海辺のひととき

オリバーがオルハとうへ、アゼル、エマ、メルル、グラン、ミッチと共に行ったときのこと。
 海辺を歩きながら、オリバーは幼い頃を思い返していた。


 オリバーがシグマと出会って一年が経ったころ、王族の皆でオルハ島へ旅行に行くこととなった。シグマは最初遠慮していたが、オリバーたっての希望でシグマも行くことを決めた。
 水着に着替えた二人は早速砂浜に向かった。シグマはあまり泳ぐ気にならず、その場でくつろごうとしていた。オリバーはそんなシグマの手を引く。
「せっかくの海じゃないか、一緒に泳ごう」
「オ、オリバー?」
 オリバーはそうして海に足を入れると、シグマの手を離し、一人で泳いでいった。シグマが後をついていき、ざふざぶと波をかき分けていく。やがてシグマは泳いでオリバーに追い付き、横に並ぶ。
「すまない、ついはしゃいでしまって……」
 オリバーはそうして、シグマと後から来た妹のユーフォリアの三人で遊んだ。


 「楽しかったな……」
 現在のオリバーはそう呟き、しみじみ海を眺めた。
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