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第三十九話 インカラマッ
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第三十九話 インカラマッ
翌日、アシリパさんに起こされた。
「うんん、おはようございます、アシリパさん。」
「夢主は身体が柔らかくて、特に胸がふわふわで寝やすかったぞ。」
「ちょっ……!」
わざとだろうか、悪気がないのだろうか、朝からとんでもない発言で私は嫌でも目が覚めた。
聞かれていないかとチラりと横眼で見るが、男性陣がギクシャクしている。だめだった。
尾形さんだけがうんうん、と頷いていて、この人もしかして私を抱き枕にして寝たとき胸揉んでたの!?と青ざめる。
そんな私に誰もフォローをしてくれることはなく、釧路の街で白石さんやインカラマッさんたちと合流しようと今後の予定を立てる。
「俺の銃も修理しないと……。」
そう杉元さんが呟くと尾形さんが、銃身に水が入った状態で撃つなんて……と馬鹿にする。
杉元さんは怒っているが、銃に関しては尾形さんが何枚も上手だし今回のことに関しては正論だ。
杉元さんが言い返すことはなかった。
「そういえば、谷垣さんの銃は変わっているやつなんですよね?」
谷垣さんの銃が変わった種類のものだったからこそ、今回は事件に巻き込まれてしまったようなもの。
でもその銃を大切そうに谷垣さんは持っている。
私が問いかけると谷垣さんは、これか、と私に見せてくれる。
「わあ、ズシッとした重み……。これ、単発銃ですよね?」
銃のこととなると、つい尾形さんに聞いてしまう。
尾形さんの方を見ると黙って頷いた。
「勝負は常に最初の一発で決めろ、と二瓶鉄造に教わった。二瓶鉄造が、俺を兵士からマタギに戻してくれたんだ。」
「そうなんですね……。」
谷垣さんへ銃を返すとその銃を真剣な眼差しで見つめる谷垣さん。
なんだか人それぞれドラマがあるんだなぁ、としんみりとする。
杉元さんが家の外にいる犬を指さす。
「そこにいるリュウは元々二瓶鉄造の猟犬だ。」
「へえ、そうなんですね。」
私が近寄って目の前でしゃがんでも、特に警戒した様子もなくリュウは私に顔や体を撫でさせてくれた。
それどころか、ペロペロと私の頬を舐める。
「あは、可愛い。優秀なんですね、リュウ。」
私がリュウと戯れていると、男性陣から視線を感じた。
「どうしました?」
リュウをそのままに皆の方を向くと、尾形さんがボソリと言い放つ。
「犬が羨ましいんだとよ。こいつらに舐めめ回してもらったらどうだ?」
その表情は悪意に満ちていた。
腹が立ったので、特にリアクションをすることなく「行きましょう」と声をかけて荷物を持った。
歩き出すと、キラウシさんが家から声をかけてくる。
「昨日のヒグマで作ったカムイオハウ食っていかねえか?」
全員で顔を見合わせた。
なんだか、あのヒグマを見ると嫌でも姉畑の行為の光景が浮かんできてしまってだめだった。
それは皆も同じようで急いでいる!世話になったな!などと挨拶をして歩き出した。
釧路に着いて、白石さんとチカパシくんとインカラマッさんと合流する。
会うなりインカラマッさんが谷垣さんに駆け寄って、心配していたと声をかける。
それを見てみんなでニヤニヤする。
「へえ~谷垣さんそうなんですね。」
ふふふ、と笑うと谷垣さんは少し照れ臭そうにしていた。
アシリパさんに至っては結婚しろと言い放つ。
なるほど、それで谷垣さんは余裕があるのか。
皆が私に下世話な絡みをしてくるとき、谷垣さんだけはそこまでノってこなくてむしろ私をフォローしてくれることが多いので、なんとなく妻帯者かと思っていた。
元々真面目な性格なこともあるのだろうが。
釧路では海岸のコタンに住むフチさんの15番目の妹と会う。
15番目とは驚いた……兄弟多いな。
そこでは海亀を獲ったりフチさんの妹さんに、アイヌの料理や刺繍を教えてもらった。
なんだかこの旅は金塊を求めて始めたはずで、皆がライバルかもしれないのに、行く先々で異文化体験がたくさんあって楽しい。
今のところ尾形さんの目的は分からないけれど、アシリパさんの父親がのっぺらぼうかどうか確かめるという一つの目的があって皆一緒にいる。
でもこうやって楽しいことばかりあると、ずっとこうしていたいのに、とすら思ってしまった。
私が他のことに気を取られて立ち止まってしまっては尾形さんに捨てられるかもしれない、と再度気を引き締めて私は時間を見つけて海岸沿いで訓練を続けた。
身体がなまってしまっては足を引っ張ってしまうかもしれないからね。
【あとがき:既婚者特有の落ち着き。】
翌日、アシリパさんに起こされた。
「うんん、おはようございます、アシリパさん。」
「夢主は身体が柔らかくて、特に胸がふわふわで寝やすかったぞ。」
「ちょっ……!」
わざとだろうか、悪気がないのだろうか、朝からとんでもない発言で私は嫌でも目が覚めた。
聞かれていないかとチラりと横眼で見るが、男性陣がギクシャクしている。だめだった。
尾形さんだけがうんうん、と頷いていて、この人もしかして私を抱き枕にして寝たとき胸揉んでたの!?と青ざめる。
そんな私に誰もフォローをしてくれることはなく、釧路の街で白石さんやインカラマッさんたちと合流しようと今後の予定を立てる。
「俺の銃も修理しないと……。」
そう杉元さんが呟くと尾形さんが、銃身に水が入った状態で撃つなんて……と馬鹿にする。
杉元さんは怒っているが、銃に関しては尾形さんが何枚も上手だし今回のことに関しては正論だ。
杉元さんが言い返すことはなかった。
「そういえば、谷垣さんの銃は変わっているやつなんですよね?」
谷垣さんの銃が変わった種類のものだったからこそ、今回は事件に巻き込まれてしまったようなもの。
でもその銃を大切そうに谷垣さんは持っている。
私が問いかけると谷垣さんは、これか、と私に見せてくれる。
「わあ、ズシッとした重み……。これ、単発銃ですよね?」
銃のこととなると、つい尾形さんに聞いてしまう。
尾形さんの方を見ると黙って頷いた。
「勝負は常に最初の一発で決めろ、と二瓶鉄造に教わった。二瓶鉄造が、俺を兵士からマタギに戻してくれたんだ。」
「そうなんですね……。」
谷垣さんへ銃を返すとその銃を真剣な眼差しで見つめる谷垣さん。
なんだか人それぞれドラマがあるんだなぁ、としんみりとする。
杉元さんが家の外にいる犬を指さす。
「そこにいるリュウは元々二瓶鉄造の猟犬だ。」
「へえ、そうなんですね。」
私が近寄って目の前でしゃがんでも、特に警戒した様子もなくリュウは私に顔や体を撫でさせてくれた。
それどころか、ペロペロと私の頬を舐める。
「あは、可愛い。優秀なんですね、リュウ。」
私がリュウと戯れていると、男性陣から視線を感じた。
「どうしました?」
リュウをそのままに皆の方を向くと、尾形さんがボソリと言い放つ。
「犬が羨ましいんだとよ。こいつらに舐めめ回してもらったらどうだ?」
その表情は悪意に満ちていた。
腹が立ったので、特にリアクションをすることなく「行きましょう」と声をかけて荷物を持った。
歩き出すと、キラウシさんが家から声をかけてくる。
「昨日のヒグマで作ったカムイオハウ食っていかねえか?」
全員で顔を見合わせた。
なんだか、あのヒグマを見ると嫌でも姉畑の行為の光景が浮かんできてしまってだめだった。
それは皆も同じようで急いでいる!世話になったな!などと挨拶をして歩き出した。
釧路に着いて、白石さんとチカパシくんとインカラマッさんと合流する。
会うなりインカラマッさんが谷垣さんに駆け寄って、心配していたと声をかける。
それを見てみんなでニヤニヤする。
「へえ~谷垣さんそうなんですね。」
ふふふ、と笑うと谷垣さんは少し照れ臭そうにしていた。
アシリパさんに至っては結婚しろと言い放つ。
なるほど、それで谷垣さんは余裕があるのか。
皆が私に下世話な絡みをしてくるとき、谷垣さんだけはそこまでノってこなくてむしろ私をフォローしてくれることが多いので、なんとなく妻帯者かと思っていた。
元々真面目な性格なこともあるのだろうが。
釧路では海岸のコタンに住むフチさんの15番目の妹と会う。
15番目とは驚いた……兄弟多いな。
そこでは海亀を獲ったりフチさんの妹さんに、アイヌの料理や刺繍を教えてもらった。
なんだかこの旅は金塊を求めて始めたはずで、皆がライバルかもしれないのに、行く先々で異文化体験がたくさんあって楽しい。
今のところ尾形さんの目的は分からないけれど、アシリパさんの父親がのっぺらぼうかどうか確かめるという一つの目的があって皆一緒にいる。
でもこうやって楽しいことばかりあると、ずっとこうしていたいのに、とすら思ってしまった。
私が他のことに気を取られて立ち止まってしまっては尾形さんに捨てられるかもしれない、と再度気を引き締めて私は時間を見つけて海岸沿いで訓練を続けた。
身体がなまってしまっては足を引っ張ってしまうかもしれないからね。
【あとがき:既婚者特有の落ち着き。】