雨上がりの虹
突如泣き出した私だけど、お腹ががすいたのと勘違いされたらしく、哺乳瓶が私の口に入れられた。
急に入れられたから、びっくりして涙は止まってしまったけど、美味しいなこれ。
一生懸命に哺乳瓶をすう私に、満足そうな両親の顔が見えた。
光を跳ね返しているような綺麗な銀色の髪に。
顔の横から飛び出た耳。まだ若そうな二人。
父さん母さん、ていうよりはパパとママだわ。
(うわぁパパとママさんは、エルフでしたかー…)
ということは、私はエルフとして生まれ変わったのですね・・・
で、でも死んでから時間がどのくらい経っているのかわからないし…
そうか、時間経過によっては昔の知り合いもまだ生きているかもしれない。
(それに、この里が、世界樹のふもとの里で無ければ、まだ大丈夫なはずだけど・・・)
「一生懸命飲んでいるよ、可愛い。
おーい、世界樹の樹液は美味しいでちゅかー?」
慈愛に笑みを浮かべ、いまだに飲んでいる私のほっぺをつついてくるパパ。
てか、コレは世界樹の樹液かい。
どおりで、身体中から力が湧き出てきてるはずですよ。
完全回復ポーションの原液飲まされてるんだから。
むしろ過剰摂取しすぎじゃあなかろうか。
ていうか、ちょっと私的に気になるワード出たんですけど・・・
「飲み終わったかしら、私の愛しい子」
「君はまだ横になっていて。僕はこの子を見せに行ってくるよ」
ということは、外に行くんですか?
パパは私を抱っこすると、ママの額に軽くキスをしてから部屋の外へ歩いていった。
玄関かな?と思う扉を開けると、外は私が予想していた場所と全く同じであった。
家の周りは緑溢れる森、目の前に広がる樹の根。
横にはとてつもなく大きな世界樹・・・。
パパは私を抱っこしながら、世界樹の駆け上がって行く。
さすがエルフ。身体能力すごすぎる。
世界樹の中腹まで駆け上がると、一つの枝に飛び乗り、私に話しかけてくれた。
「ここがキミの生まれた世界だよ」
眼下に広がる森と時折開けた場所にあるエルフの里。
見覚えのある花畑も見えるし、見覚えのある地形である。
(やっぱり、ここは、)
元・旦那の故郷の里。
私が前世プロポーズされた場所。
世界樹の里、銀のエルの森。
(やっぱりかーーーー!)