観戦 迫蓮・天世良


スポーツ観戦をしに入場列に並んでいたら、
4人でばったり出会した。


世「蓮次じゃねーか!」
蓮「世良!」

世「こら、天地。帰んなよ」
天「‥‥」


後ろ背を向けた天地のシャツは世良に掴まれピンと張る。


迫「ありゃー天地じゃねーか。どーなってんだよ‥」
蓮「‥‥。さーな」


売店屋で目立つリーゼントをそれぞれ捉え、
蓮次と世良は売店前で話し込んでしまい盛り上がってしまった。
フードドリンクを買いに来た迫田も出くわす。


世「迫田、おめーに似たやついんぞ」
蓮「マジだ」
迫「うるせー、アホか!」


迫田はさっさと通り過ぎてしまい、
蓮次は買ったステッカーを世良にも少し分けてあげた。
生ビールとつまみを持って迫田が指定席に座ったら、
蓮次に先程買った恐竜モチーフのキャラステッカーを携帯に早速貼られる。


迫「オイ、張んな!」


それぞれ別席で観戦していたら、
世良から"勝負しようぜ"とメールが来た。


蓮「‥マジか?ムリだろ‥」


向こうの相手は天地だ。
世良は端から負ける勝負なんてしてこない。
これは本気だなと蓮次は思い、
勝者には景品までありで二人で賭け事を始めた。


蓮「迫田。バイト続きでよ、たまの休みにオメーと息抜きできて、
すげー嬉しーぜ‥!」
迫「だーーっくそ!なにやってんだよ‥っ!」
蓮「おい、聞けよ!」


果敢に話しかけるも、食べる観るに夢中な迫田に苦戦した。
一筋縄じゃいかない頑なな男、
天地相手に最初は分が悪いと思っていた世良。


天「ハッ、拮抗して見応えあんじゃねーか!
よー世良、飲んでるか!?」
世「‥‥(こいつは飲むとラフになってくれんだよなぁ‥)」
天「てめーケータイ弄ってんじゃねーよ。試合見ろ!」


蓮次は着信を見てすぐさま、
天地が世良の肩を組んでるのを目撃する。


蓮「嘘だろ‥?!」


世良の勝利宣言が届いた。


蓮「迫田!これってデートだよな??オイ、こっち見ろよ!」

迫「うるせーーな!おめーが観てーって言ったんだろっ!!」


観戦に誘ったのは蓮次だが、沸々と怒りが込み上げてきた。
当たり前に観戦を楽しんでいた迫田は、
酒が入っていたせいか蓮次の遠回しの言い方には全く気付かず敗北した。


天「オイ、こっちだ」


ビールのおかわりをしようとする天地は、
駆け回るスタッフに呼びかける。


康「お客さん!勿体ねーんで、カップ交換制ですぜ」

天「そーか」

康「ほい、天っち!」

天「ゴフ‥ッ!?‥ゴホッ!」


残り僅かのビールを飲み干そうとした天地はむせた。


世「おい、天地。大丈夫か?」

天「な なんで、いんだよ‥!」

康「短期バイトだよ!歩合制で結構稼げんだぜっ♡」


康明は女がやる仕事だろーと最初は一蹴したが、
なかには男もいるしかなり稼げた話を耳にして飛びついた。
売りに売りゃあいーんだなと意気込んでいた。


康「あっ。あいつらも誘って来ててよ」
天「‥‥」


まさかの天地軍団は会場内に集結していた。


天「はぁ‥‥」


ムキになる蓮次は世良にもう一勝負呼びかけたが、二度負けた。

ビール売りは割と体力がいるバイトで短時間勤務だったため、
一緒に帰るか?と言われた天地は一人で先に帰ってしまい仲間の一人と合流する。

世良と蓮次たちからしたら天地は帰り際にいつの間にか居なくなっていた。
世良にはメールが来ていた。


世「はぁ‥‥。知り合いが居たからって、
誘ったオレを置いて帰るかね‥‥フツー」

迫「おい、蓮次、なに怒ってんだ!」


迫田は不機嫌な蓮次に睨まれる。


迫「ごちゃごちゃと耳元でよ。
ちゃんと言わねーと分かんねーだろ!」


世良は言い合いになってる蓮次と迫田を見やる。


世「おめーらのがよっぽど仲良いーぜ」

蓮「どこがだよ!あのヤロー全然話聞かねーしよ、
オレが上手く言ってやっても以心伝心全くできねーンだよ!!」

迫「なんの話じゃ!」


蓮次は世良に言っていたため、迫田は世良につっかかった。


迫「オイ!さては、世良。てめーが絡んでんのか?!ア?」

世「お。バレたか」

迫「やっぱし、てめーの仕業か‥ッ!」

世「おめーはそーやってすぐ頭に血ィ登って殴ろーとすんの変わんねーな〜〜、迫田」

迫「るせーっ!喧嘩売ってんのか?!」

世「おー!蓮次とはオレが帰んぜ?
バカなおめーじゃ蓮次が可哀想だからよ!」


蓮次とどちらが一緒に帰るかで揉め出した。


蓮「なんでそんな展開になんだよ!?
お おい‥3人で帰りゃいーだろっ?」


世良と迫田はバトルになりお互い自信満々だった。

小馬鹿にする世良を前に、迫田は蓮次を賭けてるとなると
いつもより馬力が上がったパンチをお見舞いする。


蓮「世良!!‥迫田、おめーな!なにも本気でやる事ねーだろ!」

世「‥‥」


蓮次は世良を起こして心配し、迫田をじと目で睨みつける。
世良も同じように、二人に目や空気で責められる迫田。


迫「‥‥オレは悪くねーだろ!!
なにをしてたんだてめーらは?!外野扱いしてよっ」


先に手を繋ぐか肩を組む、直接的なお願いは禁止、
という勝負を二人はしていた。

そう聞かされ、迫田は蓮次に試合中言われたような事を
思い出そうとしたがなに一つ思い出せなかった。


迫「くだらねー事やってんじゃねーよ」


蓮次は世良を送ると言うので嫌々迫田は付き合う。
世良はもうここで良いと帰路の途中で分かれた。


迫「もう話しかけてくんじゃねーぞ!」
蓮「迫田!」


電車内は涼しいが迫田はイラつきを抑えようと扇子であおぐ。


迫「あいつがいるとろくな事がねーな!」


蓮次は世良を気にかけた。
天地が先に帰った件だ。
オレなら同じ事をされたらキレてしまうと考えていた。
迫田は隣でオレは悪くねーからななどと念押ししていて、
蓮次はもう怒ってねーと伝え和解する。


(電話)


蓮「怪我はヘーキか?あのバカが悪かったな‥」


代わりといったらなんだが、
大丈夫と言う世良に今度4人で海へ行かねーかと誘う。


世「‥行きてーけどよ。きっと、あいつは来ねーだろーな」

蓮「海くれーでか?‥なんでそんな面倒な奴と付き合ってんだよ?」

世「‥‥。付き合ってねーよ?」

蓮「つ 付き合ってねーのにあんなにベタベタしてたのか?!」


受話器からの蓮次の大声に、世良は思い返す。
酔って素になったのか、それとも調子づいた天地なのか。

世良はやっぱりみんなで海やプールへ行きたいからと
オレに任せろと蓮次に伝えた。


(天地との電話)


天「行かねー」

世「なんでだよ?いーだろ、泳ごーぜ。夏の今だけだぜ!」

天「自宅で泳げるしな」

世「お、おまえん家プールあんのか!?」


まじでぼんぼんだなと心の中で思い、
世良はデコに手をあてて困り果てる。
溜息を無意識に付いていたかもしれない。


天「‥‥‥」

世「‥‥(長めの沈黙)‥‥‥。
なら、また何かあったら電話する‥‥。
じゃーn」

天「待て!オレん家のプールで良けりゃー‥来てもいーぜ」

世「いーのか?!」

天「おー‥。今週末はどーだ」

世「わりー‥今週は‥」

天「なんか予定あんのか?」

世「ちょっとな‥」


顔の怪我がひどくて殴られた部分が腫れている。
くそ迫田のアホ、と内心毒付く。


世「来週とかよ、行ける日決まったら知らせる。約束だぞ?天地」

天「あぁ」



後日。世良は二人に会いに行き、
外で迫田と蓮次が座っているところに世良は声をかけた。


世「蓮次!」

蓮「おー世良!怪我すっかり治ったな」

世「おー。あのよ、海はみんなで行けねーわ‥わりィな」

蓮「‥‥そーか」

世「それよりよ、その話のおかげで天地ん家に誘われたんだよ‥!
ありがとな蓮次」

蓮「マジか!!!」
世「マジ♩」


蓮次は世良とがっつり両手で恋人繋ぎをして、
やったやった♩と二人で飛び跳ねてはしゃいでいた。


迫「女子か!」


今度は二人でヒソヒソ話をしていて、
いつかWデートしたいなと蓮次に無邪気に笑いかけられる。

世良の表情を遠目で見て、迫田はまたなにか企んでんなと思った。
1/1ページ
    スキ