皇子と私
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朝の実戦訓練にまじって兵士と剣を交えていた時だった。
俄に訓練所がざわついた。
交えていた相手も手を止めて、訓練所の入口を見て「白蓮皇子だ」と溢した。
振り向き私も入口を見ると、白蓮様が兵士達に笑いながら声をかけているのが目に入った。
だが、私と目があった瞬間、鋭い目付きへと変わり真っ直ぐとこちらへ足早に歩み寄る。
私は跪き頭を垂れる。
「お前が李鈴か?」
「はい」
「顔をあげろ」
言われるままに顔をあげると、皇后様の面影のあるお顔が険しく私を見下ろしていた。
けれど、直ぐに眉をハの字にして首を傾げて「本当に、お前が李鈴か?」ともう一度尋ねられたのでもう一度「はい」と返すも、納得のいかない顔をされた。
「なんか、想像してたのと全然違うな。俺が聞いた話だともっと悪い顔で、兄上すら騙される魔性の女なんだが……」
どんな話を聞いてきたんだよとツッコミを入れたいのを我慢し、静かに「ご期待に添えず申し訳ありません」と答える。
「本当にお前、兄上騙してるのか?」
「その様な事実は無根でございます」
私の答えに白蓮様は「んー……んー……」と頭を右へ左へ前へ後ろへ回して最終的に「よし、手合わせをしよう!」と言い出した。
「剣を交えれば相手のことがわかる!さあ、構えろ李鈴!」
すごい脳筋に捕まっちまった……。
これは絶対に、戦術は苦手だろうに。
白雄様が手を焼くだけある。
白雄様なら、なんだかんだと理由をつけて断……れないな。
また、マジなトーンで「は?」と言われて強制的に手合わせをすることになるんだろうな。
致し方ないと、真剣を私に向ける白蓮様からある程度距離を取り、私も真剣を構える。
誰が言ったか分からない「始め!」の声と共に、両者共に土を蹴る。
ギィンッ!という刃と刃がぶつかり合う音が響き渡る。
性格に違わぬ真っ直ぐな剣だが、流石に戦場を経験しているだけあって、太刀筋は鋭い。
ぎりぎりで避けるのが精一杯だ。
私の一太刀、一太刀も勘と言ってもいいほどのかわし方をされる。
「いいな、お前!少し本気をだすぞ!」
今でもぎりぎりなのに、これ以上?!
爛々と瞳を輝かせ、白蓮様の更に太刀筋が鋭くなる。
「くっ……!」
攻防一進一退だったのが、防戦一方になる。
もっと攻めてこい!と白蓮様は仰るが、これが精一杯だっての!
何とかかわしていたが足を滑らせ、白蓮様の一太刀を避けきれず脇腹に受けてしまった。
血が飛び散り思わず膝をついてしまい、白蓮様が慌てて近寄ってこようとするが、直ぐに痛みを堪えよろめきながら立ち上がる。
「お、おい!無理するな!」
「剣を……構えてください……。白蓮様が……ご納得されるまで……続けましょう……」
「わかった!もう、充分わかったから!医務室行くぞ!」
駆け寄ろうとする白蓮様を止めたのは、私でも、兵士達でもなく、他ならぬ白雄様だった。
「なにをしている、白蓮」
「あ、兄上……!」
兵士たちが一斉に跪き、私も剣で体を支えるように跪く。
白蓮様が一連の流れを話すと、白雄様は短く「一人で行けるな、李鈴」と断言に近い質問を投げ掛けてくるので「はい」と短く答える。
白蓮様が反対しているが、いいから早く行ってくれ。
この程度の傷なら、治療魔法で殆ど治せるから!
一族の掟で、人前で魔法が使えないから早く人気のない場所に行かせてくれ!
じりじりと、血が減っていく感覚と痛みに堪えながら念じていると、白雄様が駄々をこねる白蓮様の手を引いて去っていった。
兵士の数人が心配してついて来ようとしたが、全力で断りできうる限り足早に訓練所を後にした。
兵士たちがざわざわと「白雄様と李鈴は親密な仲じゃなかったのか?」と言っているのが聞こえたが、これは二人で決めた約束だ。
私と白雄様以外に人がいる時は、私に親しく話しかけない。
ただでさえ、日陰者の宮廷魔導師なんかと付き合いがあるというだけで渋い顔をされているのに、親交も深いとなったら白雄様の立場も悪くなる。
それは避けたいから、二人きり以外の時は一般臣下程度かそれ以下の態度で接してくれと私から頼んだのだ。
白雄様は渋ったが、それでも呑んでくれた。
やっと人気のない通路まできて、急いで治療魔法で傷を癒したが、ちょっと血を流しすぎた。
貧血で世界が回り、そのまま眠るように意識を飛ばしてしまった。
俄に訓練所がざわついた。
交えていた相手も手を止めて、訓練所の入口を見て「白蓮皇子だ」と溢した。
振り向き私も入口を見ると、白蓮様が兵士達に笑いながら声をかけているのが目に入った。
だが、私と目があった瞬間、鋭い目付きへと変わり真っ直ぐとこちらへ足早に歩み寄る。
私は跪き頭を垂れる。
「お前が李鈴か?」
「はい」
「顔をあげろ」
言われるままに顔をあげると、皇后様の面影のあるお顔が険しく私を見下ろしていた。
けれど、直ぐに眉をハの字にして首を傾げて「本当に、お前が李鈴か?」ともう一度尋ねられたのでもう一度「はい」と返すも、納得のいかない顔をされた。
「なんか、想像してたのと全然違うな。俺が聞いた話だともっと悪い顔で、兄上すら騙される魔性の女なんだが……」
どんな話を聞いてきたんだよとツッコミを入れたいのを我慢し、静かに「ご期待に添えず申し訳ありません」と答える。
「本当にお前、兄上騙してるのか?」
「その様な事実は無根でございます」
私の答えに白蓮様は「んー……んー……」と頭を右へ左へ前へ後ろへ回して最終的に「よし、手合わせをしよう!」と言い出した。
「剣を交えれば相手のことがわかる!さあ、構えろ李鈴!」
すごい脳筋に捕まっちまった……。
これは絶対に、戦術は苦手だろうに。
白雄様が手を焼くだけある。
白雄様なら、なんだかんだと理由をつけて断……れないな。
また、マジなトーンで「は?」と言われて強制的に手合わせをすることになるんだろうな。
致し方ないと、真剣を私に向ける白蓮様からある程度距離を取り、私も真剣を構える。
誰が言ったか分からない「始め!」の声と共に、両者共に土を蹴る。
ギィンッ!という刃と刃がぶつかり合う音が響き渡る。
性格に違わぬ真っ直ぐな剣だが、流石に戦場を経験しているだけあって、太刀筋は鋭い。
ぎりぎりで避けるのが精一杯だ。
私の一太刀、一太刀も勘と言ってもいいほどのかわし方をされる。
「いいな、お前!少し本気をだすぞ!」
今でもぎりぎりなのに、これ以上?!
爛々と瞳を輝かせ、白蓮様の更に太刀筋が鋭くなる。
「くっ……!」
攻防一進一退だったのが、防戦一方になる。
もっと攻めてこい!と白蓮様は仰るが、これが精一杯だっての!
何とかかわしていたが足を滑らせ、白蓮様の一太刀を避けきれず脇腹に受けてしまった。
血が飛び散り思わず膝をついてしまい、白蓮様が慌てて近寄ってこようとするが、直ぐに痛みを堪えよろめきながら立ち上がる。
「お、おい!無理するな!」
「剣を……構えてください……。白蓮様が……ご納得されるまで……続けましょう……」
「わかった!もう、充分わかったから!医務室行くぞ!」
駆け寄ろうとする白蓮様を止めたのは、私でも、兵士達でもなく、他ならぬ白雄様だった。
「なにをしている、白蓮」
「あ、兄上……!」
兵士たちが一斉に跪き、私も剣で体を支えるように跪く。
白蓮様が一連の流れを話すと、白雄様は短く「一人で行けるな、李鈴」と断言に近い質問を投げ掛けてくるので「はい」と短く答える。
白蓮様が反対しているが、いいから早く行ってくれ。
この程度の傷なら、治療魔法で殆ど治せるから!
一族の掟で、人前で魔法が使えないから早く人気のない場所に行かせてくれ!
じりじりと、血が減っていく感覚と痛みに堪えながら念じていると、白雄様が駄々をこねる白蓮様の手を引いて去っていった。
兵士の数人が心配してついて来ようとしたが、全力で断りできうる限り足早に訓練所を後にした。
兵士たちがざわざわと「白雄様と李鈴は親密な仲じゃなかったのか?」と言っているのが聞こえたが、これは二人で決めた約束だ。
私と白雄様以外に人がいる時は、私に親しく話しかけない。
ただでさえ、日陰者の宮廷魔導師なんかと付き合いがあるというだけで渋い顔をされているのに、親交も深いとなったら白雄様の立場も悪くなる。
それは避けたいから、二人きり以外の時は一般臣下程度かそれ以下の態度で接してくれと私から頼んだのだ。
白雄様は渋ったが、それでも呑んでくれた。
やっと人気のない通路まできて、急いで治療魔法で傷を癒したが、ちょっと血を流しすぎた。
貧血で世界が回り、そのまま眠るように意識を飛ばしてしまった。