夢主と過ごしてたんだよ。邪魔するな。」
「に、兄さまと付き合ってるんですか?」
勇作さんに問いかけられて、思わずバッと顔を上げる。
違う、そんな関係じゃなかった。
ただ休み時間と放課後を静かに過ごす……あれ、でも一緒に帰ってて……いやいや、ほぼ毎日こうだったけど告白されてないよ!?
「えっ、いや、ほとんど会話なんて……。」
ついそう答えると今度は尾形さんの矛先が私に向く。
「夢主……てめえ。」
「えっえっなんでですかごめんなさいすみませんっ、だって尾形さんほとんど話さないからっ……。」
「夢主さん、兄さまの好意を無下にしていたのですか!?」
待ってよ勇作さんまでなんで私を責めるの!?
兄さま>私って感じなのか!?
どういうことなの!?と、この状況に混乱していると強引に尾形さんに肩を抱き寄せられる。
そして、俺のだろ?と低い声で囁かれた。
ゾワゾワッと鳥肌がたったが、不快ではなくて、それが余計に私を混乱させた。
その状況を見た勇作さんが「で、でも私だって夢主さんをいつも見ていました!」と子供のように喚いて、尾形さんごと私を抱きしめる。
尾形さんは触るんじゃねえ、と呟いたが勇作さんの力強い抱擁に動けない様子だった。
なんなのこの人たち。
私が鈍感とかじゃなくて、普通に今まで好意を伝えるような行動してなかったのに急に2人で迫るとかずるい!
目を回していると、階下から見回りの先生の声が聞こえた。
そろそろ施錠するのだろう。
しかし、動揺しているのだろう勇作さんが私たちを抱きしめたまま、先生に顔を出してしまった。
先生もそれはそれは驚いた様子を見せた。
小さく「おっ……」って聞こえて、そのまま言葉をなくしたようだった。
無理もない。
だって尾形さんが私を抱きしめて、その上から勇作さんが私たち2人を抱きしめているんだもの。
さすが大人ってだけあって、一瞬で考えを放棄した先生は「早く帰れよ」と一言言い残して帰ってしまった。
先生がいなくなってから、サッとお互い離れ向き直る。
そしてしばしの沈黙。
「やばいんじゃないですか!?明日から学校にいけないかもしれないですよ!?」
私が取り乱すと、2人は一瞬黙ったが顔を見合わせるとフッと笑ってそのままケタケタと笑い転げた。
笑い話じゃない!私は一生懸命平穏な生活を守っていたというのに!
どうしようどうしようとブツブツと呟き落ち着きをなくす私。
しかし、そんな私を見ても2人は笑いを止めることはなかった。
「いいんじゃねえか?」
「どうせ私たち、有名人ですから。」
こ、こいつら~~~と思い、私は頭を抱えた。
こうして、私の残りの学校生活は2人の有名人から堂々と公衆の面前で取り合いをされ、今まで顔すら覚えられていなかったというのにあっという間に話題の中心人物へと無理矢理表舞台に引きずりだされた。
幸か不幸か、学校には嫌がらせをするような人間はおらず、むしろ動物園のパンダみたいな扱いを受けていたとさ。
めでたしめでたし(?)
おわり。
【あとがき:勇作→ヒロイン←尾形が書きたかったけど、前提に勇作→尾形があってものすごく面倒でしたw】
こんにちは、私は夢主といいます。
地元の高校に通う、2年生の17歳です。
私には悩み事がある。
私のクラスには花沢勇作という、成績優秀・容姿端麗・性格も良く絵にかいたような王子様がいる。
学年やクラス関係なくキャーキャーと騒がれ、男女問わず彼のことが好きな人であふれている。
私はというと、真面目で大人しくて読書が趣味の冴えない地味女。
幸いこのクラスには、イジメやカーストはなく私のほかにも同じような静かな人間もちらほらといる。
人前に出ることは苦手で、なるべくなら卒業まで静かに暮らしていたかった。
あまり目立たないようにしていたのに、皆のあこがれの勇作さんと私は机が隣である。
最近は休み時間になるごとに勇作さんの周りに人だかりができることで、私の居場所がなくなっている。
その結果、私は気を遣って休み時間になるごとにどこかで時間を潰して帰ることにしている。
これが悩み事。
昼休みならともかく、短い休み時間で図書室に行くのも全然話が進まなくてストレスだし、かといってトイレはキラキラした女子が勇作さんにアピールするために化粧をし、香水やマニキュアのキツイ匂いをまき散らしていてちっとも落ち着かない。
居場所がなくて学校中を休み時間ごとに徘徊する痛い女になってしまった。
そのうち、私は居心地の良い場所をいくつか見つけた。
建物内だったら屋上へつながる階段、外だったら中庭に繋がる通路から建物の死角になる場所にあるブロックが腰掛けるのにちょうどよかった。
人の気配もないし、落ち着いて読書ができる。
その日もいつものように中庭の日当たりと風通しの良い場所で読書をしていると、ガサガサと風の音とは違う木々の揺れる音がした。
大体鳥だったりするのだが、ふと目線を向けると人の顔が見えてギョッとする。
中庭にある背が低く葉っぱが密集している木が並ぶところに、人間がいた。
その人間は私に気付くと、シー、と指を一本立てて合図した。
私は驚きながらもコクコクと頷いて、いつものように読書をするポーズをとる。
ポーズになってしまったのは、そのかくれんぼ中の人間に意識がとられてしまっていたから。
どれくらいそうしていただろうか、気づくと遠くからガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきた。
どうやら勇作さん御一行様が大名行列のごとく校舎を徘徊しているらしい。
私のクラスは次は移動教室じゃないけどな、と不思議に思ったが、どうやらその物音たちはこちらへ向かっているようだった。
「夢主さん。」
ひょこ、と中庭の通路から顔を出した勇作さんが声をかける。
彼が私の下の名前を呼ぶのには、深い意味はない。
私のクラスには私と同じ苗字の人がいるため、区別するために誰もが私を下の名前で呼ぶ。もちろんもう片方の人も名前呼びされている。
だから、私が下の名前で勇作さんに呼ばれたとしても、誰も嫉妬はしない、はず。
しかし私は席替えで隣の席になってから、「私だけ夢主さんと呼ぶのは気が引けるから、私のことも勇作と呼んでください。」と眩しい笑顔で言われたから、仕方なく勇作さんと呼んでいるのだった。
勇作さんに名前で呼べと言われたのだから、抵抗すると今度は私がどんないじめに遭うかわからない。
大袈裟に聞こえるかもしれないが、それくらい勇作さんはクラスで権力のある偶像だった。
「勇作さん……どうかしましたか?」
恐る恐る声をかけるも、後ろの取り巻きは一応勇作さんと私の会話を聞き逃すまいと静かにしていてくれるようで、私の小さな声もちゃんと勇作さんに届いたようだ。
「兄さまを見ていませんか?」
勇作さんは子供のような笑顔を浮かべながら問いかける。
兄さま、とは彼の腹違いの兄弟だ。そして、この学校の3年生でもある尾形百之助さんだろう。
誰もが勇作さんの複雑な家庭の事情を知っている。
何故なら彼の父親の花沢幸次郎氏は地元大企業の社長だからだ。
花沢社長が不倫して孕ませた女の子供が尾形さんだった。
跡取りとして人望があり眩しい表舞台で過ごす勇作さんと、なるべく人を避けて生きている日陰者のような尾形さんが対照的だった。
私は静かに首を横に振った。
勇作さんは残念そうに「そうですか」と呟いて、私にそろそろ休み時間が終わりますよと微笑みかけてその場を後にした。
取り巻きは私のことを「あれだれ?」なんて言っていたが、なるべく気配を消していたせいで認知されていないことに驚いた。
あなた方が勇作さんの机に集まるときに視界に入っているはずなんですけどね。
少しの間ぼうっとしていると、ヌッと猫のように人間が草垣から出てきた。
草むらに隠れた人間の存在を一瞬忘れてしまっていて、驚いて身をこわばらせる。
草むらから出てきた人間の顔を見て私は思わず、あ!と声をあげた。
私がさきほど兄さまと呼ばれて思い浮かべていた「尾形百之助」だった。
眠たそうな顔をしながら一度のび~と背筋を伸ばした尾形さんは、こちらに近づいて来て「俺がいたこと誰にも言うなよ。」と念を押していなくなった。
勇作さんと尾形さんが絡んでいるところを見たことがない。
あの2人を絡ませてみたい。
なんて、とんでもない邪心が思わず出てきてしまうが、リアルで平穏な生活を送るためにも分別を身につけなくてはいけないので諦めた。
休み時間が終わる時間になったのでクラスに戻ると、勇作さんも席についていた。
「さっきはすみません。読書の邪魔をしてしまいましたか?」
「いえ……。大丈夫です。」
曖昧に微笑んで返す。
あまり勇作さんと二人きりの会話をしてしまうと、学校中が敵になりかねない。
手短に話を終わらせると、勇作さんは珍しくため息をついた。
尾形さんが中庭に現れた事件以来、私はなんとなく中庭に行きづらくなってしまって、もう一つの隠れ場所である屋上へ続く階段で読書をしていた。
屋上へ続く扉からの日差しで薄暗いながらもなんとか読書ができた。
勇作さんは休み時間になる前にいつも何か私に話しかけようとしているのだが、あっという間に大勢の人間に囲まれて身動きがとれなくなってしまっているようだった。
用事があるなら言えば良いのに、とは思ったが、彼の中で皆の前では話しにくい話題なのだろうか?
でも私から話しかけてしまえば、きっと学校中を敵に回しそうでできなかった。
いつものように階段で読書をしていたときのこと。
下から足音がした。1人だ。
先生だったらどうしよう、怒られるかな。でも、立ち入り禁止の屋上に入ったわけじゃないし、勇作さんの隣の席が休み時間には一瞬で覆いつくされるのを知っているだろうから許してくれないかな。
一瞬で色々と考え込んでると、下から上がってきた人物は尾形さんだった。
「尾形さん……。」
私がつい呟くと、名前を知られていたことに驚いた様子を見せたが、一瞬寂しそうな表情でフッと笑った。
もしかしたら、勇作さんのせいで自分が有名になってしまっていることが彼のトラウマなのかもしれない。
「お前、この前も会ったな。」
「夢主といいます。勇作さんと同じクラスで……その、休み時間は居場所がなくて。」
はっ、と馬鹿にしたように尾形さんが笑った。
尾形さんだっていつも一人でいるそうじゃないか、と少しムッとした。
「ちょうどいい。他のやつを入れるな。俺が屋上にいることは誰にも言うなよ。」
「え、入っちゃダメですよ。」
「知らん。」
優しく笑顔の多い勇作さんと冷たい態度の尾形さん。
なんでこんなに対照的なんだろう。
私はそのまま屋上へ入っていく尾形さんを見送る。
屋上への鍵が開いてるなんて知らなかった。
休み時間が終わる時間になっても尾形さんは出てこないので、扉をちょこっとあけて「そろそろ時間ですよ。」というと「あー」と気が抜けた声が返ってきてちょっと笑ってしまった。
それ以来、尾形さんは休み時間ごとに屋上に行ったし、私もその屋上の扉の前で読書をするのが日課になった。
休み時間が終わる頃にはちゃんと尾形さんを起こしてあげることも日課の1つだった。
相変わらず勇作さんは何かを話したそうにもごもごしていたが、タイミングがつかめないようだった。
私は安全地帯を手に入れたことで心穏やかに過ごせるようになったので、勇作さんには悪いけどあまり気に留めないでいた。
ある日のこと。
その日は雨が降っていて、尾形さんは屋上へ出ることができなかったようで、踊り場で読書する私の横に膝を抱えて座った。
最初は警戒して身じろぎしてしまったが、尾形さんはそのまま何も言わずぼーっとするか、たまに校則違反のパーカーのフードを顔まで被って眠りこけていた。
特に何も会話をすることはなかったが、時々尾形さんが私をじっと見ていることがあった。
さすがにこれには多少の居心地の悪さを覚えたが、何か悪口をいわれるわけでもなくただ見つめられるだけだったのでなんとか耐えた。
たまに、見回りの先生が階段にくることがあった。
もう卒業した生徒のことではあるが、数年前に学生が無断で屋上に入っていたことがあってトラブルになったらしい。
でも授業や部活で屋上を使うことがあるので学校が開いてる時間は施錠はしていないとのこと。
私は屋上には入らないし、静かに読書がしたいだけだと伝える。
先生は私のクラスがどこだかわかると納得がいったように数回頷いて、目が悪くならないように気をつけろよと言い残して帰った。
その時も屋上では尾形さんがお昼寝中だったので、実は心臓がバクバクしていたが普段大人しい私の言うことだからと納得してくれたようだ。
普段から真面目にしていて良かった……。
しばらくすると休み時間だけではなくて放課後も少しの時間だけ読書をするようになった。
というのも、勇作さんがあちらこちらの部活の助っ人に呼ばれるせいで、今度は練習試合などで他校の生徒にまで勇作さんの素晴らしさが広まってしまったようで、放課後しばらくの間は学校が騒がしくなった。
特に門の前で勇作さんの出待ちをする人や、部活に勤しむ姿を見ようと学校の周りに人だかりができてしまって、とてもじゃないが下校がしづらい。
一般の生徒たちもさすがに下校時には居心地が悪そうにしていた。
学校側も注意喚起はしているのだが、あまり効果が出ていないようだ。
そういうことで、私は放課後も読書をしていたのだが、尾形さんも帰り道に人混みを歩くのが嫌になったのかいつからか放課後にも休み時間と同じ状態に自然となった。
他の部活が終わる前で、かつ屋上の施錠に先生が来るまでに帰ることにしていた。
帰る方向がほとんど同じだったので途中までは尾形さんと帰ったが、なにも会話はなかった。
無言で歩き、別れるときに「また明日」と声をかけてそれっきり。
以前に尾形さんに「受験じゃないんですか?」と聞いたこともあったが、「フン」と鼻で笑われただけだった。
腹が立つが、多くは語らないところが彼の良さだと思ってあきらめた。
そして事件は起きた。
時間は放課後。
いつものように私は階段で読書。尾形さんは屋上でお昼寝。
珍しく今日は勇作さんが職員室に用事があったせいか、取り巻き立ちも早々に解散していた。
部活に参加の予定もなかったようで他校の生徒も勇作さんがどこにもいないと情報を得て帰っていった。
せっかく早く帰るチャンスではあったが、尾形さんを起こす仕事があるから私だけの都合で帰るのはなんとなく気が引けた。
静かで落ち着いた雰囲気の放課後の読書もまた趣があって良い!と思っていると、足音がこちらへ向かってきていた。
見回りの先生かと思って少し身構える。
すると、階段をあがってきたのは勇作さんだった。
勇作さんは私を見つけると、あっ、と声をあげて少し嬉しそうに笑った。
思わずドキッとするほどの眩しい笑顔だったが、私はペコリと会釈しただけだった。
「いつもここにいたんですか?」
「え……。」
どういう意味だろうか、彼が探しているのは「兄さま」だろう。
あ!まずい、今屋上にはその「兄さま」がいる。
なんとか話を逸らして勇作さんには帰ってもらわないと、と私は読んでいた本にしおりを挟み、頭を一生懸命回転させてどうやって彼を追い払おうかと考えていた。
彼は質問に答えていない私を無視して、意を決したような表情を浮かべた。
私が階段の上にいるので、彼は踊り場から私を見上げるような形だった。
スッといつも以上に姿勢を正し、私に向き直る。
私もつられて立ち上がり背筋を伸ばした。
え、なにごと?と思う暇もなく、勇作さんは私に思いのたけをぶつけてきた。
有り体に言えば、告白ってやつだった。
はい?と素っ頓狂な声が出た。
間抜けにも口が開いたままアホみたいな面を長いこと晒してしまった。
勇作さんは耳まで真っ赤にしつつも、唇をキュッとまっすぐに伸ばしてこちらを見上げていた。
こんな表情をしていてもカッコイイのだから、美形は得だ。
さて、どう返事をしたものかと頭をフル回転させようとした。
その時、タイミングが悪いことに、珍しく屋上の扉をあけて尾形さんが出てきてしまった。
勇作さんの声が聞こえていたのかいなかったのかは分からないが、「夢主、帰るぞ」なんて呑気なセリフが聞こえた。
私は狭い階段の上で尾形さんの方へ振り返ってギョッとしたり、勇作さんの方へ振り返って言い訳をしようとワタワタと慌ててしまったせいで、ズルッと階段を踏み外し足をすべらせた。
「わっ!」
階段を踏み外した瞬間、私はたまたま尾形さんの方を向いていた。
尾形さんが一瞬驚いた表情を浮かべて私に手を伸ばし、私もとっさに尾形さんの腕を掴んだ。
が、尾形さんが2人分の体重を支えきる前にこちらに引っ張ってしまってせいで尾形さんごと階段を落ちてしまった。
そして踊り場で見上げていた勇作さんのもとに2人でダイブ。
ドスンッと鈍い音が響いた。
「う……」
私たちの下敷きになった勇作さんが呻く。
仰向けになった勇作さんの上で、私が勇作さんに背を向ける形で同じく仰向けで乗っていた。ちょうど勇作さんの胸の辺りに私の頭がきていた。
更に私の上にこちらを向いてうつぶせに尾形さんがいた。私の顔の横には尾形さんの顔があった。
2人に守られたおかげか私には怪我などはなさそうだったが、心臓がバクバクしていてすぐには状況が理解できなかった。
起き上がれなくて私も小さく唸り声を上げた。
「うぅ、すみません尾形さん、勇作さ「おいふざけんな。」……え?」
私の上に乗っていた尾形さんが勇作さんを無視して私ごと馬乗りになっている。
さすがに「重い……」と勇作さんが悲鳴をあげるが、尾形さんは反応しない。
尾形さんに顔を近付けられて動揺したが、よく見ると尾形さんは私を飛び越えて頭上の勇作さんの方を睨んでいた。
勇作さんは苦しそうに「兄さま、おりて……。」と呟くだけだった。
2人に挟まれる形で身動きがとれずにいたが、尾形さんが起き上がったことでフッと身体が軽くなって、私もやっと勇作さんの上から離れられた。
お二人共すみません、と謝ろうとしたが、それより尾形さんの先ほどの「ふざけんな」の意味が分からなくて何も言えずにいた。
踊り場で3人で向き直る。
勇作さんはゴホゴホとむせ返り、尾形さんは相変わらずムッとしたまま何も言わない。
沈黙が流れたが、ようやく落ち着きを取り戻した勇作さんが問う。
「兄さま、ふざけるなとはどういう意味でしょうか。」
「勇作、お前、夢主に告白してただろ。」
……!聞かれていた。
私は居心地が悪くなって俯きながら両手の指をもじもじと動かす。
2人の顔が見れなかった。
「俺が先に夢主と過ごしてたんだよ。邪魔するな。」
「に、兄さまと付き合ってるんですか?」
勇作さんに問いかけられて、思わずバッと顔を上げる。
違う、そんな関係じゃなかった。
ただ休み時間と放課後を静かに過ごす……あれ、でも一緒に帰ってて……いやいや、ほぼ毎日こうだったけど告白されてないよ!?
「えっ、いや、ほとんど会話なんて……。」
ついそう答えると今度は尾形さんの矛先が私に向く。
「夢主……てめえ。」
「えっえっなんでですかごめんなさいすみませんっ、だって尾形さんほとんど話さないからっ……。」
「夢主さん、兄さまの好意を無下にしていたのですか!?」
待ってよ勇作さんまでなんで私を責めるの!?
兄さま>私って感じなのか!?
どういうことなの!?と、この状況に混乱していると強引に尾形さんに肩を抱き寄せられる。
そして、俺のだろ?と低い声で囁かれた。
ゾワゾワッと鳥肌がたったが、不快ではなくて、それが余計に私を混乱させた。
その状況を見た勇作さんが「で、でも私だって夢主さんをいつも見ていました!」と子供のように喚いて、尾形さんごと私を抱きしめる。
尾形さんは触るんじゃねえ、と呟いたが勇作さんの力強い抱擁に動けない様子だった。
なんなのこの人たち。
私が鈍感とかじゃなくて、普通に今まで好意を伝えるような行動してなかったのに急に2人で迫るとかずるい!
目を回していると、階下から見回りの先生の声が聞こえた。
そろそろ施錠するのだろう。
しかし、動揺しているのだろう勇作さんが私たちを抱きしめたまま、先生に顔を出してしまった。
先生もそれはそれは驚いた様子を見せた。
小さく「おっ……」って聞こえて、そのまま言葉をなくしたようだった。
無理もない。
だって尾形さんが私を抱きしめて、その上から勇作さんが私たち2人を抱きしめているんだもの。
さすが大人ってだけあって、一瞬で考えを放棄した先生は「早く帰れよ」と一言言い残して帰ってしまった。
先生がいなくなってから、サッとお互い離れ向き直る。
そしてしばしの沈黙。
「やばいんじゃないですか!?明日から学校にいけないかもしれないですよ!?」
私が取り乱すと、2人は一瞬黙ったが顔を見合わせるとフッと笑ってそのままケタケタと笑い転げた。
笑い話じゃない!私は一生懸命平穏な生活を守っていたというのに!
どうしようどうしようとブツブツと呟き落ち着きをなくす私。
しかし、そんな私を見ても2人は笑いを止めることはなかった。
「いいんじゃねえか?」
「どうせ私たち、有名人ですから。」
こ、こいつら~~~と思い、私は頭を抱えた。
こうして、私の残りの学校生活は2人の有名人から堂々と公衆の面前で取り合いをされ、今まで顔すら覚えられていなかったというのにあっという間に話題の中心人物へと無理矢理表舞台に引きずりだされた。
幸か不幸か、学校には嫌がらせをするような人間はおらず、むしろ動物園のパンダみたいな扱いを受けていたとさ。
めでたしめでたし(?)
おわり。
【あとがき:勇作→ヒロイン←尾形が書きたかったけど、前提に勇作→尾形があってものすごく面倒でしたw】