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第六十八話 打ちのめされて
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第六十八話 打ちのめされて
結局、心の整理がつかずに私は前方の車両へと来てしまった。
だって、月島さんと鯉登さんがあんなにボロボロになった姿を見ただけでも辛いというのに、2人も親しかった人の死に顔を見てしまったのだから耐えられるはずがない。
きっとこれからも何度もフラッシュバックするのだろう。
気持ちの整理なんて1ミリもつかないまま、ただただこれ以上新しく知った人の怪我や死に顔を見たくないから、私は足を止めなかった。
運転手はいないのだろうか。
列車のスピードや運転が荒いような気がする。
爆撃でどこか破損したのかもしれない。
轟音の中でも何やら列車の上で乱闘が起きている様子がわかった。
だって、この声は尾形さんと杉元さんの声だもん。
叫び声の外にも銃声も聞こえた。
慌てて連結部から列車に登ろうとすると、手がやや固まった血で濡れていた。
軍服の裾で乱暴に拭き、顔も濡れていることに気付いたので乱暴に袖で拭った。
ショックのあまり力が抜けてしまっていたのか登るのに時間がかかる。
列車から落ちないように注意してゆっくりと上がると、すでに上にはアシリパさんと白石さんがいた。
一瞬頭が混乱した。
アシリパさんが、弓を構えていてそれを正面に向けている。
白石さんはアシリパさんを押さえて落ちないように支えている。
更に前方の列車のふちに杉元さんがギリギリの状態で這っていて、その後ろに見えるのはヒグマか?何か獣のようなものに襲われている。
私が一番混乱したのは、アシリパさんと杉元さんの間にいたその人物だった。
「尾形さん……?」
尾形さんはこちらを向いていて、膝をついて銃を持っているようだが、様子がおかしい。
私はアシリパさんの前に思わず立ちふさがった。
アシリパさんを守るため、同時にアシリパさんに矢を撃たせないように。
尾形さんの足元には矢じりが落ちていた。
そしてほじくり出したのだろう、肉片も。
そこでようやくアシリパさんの矢じりに毒が塗られていたと気づいた。
尾形さんの様子がおかしい。
一人でいろんなことを叫び始める。
支離滅裂だ。
それらの意味をきっとここにいる人たちは理解できないだろう。
でも、私は、私だけは、尾形さんの心の内を知っていた。
「尾形さん……ッだめ、動かないで……!毒が……!」
「夢主ちゃん、危ない!」
飛び出そうとすると白石さんが私の足をアシリパさんにしているように一緒に引っ張る。
白石さんの手を振り払おうと暴れる。
そうしている間に数回考えるな!と悲痛な声で叫んだ尾形さんが静かに銃を向けた。
その銃はこちらにではなく、尾形さん自身にだった。
銃口を自分の左目に押し当て、片手で持った剣で引き金を引こうとしている。
その顔は憔悴しきっていて、何を考えているのかもう私には分からなかった。
待って、お願い。
待ってよ、まだ私なにもできてない。
尾形さんを救うって決めたのに。
私をおいていかないで。
「尾形さん!!!!」
私の声が届くことはなかった。
【あとがき:(´;ω;`)】
結局、心の整理がつかずに私は前方の車両へと来てしまった。
だって、月島さんと鯉登さんがあんなにボロボロになった姿を見ただけでも辛いというのに、2人も親しかった人の死に顔を見てしまったのだから耐えられるはずがない。
きっとこれからも何度もフラッシュバックするのだろう。
気持ちの整理なんて1ミリもつかないまま、ただただこれ以上新しく知った人の怪我や死に顔を見たくないから、私は足を止めなかった。
運転手はいないのだろうか。
列車のスピードや運転が荒いような気がする。
爆撃でどこか破損したのかもしれない。
轟音の中でも何やら列車の上で乱闘が起きている様子がわかった。
だって、この声は尾形さんと杉元さんの声だもん。
叫び声の外にも銃声も聞こえた。
慌てて連結部から列車に登ろうとすると、手がやや固まった血で濡れていた。
軍服の裾で乱暴に拭き、顔も濡れていることに気付いたので乱暴に袖で拭った。
ショックのあまり力が抜けてしまっていたのか登るのに時間がかかる。
列車から落ちないように注意してゆっくりと上がると、すでに上にはアシリパさんと白石さんがいた。
一瞬頭が混乱した。
アシリパさんが、弓を構えていてそれを正面に向けている。
白石さんはアシリパさんを押さえて落ちないように支えている。
更に前方の列車のふちに杉元さんがギリギリの状態で這っていて、その後ろに見えるのはヒグマか?何か獣のようなものに襲われている。
私が一番混乱したのは、アシリパさんと杉元さんの間にいたその人物だった。
「尾形さん……?」
尾形さんはこちらを向いていて、膝をついて銃を持っているようだが、様子がおかしい。
私はアシリパさんの前に思わず立ちふさがった。
アシリパさんを守るため、同時にアシリパさんに矢を撃たせないように。
尾形さんの足元には矢じりが落ちていた。
そしてほじくり出したのだろう、肉片も。
そこでようやくアシリパさんの矢じりに毒が塗られていたと気づいた。
尾形さんの様子がおかしい。
一人でいろんなことを叫び始める。
支離滅裂だ。
それらの意味をきっとここにいる人たちは理解できないだろう。
でも、私は、私だけは、尾形さんの心の内を知っていた。
「尾形さん……ッだめ、動かないで……!毒が……!」
「夢主ちゃん、危ない!」
飛び出そうとすると白石さんが私の足をアシリパさんにしているように一緒に引っ張る。
白石さんの手を振り払おうと暴れる。
そうしている間に数回考えるな!と悲痛な声で叫んだ尾形さんが静かに銃を向けた。
その銃はこちらにではなく、尾形さん自身にだった。
銃口を自分の左目に押し当て、片手で持った剣で引き金を引こうとしている。
その顔は憔悴しきっていて、何を考えているのかもう私には分からなかった。
待って、お願い。
待ってよ、まだ私なにもできてない。
尾形さんを救うって決めたのに。
私をおいていかないで。
「尾形さん!!!!」
私の声が届くことはなかった。
【あとがき:(´;ω;`)】