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第三十三話 月島視点
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第三十三話 月島視点
夢主が兵舎からいなくなって随分と月日が経った。
ついでに尾形もいないが、それはどうでも良い。
夢主がいなくなってから、兵舎はかなり静かになった。
最初こそ騒ぎ立てて皆で探し回ったが、尾形もいないことが分かった途端に、敗北感からだろうか皆その場に蹲った。
鶴見中尉は一見すると余裕がある様子だが内心は相当お怒りのようで、夢主を探す兵を常に何人か向かわせている。
自分もその任務にあたったが、尾形は殺して良いが夢主には傷一つ付けるなと御触れが出た。
鯉登少尉にいたっては、毎日ベソをかきながら鶴見中尉のブロマイドにブツブツと薩摩弁で念仏のように泣き言を言っている。
夢主が残していった軟膏や髪飾りなどが、以前に鯉登少尉があげたもののようで、それもよく眺めてはため息をついている。
この人数の男が一度に大失恋を経験しているだけあって、まるで兵舎は地獄のようだ。
とはいえ、鶴見中尉の前では皆必死に今まで通りを取り繕っている。
一度、江渡貝剥製屋で夢主は尾形と一緒にいたのを見かけた。
生憎炭鉱の爆発でまた居場所が分からなくなってしまったが。
あのとき、江渡貝を優先しないで夢主だけでも取り返せばよかったのだろうか……。
上手く立ち回れれば夢主を説得する機会はあっただろうか。
しかし自分には鶴見中尉のもとで忠実に動く使命がある。
どうしようもなかったことだが悔いが残っていた。
そんな中で、もう一人厄介な状態になっている人物、それが二階堂だった。
二階堂は兄弟を亡くしたせいで順調に狂ってきている様子で、よく剥ぎ取られた耳に洋平……と語り掛けているのを見かけるようになった。
しかも江渡貝の屋敷で土方歳三に片足を斬られたそうで、モルヒネ漬けの生活をしている。
何度も取り上げたが、必ずどこからかモルヒネをくすねてくるようになった。
それを鶴見中尉に報告すると、陸軍中将の有坂成蔵のもとを訪れて仕込み銃付き義足をもらって、二階堂は復活した。
さあ鶴見中尉はこれからどうやって夢主を奪還するつもりだろうか。
尾形だけではなく杉元や土方歳三と行動を共にしている夢主。
幸か不幸か、このタイミングで脱獄王の白石由竹が捕まった。
白石由竹は剥製屋の近くで不死身の杉元と一緒にいたところを目撃されている。
上手いこと杉元たちと接触できれば、夢主も刺青人皮も奪えるだろう。
同じ考えなのか、白石が捕まってからは鯉登少尉もソワソワと落ち着きがなかった。
ああ、早く会ってもう一度話がしたい。
そう思って毎日を過ごした。
【あとがき:完全に片想い。】
夢主が兵舎からいなくなって随分と月日が経った。
ついでに尾形もいないが、それはどうでも良い。
夢主がいなくなってから、兵舎はかなり静かになった。
最初こそ騒ぎ立てて皆で探し回ったが、尾形もいないことが分かった途端に、敗北感からだろうか皆その場に蹲った。
鶴見中尉は一見すると余裕がある様子だが内心は相当お怒りのようで、夢主を探す兵を常に何人か向かわせている。
自分もその任務にあたったが、尾形は殺して良いが夢主には傷一つ付けるなと御触れが出た。
鯉登少尉にいたっては、毎日ベソをかきながら鶴見中尉のブロマイドにブツブツと薩摩弁で念仏のように泣き言を言っている。
夢主が残していった軟膏や髪飾りなどが、以前に鯉登少尉があげたもののようで、それもよく眺めてはため息をついている。
この人数の男が一度に大失恋を経験しているだけあって、まるで兵舎は地獄のようだ。
とはいえ、鶴見中尉の前では皆必死に今まで通りを取り繕っている。
一度、江渡貝剥製屋で夢主は尾形と一緒にいたのを見かけた。
生憎炭鉱の爆発でまた居場所が分からなくなってしまったが。
あのとき、江渡貝を優先しないで夢主だけでも取り返せばよかったのだろうか……。
上手く立ち回れれば夢主を説得する機会はあっただろうか。
しかし自分には鶴見中尉のもとで忠実に動く使命がある。
どうしようもなかったことだが悔いが残っていた。
そんな中で、もう一人厄介な状態になっている人物、それが二階堂だった。
二階堂は兄弟を亡くしたせいで順調に狂ってきている様子で、よく剥ぎ取られた耳に洋平……と語り掛けているのを見かけるようになった。
しかも江渡貝の屋敷で土方歳三に片足を斬られたそうで、モルヒネ漬けの生活をしている。
何度も取り上げたが、必ずどこからかモルヒネをくすねてくるようになった。
それを鶴見中尉に報告すると、陸軍中将の有坂成蔵のもとを訪れて仕込み銃付き義足をもらって、二階堂は復活した。
さあ鶴見中尉はこれからどうやって夢主を奪還するつもりだろうか。
尾形だけではなく杉元や土方歳三と行動を共にしている夢主。
幸か不幸か、このタイミングで脱獄王の白石由竹が捕まった。
白石由竹は剥製屋の近くで不死身の杉元と一緒にいたところを目撃されている。
上手いこと杉元たちと接触できれば、夢主も刺青人皮も奪えるだろう。
同じ考えなのか、白石が捕まってからは鯉登少尉もソワソワと落ち着きがなかった。
ああ、早く会ってもう一度話がしたい。
そう思って毎日を過ごした。
【あとがき:完全に片想い。】