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夜明けの彼女が終わる頃



私の母親は、この世界に招かれた異世界人だった。

神は言った。この世界でどうか癒されてほしい。
壊れそうな心の休憩場所みたいな世界を、ボクは君たちに与えたい。

ボクの世界……このレストピアで、君たち日本人を歓迎するよ。


神の言葉により、この世界に落ちるようにやって来る異世界人。
彼らにとって、この世界はとても優しい世界かもしれないが、

この世界で生まれた私にとっては優しくはない世界だな、と思う。


私の母は、確かにこの世界で癒されたけど

人の悪意に触れ、心を壊し、嘆いた神によって帰って行ってしまった。

当時の私は10歳。
父親は誰とも知れず、母親は世界を渡り帰り、ひとりぼっち。

壊れた母が歌うように付けてくれた私の名前と、両親譲りの髪の色だけが、私に残されたものだった。


当時、母が保護されていた屋敷では、母のおかげと言うべきが、私が居ることも許されていたが、その母は帰って行ってしまった。
母が帰ってしまったあと、私の居場所は無くなり、追い出されるように別の屋敷へと奉公へと出された。

半月ほど馬車で移動をし、たどり着いたその屋敷は、この国の七大貴族のうちの一つ、紫電を操るサンダー家のお屋敷で、まさかの本家。


開いた口が塞がらないほど、どでかく立派なお屋敷すぎて、正直泣きそうになっていた。


門から玄関までかなり遠く、広大な庭とその敷地面積はさすが七大貴族、と言うところか。

サンダー家では、たくさんの従事者とその家族も一緒に敷地に住んでいるので、小さな町と言っても過言ではない。

かなり大きな門(後で聞いたけど正門らしい)の前で馬車を下ろされると、私を待っていたらしいメイド長が優しく微笑んでくれた。

なぜ、侍女長じゃないのかと言うと、サンダー家では侍女はメイド、侍従は執事、と言う役職名で働かねばならないと、決められているのだと言う。

何代か前にサンダー家の当主となった異世界人が決めたことだと、話してくれた。


そうして、色んな話をメイド長から聞きながら私は此処で生きていくことになった。





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