皇子と私
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「そういえば、皇子って口説き文句とかあるんですか?」
今夜の雑談の種に、ふと疑問に思った事を口にすると不機嫌そうに顔を顰めながら「お前は本当に俺を嘗めきっているな」と仰られた。
いやぁ、まぁ、嘗めきってはいますが敬意は持ってますよ。
けど今回は別に馬鹿にして言ったわけではなく、本当に疑問に思ったから聞いてみたのだ。
だって、姫様たちの所に行くとは、そういう甘い雰囲気になるわけで。私が知っている白雄様といえば、表向き堅物、生真面目。二人きりの時は、存外子供っぽいお人だ。その人が、女性を口説くという場面が想像できない。
「愛の言葉くらい、いくらでも出てくる」
「へぇ。例えば?」
「お前に言うのか……」
そうだよ。なに、嫌そうな顔してるんですか。私とて女の内に入るんですよ?分かってます?
「そういうお前こそ、男に甘える言葉の一つくらい持ってるのか?」
「教養としては」
「ほぉ、聞かせてみろ」
「えぇ……」
露骨に嫌そうな反応をしてみせる。
だって、白雄様に甘える言葉とか、考えただけで鳥肌になる。だって、私たち、そういう関係ではないじゃないですか。
「そんなに俺に言うのが嫌なら、俺ではないと思えばいい」
「じゃあ、白雄様も私じゃなくて姫様に言うつもりでやったらいいんじゃないですか?」
という流れで、小芝居を一つうつ事になる。
罰ゲームもなしだとつまらないという事で、笑ったら尻キックというルールが追加される。
設定は、久しぶりに訪れた姫様の部屋。私が「始め!」の声と共に、芝居が始まる。
「李鈴姫。いらっしゃいますか?」
「はい……。まぁ!白雄様!」
私が瞳の輝き五割増しで声も三割増しで可愛く出迎えた瞬間、白雄様は盛大に噴出した。
早すぎだろ、おい。今のどこに笑える要素があった。
「お、お前……。その変わり身、早すぎだろ。誰かと思ったぞ。ぶっ……!」
思い出し笑いをする白雄様に「早く尻出してもらえますか」と言いながら、素振りをする。
「李鈴。いいか、俺は皇子だからな?わかってるな?」
ごちゃごちゃぬかす皇子にもう一度「早く尻出してください」と言うと、渋々と言った様子で私に背中を向け、心持突き出した尻に思いっきりフルスウィングキックをかます。
「っだ……!」
バスッ!という鈍い音をたてて、確実な手応えを感じたし、何より白雄様がめっちゃ痛がってるので上出来だ。
「李鈴、お前覚えてろよ……!」
若干涙目の白雄様が今度は「始め!」の声をかけて仕切りなおす。
「まぁ!白雄様!今夜は来てくださったのですね!」
「申し訳ありません、李鈴姫。政務にかかりきりで、貴女に会いに来られずに寂しい思いをさせてしまい」
「こうして来てくださるだけで、私はとても嬉しいです。ですが、本当のことを言えば、とても心寂しかったです」
伏し目がちに言うと、唐突に白雄様は私を抱き寄せ頭を抱き抱える。白雄様の心音が、直に聞こえてくる。
「あぁ、李鈴姫。どうか、もう一度謝らせてください。貴女が私の事を思って、心を砕いてくださることに喜んでしまう私をお許しください。李鈴姫、どうかもう一度言ってください。私が来なくて寂しかったと。私を求めてください」
あまりにも砂を吐きたくなる台詞に、思わず「んんふっ!」と笑いが零れてしまった。
だって、あの白雄様がこんな積極性を見せるとは思ってなかったのだ。なんだ、求めてくださいって!面白すぎか!
必死に笑いを誤魔化そうとするけれど、白雄様の耳にはしっかり笑い声が届いたのか、体を離して悪い笑みを浮かべて「さぁ、尻を出せ」と仰った。
「白雄様、私、女ですからね!か弱いんですからね!」
「分かっている」
そう返事をした白雄様を信用したが、あの野郎、私のフルスウィングより遥かに威力のあるキックを炸裂させた。思わず「ぐえっ!」とカエルが潰れた様な声を出し、衝撃を吸収しきれずに前のめりに倒れて痛みに耐えていると、やりきった感をだす白雄様が「続けるぞ」と仰った。
「まだやるんですか?もう、イーブンでいいじゃないですか」
「やると言ったことは最後までやる」
変な所で生真面目発揮してからに……。
致し方なく、痛む尻をさすりながら立ち上がると、また強く抱きしめられた。
「俺を求めてください、李鈴姫」
「白雄様……。では、どうか今だけ私の我儘を聞いてください。貴方の心が他の姫たちにも向けられていようとも、今宵だけは私を最愛の人と言ってください。私だけを思ってください」
「今宵と言わず、一生を貴女の為に愛を捧げましょう。夜空の星々に誓って」
そう仰ると、白雄様は私の頬に手を添えてゆっくりと顔を近づけて来た。
え、ちょっと待って。最後までって言ったけど、最後ってどこまで?まさか、本当に最後までやる気なのこの人。ちょ、ちょ、ちょ待って!待って!
目を見開いて白雄様に目で訴えかけるも、白雄様の顔はゆっくりと近づき、鼻すれすれの所まで来たかと思ったら、急停止した。
「李鈴……。目を瞑れ」
低く囁く声に、顔にかかる吐息に心臓が持っていかれそうになるが、なんとか目をギュッと瞑ると、今度は「力を抜け。やり難い」と言われた。
何度か深呼吸をして、強張りを解すと、白雄様が「いい子だ」と仰られた。
そのまま、頬に添えられていた手がゆっくりと後頭部へ回され、唇が重なるのがわかった。数秒、短い間だったが甘く痺れていると、白雄様の顔は首筋へと移り、軽く吸い付かれ徐に服の中へ……って
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」
思い切り白雄様を突き飛ばすと、不意打ちだったせいか簡単に白雄様は後ろへよろめき、私は反動で尻餅をついてしまった。
心臓が漸く事態を把握したようにバクバクと煩い程に鳴っている。
なにやってた?!私、皇子となにやってた?!
顔が、風邪の時みたいに熱が集まって火が出そうだ!
「というか、白雄様!なにしてるんですか!」
私の怒鳴り声に、白雄様はしれっとした態度で「だから、最後までだ」と仰った。
「お前も、教養として身に着けているんだろ?生娘みたいな反応をするな」
「教養として知っていても、実際やった訳じゃないですから!生娘ですから!」
私の訴えに、白雄様は目を丸くして「そうか……。そうか。すまない」と仰った。
「きょ、今日はもう帰ります……」
ふらふらと抜けた腰を叱咤し立ち上がると、皇子が「小鹿か。送っていく」という申し出をしてくれたが、全力で断った。
今は何より、白雄様の顔が見えない場所に行きたい。
今夜の雑談の種に、ふと疑問に思った事を口にすると不機嫌そうに顔を顰めながら「お前は本当に俺を嘗めきっているな」と仰られた。
いやぁ、まぁ、嘗めきってはいますが敬意は持ってますよ。
けど今回は別に馬鹿にして言ったわけではなく、本当に疑問に思ったから聞いてみたのだ。
だって、姫様たちの所に行くとは、そういう甘い雰囲気になるわけで。私が知っている白雄様といえば、表向き堅物、生真面目。二人きりの時は、存外子供っぽいお人だ。その人が、女性を口説くという場面が想像できない。
「愛の言葉くらい、いくらでも出てくる」
「へぇ。例えば?」
「お前に言うのか……」
そうだよ。なに、嫌そうな顔してるんですか。私とて女の内に入るんですよ?分かってます?
「そういうお前こそ、男に甘える言葉の一つくらい持ってるのか?」
「教養としては」
「ほぉ、聞かせてみろ」
「えぇ……」
露骨に嫌そうな反応をしてみせる。
だって、白雄様に甘える言葉とか、考えただけで鳥肌になる。だって、私たち、そういう関係ではないじゃないですか。
「そんなに俺に言うのが嫌なら、俺ではないと思えばいい」
「じゃあ、白雄様も私じゃなくて姫様に言うつもりでやったらいいんじゃないですか?」
という流れで、小芝居を一つうつ事になる。
罰ゲームもなしだとつまらないという事で、笑ったら尻キックというルールが追加される。
設定は、久しぶりに訪れた姫様の部屋。私が「始め!」の声と共に、芝居が始まる。
「李鈴姫。いらっしゃいますか?」
「はい……。まぁ!白雄様!」
私が瞳の輝き五割増しで声も三割増しで可愛く出迎えた瞬間、白雄様は盛大に噴出した。
早すぎだろ、おい。今のどこに笑える要素があった。
「お、お前……。その変わり身、早すぎだろ。誰かと思ったぞ。ぶっ……!」
思い出し笑いをする白雄様に「早く尻出してもらえますか」と言いながら、素振りをする。
「李鈴。いいか、俺は皇子だからな?わかってるな?」
ごちゃごちゃぬかす皇子にもう一度「早く尻出してください」と言うと、渋々と言った様子で私に背中を向け、心持突き出した尻に思いっきりフルスウィングキックをかます。
「っだ……!」
バスッ!という鈍い音をたてて、確実な手応えを感じたし、何より白雄様がめっちゃ痛がってるので上出来だ。
「李鈴、お前覚えてろよ……!」
若干涙目の白雄様が今度は「始め!」の声をかけて仕切りなおす。
「まぁ!白雄様!今夜は来てくださったのですね!」
「申し訳ありません、李鈴姫。政務にかかりきりで、貴女に会いに来られずに寂しい思いをさせてしまい」
「こうして来てくださるだけで、私はとても嬉しいです。ですが、本当のことを言えば、とても心寂しかったです」
伏し目がちに言うと、唐突に白雄様は私を抱き寄せ頭を抱き抱える。白雄様の心音が、直に聞こえてくる。
「あぁ、李鈴姫。どうか、もう一度謝らせてください。貴女が私の事を思って、心を砕いてくださることに喜んでしまう私をお許しください。李鈴姫、どうかもう一度言ってください。私が来なくて寂しかったと。私を求めてください」
あまりにも砂を吐きたくなる台詞に、思わず「んんふっ!」と笑いが零れてしまった。
だって、あの白雄様がこんな積極性を見せるとは思ってなかったのだ。なんだ、求めてくださいって!面白すぎか!
必死に笑いを誤魔化そうとするけれど、白雄様の耳にはしっかり笑い声が届いたのか、体を離して悪い笑みを浮かべて「さぁ、尻を出せ」と仰った。
「白雄様、私、女ですからね!か弱いんですからね!」
「分かっている」
そう返事をした白雄様を信用したが、あの野郎、私のフルスウィングより遥かに威力のあるキックを炸裂させた。思わず「ぐえっ!」とカエルが潰れた様な声を出し、衝撃を吸収しきれずに前のめりに倒れて痛みに耐えていると、やりきった感をだす白雄様が「続けるぞ」と仰った。
「まだやるんですか?もう、イーブンでいいじゃないですか」
「やると言ったことは最後までやる」
変な所で生真面目発揮してからに……。
致し方なく、痛む尻をさすりながら立ち上がると、また強く抱きしめられた。
「俺を求めてください、李鈴姫」
「白雄様……。では、どうか今だけ私の我儘を聞いてください。貴方の心が他の姫たちにも向けられていようとも、今宵だけは私を最愛の人と言ってください。私だけを思ってください」
「今宵と言わず、一生を貴女の為に愛を捧げましょう。夜空の星々に誓って」
そう仰ると、白雄様は私の頬に手を添えてゆっくりと顔を近づけて来た。
え、ちょっと待って。最後までって言ったけど、最後ってどこまで?まさか、本当に最後までやる気なのこの人。ちょ、ちょ、ちょ待って!待って!
目を見開いて白雄様に目で訴えかけるも、白雄様の顔はゆっくりと近づき、鼻すれすれの所まで来たかと思ったら、急停止した。
「李鈴……。目を瞑れ」
低く囁く声に、顔にかかる吐息に心臓が持っていかれそうになるが、なんとか目をギュッと瞑ると、今度は「力を抜け。やり難い」と言われた。
何度か深呼吸をして、強張りを解すと、白雄様が「いい子だ」と仰られた。
そのまま、頬に添えられていた手がゆっくりと後頭部へ回され、唇が重なるのがわかった。数秒、短い間だったが甘く痺れていると、白雄様の顔は首筋へと移り、軽く吸い付かれ徐に服の中へ……って
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」
思い切り白雄様を突き飛ばすと、不意打ちだったせいか簡単に白雄様は後ろへよろめき、私は反動で尻餅をついてしまった。
心臓が漸く事態を把握したようにバクバクと煩い程に鳴っている。
なにやってた?!私、皇子となにやってた?!
顔が、風邪の時みたいに熱が集まって火が出そうだ!
「というか、白雄様!なにしてるんですか!」
私の怒鳴り声に、白雄様はしれっとした態度で「だから、最後までだ」と仰った。
「お前も、教養として身に着けているんだろ?生娘みたいな反応をするな」
「教養として知っていても、実際やった訳じゃないですから!生娘ですから!」
私の訴えに、白雄様は目を丸くして「そうか……。そうか。すまない」と仰った。
「きょ、今日はもう帰ります……」
ふらふらと抜けた腰を叱咤し立ち上がると、皇子が「小鹿か。送っていく」という申し出をしてくれたが、全力で断った。
今は何より、白雄様の顔が見えない場所に行きたい。