夜明けと神
実際には、世界の三分の二度程度が焦土と化し、私カノが住んでいたサンダー家の領地もその破壊されるエリアに入っているのだと、神はのんびりと教えてくれた。
「さっきの運命のままだと、誰にも覆せないからね、ボクのレストピアに何してくれてるんだゴラァって感じだよ、まったく。
だから、ボクの力を合わせてどうにか、あのサンダー家メイド長カノならば回避出来る運命、にしてあげたのさ。
本当ならば魂の洗浄をして、記憶や経験を真新しくしなきゃなんだけど・・・そんなことしたら、生存率がゼロになってしまうんだ。
だから、カノのまま君はここにいるんだよ」
いわゆる強くてニューゲームってやつだねー、と神は言っていたけど何を言っているのかわからなかった。
(神様、先ほどはその運命を受けるも受けないも選べるよ、みたいな感じでしたがー・・・?)
「もちろん、受けるも受けないも、君次第だよ?
ただ、受けない場合は、君の元旦那も、友達も宝物も全部焦土と化すだけさ」
神様、それは脅しですー・・・。
それでも、私の大切なものが、守れるというならば
(はぁ・・・わかりました。その運命、受け入れます。
受け入れますが、その代わり、私のお願いも聞いてもらえますか?)
「もちろんだよ。ありがとうカノ!さっすがアノ子の娘だね!
君の願いはバッチリ叶うよ、だけどね、」
神様は小さくなった運命を私に埋め込みながら、優しく微笑んだ。
「カノ・エルウィングの願いは君が本気で願えば叶ったんだよー・・・?」
それは、どういう事ー・・・?
落ちていく意識の中で、最後に見えた神の笑顔は
最期に見た彼に、なんだか似た笑顔だなと、思った。