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第二十二話 ケツアゴ
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第二十二話 ケツアゴ
北鎮部隊とバレると署長の周りにいた警察官が騒ぎ立てる。
その騒ぎを聞いて人が集まってきているようだった。
きっとその中にはさっきの老人たちもいるだろう。
「どうするんですか尾形さん……。」
「さあ売り込むぞ夢主。お前もまともに人を撃つのは初めてだろう。わくわくするなぁ?」
「しませんよ、狂人扱いしないでください。」
尾形さんはケツアゴ署長の頭を掴んで意気揚々と売り込むぞと言っているが、この尾形さんがチンピラ程度の馬吉に売り込むとは思えない。
となるとやはり目的は刺青人皮か。
渋々荷物をまとめて三十年式歩兵銃を手に取り、尾形さんと共に理髪店を出る。
ギャラリーは十分だ。
尾形さんは見せつけるように遠くのやぐら鐘を撃つ。
「ほらお前も撃て夢主。」
「うう、やりたくないなぁ。」
本当に渋々やぐらを狙って撃つ。
訓練していたときの的よりも大きくて、しかも動かない鐘は撃ちやすかった。
カァンと良い音が響いた。
その後事態が大きく動き出す。
尾形さんがケツアゴ署長のケツアゴをぐるっとケツまで切り裂いて全身ケツにしてやろうかと脅し、得た情報はこうだ。
ニシン番屋には強盗から売り上げを守るための隠し部屋があるはずで、その中に刺青人皮があると予想される。
また、日泥の実権を握っているのは女将で、妾を攫ったところで親方が大人しく持ち出してくれるかどうかといったところ。
ということで、私たちはさっそくその妾の家へ来てみたものの、ついた時には既に全員皆殺しだった。
「……これ、あの老人が持ってました?」
落ちていた弾を拾うと、尾形さんがニヤリと笑う。
ああ、また手癖が悪いと言われるかしら。
こうして、妾と刺青人皮の交換というやり取りが決まったわけだが、そう一筋縄にいくとは思えない。
戦闘の準備をしているとき、尾形さんがこっそりと私に言った。
「夢主……本物の刺青人皮を奪え。」
本物の?
受け渡しは偽物がくるってことなのかな。
一応こくりと頷いたがなんのこっちゃわからない。
とはいえ、尾形さんが細かく指示を出したことなんてまともにないため、戦力になれるようその場その場で判断するしかないのはいつものこと。
尾形さんの指示で私は尾形さんがいる側とは反対側のやぐらに上がる。
尾形さんは反対側から援護してくれるよう。
うーむ、一般人を撃つのは抵抗があるな。
足でも撃っておけば動けないか、と敵の戦力を削ぐことに徹底した。
尾形さんに覚悟が足りないとバカにされるかしら。
双眼鏡で戦況を確認すると案の定受け渡しにきていた妾は偽物のおじいちゃんだったし、多分女将が執着してないからあの刺青人皮は偽物だ。
ああ、本物とはそういうことね。やっと理解ができた。
私はある程度の敵数が減ったところで、やぐらから降りてニシン番屋を目指す。
少し尾形さん側に近づいたとき、尾形さんのいるやぐらに人が接近していることに気付く。
あの床屋で見た老人たちは、凄い人たちだったようだ。
こうなると老人二人の殺気が凄くて隠密に徹して動くしかない。敵にバレないように、アクロバティックに家や建物の軒や樋を伝って尾形さんの傍まで移動した。
鯉登さんに身のこなしを色々教わっておいて本当に良かった。
「尾形さん!降りてください!」
声をかけると同時に尾形さんのすぐ横の鐘が撃たれてゴォンと鳴り響く。
尾形さんが敵の接近に気付いて降りようとしたときには遅く、降りる途中に腕を撃たれてやぐらの梯子から尾形さんが落ちる。
「尾形さん!!」
日泥は脅威だった尾形さんを撃ち落とせたことに喜んでいる様子。
私は自分の身体で落ちてくる尾形さんを受け止めて地面に転がる。
「夢主!刺青人皮を盗れ!」
「動かないでください!わかってますから!」
私に早く刺青人皮を盗りに行けと尾形さんは叫ぶが、私は聞かずに応急処置で尾形さんの腕に布を巻き付ける。
弾は掠っただけのようだから止血さえすれば大丈夫そうだ。
「まだ間に合います。ニシン番屋へ行きましょう。」
ニシン番屋につくと、中では揉め事が起きている様子。
なになに?……親父さんは種なしで?息子は他所の子で?妾のおなかの中にいるのは息子との間の子かあ……。いや昼ドラかよ。
案の定親父が激高して女将を殺し、息子と揉めている。
息子は野心はないようだけど、こんなちんけなチンピラやめてイチから成りあがると泣きながら宣言している。
「尾形さん。」
尾形さんは何も言わずに梯子に足をかけると親父の頭を撃ち抜いた。
「親殺しってのは……巣立ちのための通過儀礼だぜ。」
おお、よかった皆殺しじゃなかった。
ほっとしていると、尾形さんは日泥の息子から刺青人皮を受け取った。
その後日泥の息子は妾と一緒に街を出るようだ。
街と決別するために番屋に火をつけていた。
刺青人皮を頭に乗せて尾形さんは待つ。
谷垣さんを待ち伏せたときと同じポーズだ。
どんな時も尾形さんは銃をひと時も離さない。その意識の高さの象徴だと思った。
私はその横に正座してあの殺気を放っていた老人たちが来るのを待つ。
あの老人たちの殺気を思い出すと心の中は穏やかじゃなかった。
「どんなもんだい。」
尾形さんが入ってきた老人に刺青人皮を見せつけてお茶目な一面を見せているが、私からすれば笑えない。
尾形さんは何を考えているのだろうか。これからどうするつもりだろうか。
ここで展開が進むと察知しているからこそ、緊張で背筋が伸びる。
そして尾形さんは「土方歳三さん」と背の高い老人に向かって呼びかけた。
土方歳三!?この人が!?
顔にぶわっと変な汗をかいた。
そんな有名な人が……いやそもそも旧幕府軍が消えて、今まで生きてるなんて。
私の知っている史実と違う。
尾形さんは刺青人皮を差し出して、土方さんに自分を売り込む。
「腕の立つ用心棒はいらねえかい。」
土方さんは、尾形さんだけではなく私もまとめて強い眼差しでこちらを見ていた。
え?私は用心棒になれるとは思ってないですよ土方さん?
【あとがき:土方組参入。】
北鎮部隊とバレると署長の周りにいた警察官が騒ぎ立てる。
その騒ぎを聞いて人が集まってきているようだった。
きっとその中にはさっきの老人たちもいるだろう。
「どうするんですか尾形さん……。」
「さあ売り込むぞ夢主。お前もまともに人を撃つのは初めてだろう。わくわくするなぁ?」
「しませんよ、狂人扱いしないでください。」
尾形さんはケツアゴ署長の頭を掴んで意気揚々と売り込むぞと言っているが、この尾形さんがチンピラ程度の馬吉に売り込むとは思えない。
となるとやはり目的は刺青人皮か。
渋々荷物をまとめて三十年式歩兵銃を手に取り、尾形さんと共に理髪店を出る。
ギャラリーは十分だ。
尾形さんは見せつけるように遠くのやぐら鐘を撃つ。
「ほらお前も撃て夢主。」
「うう、やりたくないなぁ。」
本当に渋々やぐらを狙って撃つ。
訓練していたときの的よりも大きくて、しかも動かない鐘は撃ちやすかった。
カァンと良い音が響いた。
その後事態が大きく動き出す。
尾形さんがケツアゴ署長のケツアゴをぐるっとケツまで切り裂いて全身ケツにしてやろうかと脅し、得た情報はこうだ。
ニシン番屋には強盗から売り上げを守るための隠し部屋があるはずで、その中に刺青人皮があると予想される。
また、日泥の実権を握っているのは女将で、妾を攫ったところで親方が大人しく持ち出してくれるかどうかといったところ。
ということで、私たちはさっそくその妾の家へ来てみたものの、ついた時には既に全員皆殺しだった。
「……これ、あの老人が持ってました?」
落ちていた弾を拾うと、尾形さんがニヤリと笑う。
ああ、また手癖が悪いと言われるかしら。
こうして、妾と刺青人皮の交換というやり取りが決まったわけだが、そう一筋縄にいくとは思えない。
戦闘の準備をしているとき、尾形さんがこっそりと私に言った。
「夢主……本物の刺青人皮を奪え。」
本物の?
受け渡しは偽物がくるってことなのかな。
一応こくりと頷いたがなんのこっちゃわからない。
とはいえ、尾形さんが細かく指示を出したことなんてまともにないため、戦力になれるようその場その場で判断するしかないのはいつものこと。
尾形さんの指示で私は尾形さんがいる側とは反対側のやぐらに上がる。
尾形さんは反対側から援護してくれるよう。
うーむ、一般人を撃つのは抵抗があるな。
足でも撃っておけば動けないか、と敵の戦力を削ぐことに徹底した。
尾形さんに覚悟が足りないとバカにされるかしら。
双眼鏡で戦況を確認すると案の定受け渡しにきていた妾は偽物のおじいちゃんだったし、多分女将が執着してないからあの刺青人皮は偽物だ。
ああ、本物とはそういうことね。やっと理解ができた。
私はある程度の敵数が減ったところで、やぐらから降りてニシン番屋を目指す。
少し尾形さん側に近づいたとき、尾形さんのいるやぐらに人が接近していることに気付く。
あの床屋で見た老人たちは、凄い人たちだったようだ。
こうなると老人二人の殺気が凄くて隠密に徹して動くしかない。敵にバレないように、アクロバティックに家や建物の軒や樋を伝って尾形さんの傍まで移動した。
鯉登さんに身のこなしを色々教わっておいて本当に良かった。
「尾形さん!降りてください!」
声をかけると同時に尾形さんのすぐ横の鐘が撃たれてゴォンと鳴り響く。
尾形さんが敵の接近に気付いて降りようとしたときには遅く、降りる途中に腕を撃たれてやぐらの梯子から尾形さんが落ちる。
「尾形さん!!」
日泥は脅威だった尾形さんを撃ち落とせたことに喜んでいる様子。
私は自分の身体で落ちてくる尾形さんを受け止めて地面に転がる。
「夢主!刺青人皮を盗れ!」
「動かないでください!わかってますから!」
私に早く刺青人皮を盗りに行けと尾形さんは叫ぶが、私は聞かずに応急処置で尾形さんの腕に布を巻き付ける。
弾は掠っただけのようだから止血さえすれば大丈夫そうだ。
「まだ間に合います。ニシン番屋へ行きましょう。」
ニシン番屋につくと、中では揉め事が起きている様子。
なになに?……親父さんは種なしで?息子は他所の子で?妾のおなかの中にいるのは息子との間の子かあ……。いや昼ドラかよ。
案の定親父が激高して女将を殺し、息子と揉めている。
息子は野心はないようだけど、こんなちんけなチンピラやめてイチから成りあがると泣きながら宣言している。
「尾形さん。」
尾形さんは何も言わずに梯子に足をかけると親父の頭を撃ち抜いた。
「親殺しってのは……巣立ちのための通過儀礼だぜ。」
おお、よかった皆殺しじゃなかった。
ほっとしていると、尾形さんは日泥の息子から刺青人皮を受け取った。
その後日泥の息子は妾と一緒に街を出るようだ。
街と決別するために番屋に火をつけていた。
刺青人皮を頭に乗せて尾形さんは待つ。
谷垣さんを待ち伏せたときと同じポーズだ。
どんな時も尾形さんは銃をひと時も離さない。その意識の高さの象徴だと思った。
私はその横に正座してあの殺気を放っていた老人たちが来るのを待つ。
あの老人たちの殺気を思い出すと心の中は穏やかじゃなかった。
「どんなもんだい。」
尾形さんが入ってきた老人に刺青人皮を見せつけてお茶目な一面を見せているが、私からすれば笑えない。
尾形さんは何を考えているのだろうか。これからどうするつもりだろうか。
ここで展開が進むと察知しているからこそ、緊張で背筋が伸びる。
そして尾形さんは「土方歳三さん」と背の高い老人に向かって呼びかけた。
土方歳三!?この人が!?
顔にぶわっと変な汗をかいた。
そんな有名な人が……いやそもそも旧幕府軍が消えて、今まで生きてるなんて。
私の知っている史実と違う。
尾形さんは刺青人皮を差し出して、土方さんに自分を売り込む。
「腕の立つ用心棒はいらねえかい。」
土方さんは、尾形さんだけではなく私もまとめて強い眼差しでこちらを見ていた。
え?私は用心棒になれるとは思ってないですよ土方さん?
【あとがき:土方組参入。】