空欄の場合は夢主になります。
第二十九話 襲撃
お名前をどうぞ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
第二十九話 襲撃
ひとっ風呂浴びて、私の軍服について少し揉めた後、刺青人皮の手掛かりを探しに屋敷内を歩き回る。
いつの間にか尾形さんも風呂に入ったのか煤けた顔が綺麗になっていた。
どうでもいいけど、ツーブロックって、濡れるとなんか間抜けだよね。
そのはずなのに尾形さんは髪が濡れててもそれなりに見えるから、本当に顔が良いんだなぁ……。
じろじろと見ていたら尾形さんに「そんなに俺の顔が好きか?」と聞かれて悔しかったので、「別に~」とはぐらかした。
平和だったのはそこまで。
色々漁っている間に、パリンッと窓ガラスが割れた音がして、そちらに足を運べばその部屋は火に包まれていた。
「尾形さん!軍服が見えます!」
「やられた……!家永!外へ出るな!撃たれるぞ!」
恐らく贋作の手掛かりになるものを隠滅しに来たのだろう。
土方さんが入口へ銃を構えて立つ。
この屋敷は確か窓がすべて鉄格子で覆われていたので、外からの侵入は玄関に限られるはず。
となると、上から玄関へ誘い込む必要がある。
私は二階へ走った。
後ろから尾形さんが続く。
「わかってんじゃねえか。」
「ふふ、高所から撃つのは狙撃手の鉄則ですものね。」
フフンと笑って窓ガラスの右下辺りを割って銃身を出す。
尾形さんも私の正面で窓ガラスの左側を割った。
敵が上に気付いて、玄関に集まる。
そこで何発か銃声が聞こえる。
恐らく土方さんが玄関の真正面から撃っている様子。
「声からして……二階堂さんですね。」
「そういえばアイツ、杉元に執着してたなァ。」
そんなやり取りをしながら、玄関からの銃撃に怯んだ何人かが玄関上のひさしから出てきたので、足か肩を狙って何発か撃つ。
頭を狙わなかったのは優しさだけど、尾形さんには「甘い」と一蹴されてしまった。
「味方の呻く声で士気を下げるためですぅ。」
悔しかったので言い訳をする。
もう一度構えなおそうとしたとき、バシュッと風と共に銃弾が頬をかすめた。
「!」
「夢主!大丈夫か!」
尾形さんが慌ててこちら側に来て、私の頬に触れる。
「はい、掠り傷です!」
「馬鹿か。顔に傷つけてんじゃねえ。」
尾形さんの心配の仕方が怖い。
ちょっと頬に赤い線が入ったくらいで何を言ってるのだろうか。
尾形さんこそ、顎に縫い跡ついてるくせに。
もう一度何か言い返そうと口を開いたときに、ギシ、と階段が軋む音がした気がした。
私たちが揉めている間に玄関を突破されたようだ。
尾形さんは軍刀で、私は土方さんのお古の刀を手にして扉の影で構える。
一人の侵入者が部屋へ入ってきたところで尾形さんが姿勢を低くして軍刀で一撃。
しかしすぐさま一発殴られてしまい、尾形さんが床に倒れこむ。
すかさず私が日本刀を振りかざしたが、その兵士は私の腕を掴むと私をそのままぶん投げた。
「うぁ!!!」
一応受け身を取ったつもりだったが、私の体がドカッと音を立てて壁にぶつかると、火災のせいで少し脆くなっていた壁が崩れて足が挟まれた。
尾形さんを見ると私に気を取られた間に馬乗りになられて顔面を銃で殴られていた。
「足が……ッぅぅ、尾形さん……!」
「夢主、う、がっ…!」
尾形さんは私の名前を呼んだあとはひたすら殴られ続け守りの体勢に入った。防戦一方だ。まずい。
そこで階段を駆け上がってきた杉元さんが私を見つけて助け出そうとしてくれる。
「夢主ちゃん!」
「私は後でいいですから!尾形さんを!」
あの兵士に気付かれる前に!と杉元さんの手を振り払って尾形さんの方を指さす。
ちょうどそこで兵士は思い切り尾形さんに振りかぶっていた。
「死ねコウモリ野郎がッ!!」
そう兵士は叫ぶが私は血まみれの尾形さんがニヤリと笑うのを見てゾワゾワッとしたものを感じた。
なんでそんな風に笑えるの?
私にとっては、コウモリ野郎なんて言われるような人じゃないのに。
不意打ちで杉元さんが一撃食らわせて兵士は伸びた。
「なんだよ、お礼を言ってほしいのか。」
血まみれの尾形さんが杉元さんを挑発する。
だが杉元さんも尾形さんにはまだ心を許してはいないよう。
「お前が好きで助けたわけじゃねえよコウモリ野郎。夢主ちゃん一人守れないくせに。」
ペッと血を吐いて尾形さんがこちらに来る。
杉元さんが瓦礫を退かしてくれて、尾形さんが引っ張り出してくれた。
杉元さんは「夢主ちゃんを傷つけんなよ」と言い残して、土方さんを探して先へ行ってしまった。
ああ、なんと情けないことか。
杉元さんが来てくれなかったら尾形さんを助けられなかった。
近接武器は私の方が慣れていたのに。
悔しくて仕方がなかった。
本当はちゃんと謝りたかったけれど、今は時間がない。
火災が広まっているので反省するのは後だ。
座り込んでしまっていたが、崩れた壁に手をついて立ち上がる。
「尾形さんお役に立てず申し訳ございません。」
「夢主……足は?」
「大丈夫ですから、早く手当、いや先に屋敷から出ましょう。」
とりあえず退路確保のために窓際から二人で何発か撃って敵を怯ませる。
出ていくなら今しかない。
歩き出そうとするが、足を痛めてしまったようだ。
壁に挟まれたときに少し圧迫されたせいか上手く歩けない。
「……いっ。」
短く悲鳴をあげると、尾形さんが私の腕を掴んだ。
「おい。」
「すみません……大丈夫です。」
「……。」
尾形さんはこちらを見たまま黙り込む。
ああ、うじうじしているから尾形さんを怒らせてしまった。
でもこれ以上足を引っ張るわけにもいかない。
折れてないだろうから何とか我慢して動こうと踏み出すと、尾形さんに急に体を持ち上げられた。
「わっ!?」
「動くな。」
私は初めて尾形さんに会ったときのように、米俵でも担ぐかのように肩に背負われた。
動いたつもりはなかったが、またも尻をばちん!と叩かれて私はおとなしくなった。
そうして背負われて出ていくと、もう全員外にいてどうやら行先が決まった様子。
しかも、土方さんと家永さんは永倉さんたちを見つけてから合流だそうだ。
つまり、私と尾形さんと杉元さんとアシリパさんと牛山さんの5人で月形へ先に行くことになった。
その話をしている間もずっと尾形さんは私を背負ったままだった。
下ろしてもらおうとしてもまた尻を叩かれるので黙るしかなかった。
あの……話している間ずっと皆に尻向けたままなんですけど……。
【あとがき:全員尻見てた。】
ひとっ風呂浴びて、私の軍服について少し揉めた後、刺青人皮の手掛かりを探しに屋敷内を歩き回る。
いつの間にか尾形さんも風呂に入ったのか煤けた顔が綺麗になっていた。
どうでもいいけど、ツーブロックって、濡れるとなんか間抜けだよね。
そのはずなのに尾形さんは髪が濡れててもそれなりに見えるから、本当に顔が良いんだなぁ……。
じろじろと見ていたら尾形さんに「そんなに俺の顔が好きか?」と聞かれて悔しかったので、「別に~」とはぐらかした。
平和だったのはそこまで。
色々漁っている間に、パリンッと窓ガラスが割れた音がして、そちらに足を運べばその部屋は火に包まれていた。
「尾形さん!軍服が見えます!」
「やられた……!家永!外へ出るな!撃たれるぞ!」
恐らく贋作の手掛かりになるものを隠滅しに来たのだろう。
土方さんが入口へ銃を構えて立つ。
この屋敷は確か窓がすべて鉄格子で覆われていたので、外からの侵入は玄関に限られるはず。
となると、上から玄関へ誘い込む必要がある。
私は二階へ走った。
後ろから尾形さんが続く。
「わかってんじゃねえか。」
「ふふ、高所から撃つのは狙撃手の鉄則ですものね。」
フフンと笑って窓ガラスの右下辺りを割って銃身を出す。
尾形さんも私の正面で窓ガラスの左側を割った。
敵が上に気付いて、玄関に集まる。
そこで何発か銃声が聞こえる。
恐らく土方さんが玄関の真正面から撃っている様子。
「声からして……二階堂さんですね。」
「そういえばアイツ、杉元に執着してたなァ。」
そんなやり取りをしながら、玄関からの銃撃に怯んだ何人かが玄関上のひさしから出てきたので、足か肩を狙って何発か撃つ。
頭を狙わなかったのは優しさだけど、尾形さんには「甘い」と一蹴されてしまった。
「味方の呻く声で士気を下げるためですぅ。」
悔しかったので言い訳をする。
もう一度構えなおそうとしたとき、バシュッと風と共に銃弾が頬をかすめた。
「!」
「夢主!大丈夫か!」
尾形さんが慌ててこちら側に来て、私の頬に触れる。
「はい、掠り傷です!」
「馬鹿か。顔に傷つけてんじゃねえ。」
尾形さんの心配の仕方が怖い。
ちょっと頬に赤い線が入ったくらいで何を言ってるのだろうか。
尾形さんこそ、顎に縫い跡ついてるくせに。
もう一度何か言い返そうと口を開いたときに、ギシ、と階段が軋む音がした気がした。
私たちが揉めている間に玄関を突破されたようだ。
尾形さんは軍刀で、私は土方さんのお古の刀を手にして扉の影で構える。
一人の侵入者が部屋へ入ってきたところで尾形さんが姿勢を低くして軍刀で一撃。
しかしすぐさま一発殴られてしまい、尾形さんが床に倒れこむ。
すかさず私が日本刀を振りかざしたが、その兵士は私の腕を掴むと私をそのままぶん投げた。
「うぁ!!!」
一応受け身を取ったつもりだったが、私の体がドカッと音を立てて壁にぶつかると、火災のせいで少し脆くなっていた壁が崩れて足が挟まれた。
尾形さんを見ると私に気を取られた間に馬乗りになられて顔面を銃で殴られていた。
「足が……ッぅぅ、尾形さん……!」
「夢主、う、がっ…!」
尾形さんは私の名前を呼んだあとはひたすら殴られ続け守りの体勢に入った。防戦一方だ。まずい。
そこで階段を駆け上がってきた杉元さんが私を見つけて助け出そうとしてくれる。
「夢主ちゃん!」
「私は後でいいですから!尾形さんを!」
あの兵士に気付かれる前に!と杉元さんの手を振り払って尾形さんの方を指さす。
ちょうどそこで兵士は思い切り尾形さんに振りかぶっていた。
「死ねコウモリ野郎がッ!!」
そう兵士は叫ぶが私は血まみれの尾形さんがニヤリと笑うのを見てゾワゾワッとしたものを感じた。
なんでそんな風に笑えるの?
私にとっては、コウモリ野郎なんて言われるような人じゃないのに。
不意打ちで杉元さんが一撃食らわせて兵士は伸びた。
「なんだよ、お礼を言ってほしいのか。」
血まみれの尾形さんが杉元さんを挑発する。
だが杉元さんも尾形さんにはまだ心を許してはいないよう。
「お前が好きで助けたわけじゃねえよコウモリ野郎。夢主ちゃん一人守れないくせに。」
ペッと血を吐いて尾形さんがこちらに来る。
杉元さんが瓦礫を退かしてくれて、尾形さんが引っ張り出してくれた。
杉元さんは「夢主ちゃんを傷つけんなよ」と言い残して、土方さんを探して先へ行ってしまった。
ああ、なんと情けないことか。
杉元さんが来てくれなかったら尾形さんを助けられなかった。
近接武器は私の方が慣れていたのに。
悔しくて仕方がなかった。
本当はちゃんと謝りたかったけれど、今は時間がない。
火災が広まっているので反省するのは後だ。
座り込んでしまっていたが、崩れた壁に手をついて立ち上がる。
「尾形さんお役に立てず申し訳ございません。」
「夢主……足は?」
「大丈夫ですから、早く手当、いや先に屋敷から出ましょう。」
とりあえず退路確保のために窓際から二人で何発か撃って敵を怯ませる。
出ていくなら今しかない。
歩き出そうとするが、足を痛めてしまったようだ。
壁に挟まれたときに少し圧迫されたせいか上手く歩けない。
「……いっ。」
短く悲鳴をあげると、尾形さんが私の腕を掴んだ。
「おい。」
「すみません……大丈夫です。」
「……。」
尾形さんはこちらを見たまま黙り込む。
ああ、うじうじしているから尾形さんを怒らせてしまった。
でもこれ以上足を引っ張るわけにもいかない。
折れてないだろうから何とか我慢して動こうと踏み出すと、尾形さんに急に体を持ち上げられた。
「わっ!?」
「動くな。」
私は初めて尾形さんに会ったときのように、米俵でも担ぐかのように肩に背負われた。
動いたつもりはなかったが、またも尻をばちん!と叩かれて私はおとなしくなった。
そうして背負われて出ていくと、もう全員外にいてどうやら行先が決まった様子。
しかも、土方さんと家永さんは永倉さんたちを見つけてから合流だそうだ。
つまり、私と尾形さんと杉元さんとアシリパさんと牛山さんの5人で月形へ先に行くことになった。
その話をしている間もずっと尾形さんは私を背負ったままだった。
下ろしてもらおうとしてもまた尻を叩かれるので黙るしかなかった。
あの……話している間ずっと皆に尻向けたままなんですけど……。
【あとがき:全員尻見てた。】