皇子と私
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変わらず李鈴との関係を、とは思ったが俺は今まで李鈴とどう付き合ってきたのだろうか。
思い出しても、やはり愛しく大切で気兼ねない相手として自由勝手に振る舞い、あいつはそれに文句を言いながらついて来てくれた。
そもそも、李鈴とはどうやって出会ったのだろうか。
あれは確か……たまには兵士の鍛練を見学するのも勉学だと父上に言われ見に行った時のことだ。
大人の兵士に混じり、一人何故か小さな女の子が混じっているのを見つけたのだ。
教官に聞いても、しつこく鍛練に混ぜてほしいと迫られ、致し方なく入れているらしい。
女でしかも俺とたいして歳の変わらない子供が大人に混じる姿が珍しく、そして羨ましくもあったので教官に頼んで李鈴を俺の剣の練習に付き合わせたのだが、怯えきって手合わせどころではなかった。
「そんな萎縮しないでくれ。俺はただ、歳の近い相手と手合わせをしたいだけで」
「そそそんな!私ごときが皇子と手合わせなどおこがましく……!」
「しかし、キミは大人に混じってついていき、動きも悪くなかった。大人相手では勝手が違う。俺の為に手合わせをしてほしい」
「無理ですぅ……!私より、白蓮皇子とした方がいいですよ!」
「白蓮相手では、俺が教師役になってしまう。俺は、手合わせをしたいんだ」
「私が相手になるわけないじゃないですかぁ!」
半泣きになりながら拒否する李鈴に、やりたくはないが、と思いながら「皇子の命令だ。俺の手合わせに付き合え」と命令すれば、ぼろぼろ泣きながら「仰せのままに」と跪いた。
いま思い出しても狂おしいほど愛らしい怯え方だったな。
「好きなように立ち回れ」
涙を拭い、模造刀を構えた李鈴の目には完全に怯えはなくなっていた。
やはり、彼女は俺や白蓮同様、戦闘となると肝が座る強い人間だと確信した。
走りだし、俺からの少し手を抜いた攻撃を数撃受け距離をとったかと思えば、土を思いきり蹴り上げ俺の視界を遮り、一瞬で懐に入り込み一直線に首を狙うが、そう簡単にはとらせるつもりはない。
そちらが剣だけではないというのならば、俺もお綺麗な王宮剣術は止めよう。
体を捻り、思いきり李鈴の腹に蹴りを叩き込もうとしたが、悟られたのか猫のように後ろへと飛び退いた。
その後、数時間手合わせをしたが、こいつ器用だ。
俺が攻撃型になれば防御型になる。
その逆もすれば、攻撃にたいして攻め込んでも見せたり、奇襲もする。
白蓮や教官相手ではできないやりとりに興奮した。
休憩時間に「いいな、キミは。また、手合わせしてくれ」と話しかけたら、まったく耳に入っていない様子で「皇子に土をかけてしまった……!不敬罪だ……!死ぬ……!」と震えていた。
「李鈴?」
「ひゃい!」
「今日の手合わせ、とても楽しかった。また、相手してくれ」
「そんな、私なんて……」
「李鈴」
名を呼び、無言で見つめればうるうると瞳を潤ませ「仰せのままにぃ……」と了承した。
この頃は、ちょっとしたことで怯えてないていたのに、いまでは本気で怒らなければ泣きすらしない。
……泣いてほしいわけではないのだから、別に構わないのだが、たまには見たいと思ってしまう。
その後、何度かお忍びで呼びつけていたが、たまには俺から迎えに行って驚かせてやろうと思い、李鈴たち一族が住む区域へと赴き李鈴の居場所を聞けば、庭で趣味の茶をしていると聞き向かえば、敷物に座りのんびりと茶を飲む李鈴の横顔にときめきを覚えていたから、俺はあの時から李鈴に恋をしていたんだろうな。
ばれぬよう忍び寄り、「俺にも飲ませてくれないか?」と声をかければ、茶杯を盛大に落とした。
「おおお皇子?!」
「茶が趣味なんだな、初めて知った。今日の鍛練後に是非振る舞ってくれ」
「そんな私の拙い趣味程度の茶など……!」
逃げ切れないように「李鈴」と名を呼べば、諦めたように弱々しく「仰せのままにぃ」と言った。
その日の鍛練後に約束通り茶を淹れてもらった。
「上手いな」
「あ、ありがとうございます……」
「よければ夜も淹れに来てくれないか。語らいついでに」
流れるように誘うと、流れるように「そんな不貞は許されません!」と顔を真っ赤にして拒否された。
からかえると見て、「俺は夜伽の相手をだなんて言っていないんだがな」とからかった。
そもそも、そんな歳でもない。
更に顔を赤くして俯いてしまった李鈴に「すまない、冗談だ」と、羞恥で涙を溜めた目で睨まれ背筋に快感が走った。
「ただ、気兼ねない相手と茶を飲み交わしながら他愛ない話がしたいが、それが夜しかないというだけだ」
「だとしても、一介の呪い師が皇子の部屋に夜に行くなどよくない噂がたちます。いまだって、こうして皇子と交流を持っていると知られれば、皇子がなんと言われるか……」
「なんだ、心配してくれるのか?」
「しています。だから、ダメです」
頑なに首を縦に振らない李鈴に「遠方で、死なないために王に寝物語を聞かせる女の話があったな」と言えば、露骨に嫌そうな顔で「脅しが板についてきましたね」と言われた。
ははっ、随分と遠慮がなくなったものだ。
「俺は一度も脅した覚えはないがな」
「立場の暴力だ……。行けばいいんでしょ、逝けば」
「そうだ、来ればいいんだ。……なぁ、李鈴。頼みがあるんだ」
「なんですか」
「この先も、変わらず俺とこの関係でいてくれ」
そう頼めば、李鈴は困ったような表情をし「皇子、それは……」と言い淀んだが、「頼む」と一言すがれば「仰せのままに」と仕方のない人だという笑顔で請け負ってくれた。
そこまで思い出して、俺は随分と昔から李鈴に恋をして自分で無意識に蓋をしていたのだなと感じた。
「どうしました、白雄様」
もう俺を皇子と呼ばなくなくなった最愛の女が、顔を覗き込んできた。
……そうだな、俺たちはこれだけ近い存在だったんだよな。
李鈴の頬に両手を添え「昔を思い出していた」と言えば、恥ずかしそうに「思い出さないでくださいよ」と言われた。
何度だって、お前とのやりとりは全て思い出すよ。
愛しいから。
思い出しても、やはり愛しく大切で気兼ねない相手として自由勝手に振る舞い、あいつはそれに文句を言いながらついて来てくれた。
そもそも、李鈴とはどうやって出会ったのだろうか。
あれは確か……たまには兵士の鍛練を見学するのも勉学だと父上に言われ見に行った時のことだ。
大人の兵士に混じり、一人何故か小さな女の子が混じっているのを見つけたのだ。
教官に聞いても、しつこく鍛練に混ぜてほしいと迫られ、致し方なく入れているらしい。
女でしかも俺とたいして歳の変わらない子供が大人に混じる姿が珍しく、そして羨ましくもあったので教官に頼んで李鈴を俺の剣の練習に付き合わせたのだが、怯えきって手合わせどころではなかった。
「そんな萎縮しないでくれ。俺はただ、歳の近い相手と手合わせをしたいだけで」
「そそそんな!私ごときが皇子と手合わせなどおこがましく……!」
「しかし、キミは大人に混じってついていき、動きも悪くなかった。大人相手では勝手が違う。俺の為に手合わせをしてほしい」
「無理ですぅ……!私より、白蓮皇子とした方がいいですよ!」
「白蓮相手では、俺が教師役になってしまう。俺は、手合わせをしたいんだ」
「私が相手になるわけないじゃないですかぁ!」
半泣きになりながら拒否する李鈴に、やりたくはないが、と思いながら「皇子の命令だ。俺の手合わせに付き合え」と命令すれば、ぼろぼろ泣きながら「仰せのままに」と跪いた。
いま思い出しても狂おしいほど愛らしい怯え方だったな。
「好きなように立ち回れ」
涙を拭い、模造刀を構えた李鈴の目には完全に怯えはなくなっていた。
やはり、彼女は俺や白蓮同様、戦闘となると肝が座る強い人間だと確信した。
走りだし、俺からの少し手を抜いた攻撃を数撃受け距離をとったかと思えば、土を思いきり蹴り上げ俺の視界を遮り、一瞬で懐に入り込み一直線に首を狙うが、そう簡単にはとらせるつもりはない。
そちらが剣だけではないというのならば、俺もお綺麗な王宮剣術は止めよう。
体を捻り、思いきり李鈴の腹に蹴りを叩き込もうとしたが、悟られたのか猫のように後ろへと飛び退いた。
その後、数時間手合わせをしたが、こいつ器用だ。
俺が攻撃型になれば防御型になる。
その逆もすれば、攻撃にたいして攻め込んでも見せたり、奇襲もする。
白蓮や教官相手ではできないやりとりに興奮した。
休憩時間に「いいな、キミは。また、手合わせしてくれ」と話しかけたら、まったく耳に入っていない様子で「皇子に土をかけてしまった……!不敬罪だ……!死ぬ……!」と震えていた。
「李鈴?」
「ひゃい!」
「今日の手合わせ、とても楽しかった。また、相手してくれ」
「そんな、私なんて……」
「李鈴」
名を呼び、無言で見つめればうるうると瞳を潤ませ「仰せのままにぃ……」と了承した。
この頃は、ちょっとしたことで怯えてないていたのに、いまでは本気で怒らなければ泣きすらしない。
……泣いてほしいわけではないのだから、別に構わないのだが、たまには見たいと思ってしまう。
その後、何度かお忍びで呼びつけていたが、たまには俺から迎えに行って驚かせてやろうと思い、李鈴たち一族が住む区域へと赴き李鈴の居場所を聞けば、庭で趣味の茶をしていると聞き向かえば、敷物に座りのんびりと茶を飲む李鈴の横顔にときめきを覚えていたから、俺はあの時から李鈴に恋をしていたんだろうな。
ばれぬよう忍び寄り、「俺にも飲ませてくれないか?」と声をかければ、茶杯を盛大に落とした。
「おおお皇子?!」
「茶が趣味なんだな、初めて知った。今日の鍛練後に是非振る舞ってくれ」
「そんな私の拙い趣味程度の茶など……!」
逃げ切れないように「李鈴」と名を呼べば、諦めたように弱々しく「仰せのままにぃ」と言った。
その日の鍛練後に約束通り茶を淹れてもらった。
「上手いな」
「あ、ありがとうございます……」
「よければ夜も淹れに来てくれないか。語らいついでに」
流れるように誘うと、流れるように「そんな不貞は許されません!」と顔を真っ赤にして拒否された。
からかえると見て、「俺は夜伽の相手をだなんて言っていないんだがな」とからかった。
そもそも、そんな歳でもない。
更に顔を赤くして俯いてしまった李鈴に「すまない、冗談だ」と、羞恥で涙を溜めた目で睨まれ背筋に快感が走った。
「ただ、気兼ねない相手と茶を飲み交わしながら他愛ない話がしたいが、それが夜しかないというだけだ」
「だとしても、一介の呪い師が皇子の部屋に夜に行くなどよくない噂がたちます。いまだって、こうして皇子と交流を持っていると知られれば、皇子がなんと言われるか……」
「なんだ、心配してくれるのか?」
「しています。だから、ダメです」
頑なに首を縦に振らない李鈴に「遠方で、死なないために王に寝物語を聞かせる女の話があったな」と言えば、露骨に嫌そうな顔で「脅しが板についてきましたね」と言われた。
ははっ、随分と遠慮がなくなったものだ。
「俺は一度も脅した覚えはないがな」
「立場の暴力だ……。行けばいいんでしょ、逝けば」
「そうだ、来ればいいんだ。……なぁ、李鈴。頼みがあるんだ」
「なんですか」
「この先も、変わらず俺とこの関係でいてくれ」
そう頼めば、李鈴は困ったような表情をし「皇子、それは……」と言い淀んだが、「頼む」と一言すがれば「仰せのままに」と仕方のない人だという笑顔で請け負ってくれた。
そこまで思い出して、俺は随分と昔から李鈴に恋をして自分で無意識に蓋をしていたのだなと感じた。
「どうしました、白雄様」
もう俺を皇子と呼ばなくなくなった最愛の女が、顔を覗き込んできた。
……そうだな、俺たちはこれだけ近い存在だったんだよな。
李鈴の頬に両手を添え「昔を思い出していた」と言えば、恥ずかしそうに「思い出さないでくださいよ」と言われた。
何度だって、お前とのやりとりは全て思い出すよ。
愛しいから。