皇子と私
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今夜も部屋へ呼びつけられ、本当にそろそろ姫たちの所に行けよと思いながらお茶を差し出すと、受け取りながら上機嫌そうに「紅炎と話したそうだな」と仰った。
「はい。お互いの趣味が一致したので、つい長い時間お付き合いさせてしまいました」
まあ、あれは恐らく会話というより議論に近い気もするが。
「口下手の紅炎が、お前との会話を楽しかったと言っていた。また話したいと言っていたから、気が向いたら話しかけてやってくれ」
「そんな、私ごとき下賎な者が皇子に話しかけるなど、恐れ多くてできません」
そう言うと、白雄様が「ほぉ、では俺は皇子ではないと?」と返ってくると思い、次の嫌みを考えていたのに、白雄様はニコニコ笑っているだけでなにも言わない。
なんだ?
いやに機嫌がいいな。
なにか良いことありましたか?と尋ねると、白雄様は「あぁ」と仰り、お茶を一口含む。
「普段、憎まれ口ばかり叩くじゃじゃ馬が、俺を称賛する言葉を口にしたと聞いてな。あまりにも可愛らしい態度に些か気分が高揚している」
「……へぇ~、よかったですね」
「紅炎が言うには、強い信頼が感じられたそうだ。俺の事をそんな風に思っているとは、知らなかったぞ、李鈴」
くそぅ……、一番知られたくない相手の耳に入ってしまった……。
口止めしとくんだったな、とも思ったが話した限り、あの紅炎様という人は恐らく嘘がつけない方だから無意味だろう。
しくじってしまったとは思うが、あれは本音だ。
本人に言うと調子に乗るから言わないだけで。
ここは、慌てず適当に返そう。
「新発見があってよかったですね」
素っ気なく返答すると、白雄様は微笑みながら「お前の口から直接聞きたいな」と予想通り調子に乗った発言をされた。
無視して茶杯を差し出すと、期待に満ちた目で「李鈴、言ってみろ」と命令されては言うしかない。
恥ずかしい気持ちを礼節で押し込み、拳を片手で包み込み、跪き紅炎様に言った言葉を堅苦しく整える。
「白雄様を疑う必要などございません。彼の方は清廉潔白且つ高潔で志も高くあります。その国を思う気持ちは誰よりも強い。故に、私の様な、いえ傾国の美姫であろうとあの方が民を苦しめる事は絶対にありえません。私は、そんな白雄様の……その……」
言いよどむ私を「はやく、はやく」と視線でせっついてくる白雄様に溜め息を吐きながら、「真面目で実直な所を尊敬して、人として惹かれているのです」と言いきると同時に、白雄様が飛び掛かってきた。
「なんですか、もー!」
「お前は可愛いなー!良い子だ、良い子!」
頭を抱え込むように抱き締められ、髪が乱れるからやめろと言うも、白雄様は楽しそうに「良い子、良い子」と言いながら、撫でくり回してくる。
なに、そのテンションの上がり方!
その夜は、白雄様が私を撫でながら眠りにつくまで解放されなかった。
「はい。お互いの趣味が一致したので、つい長い時間お付き合いさせてしまいました」
まあ、あれは恐らく会話というより議論に近い気もするが。
「口下手の紅炎が、お前との会話を楽しかったと言っていた。また話したいと言っていたから、気が向いたら話しかけてやってくれ」
「そんな、私ごとき下賎な者が皇子に話しかけるなど、恐れ多くてできません」
そう言うと、白雄様が「ほぉ、では俺は皇子ではないと?」と返ってくると思い、次の嫌みを考えていたのに、白雄様はニコニコ笑っているだけでなにも言わない。
なんだ?
いやに機嫌がいいな。
なにか良いことありましたか?と尋ねると、白雄様は「あぁ」と仰り、お茶を一口含む。
「普段、憎まれ口ばかり叩くじゃじゃ馬が、俺を称賛する言葉を口にしたと聞いてな。あまりにも可愛らしい態度に些か気分が高揚している」
「……へぇ~、よかったですね」
「紅炎が言うには、強い信頼が感じられたそうだ。俺の事をそんな風に思っているとは、知らなかったぞ、李鈴」
くそぅ……、一番知られたくない相手の耳に入ってしまった……。
口止めしとくんだったな、とも思ったが話した限り、あの紅炎様という人は恐らく嘘がつけない方だから無意味だろう。
しくじってしまったとは思うが、あれは本音だ。
本人に言うと調子に乗るから言わないだけで。
ここは、慌てず適当に返そう。
「新発見があってよかったですね」
素っ気なく返答すると、白雄様は微笑みながら「お前の口から直接聞きたいな」と予想通り調子に乗った発言をされた。
無視して茶杯を差し出すと、期待に満ちた目で「李鈴、言ってみろ」と命令されては言うしかない。
恥ずかしい気持ちを礼節で押し込み、拳を片手で包み込み、跪き紅炎様に言った言葉を堅苦しく整える。
「白雄様を疑う必要などございません。彼の方は清廉潔白且つ高潔で志も高くあります。その国を思う気持ちは誰よりも強い。故に、私の様な、いえ傾国の美姫であろうとあの方が民を苦しめる事は絶対にありえません。私は、そんな白雄様の……その……」
言いよどむ私を「はやく、はやく」と視線でせっついてくる白雄様に溜め息を吐きながら、「真面目で実直な所を尊敬して、人として惹かれているのです」と言いきると同時に、白雄様が飛び掛かってきた。
「なんですか、もー!」
「お前は可愛いなー!良い子だ、良い子!」
頭を抱え込むように抱き締められ、髪が乱れるからやめろと言うも、白雄様は楽しそうに「良い子、良い子」と言いながら、撫でくり回してくる。
なに、そのテンションの上がり方!
その夜は、白雄様が私を撫でながら眠りにつくまで解放されなかった。