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後日談
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後日談
あれから私と尾形さんは同棲している。
ほとんど私の家に尾形さんが身一つで転がり込んだようなものだったが。
他人の家ですぐにくつろいだ尾形さんを見て、まるで野良猫を家にあげたときの気持ちだった。
ケンカもするし、嫌なところなんてあの頃からたくさんある。
でも、なんだかんだいってずっと一緒にいる。
こんな関係が心地いいのだ。
その日はあまりに出不精な尾形さんを買い物がてら散歩にでも行こうと連れ出した日のこと。
二人で手を繋いで歩いていると、あるモノに気付いた。
「ねえ尾形さん。」
「なんだ。」
私が声をかけるも、外を歩くのが嫌だったのかお気に入りのパーカーのフードを被った尾形さんは視線を向けずに答える。
「あれって……もしかして……。」
私が指をさすと尾形さんもそちらへ視線を向けた。
そこには、道路の真ん中で犬にお尻を咬まれている白石さんがいた。
白石さんらしきお尻が「イヤーッ」と悲鳴を上げているが、犬はリードが切れているようで自由にやりたい放題だった。
「白石だな。」
尾形さんは驚きもせずに答える。
だよねえ、と答えた私は思わず白石さんのお尻にかけよった。
私と手を繋いでいたため尾形さんは強制的に嫌々ながらついてきた。
「白石さん?」
「エッ!?あーっ!夢主ちゃん!久しぶり!助けて!」
驚きつつもすぐに嬉しそうに私に笑いかける白石さん。
しかしお尻は相変わらず犬にガブガブと咬まれていて、少し出血しているようだった。
凶暴な犬に襲われないようにしっしっと追い払うと犬はそのまま逃げていった。
逃げ先を見るに、近所の家の飼い犬のようだ。
ようやく解放された白石さんはヘラヘラ笑った。
「いやーお金なくてあそこの家の犬のごはんもらおうとしたらえらい目に遭った。ありがとう夢主ちゃん。あれ?うそ……尾形ぁ?」
私に駆け寄った白石さんが、私の隣にいた尾形さんにようやく気付いた様子。
驚いたように目を丸くした白石さんだったが、私たちが手をつないだままだったため私と尾形さんの関係に気付いたのかイーッと急に威嚇していた。
「白石さんもこの時代にいたんですね。」
「そうなんだよー、あれから楽しく暮らしてたのに、気づいたらこっちにいたっていうか?最初はびっくりしたよ。でも俺元々ここにいたのかなって感じに馴染んでるよ。ご飯も美味しいし酒もギャンブルも楽しいし最高だね。」
それはなにより、とクスクスと笑っていると後ろから聞き覚えのある声が。
「おーい白石ー。」「白石何してんだー?」
驚いて振り向くと、そこには杉元さんとアシリパさんが駆け寄ってきていた。
尾形さんは私の後ろにサッと隠れていた。
最期が最期だもんな。
杉元さんもアシリパさんも、見慣れない現代人の格好をしていた。
アシリパさんはハーフ顔の清楚で可愛らしい少女だし、杉元さんは相変わらず顔に傷があるものの好青年感が半端じゃない。
「杉元さん!アシリパさん!お元気でしたか?」
「えー!?夢主ちゃんもここにいたんだ!?」
杉元さんが嬉しそうに私に話しかける。
アシリパさんは、私に駆け寄ってきたかと思えば後ろの尾形さんを指さして笑った。
「夢主は尾形とデートか。」
その言葉を聞いた途端、杉元さんの表情が一変した。
「なに~~!?クソ尾形コラァ!」
怒りをぶつける杉元さんだったが、もうあの時のように銃も剣もない状態だった。
それでもつかみかかろうとしている様子だったので慌てて間に入ると、杉元さんはバツが悪そうに呟く。
「夢主ちゃんが選んだなら、しょうがないね……。」
「杉元さんにはアシリパさんがいるでしょう。」
私がそう笑いかけると、アシリパさんが恥ずかしかったのか「いぃ~~っ」と奇声を発していた。
そんなやりとりをしていると、誰からともなく笑いだして、最終的には皆でアハハとその場で笑いあった。
珍しく尾形さんも胡散臭い笑みを浮かべてハハハと笑っていて、なんだかあの頃の経験がウソのようであった。
こうして再会をした私たちだったが、ほかにも再会した人物がいた。
鯉登さんと月島さんはゲームセンターで、谷垣さんとインカラマッさんにはフチさんがやっている食堂で、チカパシくんとエノノカちゃんはアシリパさんの通う学校で……このペースだと他の人たちにも会えそうだ。
気付けば大所帯になった私たちは、暇さえあれば誰かの家に集まってあの日の出来事を語り合っている。
その流れであの漫画も全員に見せた。
皆最初は驚きつつも、自分の思い出のアルバムを見ているかのような懐かしさを覚えているようだった。
考えていることや計画、お互いが知らなかった部分を漫画で初めて知ることもあって、少し気恥ずかしそうにすることもあった。
相変わらず尾形さんと杉元さんは折り合いが悪く何かにつけて喧嘩をしているが、以前の殺し合いと比べれば少し穏やかになったようだ。
月島さんや鯉登さんに久々に再会し以前の無礼の謝罪や私が元々この時代にいたことなどをお話したところ、2人はいろんなことに合点がいったと笑ってくれた。
漫画の通りアイヌの金塊がどうであったかは杉元さんたちしか詳細は知らないようだが、北海道に広がる緑と継承されているアイヌ文化がすべてなのだろう。
白石さんは原作の最後に出てくるあの金貨はこちらに来るときに消失してしまっていたと悲しげに教えてくれた。
現状私たちの手出しのできない状態だと情報を整理したところで、「あの時のことはあの時のこととして、現代まで平和に世界が続いていることで決着としよう」と暗黙の了解のように落ち着き、自然と誰も争わないこととなった。
不思議な経験をした私たちだったが、せっかくまた出会えた縁だからとこれからもこうやって交流を深めていこうと思う。
あの日、私が急に明治時代の北海道に飛ばされた経験は、切ないけれど美しい思い出として素晴らしいものとなった。
辛い思いもたくさんしたが、これからも大切な人たちと一緒にいられますようにと切に願う。
【あとがき:わたくし超ハッピーエンドじゃないとやってられないタイプなので後日談を入れました。
これで本当に完結です。ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
これからの皆様の良き創作物ライフをお祈り申し上げます(*´ω`*)】
あれから私と尾形さんは同棲している。
ほとんど私の家に尾形さんが身一つで転がり込んだようなものだったが。
他人の家ですぐにくつろいだ尾形さんを見て、まるで野良猫を家にあげたときの気持ちだった。
ケンカもするし、嫌なところなんてあの頃からたくさんある。
でも、なんだかんだいってずっと一緒にいる。
こんな関係が心地いいのだ。
その日はあまりに出不精な尾形さんを買い物がてら散歩にでも行こうと連れ出した日のこと。
二人で手を繋いで歩いていると、あるモノに気付いた。
「ねえ尾形さん。」
「なんだ。」
私が声をかけるも、外を歩くのが嫌だったのかお気に入りのパーカーのフードを被った尾形さんは視線を向けずに答える。
「あれって……もしかして……。」
私が指をさすと尾形さんもそちらへ視線を向けた。
そこには、道路の真ん中で犬にお尻を咬まれている白石さんがいた。
白石さんらしきお尻が「イヤーッ」と悲鳴を上げているが、犬はリードが切れているようで自由にやりたい放題だった。
「白石だな。」
尾形さんは驚きもせずに答える。
だよねえ、と答えた私は思わず白石さんのお尻にかけよった。
私と手を繋いでいたため尾形さんは強制的に嫌々ながらついてきた。
「白石さん?」
「エッ!?あーっ!夢主ちゃん!久しぶり!助けて!」
驚きつつもすぐに嬉しそうに私に笑いかける白石さん。
しかしお尻は相変わらず犬にガブガブと咬まれていて、少し出血しているようだった。
凶暴な犬に襲われないようにしっしっと追い払うと犬はそのまま逃げていった。
逃げ先を見るに、近所の家の飼い犬のようだ。
ようやく解放された白石さんはヘラヘラ笑った。
「いやーお金なくてあそこの家の犬のごはんもらおうとしたらえらい目に遭った。ありがとう夢主ちゃん。あれ?うそ……尾形ぁ?」
私に駆け寄った白石さんが、私の隣にいた尾形さんにようやく気付いた様子。
驚いたように目を丸くした白石さんだったが、私たちが手をつないだままだったため私と尾形さんの関係に気付いたのかイーッと急に威嚇していた。
「白石さんもこの時代にいたんですね。」
「そうなんだよー、あれから楽しく暮らしてたのに、気づいたらこっちにいたっていうか?最初はびっくりしたよ。でも俺元々ここにいたのかなって感じに馴染んでるよ。ご飯も美味しいし酒もギャンブルも楽しいし最高だね。」
それはなにより、とクスクスと笑っていると後ろから聞き覚えのある声が。
「おーい白石ー。」「白石何してんだー?」
驚いて振り向くと、そこには杉元さんとアシリパさんが駆け寄ってきていた。
尾形さんは私の後ろにサッと隠れていた。
最期が最期だもんな。
杉元さんもアシリパさんも、見慣れない現代人の格好をしていた。
アシリパさんはハーフ顔の清楚で可愛らしい少女だし、杉元さんは相変わらず顔に傷があるものの好青年感が半端じゃない。
「杉元さん!アシリパさん!お元気でしたか?」
「えー!?夢主ちゃんもここにいたんだ!?」
杉元さんが嬉しそうに私に話しかける。
アシリパさんは、私に駆け寄ってきたかと思えば後ろの尾形さんを指さして笑った。
「夢主は尾形とデートか。」
その言葉を聞いた途端、杉元さんの表情が一変した。
「なに~~!?クソ尾形コラァ!」
怒りをぶつける杉元さんだったが、もうあの時のように銃も剣もない状態だった。
それでもつかみかかろうとしている様子だったので慌てて間に入ると、杉元さんはバツが悪そうに呟く。
「夢主ちゃんが選んだなら、しょうがないね……。」
「杉元さんにはアシリパさんがいるでしょう。」
私がそう笑いかけると、アシリパさんが恥ずかしかったのか「いぃ~~っ」と奇声を発していた。
そんなやりとりをしていると、誰からともなく笑いだして、最終的には皆でアハハとその場で笑いあった。
珍しく尾形さんも胡散臭い笑みを浮かべてハハハと笑っていて、なんだかあの頃の経験がウソのようであった。
こうして再会をした私たちだったが、ほかにも再会した人物がいた。
鯉登さんと月島さんはゲームセンターで、谷垣さんとインカラマッさんにはフチさんがやっている食堂で、チカパシくんとエノノカちゃんはアシリパさんの通う学校で……このペースだと他の人たちにも会えそうだ。
気付けば大所帯になった私たちは、暇さえあれば誰かの家に集まってあの日の出来事を語り合っている。
その流れであの漫画も全員に見せた。
皆最初は驚きつつも、自分の思い出のアルバムを見ているかのような懐かしさを覚えているようだった。
考えていることや計画、お互いが知らなかった部分を漫画で初めて知ることもあって、少し気恥ずかしそうにすることもあった。
相変わらず尾形さんと杉元さんは折り合いが悪く何かにつけて喧嘩をしているが、以前の殺し合いと比べれば少し穏やかになったようだ。
月島さんや鯉登さんに久々に再会し以前の無礼の謝罪や私が元々この時代にいたことなどをお話したところ、2人はいろんなことに合点がいったと笑ってくれた。
漫画の通りアイヌの金塊がどうであったかは杉元さんたちしか詳細は知らないようだが、北海道に広がる緑と継承されているアイヌ文化がすべてなのだろう。
白石さんは原作の最後に出てくるあの金貨はこちらに来るときに消失してしまっていたと悲しげに教えてくれた。
現状私たちの手出しのできない状態だと情報を整理したところで、「あの時のことはあの時のこととして、現代まで平和に世界が続いていることで決着としよう」と暗黙の了解のように落ち着き、自然と誰も争わないこととなった。
不思議な経験をした私たちだったが、せっかくまた出会えた縁だからとこれからもこうやって交流を深めていこうと思う。
あの日、私が急に明治時代の北海道に飛ばされた経験は、切ないけれど美しい思い出として素晴らしいものとなった。
辛い思いもたくさんしたが、これからも大切な人たちと一緒にいられますようにと切に願う。
【あとがき:わたくし超ハッピーエンドじゃないとやってられないタイプなので後日談を入れました。
これで本当に完結です。ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
これからの皆様の良き創作物ライフをお祈り申し上げます(*´ω`*)】
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