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第六十二話 亡霊と尾形
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第六十二話 亡霊と尾形
あれから尾形さんは暇さえあれば外へ出て獲物を狩ってくる。
皆に誉められたのが嬉しかったのだろうか。
左撃ちの制度がどんどん上がっているようだ。
「左撃ちって難しいんですか?」
私が問うと、尾形さんはやや馬鹿にしたように言った。
「夢主には厳しいかもな。」
「もう、自分が才能あるからって。」
私が馬鹿にされて思わずむっとすると満足そうに尾形さんはどこかへ行く。
勇作さんのことなど相当心に踏み込んだことを言ったことがウソのようで、尾形さんの態度になにも変わりはなかった。
それから土方さんの指示で連続娼婦殺人事件を追うために札幌で聞き込みを続けていたある日のこと。
基本的に土方さんや牛山さんなど私を守ってくれそうな人の近くにいることが多かった私だが、その日はたまたま尾形さんの近くにいた。
尾形さんは事件の聞き込みというよりは、杉元さんたちの動向が気になるようだった。
だからなのかサボりたいからなのかは分からないが、やぐらの上に登って高所から街を観察していた。
私もその横で膝を抱えて銃を握りしめる。
「杉元さんたちも、そろそろこっちに来てますかね。」
「さあ、どうだろうな。」
「ヴァシリさんも、尾形さんを狙っていたと思うので気を付けないとですよ。」
「……。」
尾形さんは険しい表情をした。
それだけあのロシア人のことを警戒しているのだろう。
相当優れたスナイパーのようだ。
「尾形さんが勇作さんやアシリパさんのような綺麗な状態の人を許せないのは分かったんですけど、私はアシリパさんと杉元さんを撃つのは嫌です。アイヌの金塊をアイヌのために使おうとしている人が殺される意味がわかりません。のっぺらぼうがとかパルチザンがどうだとか、難しい話は信憑性もないし、それならただ未来のために使おうとしている人を応援したいです。」
尾形さんは、ふん、と鼻を鳴らした。
興味がないのか、馬鹿にしているのか。恐らく両方だろう。
「ねぇ、尾形さん。私、鶴見中尉や尾形さんの自己実現の方法は他にもあるはずだと思うんですよ。」
真剣に話したつもりだったが、それでも尾形さんは私の話をせせら笑っている。
じゃあそのまま聞いてくれ、と言わんばかりに調子に乗る。
「まあ、いざというときは差し違えてでも止めてやりますから安心してくださいね。」
「……任せた。」
珍しく尾形さんが私の話を否定しなかった。
それだけで驚きで饒舌に話していた口を閉じてしまった。
自分でも甘い話だと自覚している。
そんな簡単に善悪を分けられて、思い通りになるわけがないのは重々承知だ。
それでも、自分の信念のためにアシリパさんや杉元さんを撃とうとする尾形さんを少しでも止めたかったのだ。
尾形さんは、少しでも、わずかでもいいから何か感じ取ってくれていないだろうか。
少しセンチメンタルな気分になっているといつの間にか、街の中が騒がしくなっている。
双眼鏡を覗くと杉元さんと牛山さんと土方さんと……数人の姿が確認できた。
戦闘かと思ったが、どうやら土方組と杉元さんたちが揉めつつも和解して合流してしまったようだ。
はっと気づくと横で尾形さんが銃を構えている。
不気味な笑みを浮かべた尾形さんはアシリパさんに狙いを定めていた。
いけない、と声をかける前に、急に尾形さんがビクッと後ろを振り返った。
驚いて私もそちらを見るがなにもない。
「……尾形さん?どうしました?」
「いや……。気のせいだ。」
尾形さんの変な様子に、違和感を覚える。
が、これ以上踏み込めない。
何より尾形さんが一番動揺していたからだ。
杉元さんたちが場所を移動したことと今の謎のトラブルでやる気をそがれたのか、尾形さんが再度銃を構えることはなかったので安心した。
今後どのように動くべきかと相談すると尾形さん曰く、ヴァシリさんも恐らく杉元さんたちと一緒にいるだろうとのことで、私たちはまた二人で身をひそめることとなった。
【あとがき:尾形のメンタル面倒くさくなってきちゃった(´・ω・`)楽しく暮らそうよ…。】
あれから尾形さんは暇さえあれば外へ出て獲物を狩ってくる。
皆に誉められたのが嬉しかったのだろうか。
左撃ちの制度がどんどん上がっているようだ。
「左撃ちって難しいんですか?」
私が問うと、尾形さんはやや馬鹿にしたように言った。
「夢主には厳しいかもな。」
「もう、自分が才能あるからって。」
私が馬鹿にされて思わずむっとすると満足そうに尾形さんはどこかへ行く。
勇作さんのことなど相当心に踏み込んだことを言ったことがウソのようで、尾形さんの態度になにも変わりはなかった。
それから土方さんの指示で連続娼婦殺人事件を追うために札幌で聞き込みを続けていたある日のこと。
基本的に土方さんや牛山さんなど私を守ってくれそうな人の近くにいることが多かった私だが、その日はたまたま尾形さんの近くにいた。
尾形さんは事件の聞き込みというよりは、杉元さんたちの動向が気になるようだった。
だからなのかサボりたいからなのかは分からないが、やぐらの上に登って高所から街を観察していた。
私もその横で膝を抱えて銃を握りしめる。
「杉元さんたちも、そろそろこっちに来てますかね。」
「さあ、どうだろうな。」
「ヴァシリさんも、尾形さんを狙っていたと思うので気を付けないとですよ。」
「……。」
尾形さんは険しい表情をした。
それだけあのロシア人のことを警戒しているのだろう。
相当優れたスナイパーのようだ。
「尾形さんが勇作さんやアシリパさんのような綺麗な状態の人を許せないのは分かったんですけど、私はアシリパさんと杉元さんを撃つのは嫌です。アイヌの金塊をアイヌのために使おうとしている人が殺される意味がわかりません。のっぺらぼうがとかパルチザンがどうだとか、難しい話は信憑性もないし、それならただ未来のために使おうとしている人を応援したいです。」
尾形さんは、ふん、と鼻を鳴らした。
興味がないのか、馬鹿にしているのか。恐らく両方だろう。
「ねぇ、尾形さん。私、鶴見中尉や尾形さんの自己実現の方法は他にもあるはずだと思うんですよ。」
真剣に話したつもりだったが、それでも尾形さんは私の話をせせら笑っている。
じゃあそのまま聞いてくれ、と言わんばかりに調子に乗る。
「まあ、いざというときは差し違えてでも止めてやりますから安心してくださいね。」
「……任せた。」
珍しく尾形さんが私の話を否定しなかった。
それだけで驚きで饒舌に話していた口を閉じてしまった。
自分でも甘い話だと自覚している。
そんな簡単に善悪を分けられて、思い通りになるわけがないのは重々承知だ。
それでも、自分の信念のためにアシリパさんや杉元さんを撃とうとする尾形さんを少しでも止めたかったのだ。
尾形さんは、少しでも、わずかでもいいから何か感じ取ってくれていないだろうか。
少しセンチメンタルな気分になっているといつの間にか、街の中が騒がしくなっている。
双眼鏡を覗くと杉元さんと牛山さんと土方さんと……数人の姿が確認できた。
戦闘かと思ったが、どうやら土方組と杉元さんたちが揉めつつも和解して合流してしまったようだ。
はっと気づくと横で尾形さんが銃を構えている。
不気味な笑みを浮かべた尾形さんはアシリパさんに狙いを定めていた。
いけない、と声をかける前に、急に尾形さんがビクッと後ろを振り返った。
驚いて私もそちらを見るがなにもない。
「……尾形さん?どうしました?」
「いや……。気のせいだ。」
尾形さんの変な様子に、違和感を覚える。
が、これ以上踏み込めない。
何より尾形さんが一番動揺していたからだ。
杉元さんたちが場所を移動したことと今の謎のトラブルでやる気をそがれたのか、尾形さんが再度銃を構えることはなかったので安心した。
今後どのように動くべきかと相談すると尾形さん曰く、ヴァシリさんも恐らく杉元さんたちと一緒にいるだろうとのことで、私たちはまた二人で身をひそめることとなった。
【あとがき:尾形のメンタル面倒くさくなってきちゃった(´・ω・`)楽しく暮らそうよ…。】