軍ポン (軽くR18)


「今日という日が来ちまったか」


ダイヤは複数人存在する。
城の中で育ったクラウン候補がダイヤに求愛するのが一般的だ。
城の外は危険と聞かされていて、本城は一度も出た事はなかった。


今まではほとんど金欲しさに媚びる奴らばかりだった。
オレなんて見ていない。
だからって、プロポーズが1件もまだねーのはどういう事だ。



「せっかく綺麗にしてもらったのによー‥」



誰にもお披露目できないのは虚しい。
高価な純白のドレスはダイヤのみが着られる名誉なのだ。
個々に違うデザインで特注品だ。


今日までに必ず城の掟によりクラウンを決めないといけない。
相手がいない場合は勝手に決められてしまう。
それだけは避けたいため時間を見ながら訪問者を待っていた。

ノック音に心臓が跳ね上がり、使用人が来ただけで肩を落とす。



「みんな見る目がねーの」



⭐︎



「軍司さん、お供しますよ」

「十希夫、わりーな。登ろうと思うんだけどよ」

「この柱の壁をっスか?」

「おー‥」



ダイヤのいる部屋は結構高くに位置する。
防犯対策か窓に飛び移れる隣接した建物もない。



「よじ登るぞ」

「そんな事しなくても、普通に部屋に行ってノックすりゃいーのに」

「演出ってヤツだ」



垂れている縄を掴んで登って行くというのだから十希夫は諦めて
柱に足を付け腕の力で付いて行く。
軍司はこの日のために鍛えるのを怠らなかった。



ベランダに到達し二人は息を切らしていた。
一人は念のため隅に待機し縄を回収。
軍司は息を整えて、気合いを入れて窓をノックした。



「!‥なんだ?」



窓から音がし、本城は驚き過ぎて怯えていた。
ノックが止まらないため、渋々窓を開けて確認する。



「遅くなってすいません。本城さん、お迎えに上がりました‥!」

「軍司‥!」

「中に上がらせてもらっても良いですか?」

「‥いーけどよ、おめーどーやって‥」

「失礼します」



軍司が窓を閉めて、本城の前に向き膝を付く。



「ずっとこの日を待ち望んでました。
オレのダイヤは出会った時からあなたで変わりません。
どうかオレを選んでください」


「‥ありがとな‥軍司」



差し出された手に快く左手を重ねたら強く握られた。



「最高に綺麗ですよ」

「だろ」



そのまま手を引かれて軍司に引き寄せられ抱き止められる。
至近距離で目が合えば本城が気圧されていた。
空気が一変し、強く口付けられる。



「っ‥〜〜‥ぐんじ‥待ってって‥ッ!」



後ろへ徐々に下がっていきベッドへ押し倒された。



「‥キスしかしませんよ‥今は」



クラウンが決まったら今夜0時に契りを交わすのかと思うと、
本城は耐えられないかもしれないと赤くなる。



「名残惜しいけど報告しに行きましょうか。クラウンはオレだって」

「‥そーだな‥」



そう言うわりに覆い被さってる軍司はキスしてきて動こうとしない。



「はぁ‥幸せっス‥」

「‥日が暮れちまうぞ‥」



軍司にようやく上体を起こされる。
窓を開け、縄を回収してくれた十希夫に一声かけていた。



「二人で登ってきたのかよ〜‥驚いたぜ全く」

「お待たせしました。行きましょうか」



相手が決まると祝福され0時の前に祝いの食事を共に摂る流れだ。
いつにも増して豪勢な食事が用意されていた。



「みんな決まったのかな」

「‥あまり人がいないスね。もう食事は終えて時間まで出歩いてるか、」

「‥まだ決まってないかだよなー」

「オレらが心配してもしょうがないですし、たくさん食べてください」

「‥んー」



緊張してきてあんまり喉を通らないんだが。



「夜は長いんスから」

「‥/////」



見た事もない笑みを向けられ、
本城は軍司を見ないようにして口へ運ぶ事にだけ専念した。



⭐︎



先にシャワーを浴び終え営みの個室のベッドってめちゃくちゃ
デケーなと寝転がっていたらカーテン越しに人影が動いた。

鼓動が早くなる。軍司が入ってきてカーテンを閉めていた。



「本城さん‥着てくれたんですか」 

「今日くらいしか着ねーもん」



脚を撫で上げられ、ダイヤ専用の下着が見える。
会っていない間に軍司はすっかり大人になっていて、
真剣な目付きで捉えられて動けなくなる。



「二人なんだ‥声を出して‥もっと感じて」



耳元に囁かれて変な声が出た。
愛撫を受けてもう濡れているのに躊躇なく、気付いたら全身に口付けされている。
脚広げてだのかわいいだの言われ続け本城は震えから段々蕩けていく。
全部初めての事で、愛されてるのが伝わってきて本城も素直に求められるようになった。



「‥ぐんじ‥っ‥」

「本城さん‥っ‥愛してる」

「ん‥っ‥オレも‥////だいすきだ‥っ」

「ッ‥‥」



ずっとこうなるのを夢見てた。
頭の中で何度抱いた事かーー‥‥。
城内で本城に声を掛けてるライバルたちを見ては葉っぱをかけて潰してきた。
目標に向けてオレは頑張れたんだ。
おかげでオレは強くなれて立派な騎士になれた。
軍司は滾った。



「‥まだまだ受け取ってくれ‥ッ」



⭐︎



愛で過ぎたのか、
疲れて眠ってしまっている本城の姿を見ていたら眠れなかった。



「‥おはよう‥本城さん‥」



目覚めた本城は昨日狼の化身と化していた軍司を目にして、いーっとした。



「‥しぬかと思ったぜ‥ばかたれ‥‥っ」

「‥‥」



かなり眠いが起きてて良かったなと思った。
本城は一人で思い出しては悶えていた。



「おめーがあっっっっんなスケベだと思わなかったぜ‥‥‥この先相手できるかどーか‥」

「‥‥」

「ん‥寝てねーのか?」

「‥あんな興奮しちゃ眠れねーよ‥」

「‥バカだな‥。一緒に寝てやるから、おやすみ」



本城におやすみのキスをされ側に寄り添われた。
至近距離で乱れた髪を触られる。



「//////」

「真っ赤だぜ‥フッ‥」



笑う本城は愛しくて、いくら愛しても足りねー存在だ。



「‥俊明さん‥」

「!‥なんだよ‥」

「もっと‥キス‥して‥くれ」



寝落ちそうな顔をしてせがんでくる軍司に、
本城は素直にたくさんお見舞いしてやった。顔中に。



「ッン"‥!」



結果逆に起こしてしまった。



「すげえ濡れてる‥キスしただけで‥?」



軍司の指だけは動いていて本城のをヌルヌルと滑らせていた。



「もー寝てろ‥ッ////」



キリがないので、本城は肘でトドメをさした。
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