お兄ちゃんと呼んでくれ
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私立煌学園は白徳様が理事長を勤める、幼稚園から大学まである名門校だ。
つまり、練家が絶対王者として君臨する世界。
そんな世界で、分家&遠縁であっても練家の名を冠する私が目立たないわけもなく、好奇心一杯の衆目に晒されている。
前の女子高では目立たず生活してきたのに、ここではそれが叶わない。
「なんだ、腹が減ったのか」
「人の目が気になるので話しかけないでください」
隣の席の紅炎さんをはねつけ、眉間によったシワを伸ばしていたら「あの苦悩に満ちた顔、白雄様によく似ていらっしゃるわ」と聞こえて更によった。
あのお綺麗な聖人君子と似ているとかやめてほしい。
私はあんな綺麗な人間ではない。
「早く一人になりたい……」
ぐったりしながら、漸く待ちに待ったお昼。
お財布を持って駆け出そうとしたが、案の定というか、やはりというか。
紅炎さんに襟首掴んで引き留められた。
「もうちょっと違う引き留め方ないんですか?!」
締まった喉をさすりながら文句を言えば、「一番掴みやすかった」と悪びれなく言われる。
本気で言ってます?
手とか腕とか、その辺の方が数百倍掴みやすくありやしませんか?
信じらんねえ、こいつ。という目で見ても物怖じしないのは、さすがの胆力と言うべきか。
いや、このこけし顔はなにも考えてないな。
「それで、なにか用ですか?」
「いつも不思議だが、方向音痴の癖になぜ未開の地を歩き回ろうとするんだ」
「空腹が私を急き立てるので」
「道に迷って食事にありつけない経験をした人間の発言とは思えんな」
馬鹿を見る目で見られても、私はめげない。
なぜなら、普段晒されない衆目に晒され神経を使い、前の学校より先に進んでいる勉強に食らいつくのに必死すぎて!
「とても!お腹が空いているんです!」
「いつものことだろ」
「お黙り!なので、一刻も早く食堂と購買部を梯子したいので用件は手短にお願いします」
「場所もろくに知らないのに梯子とは笑わせる」
「よ・う・け・ん・は?」
刻一刻と消費される時間とエネルギーにイライラしながら催促すれば、「白雄様に、お前を昼食に連れてこいと言われた」と聞きたくない用件が飛び込んできた。
やだやだやだ!あの人と食事とか、安心して食事できない!やだやだやだ!
まぁ、駄々をこねたところで武力の権化である紅炎さんが力業にでないわけないですよね、と小脇に抱えられ達観した。
「さぁ、食べなさい。春蓉」
「ほらほら、どれ食べたい!とってやるぞ!」
「遠慮なさらずに!」
大量のおかずを持った黒髪兄弟に詰め寄られ、思わず紅明さんの背後に隠れたのに紅炎さんに引きずり出された。
というか、中庭で昼食してる人間初めて見たし自分がその一員になるとは思わなかったよ。
はぁ、こんな身分上の人間に囲まれ、遠目から何人もの生徒たちに見られ、味なんてわかるはずもなく。
「美味しい」
「うん、うん!いい顔だぞ、春蓉!」
白蓮さんの言葉で我に返るが、美味しいおかずの所為で表情筋が緩む。
このプチハンバーグ美味しい。
「そういえば、春蓉殿は部活動はどうされるのですか?」
ニコニコする白瑛さんの問いかけに、「そうですね……」と人が考えてるってのに「武術はどうですか!」「弓道にしようぜ!」と迫ってくるのやめてくれませんか、白瑛さん、白蓮さん。
選択肢与える気ないでしょ。
「入るなら、文学サークルかお料理サークルがいいです」
「料理部に入って大食漢を晒すつもりか、お前」
「シャラップ、紅炎さん。運動部だと、大会でないといけないじゃないですか。そういうの苦手でして」
だから嫌です、という私の遠回しな言葉を拾ったのは意外なことに紅明さんだった。
「料理部は全国大会まで行ってますし、文芸部も文芸コンクール入賞を目指しているのでレベルが高いですよ」
「えっ」
「料理部と文芸部は全員参加なので、大変らしいですよ。それに対して、大会出場人数が限られた武術部や華のある人に視線が行きやすい弓道部。果たして、どちらがいいでしょうね?」
無表情でお弁当を食べながら語る紅明さんを「味方だと思ってたのに!」と非難したら「私は兄上の味方ですから」と返され、つまるところ白雄さんたちの味方じゃないか!
面倒くさそうなガチ文化系か、注目度が分散される運動部かと悩む私に決定打を叩き込むように紅明さんが呪文を囁く。
「カロリー……脂肪……体重増……」
「やめろやめろやめろ」
紅明さん、そんな酷い人でしたか?!
私はチャーシューを噛み締め「武術部とやらにします……」と決めれば、白瑛さんと白雄さんが顔をほころばせた。
あ、面倒な方を引き当ててしまったかもしれない。
「一緒に鍛練できますね、春蓉殿!」
「わからないことがあれば、白瑛に聞くといい。俺と紅炎もいるから安心しなさい」
うわ、面倒くさいトリプルコンボ決まった。
武術部がなにかは知らないけど、とりあえず本屋で剣道のハウツー本買おう……。
つまり、練家が絶対王者として君臨する世界。
そんな世界で、分家&遠縁であっても練家の名を冠する私が目立たないわけもなく、好奇心一杯の衆目に晒されている。
前の女子高では目立たず生活してきたのに、ここではそれが叶わない。
「なんだ、腹が減ったのか」
「人の目が気になるので話しかけないでください」
隣の席の紅炎さんをはねつけ、眉間によったシワを伸ばしていたら「あの苦悩に満ちた顔、白雄様によく似ていらっしゃるわ」と聞こえて更によった。
あのお綺麗な聖人君子と似ているとかやめてほしい。
私はあんな綺麗な人間ではない。
「早く一人になりたい……」
ぐったりしながら、漸く待ちに待ったお昼。
お財布を持って駆け出そうとしたが、案の定というか、やはりというか。
紅炎さんに襟首掴んで引き留められた。
「もうちょっと違う引き留め方ないんですか?!」
締まった喉をさすりながら文句を言えば、「一番掴みやすかった」と悪びれなく言われる。
本気で言ってます?
手とか腕とか、その辺の方が数百倍掴みやすくありやしませんか?
信じらんねえ、こいつ。という目で見ても物怖じしないのは、さすがの胆力と言うべきか。
いや、このこけし顔はなにも考えてないな。
「それで、なにか用ですか?」
「いつも不思議だが、方向音痴の癖になぜ未開の地を歩き回ろうとするんだ」
「空腹が私を急き立てるので」
「道に迷って食事にありつけない経験をした人間の発言とは思えんな」
馬鹿を見る目で見られても、私はめげない。
なぜなら、普段晒されない衆目に晒され神経を使い、前の学校より先に進んでいる勉強に食らいつくのに必死すぎて!
「とても!お腹が空いているんです!」
「いつものことだろ」
「お黙り!なので、一刻も早く食堂と購買部を梯子したいので用件は手短にお願いします」
「場所もろくに知らないのに梯子とは笑わせる」
「よ・う・け・ん・は?」
刻一刻と消費される時間とエネルギーにイライラしながら催促すれば、「白雄様に、お前を昼食に連れてこいと言われた」と聞きたくない用件が飛び込んできた。
やだやだやだ!あの人と食事とか、安心して食事できない!やだやだやだ!
まぁ、駄々をこねたところで武力の権化である紅炎さんが力業にでないわけないですよね、と小脇に抱えられ達観した。
「さぁ、食べなさい。春蓉」
「ほらほら、どれ食べたい!とってやるぞ!」
「遠慮なさらずに!」
大量のおかずを持った黒髪兄弟に詰め寄られ、思わず紅明さんの背後に隠れたのに紅炎さんに引きずり出された。
というか、中庭で昼食してる人間初めて見たし自分がその一員になるとは思わなかったよ。
はぁ、こんな身分上の人間に囲まれ、遠目から何人もの生徒たちに見られ、味なんてわかるはずもなく。
「美味しい」
「うん、うん!いい顔だぞ、春蓉!」
白蓮さんの言葉で我に返るが、美味しいおかずの所為で表情筋が緩む。
このプチハンバーグ美味しい。
「そういえば、春蓉殿は部活動はどうされるのですか?」
ニコニコする白瑛さんの問いかけに、「そうですね……」と人が考えてるってのに「武術はどうですか!」「弓道にしようぜ!」と迫ってくるのやめてくれませんか、白瑛さん、白蓮さん。
選択肢与える気ないでしょ。
「入るなら、文学サークルかお料理サークルがいいです」
「料理部に入って大食漢を晒すつもりか、お前」
「シャラップ、紅炎さん。運動部だと、大会でないといけないじゃないですか。そういうの苦手でして」
だから嫌です、という私の遠回しな言葉を拾ったのは意外なことに紅明さんだった。
「料理部は全国大会まで行ってますし、文芸部も文芸コンクール入賞を目指しているのでレベルが高いですよ」
「えっ」
「料理部と文芸部は全員参加なので、大変らしいですよ。それに対して、大会出場人数が限られた武術部や華のある人に視線が行きやすい弓道部。果たして、どちらがいいでしょうね?」
無表情でお弁当を食べながら語る紅明さんを「味方だと思ってたのに!」と非難したら「私は兄上の味方ですから」と返され、つまるところ白雄さんたちの味方じゃないか!
面倒くさそうなガチ文化系か、注目度が分散される運動部かと悩む私に決定打を叩き込むように紅明さんが呪文を囁く。
「カロリー……脂肪……体重増……」
「やめろやめろやめろ」
紅明さん、そんな酷い人でしたか?!
私はチャーシューを噛み締め「武術部とやらにします……」と決めれば、白瑛さんと白雄さんが顔をほころばせた。
あ、面倒な方を引き当ててしまったかもしれない。
「一緒に鍛練できますね、春蓉殿!」
「わからないことがあれば、白瑛に聞くといい。俺と紅炎もいるから安心しなさい」
うわ、面倒くさいトリプルコンボ決まった。
武術部がなにかは知らないけど、とりあえず本屋で剣道のハウツー本買おう……。