皇子と私
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白雄様の傷は治した。
先程の動きを見る限りでは、剣もこれ以降普通に振るえるだろう。
次はどうしたものか。
怪我人も治療したいが、このまま劣勢が続けば更なる被害が生まれるだろう。
ならば、敵軍を何とかするのが優先事項か。
ごめんなさい、少し我慢していてください、と怪我人達に謝り浮遊魔法で敵陣の真上へと来る。
治療に魔力は回したいので、ここでは魔法は使わずに薬で何とかしよう。
ありったけの無味無臭無色の眠り玉を敵陣営へと投げ込んでいく。
遅効性だけれど、一度眠れば丸二日は目が覚めない。
幸いにも、現在は夜。
何かが落ちてきた位では誰も気が付かない。
首尾は上々。
本陣に戻り救護テントに入り広範囲の治療魔法をかけ、倒れる前に兵士達の休憩テントへ移り就寝する。
緊張と魔法の使い過ぎでぐっすりと眠っていたら、ゆすり起こされた。
「おい、食事の時間だぞ」
「はい……」
むにゃむにゃしながら起床し、兵士達に混ざり食事をしているとあちこちから明るい話し声がしてきた。
「白雄様の怪我がまるでなかった様に治ったらしい」
「それだけじゃない。負傷していた兵士達の傷も殆ど治ったそうだ」
「しかも、偵察部隊の話では敵軍は皆、眠ってしまって起きない」
「大敗するはずだった戦争に勝利するなんて」
「奇跡だ」
白雄様の容態も大丈夫そうだし、戦争の結果も良好な物らしい。
胸をなでおろし、食事を流し込みばれない様に馬と食事を拝借して一足先に禁城へと帰る。
最後まで一緒に行きたいけれど、白雄様が帰って私がいなかったら確実に怪しまれてしまう。
何とか、白雄様が帰ってくる前に国へと帰る事が出来た。
凱旋する白雄様達が民衆と臣下達に迎えられ、遠目からながらも白雄様が元気そうにしているのを見られてよかった。
安心してその日の夜、呼びだしに応じ部屋の扉を開けると両手を広げた白雄様が待ち構えていた。
「……何してるんですか、白雄様」
「約束は果たしてもらうぞ」
約束と言うと、戦争に行く前の「胸に飛び込んで口付け」というあの約束だろうか。
やりたくはないが、私は白雄様との約束を一つ破っている。
これ以上、約束を違えるのは良心が痛むので茶器を置いて全力で白雄様の胸に飛び込む。
飛び込んだ私をしっかりと抱きとめた白雄様の顔にそっと顔を寄せ、その柔らかな……頬に口付けをする。
「……おい」
「何処に、とは言いませんでしたよね?」
私の言葉に、悔しそうな顔をする白雄様。
「けど、よかったです。本当にお怪我がない様で。剣もちゃんと握れますか?」
「あぁ、問題ない」
もう一度「よかった」と安堵の溜息を吐くと、白雄様が「李鈴、一つ聞いてもいいか?」と仰るので「何なりと」と答えると、白雄様は青筋を立て怒りに燃えた瞳で「何故、俺が負傷した場所を知っている」と怒気を含んだ声色で尋ねてきた。
しまった……。
「そ、それは、噂で……」
「俺が負傷したという情報は流したが、何処をとはまだ誰も知らない筈だが?それに、噂話に疎いお前がどうやって知りえた」
「え、えっと……」
「それに、俺はお前をテントで見たしお前の匂いもした。実際に会話もし、テントの外にいた兵も女の声を聞いている。白蓮も、お前によく似た兵士を見たと言っていた。李鈴、来ていたな」
これは問いかけではない。
断定されてしまい、白雄様の目を見ているのが怖くなり目を泳がせると「目をそらすな!」と一喝される。
「答えろ!李鈴!」
「っ!ご、ごめんなさい……!」
こんなに怒っている白雄様は初めてで、とても怖くて泣きだしそうになってしまう。
逃げようにも、がっちりと白雄様に抱きしめられてしまい身動きもとれない。
「何故、約束を違えたかは聞いてやる」
「……白雄様が心配だったからです。白雄様は、私が来た所で何の役にもたたないと仰りましたが、私なら絶対に白雄様の怪我を治せると確信していたからです」
「それは、此度の奇跡の大戦と関係のある物か?」
白雄様の問いかけに、無言で頷く。
愚かな行動だったと思ってはいる。
白雄様一人を助ける為に一族を存亡の危機に追いやるなど、馬鹿げた事だ。
長にもこっぴどく怒られた。
国を第一に考える白雄様から見たら、軽蔑される事だろう。
「ですが、白雄様。どうか、この事は内密にしていただきたいのです」
「何故だ」
「此度の大戦での、私が参戦したのは私の独断。その所為で、一族を危険に晒すわけにはいかないのです」
お願いです、と縋り懇願すると「他言無用と約束はする。ただ、奇跡を起こしたその力の話を聞かせろ」と仰った。
「はい、お望みのままに」
先程の動きを見る限りでは、剣もこれ以降普通に振るえるだろう。
次はどうしたものか。
怪我人も治療したいが、このまま劣勢が続けば更なる被害が生まれるだろう。
ならば、敵軍を何とかするのが優先事項か。
ごめんなさい、少し我慢していてください、と怪我人達に謝り浮遊魔法で敵陣の真上へと来る。
治療に魔力は回したいので、ここでは魔法は使わずに薬で何とかしよう。
ありったけの無味無臭無色の眠り玉を敵陣営へと投げ込んでいく。
遅効性だけれど、一度眠れば丸二日は目が覚めない。
幸いにも、現在は夜。
何かが落ちてきた位では誰も気が付かない。
首尾は上々。
本陣に戻り救護テントに入り広範囲の治療魔法をかけ、倒れる前に兵士達の休憩テントへ移り就寝する。
緊張と魔法の使い過ぎでぐっすりと眠っていたら、ゆすり起こされた。
「おい、食事の時間だぞ」
「はい……」
むにゃむにゃしながら起床し、兵士達に混ざり食事をしているとあちこちから明るい話し声がしてきた。
「白雄様の怪我がまるでなかった様に治ったらしい」
「それだけじゃない。負傷していた兵士達の傷も殆ど治ったそうだ」
「しかも、偵察部隊の話では敵軍は皆、眠ってしまって起きない」
「大敗するはずだった戦争に勝利するなんて」
「奇跡だ」
白雄様の容態も大丈夫そうだし、戦争の結果も良好な物らしい。
胸をなでおろし、食事を流し込みばれない様に馬と食事を拝借して一足先に禁城へと帰る。
最後まで一緒に行きたいけれど、白雄様が帰って私がいなかったら確実に怪しまれてしまう。
何とか、白雄様が帰ってくる前に国へと帰る事が出来た。
凱旋する白雄様達が民衆と臣下達に迎えられ、遠目からながらも白雄様が元気そうにしているのを見られてよかった。
安心してその日の夜、呼びだしに応じ部屋の扉を開けると両手を広げた白雄様が待ち構えていた。
「……何してるんですか、白雄様」
「約束は果たしてもらうぞ」
約束と言うと、戦争に行く前の「胸に飛び込んで口付け」というあの約束だろうか。
やりたくはないが、私は白雄様との約束を一つ破っている。
これ以上、約束を違えるのは良心が痛むので茶器を置いて全力で白雄様の胸に飛び込む。
飛び込んだ私をしっかりと抱きとめた白雄様の顔にそっと顔を寄せ、その柔らかな……頬に口付けをする。
「……おい」
「何処に、とは言いませんでしたよね?」
私の言葉に、悔しそうな顔をする白雄様。
「けど、よかったです。本当にお怪我がない様で。剣もちゃんと握れますか?」
「あぁ、問題ない」
もう一度「よかった」と安堵の溜息を吐くと、白雄様が「李鈴、一つ聞いてもいいか?」と仰るので「何なりと」と答えると、白雄様は青筋を立て怒りに燃えた瞳で「何故、俺が負傷した場所を知っている」と怒気を含んだ声色で尋ねてきた。
しまった……。
「そ、それは、噂で……」
「俺が負傷したという情報は流したが、何処をとはまだ誰も知らない筈だが?それに、噂話に疎いお前がどうやって知りえた」
「え、えっと……」
「それに、俺はお前をテントで見たしお前の匂いもした。実際に会話もし、テントの外にいた兵も女の声を聞いている。白蓮も、お前によく似た兵士を見たと言っていた。李鈴、来ていたな」
これは問いかけではない。
断定されてしまい、白雄様の目を見ているのが怖くなり目を泳がせると「目をそらすな!」と一喝される。
「答えろ!李鈴!」
「っ!ご、ごめんなさい……!」
こんなに怒っている白雄様は初めてで、とても怖くて泣きだしそうになってしまう。
逃げようにも、がっちりと白雄様に抱きしめられてしまい身動きもとれない。
「何故、約束を違えたかは聞いてやる」
「……白雄様が心配だったからです。白雄様は、私が来た所で何の役にもたたないと仰りましたが、私なら絶対に白雄様の怪我を治せると確信していたからです」
「それは、此度の奇跡の大戦と関係のある物か?」
白雄様の問いかけに、無言で頷く。
愚かな行動だったと思ってはいる。
白雄様一人を助ける為に一族を存亡の危機に追いやるなど、馬鹿げた事だ。
長にもこっぴどく怒られた。
国を第一に考える白雄様から見たら、軽蔑される事だろう。
「ですが、白雄様。どうか、この事は内密にしていただきたいのです」
「何故だ」
「此度の大戦での、私が参戦したのは私の独断。その所為で、一族を危険に晒すわけにはいかないのです」
お願いです、と縋り懇願すると「他言無用と約束はする。ただ、奇跡を起こしたその力の話を聞かせろ」と仰った。
「はい、お望みのままに」