巻き込み事故
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「これは、ここの公式を使うの」
「あぁ!なるほど!」
三人とも苦手な部分と聞いていたが、この程度ならば受験に影響はなさそうだなというレベルだった。
私がだした問題も難なく解いているし、いやはや優秀な子たちだ。
「ね~、春泉~。僕、疲れちゃった~」
「じゃあ、丁度区切りもいいし休憩に入ろうか」
「やった~」
はしゃぐ紅覇くんと、伸びをする白蓮くん。
紅玉ちゃんも、ほっと一息といった表情をしていたので「根つめさせちゃったかな?」と聞けば、慌てて「違いますの!」と否定された。
「私、あまり知らない方とこうして一緒にいるの慣れてなくて……」
「紅玉は人見知りなんですよ」
そうなんだー、と和気あいあいと話していたが、紅覇くんの「それもあるけど、雄兄の顔が怖いからじゃない~?」と言うので振り向けば、機嫌の悪い時の眉間の皺と細い目の練くんと目があった。
が、怖いので即座に前を向き「なんであんなに機嫌悪いの?」とひそひそと聞けば、三人とも首を振って「わからない」という。
なんだろうと記憶を遡るも、記憶にない。
どこかで記憶が抜け落ちたのか?
「どうぞ、雷先生」
「あ、どうもありがとうございます」
練くん似の女の子、恐らく白瑛ちゃんが美味しそうなゼリーを四人分持ってきてくれた。
その間も、紅覇くんたちの視線は私を通り越して後ろに行っているので、恐らくまだあの怖い顔なのだろう。
休憩終了後も紅玉ちゃんと白蓮くんが緊張した面持ちで、理由を知ってしまった私も緊張している。
「それじゃあ、また明日見に来るね」
「宿題はありませんのぉ?」
「プライベートな時間まで、勉強に割く必要はないから。好きなことした方が断然いい!」
私の言葉に、担当の生徒たちは手放しに喜んでくれた。
まあ、私はこれから不機嫌な練くんとの恐怖のドライブなんですけどね。
助手席に乗り込み、シートベルトをしてから「あの……なにをそんなに怒ってるの……?」と聞けば、更にむすっ、とした顔になる。
「練くん、言ってくれないとわからないよ」
「……俺はキミの事を友人だと思っていたのに、非常に残念だと憤っているだけだ」
え、そうだったの?
素っ頓狂な顔をする私を睨み付け、「対等だと思っていたんだがな」と言われ、やっと授業開始前のあのやり取りに腹をたてているのだとわかった。
「ごめん……。けど私、練くんになにもしてあげられてないからさ……」
「馬鹿な事を言わないでくれ。キミは俺を助けてくれているし、損得勘定なしに俺に付き合ってくれている。それだけで、俺はただの練白雄として肩の力を抜いていられるんだ。十分すぎる程の恩恵だ。……それに、雷といると楽しいんだ、俺は。友人とは、そういうものじゃないのか?」
険しい顔のまま見つめられ、緊張で動悸が激しいが「私も……楽しいよ……」と言えば、やっといつもの笑顔へと戻ってくれた。
「うん。練くんは、その顔の方がいいよ」
「どういう意味だ」
「険しい顔が似合わないってこと」
「たぶん、それを言うのは雷だけだぞ。キミ以外でこんなに表情を崩すことはない」
「友達だから?」
「友人だからだ」
私の質問に照れながら練くんは答え、照れ隠しなのか「もういいだろ、出すぞ」と車を滑るように発進させた。
そういえば、初友達記念日と言ったのは私からだったな。
「ごめんね、練くん。私から友達になったのに」
「次はない」
「あってたまるかって感じだけどね。明日、三人には訂正しておくよ」
「そうしてくれ」
そこからは、ただ無言で私のアパートまで走った。
こういう無言も嫌にならないのは、私が練くんに対して安心感を覚えているからなのだろうか。
街灯も疎らな我がアパートに着き、明日の迎えの時間の話を終えて帰ろうとする練くんの目の前に手を差し出す。
首を傾げる練くんに、「もう一度、ちゃんと友達になりたい」と言う。
「あの時は、ノリで初友達記念日なんて言ったけど、今度はちゃんと友達になりたい。……初めまして、練白雄くん。これからも、よろしく」
私の言葉に、あの日と同様困惑しながらも握り返し「初めまして、雷春泉。こちらこそ、これからもよろしく」と言ってくれた。
今更かも知れないが、ちゃんと言葉にしなければならない事もある。
「難しいね、友達って」
「ややこしくしたのはキミだろ」
「いやまぁ、そうなんだけどさ。けど、なんだか嬉しいね」
こうして、お互いに一緒にいて楽しいと思える人がいるっていうのは。
思わず相好を崩す私に、練くんは「キミさえよければ、この先も一緒にいてほしい」と言い、一瞬勘違いしそうにもなるが、そういう意味合いではないだろうと取り「勿論だよ」と答えたら、酷く安心した顔をされた。
「大切な一人目の友達だからね!末永く、よろしく!」
「ああ、末永く……」
どうしてだろう、なんでこんな力強く手を握りしめられているのかしら。
ぎりぃ……!ていいましたわよ、練くん。
口元笑顔なのに、眉間の皺が大渓谷でしてよ。
「あぁ!なるほど!」
三人とも苦手な部分と聞いていたが、この程度ならば受験に影響はなさそうだなというレベルだった。
私がだした問題も難なく解いているし、いやはや優秀な子たちだ。
「ね~、春泉~。僕、疲れちゃった~」
「じゃあ、丁度区切りもいいし休憩に入ろうか」
「やった~」
はしゃぐ紅覇くんと、伸びをする白蓮くん。
紅玉ちゃんも、ほっと一息といった表情をしていたので「根つめさせちゃったかな?」と聞けば、慌てて「違いますの!」と否定された。
「私、あまり知らない方とこうして一緒にいるの慣れてなくて……」
「紅玉は人見知りなんですよ」
そうなんだー、と和気あいあいと話していたが、紅覇くんの「それもあるけど、雄兄の顔が怖いからじゃない~?」と言うので振り向けば、機嫌の悪い時の眉間の皺と細い目の練くんと目があった。
が、怖いので即座に前を向き「なんであんなに機嫌悪いの?」とひそひそと聞けば、三人とも首を振って「わからない」という。
なんだろうと記憶を遡るも、記憶にない。
どこかで記憶が抜け落ちたのか?
「どうぞ、雷先生」
「あ、どうもありがとうございます」
練くん似の女の子、恐らく白瑛ちゃんが美味しそうなゼリーを四人分持ってきてくれた。
その間も、紅覇くんたちの視線は私を通り越して後ろに行っているので、恐らくまだあの怖い顔なのだろう。
休憩終了後も紅玉ちゃんと白蓮くんが緊張した面持ちで、理由を知ってしまった私も緊張している。
「それじゃあ、また明日見に来るね」
「宿題はありませんのぉ?」
「プライベートな時間まで、勉強に割く必要はないから。好きなことした方が断然いい!」
私の言葉に、担当の生徒たちは手放しに喜んでくれた。
まあ、私はこれから不機嫌な練くんとの恐怖のドライブなんですけどね。
助手席に乗り込み、シートベルトをしてから「あの……なにをそんなに怒ってるの……?」と聞けば、更にむすっ、とした顔になる。
「練くん、言ってくれないとわからないよ」
「……俺はキミの事を友人だと思っていたのに、非常に残念だと憤っているだけだ」
え、そうだったの?
素っ頓狂な顔をする私を睨み付け、「対等だと思っていたんだがな」と言われ、やっと授業開始前のあのやり取りに腹をたてているのだとわかった。
「ごめん……。けど私、練くんになにもしてあげられてないからさ……」
「馬鹿な事を言わないでくれ。キミは俺を助けてくれているし、損得勘定なしに俺に付き合ってくれている。それだけで、俺はただの練白雄として肩の力を抜いていられるんだ。十分すぎる程の恩恵だ。……それに、雷といると楽しいんだ、俺は。友人とは、そういうものじゃないのか?」
険しい顔のまま見つめられ、緊張で動悸が激しいが「私も……楽しいよ……」と言えば、やっといつもの笑顔へと戻ってくれた。
「うん。練くんは、その顔の方がいいよ」
「どういう意味だ」
「険しい顔が似合わないってこと」
「たぶん、それを言うのは雷だけだぞ。キミ以外でこんなに表情を崩すことはない」
「友達だから?」
「友人だからだ」
私の質問に照れながら練くんは答え、照れ隠しなのか「もういいだろ、出すぞ」と車を滑るように発進させた。
そういえば、初友達記念日と言ったのは私からだったな。
「ごめんね、練くん。私から友達になったのに」
「次はない」
「あってたまるかって感じだけどね。明日、三人には訂正しておくよ」
「そうしてくれ」
そこからは、ただ無言で私のアパートまで走った。
こういう無言も嫌にならないのは、私が練くんに対して安心感を覚えているからなのだろうか。
街灯も疎らな我がアパートに着き、明日の迎えの時間の話を終えて帰ろうとする練くんの目の前に手を差し出す。
首を傾げる練くんに、「もう一度、ちゃんと友達になりたい」と言う。
「あの時は、ノリで初友達記念日なんて言ったけど、今度はちゃんと友達になりたい。……初めまして、練白雄くん。これからも、よろしく」
私の言葉に、あの日と同様困惑しながらも握り返し「初めまして、雷春泉。こちらこそ、これからもよろしく」と言ってくれた。
今更かも知れないが、ちゃんと言葉にしなければならない事もある。
「難しいね、友達って」
「ややこしくしたのはキミだろ」
「いやまぁ、そうなんだけどさ。けど、なんだか嬉しいね」
こうして、お互いに一緒にいて楽しいと思える人がいるっていうのは。
思わず相好を崩す私に、練くんは「キミさえよければ、この先も一緒にいてほしい」と言い、一瞬勘違いしそうにもなるが、そういう意味合いではないだろうと取り「勿論だよ」と答えたら、酷く安心した顔をされた。
「大切な一人目の友達だからね!末永く、よろしく!」
「ああ、末永く……」
どうしてだろう、なんでこんな力強く手を握りしめられているのかしら。
ぎりぃ……!ていいましたわよ、練くん。
口元笑顔なのに、眉間の皺が大渓谷でしてよ。
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