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第四十八話 はあ☆
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第四十八話 はあ☆
スチェンカのあと、皆の傷を手当してあげた。
外科手術後だからと優先して診た杉元さんがどこかに行ってしまったようで、皆で外を探すと、ちょうど杉元さんが大柄の男の人と別れたところだった。
お知り合いだろうか?
問いかけても杉元さんは何でもないと素っ気ない様子で、皆不思議そうにしていた。
そして後日、最初に犬を人質にとった店主は昨日のスチェンカの試合のおかげで噂が広まり、刺青の男が参加するらしいと言ってきた。
大勢が日本兵が勝つと賭けているようなので、負けてくれれば犬は返すと言い出した。
つまり八百長か。
それを聞いた杉元さんはすぐに店主につかみかかって髪の毛をブッチンブッチンと抜く。
ああ、なんだか尾形さんが昔ケツアゴ署長を脅した時を思い出すなぁ。
アイヌ式でも何でも良いからさあ制裁をしようというときに店主はキロランケさんの情報があると言う。
「えっ本当に……?」
月島さんが通訳するよりも前に反応してしまった。
もしもこの店主の言うことが本当ならば、アシリパさんに繋がる情報がもらえるはずだと杉元さんが皆を説得し、全員がスチェンカに出ることになった。
ああ……やだなぁまた怪我されたらたまったもんじゃない。
でも、この旅が尾形さんに繋がるなら。
敵チームと対峙すると、その中の一人の大男がバサッと上着を脱ぐ。
「刺青……!?」
あれ、あの人ってこの前杉元さんが試合後に話していた人ではないか?
試合が始まってからというもの、私は正直引いてしまって、呆然と見ているだけだった。
姉畑といい江渡貝さんといい、皆何かに吹っ切れた変態ばかりなのだろうか。
いい感じに交戦しているかと思えば、杉元さんの様子がおかしい。
人がたくさんいてよく見えないが、手術後の傷に何かあったのではないか、と私は目を凝らす。
次第に敵味方関係なく殴り始めた杉元さんは、しまいには刃物を取り出し皆が逃げ惑う。
そして第七師団……金塊……などと譫言のように呟いていた。
私は慌てて止めに入ろうとしたが、鯉登さんと月島さんに両腕を抱えられるようにして会場の外に連れ出される。
上着を着ていた私や観客はともかく、試合に出ていた男の人たちは半裸で裸足の者もいる。
それは鯉登さんたちも例外ではなくて。
「待ってください、風邪を引いてしまいますよ!」
「悪いが夢主、このままあいつを逃がすわけにもいかん。」
「それに貴女に何かあっては鶴見中尉に叱られてしまいますので。」
両脇を抱えた二人は森の中で私を下ろす。
悲鳴が聞こえたので三人で向かうと、あの刺青の男はクズリという、イタチのような以前にエノノカちゃんと出会った時の獣に襲われていた。
月島さんと鯉登さんで思い切りクズリをぶん殴る。
二人はクズリが少し怯んだすきに刺青の男を助けて急いで近くの小屋へ逃げた。
私もついて行こうとしたが、耄碌した状態の杉元さんが気になる。
月島さんや鯉登さんが刺青の男を抱えていて身動きが取れないでいるのを良いことに、タンッと地面を蹴ってクズリも小屋もいない方向へと駆け出した。
杉元さんを探していると、森の中から一発、タァーンと音が鳴る。
……これ、単発銃じゃない?
確かチカパシ君が谷垣さんの単発銃を持っていたから、撃てたのだろうか。
急いで音の鳴った方へと向かえば、何故か全裸の刺青の男とまだ正気に戻っていない杉元さんが殴り合っているところだった。
私には声は聞こえなかったが拳を交えながら会話をしているようだった。
そしてなぜか全裸の月島さんと鯉登さんと谷垣さんがこちらへ向かってきていて、刺青の男が膝をつき勝敗がついた次の瞬間、足元の氷が割れて全員が湖に落とされたことでここが湖の上だったことを知る。
全裸の集団は何とか這い出て小屋へ一目散に向かった。
湖に落ちた衝撃で杉元さんも正気に戻ったようで、ブルブルと震えながら小屋に入っていた。
外から中が見える小窓をチカパシくんとエノノカちゃんと見る。
「これってサウナ?」
「バーニャっていって、あったかいんだよ。」
エノノカちゃんが教えてくれた。
何やら話し合っているけれど、私には聞こえない。
子供は許されるだろうけれど、私のこれは、ただの覗きだよな……と諦めて小窓から目を逸らす。
それから少しして、話し合いは終わったようで全員が服を着て出てきた。
どうやら刺青は写したようだ。
その男をロシアへ亡命させ、金塊争奪戦からは離脱させる方法で決まったとのこと。
詳しく聞き取れなかったが月島さんが男に何か脅すような一言を言い放って男を見送る。
「月島さん、良いのですか?」
「鶴見中尉からは私に一任されていますので。」
そう冷たく言い放った月島さんは少しばかり険しい表情を浮かべていた。
私が心配そうに覗き込んでいると、それに気づいた月島さんはフイッと顔を背けた。
私たちのやり取りを見ていた鯉登さんがニヤニヤしながら割り込んで来た。
「夢主、月島はご機嫌斜めのようだ。俺と一緒に行こう。」
流れるような動作で私の手を取った鯉登さん。
その様子に鶴見中尉を思い出してしまう。
しかし、私の手を取り調子良く歩き出した鯉登さんだが、私はぐん、と反対の手が引っ張られて動けなかった。
反対側の手を見ると、月島さんが相変わらずの仏頂面のまま私の手を握って立ち止まっていた。
「あ、あの……?」
双方に両手を掴まれて困っていると、杉元さんがおやおやおやおや~~?とまるで白石さんのようなノリで私たちを茶化す。
いやいや、アナタもよくこうやって白石さんと私を取り合ってじゃれていたではじゃないか。
結局二人から離れることはできず、月島さんと鯉登さんと一緒に犬ぞりに乗った。
なんだというのだこの人たちは。
【あとがき:第七師団って恋愛下手そうじゃないですか???(偏見)】
スチェンカのあと、皆の傷を手当してあげた。
外科手術後だからと優先して診た杉元さんがどこかに行ってしまったようで、皆で外を探すと、ちょうど杉元さんが大柄の男の人と別れたところだった。
お知り合いだろうか?
問いかけても杉元さんは何でもないと素っ気ない様子で、皆不思議そうにしていた。
そして後日、最初に犬を人質にとった店主は昨日のスチェンカの試合のおかげで噂が広まり、刺青の男が参加するらしいと言ってきた。
大勢が日本兵が勝つと賭けているようなので、負けてくれれば犬は返すと言い出した。
つまり八百長か。
それを聞いた杉元さんはすぐに店主につかみかかって髪の毛をブッチンブッチンと抜く。
ああ、なんだか尾形さんが昔ケツアゴ署長を脅した時を思い出すなぁ。
アイヌ式でも何でも良いからさあ制裁をしようというときに店主はキロランケさんの情報があると言う。
「えっ本当に……?」
月島さんが通訳するよりも前に反応してしまった。
もしもこの店主の言うことが本当ならば、アシリパさんに繋がる情報がもらえるはずだと杉元さんが皆を説得し、全員がスチェンカに出ることになった。
ああ……やだなぁまた怪我されたらたまったもんじゃない。
でも、この旅が尾形さんに繋がるなら。
敵チームと対峙すると、その中の一人の大男がバサッと上着を脱ぐ。
「刺青……!?」
あれ、あの人ってこの前杉元さんが試合後に話していた人ではないか?
試合が始まってからというもの、私は正直引いてしまって、呆然と見ているだけだった。
姉畑といい江渡貝さんといい、皆何かに吹っ切れた変態ばかりなのだろうか。
いい感じに交戦しているかと思えば、杉元さんの様子がおかしい。
人がたくさんいてよく見えないが、手術後の傷に何かあったのではないか、と私は目を凝らす。
次第に敵味方関係なく殴り始めた杉元さんは、しまいには刃物を取り出し皆が逃げ惑う。
そして第七師団……金塊……などと譫言のように呟いていた。
私は慌てて止めに入ろうとしたが、鯉登さんと月島さんに両腕を抱えられるようにして会場の外に連れ出される。
上着を着ていた私や観客はともかく、試合に出ていた男の人たちは半裸で裸足の者もいる。
それは鯉登さんたちも例外ではなくて。
「待ってください、風邪を引いてしまいますよ!」
「悪いが夢主、このままあいつを逃がすわけにもいかん。」
「それに貴女に何かあっては鶴見中尉に叱られてしまいますので。」
両脇を抱えた二人は森の中で私を下ろす。
悲鳴が聞こえたので三人で向かうと、あの刺青の男はクズリという、イタチのような以前にエノノカちゃんと出会った時の獣に襲われていた。
月島さんと鯉登さんで思い切りクズリをぶん殴る。
二人はクズリが少し怯んだすきに刺青の男を助けて急いで近くの小屋へ逃げた。
私もついて行こうとしたが、耄碌した状態の杉元さんが気になる。
月島さんや鯉登さんが刺青の男を抱えていて身動きが取れないでいるのを良いことに、タンッと地面を蹴ってクズリも小屋もいない方向へと駆け出した。
杉元さんを探していると、森の中から一発、タァーンと音が鳴る。
……これ、単発銃じゃない?
確かチカパシ君が谷垣さんの単発銃を持っていたから、撃てたのだろうか。
急いで音の鳴った方へと向かえば、何故か全裸の刺青の男とまだ正気に戻っていない杉元さんが殴り合っているところだった。
私には声は聞こえなかったが拳を交えながら会話をしているようだった。
そしてなぜか全裸の月島さんと鯉登さんと谷垣さんがこちらへ向かってきていて、刺青の男が膝をつき勝敗がついた次の瞬間、足元の氷が割れて全員が湖に落とされたことでここが湖の上だったことを知る。
全裸の集団は何とか這い出て小屋へ一目散に向かった。
湖に落ちた衝撃で杉元さんも正気に戻ったようで、ブルブルと震えながら小屋に入っていた。
外から中が見える小窓をチカパシくんとエノノカちゃんと見る。
「これってサウナ?」
「バーニャっていって、あったかいんだよ。」
エノノカちゃんが教えてくれた。
何やら話し合っているけれど、私には聞こえない。
子供は許されるだろうけれど、私のこれは、ただの覗きだよな……と諦めて小窓から目を逸らす。
それから少しして、話し合いは終わったようで全員が服を着て出てきた。
どうやら刺青は写したようだ。
その男をロシアへ亡命させ、金塊争奪戦からは離脱させる方法で決まったとのこと。
詳しく聞き取れなかったが月島さんが男に何か脅すような一言を言い放って男を見送る。
「月島さん、良いのですか?」
「鶴見中尉からは私に一任されていますので。」
そう冷たく言い放った月島さんは少しばかり険しい表情を浮かべていた。
私が心配そうに覗き込んでいると、それに気づいた月島さんはフイッと顔を背けた。
私たちのやり取りを見ていた鯉登さんがニヤニヤしながら割り込んで来た。
「夢主、月島はご機嫌斜めのようだ。俺と一緒に行こう。」
流れるような動作で私の手を取った鯉登さん。
その様子に鶴見中尉を思い出してしまう。
しかし、私の手を取り調子良く歩き出した鯉登さんだが、私はぐん、と反対の手が引っ張られて動けなかった。
反対側の手を見ると、月島さんが相変わらずの仏頂面のまま私の手を握って立ち止まっていた。
「あ、あの……?」
双方に両手を掴まれて困っていると、杉元さんがおやおやおやおや~~?とまるで白石さんのようなノリで私たちを茶化す。
いやいや、アナタもよくこうやって白石さんと私を取り合ってじゃれていたではじゃないか。
結局二人から離れることはできず、月島さんと鯉登さんと一緒に犬ぞりに乗った。
なんだというのだこの人たちは。
【あとがき:第七師団って恋愛下手そうじゃないですか???(偏見)】