皇子と私
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
湯治から帰り、かれこれ一月経とうとしているが、なんと吃驚。
皇子からの呼び出しがないのだ。
長くても二週間ほどしか空いたことのない、夜中の茶会が一月もないのだ。
「一月も会っていない!異常事態だ!いますぐ白雄様に会いに行かなければ!」
「突然どうしました、白蓮様」
私の私室に来たかと思うと、なにやら前触れもなく叫んだ白蓮様に尋ねれば、「お前のいまの心境を代弁した」と返された。
「心配にはなりますが、別に異常事態とは思いませんよ。本来の立場になっただけではありませんか」
口にはださないが、そんなことを言うために昼間からわざわざ来たのかと思ってしまう。
だが、白蓮様は理解が追い付かないと言った顔で「本来?」と呟き首をかしげた。
そんなに不思議なことを言ったかな、私は?
「私は白雄様の臣下ではありません。下っ端の下っ端。本来なら、関わり合うことすら叶わないんですから。いままでが気軽過ぎたんですよ」
「え?」
なにが引っ掛かったのだと、こちらこそ「え?」と言いたいのだですが。
白蓮様は暫し考え、手を打ち私を指差し「李鈴、お前!親族じゃないな!」と、名推理と言わんばかりのどや顔で当たり前のことを述べた。
あまりにも唐突な名推理ならぬ迷推理に、私は「はぁ、そうですが」と肯定すれば、なぜかショボくれられた。
感情の起伏が激しくて、精神面が逆に心配になってくるな。
「なにがどうなって、私を親族だと思い込んでいたんですか」
「いや、兄上から名前をよく聞いていたのもあるし、行く先々に李鈴がいつもいたような気がするし、あと態度がデカイ」
「そんなに大きいつもりはないのですが……」
「そうか……家族じゃないのか……そうか……。いまからでも遅くはないんじゃないか?」
「なにがですか」
期待の眼差しを向けられても、私は皇族にはなりませんよ。
そもそも、なにをどうやって私が皇族の親族になれると思っているのか。
とりあえず、用事が済んだなら帰ってくれないかなと思いつつ、お茶をもう一杯お出しする。
「最近、兄上の調子がおかしいんだよ」
「おかしいとは?」
「心ここに有らずって言うか、ぼんやりしてることが多いし、夜もちゃんと正室や側室のとこに行ってるらしいし」
「後ろは正しいことでは……」
「いまだって、俺が座学抜け出しても追いかけてこないし」
「それは重症ですね」
過去に数度、白蓮様が私の部屋を逃げ場所に選んだが、一刻もせずに鬼の形相をした白雄様が乗り込んできて引きずり戻されていった。
その白雄様が数刻も白蓮様を野放しにするのは、確かに由々しき事態である。
白蓮様はとりあえず座学に戻りなさい。
「な?そうだろ?心配だろ?会いに行きたくなっただろ?」
「いや、別に」
「なんでだよ!心配してるなら、会いに行こうぜ!」
「ですから、身分の低い私は心配だからという理由では会いに行けません」
白雄様も白蓮様も、身分制度というものを軽んじ過ぎてはいらっしゃいませんか?
夜の茶会を引き合いにだされたが、あれは呼ばれたから行くのであって、私が自主的に会いに行っているわけではありません。
そうきっぱり断りを入れれば、白蓮様が頭を抱えて知恵を絞り出そうと唸りだした。
そもそも、私が会いに行く必要性がわからない。
ようやくなにか思い付いたのか、白蓮様が満面の笑み、かつどや顔で「わかったぞ!」と口にした。
はいはい、なにがわかりました迷探偵。
「命令すれば会いに行くんだな!命令だ、李鈴!兄上に会いに行け!」
「なぜ」
「いいから!李鈴に会えば、兄上は絶対に元気になる!」
「根拠は」
「好きな人に会えば元気になるだろ!」
まぁ、確かに多好感により元気になるかも知れないけれども、私にそこまでの期待を寄せないでいただきたい。
私は言っても、ただの秘密の友人だ。
白雄様の不調を治せるとは思わないし、そもそも留学の時とは違い、城で白雄様にこっそり会いに行く手段がない。
「大丈夫だって!俺が連れてきたって言えば、通してくれるって!ほら、行くぞ!」
意気揚々と私を白雄様のところへ連れて行こうとしているが、白蓮様は現在、ご自身が座学から逃走していることを覚えているのだろうか……。
言おうかと思ったが、嫌いなものから逃げてはいけないなと思い直し、黙って先を急かす白蓮様の後ろを追った。
皇子からの呼び出しがないのだ。
長くても二週間ほどしか空いたことのない、夜中の茶会が一月もないのだ。
「一月も会っていない!異常事態だ!いますぐ白雄様に会いに行かなければ!」
「突然どうしました、白蓮様」
私の私室に来たかと思うと、なにやら前触れもなく叫んだ白蓮様に尋ねれば、「お前のいまの心境を代弁した」と返された。
「心配にはなりますが、別に異常事態とは思いませんよ。本来の立場になっただけではありませんか」
口にはださないが、そんなことを言うために昼間からわざわざ来たのかと思ってしまう。
だが、白蓮様は理解が追い付かないと言った顔で「本来?」と呟き首をかしげた。
そんなに不思議なことを言ったかな、私は?
「私は白雄様の臣下ではありません。下っ端の下っ端。本来なら、関わり合うことすら叶わないんですから。いままでが気軽過ぎたんですよ」
「え?」
なにが引っ掛かったのだと、こちらこそ「え?」と言いたいのだですが。
白蓮様は暫し考え、手を打ち私を指差し「李鈴、お前!親族じゃないな!」と、名推理と言わんばかりのどや顔で当たり前のことを述べた。
あまりにも唐突な名推理ならぬ迷推理に、私は「はぁ、そうですが」と肯定すれば、なぜかショボくれられた。
感情の起伏が激しくて、精神面が逆に心配になってくるな。
「なにがどうなって、私を親族だと思い込んでいたんですか」
「いや、兄上から名前をよく聞いていたのもあるし、行く先々に李鈴がいつもいたような気がするし、あと態度がデカイ」
「そんなに大きいつもりはないのですが……」
「そうか……家族じゃないのか……そうか……。いまからでも遅くはないんじゃないか?」
「なにがですか」
期待の眼差しを向けられても、私は皇族にはなりませんよ。
そもそも、なにをどうやって私が皇族の親族になれると思っているのか。
とりあえず、用事が済んだなら帰ってくれないかなと思いつつ、お茶をもう一杯お出しする。
「最近、兄上の調子がおかしいんだよ」
「おかしいとは?」
「心ここに有らずって言うか、ぼんやりしてることが多いし、夜もちゃんと正室や側室のとこに行ってるらしいし」
「後ろは正しいことでは……」
「いまだって、俺が座学抜け出しても追いかけてこないし」
「それは重症ですね」
過去に数度、白蓮様が私の部屋を逃げ場所に選んだが、一刻もせずに鬼の形相をした白雄様が乗り込んできて引きずり戻されていった。
その白雄様が数刻も白蓮様を野放しにするのは、確かに由々しき事態である。
白蓮様はとりあえず座学に戻りなさい。
「な?そうだろ?心配だろ?会いに行きたくなっただろ?」
「いや、別に」
「なんでだよ!心配してるなら、会いに行こうぜ!」
「ですから、身分の低い私は心配だからという理由では会いに行けません」
白雄様も白蓮様も、身分制度というものを軽んじ過ぎてはいらっしゃいませんか?
夜の茶会を引き合いにだされたが、あれは呼ばれたから行くのであって、私が自主的に会いに行っているわけではありません。
そうきっぱり断りを入れれば、白蓮様が頭を抱えて知恵を絞り出そうと唸りだした。
そもそも、私が会いに行く必要性がわからない。
ようやくなにか思い付いたのか、白蓮様が満面の笑み、かつどや顔で「わかったぞ!」と口にした。
はいはい、なにがわかりました迷探偵。
「命令すれば会いに行くんだな!命令だ、李鈴!兄上に会いに行け!」
「なぜ」
「いいから!李鈴に会えば、兄上は絶対に元気になる!」
「根拠は」
「好きな人に会えば元気になるだろ!」
まぁ、確かに多好感により元気になるかも知れないけれども、私にそこまでの期待を寄せないでいただきたい。
私は言っても、ただの秘密の友人だ。
白雄様の不調を治せるとは思わないし、そもそも留学の時とは違い、城で白雄様にこっそり会いに行く手段がない。
「大丈夫だって!俺が連れてきたって言えば、通してくれるって!ほら、行くぞ!」
意気揚々と私を白雄様のところへ連れて行こうとしているが、白蓮様は現在、ご自身が座学から逃走していることを覚えているのだろうか……。
言おうかと思ったが、嫌いなものから逃げてはいけないなと思い直し、黙って先を急かす白蓮様の後ろを追った。