巻き込み事故
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シンドバッドくんと美男子に女子が気を取られている隙に、さあ逃げようとしたのに「白雄殿。この後は、確か授業はなかったはずだね。今からカラオケに行かないか?」とシンドバッドくんが誘って来た。
今日はよく、カラオケに誘われるね。
私の背中を押す練くんの力が止まり「俺は遠慮しておく」と言った。
それで話は終わり、のはずだったのだが。
「そうか、そうだな。お金持ちのお坊ちゃんはカラオケなんてした事がないんだな」
「……」
わかりやすい挑発であるが、練くんはむっつりとした表情で「カラオケくらいやった事はある」と言った。
「ならば、その美声を披露していただきたい」
「俺になんの得が?」
「おや、勝負からお逃げになる、という事ですか?」
数秒、挑戦的な視線を交えると「その勝負、受けよう」と言ってしまった。
あーあ、知らないぞ……。
美形三人とカラオケに行くという事で、女子達は色めき立った。
「まあ、頑張れ。練くん」
「勿論、雷も行くんだからな」
「道連れかあ……」
致し方ないと腹をくくり、女子をはべらし大学近くにあるカラオケ店へと来た。
その時の練くんのセリフがこちら。
「誰かの家でやるんじゃないのか?」
困惑するな。
曰く、カラオケは確かにやった事はあるらしい。
しかし、実家にカラオケセットがあるという金持ちらしいカルチャーショック。
「練くんが一時間も持たない方に賭ける」
「馬鹿言うな。カラオケなら、何度となく家族とやっている」
強気な発言だが、大衆食堂がダメな小綺麗な場所で生きてきた人間からしたら、カラオケという不衛生というに等しい場所で一種の潔癖症である練くんがさてどこまで耐えられるかな。
楽しみにしていたのだが、入口の時点で顔面を青くしていたし、厨房前を通った時には恐れ戦いていて個室に案内された時には「こんな狭い場所で……?」とこぼしていたので、もう無理なんじゃないかな?
楽しみ通り過ぎて心配で遠く離れた席で見守っていると、明らかに顔色が悪い。
大丈夫かとはらはらしていたら「心配かい?」と声をかけられた。
「おお、いつの間に……」
「キミが、白雄殿に釘付けになっている間にね」
女子なら一瞬で惚れる笑顔を向けられるも、練くんの貴公子スマイルで慣れてしまっているので何というか、その、ごめん、その笑顔凄く胡散臭い。
少し身を離し「練くん、体調悪そうだから心配で」と何とか笑顔を作り答える。
「そんなに警戒しないでくれ。何もしないさ」
「は、はあ……」
とは言うものの、シンドバッドくんからは百戦錬磨のたらしの匂いがする。
助けてくれ、練くん!と視線を走らせたらあれ?席にいないぞ?
私の視線に気が付いたのか、シンドバッドくんが「白雄殿は?」と美男子、ジャーファルくんに聞いた。
「具合が悪いからと、外に出ましたよ」
やはり一時間と持たなかったかと思いながら、ケータイを確認すると「帰る 荷物」という単語だけのメールが届いていた。
「練くん帰るみたいだから、私も帰るわ」
「それは残念だな」
「ははっ、後はみんなで楽しんでよ」
そう言い残して、お金を置いて練くんの荷物を回収してそそくさと逃げ出す。
店の外へ出ると、乗り物酔いした人間がやる様に遠くを見つめて深く深呼吸をしている練くんがいた。
「ほらね」
近くの自販機で水を買い、練くんに差し出す。
「帰るなら、送っていくよ?」
「大学の駐車場に車がある……。そこまで連れて行ってくれ……」
弱々しい声に「りょーかい」と返して店を後にした。
今日はよく、カラオケに誘われるね。
私の背中を押す練くんの力が止まり「俺は遠慮しておく」と言った。
それで話は終わり、のはずだったのだが。
「そうか、そうだな。お金持ちのお坊ちゃんはカラオケなんてした事がないんだな」
「……」
わかりやすい挑発であるが、練くんはむっつりとした表情で「カラオケくらいやった事はある」と言った。
「ならば、その美声を披露していただきたい」
「俺になんの得が?」
「おや、勝負からお逃げになる、という事ですか?」
数秒、挑戦的な視線を交えると「その勝負、受けよう」と言ってしまった。
あーあ、知らないぞ……。
美形三人とカラオケに行くという事で、女子達は色めき立った。
「まあ、頑張れ。練くん」
「勿論、雷も行くんだからな」
「道連れかあ……」
致し方ないと腹をくくり、女子をはべらし大学近くにあるカラオケ店へと来た。
その時の練くんのセリフがこちら。
「誰かの家でやるんじゃないのか?」
困惑するな。
曰く、カラオケは確かにやった事はあるらしい。
しかし、実家にカラオケセットがあるという金持ちらしいカルチャーショック。
「練くんが一時間も持たない方に賭ける」
「馬鹿言うな。カラオケなら、何度となく家族とやっている」
強気な発言だが、大衆食堂がダメな小綺麗な場所で生きてきた人間からしたら、カラオケという不衛生というに等しい場所で一種の潔癖症である練くんがさてどこまで耐えられるかな。
楽しみにしていたのだが、入口の時点で顔面を青くしていたし、厨房前を通った時には恐れ戦いていて個室に案内された時には「こんな狭い場所で……?」とこぼしていたので、もう無理なんじゃないかな?
楽しみ通り過ぎて心配で遠く離れた席で見守っていると、明らかに顔色が悪い。
大丈夫かとはらはらしていたら「心配かい?」と声をかけられた。
「おお、いつの間に……」
「キミが、白雄殿に釘付けになっている間にね」
女子なら一瞬で惚れる笑顔を向けられるも、練くんの貴公子スマイルで慣れてしまっているので何というか、その、ごめん、その笑顔凄く胡散臭い。
少し身を離し「練くん、体調悪そうだから心配で」と何とか笑顔を作り答える。
「そんなに警戒しないでくれ。何もしないさ」
「は、はあ……」
とは言うものの、シンドバッドくんからは百戦錬磨のたらしの匂いがする。
助けてくれ、練くん!と視線を走らせたらあれ?席にいないぞ?
私の視線に気が付いたのか、シンドバッドくんが「白雄殿は?」と美男子、ジャーファルくんに聞いた。
「具合が悪いからと、外に出ましたよ」
やはり一時間と持たなかったかと思いながら、ケータイを確認すると「帰る 荷物」という単語だけのメールが届いていた。
「練くん帰るみたいだから、私も帰るわ」
「それは残念だな」
「ははっ、後はみんなで楽しんでよ」
そう言い残して、お金を置いて練くんの荷物を回収してそそくさと逃げ出す。
店の外へ出ると、乗り物酔いした人間がやる様に遠くを見つめて深く深呼吸をしている練くんがいた。
「ほらね」
近くの自販機で水を買い、練くんに差し出す。
「帰るなら、送っていくよ?」
「大学の駐車場に車がある……。そこまで連れて行ってくれ……」
弱々しい声に「りょーかい」と返して店を後にした。