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春が来た。

サーーー。
まだ梅雨でもないのに外では土砂降りの雨が降る。うるさい。鬱陶しい。
私は月雲夕空つきぐもあかね 中学2年。夕空と書いて「あかね」と読むキラキラネームだ。まあ、嫌いでもない。それにしても退屈だ。当然私には主人公補正などついているわけではないので「外を歩いていたらハプニングが!」とかあるわけがない。そもそも私は誰かからの誘いが無いと外には出ない生き物だ。でも勘違いしないでほしい。私は外が好きだ。
カタカタッ
静まり返った部屋にキーボードの音だけが響く。
「♪~♪~~~」
ヘッドフォンを装着し周りの音を遮る。私にはこれしか現実逃避する術がない。
プルルルル

電話の音だ。私はキーボードを打つ手を硬直させ、警戒モードに入る。
ああ、言ったそばから。……あいつか。私は電話を手に取り、耳元へあてる。
「もしもし~?今日遊ばない~?」
「は?馬鹿か?今日雨だぞ。」
こんな雨の日に何をするというのか。あいつの事だからまた馬鹿な事を言うのだろう。
「え?今日晴れてるよ?」
「は?」
私は持ってる電話を投げ捨て確認しに行く。
「ははは、馬鹿は私か……」
カーテンを開けると眩しい光が差し込んできて、そこには太陽という皆を照らしているという私の大っ嫌いな天体が浮かんでいた。
再び電話を手に取り耳元へあてる。
「は、はははは……そ、それじゃあ、遊びに行きましょうかい……」
「クスクス……分かった!公園で待ち合わせね!」
そう言い残し電話を切る。ああ、もうすべてがうざったい。
私はヘッドフォンをパソコンから根こそぎ引っこ抜き音楽プレイヤーに繋ぐ。そして私は翡翠色のパーカーと黒タイツを履き、外へ飛び出す。

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