皇子と私
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今日も茶を淹れるために白雄様の部屋を訪れると、肌着で寛いでいる白雄様が早くお茶を淹れろと急かしてきた。
私は文句を言わずに、茶釜の側に腰を下ろしお茶の準備を始める。
黙って粛々とお茶を淹れていると白雄様が「今日、とある噂を聞いた」と話し出した。
「どんな噂ですか?」
「李鈴が俺の夜伽相手だという噂だ」
「それは大変不本意ですね」
「そうだな、俺も遺憾だ」
「本人を前に遺憾ときましたか」
「お前だって不本意と表しただろ」
当たり前だ。
そんな噂が流れたら、本当に刺客を差し向けられかねない。
女の嫉妬は女に向くのだから。
淹れ終わったプーアル茶を白雄様に差し出し「そろそろ、姫たちの所に行ったらどうですか?」と促すも、白雄様はそっぽを向き「気乗りしない」と仰った。
「気乗りする、しないの話じゃないですよ。子作りは義務ですよ」
「連日行くのは疲れるんだ」
「連日どころか、ここ数ヵ月行ってないじゃないですか」
私の言葉に「行ってる」とぶすくれて言うが、行ってないでしょうが。
連日、私を呼びつけてお茶飲んでマッサージさせて安らかに寝てるでしょうが。
そう咎めると「あれは疲れるんだ」と言い出した。
「思ってもいない愛の言葉を言わなければいけないし、夜通し運動をしているようなものなんだぞ」
「この間、夜通し私と取っ組み合いして元気溌剌だった方の言葉とは思えませんね」
「李鈴の場合は、気を使わなくていい。だが、姫たちは違う。その差だ」
気だる気にお茶を煽り、おかわりを無言で要求してくる白雄様から茶杯を受け取りながら「私にも気を使ってくださいよ」と申し立てると、割りとマジなトーンで「は?」と返された。
そうですね、皇子に気を使えなど出過ぎた真似ですね、すみません。
素直に謝ると、白雄様は機嫌よく「冗談だ」と笑われた。
くそぅ、からかわれたか……。
「ちょっとビビったじゃないですか」
「ははっ、たまにはお前の血の気の引いた顔も見たいからな。昔は顔面蒼白で俺と話していたのに、今では第一皇子である俺を万の言葉を持って夜通し罵るまでになってしまったからな」
「あの頃は、いつ不敬罪で処分されるかと気が気じゃなかったですよ」
「今とて、不敬罪に問えるぞ?」
「白雄様のふかーい懐を信じていますから」
正味な話、今更不敬罪に問うなんてことはしないだろうと高を括っているだけで、私はいつだって首をはねられてもおかしくはない。
だが、この長年の付き合いで白雄様がそんなことをする方ではないと思っている。
お優しい方だからというのもあるし、私と白雄様の仲じゃないですかって感じもある。
自分で思っといてアレだな、すごい不敬だ。
だが、白雄様は気にした風もなく楽しそうに笑いながら「俺の懐に甘えてるんだな?」と仰った。
「まあ、そんな所ですね」
「ふふっ、お前に甘えられるのも悪くないな」
「では、その延長線で姫たちも甘やかしてあげてください」
「それとこれとは話が別だ」
「いや、本当に行ってもらわないと。私に刺客差し向けられてからじゃ遅いんですよ?」
私の必死な訴えを白雄様は喉で笑われ「並大抵の刺客が李鈴を殺せるとは思わないがな。逆に返り討ちにあう刺客が可哀想だ」と宣う。
確かに、私の防御魔法を破れる人間はそう居ないし、防御魔法なしでも剣術と体術には自信があるから大丈夫かもしれないけれど、少しくらい心配してくれたっていいんじゃないかな。
拗ねたのが白雄様に伝わったのか、居ずまいを整え「本当に襲われたら、生け捕りにしろ。その刺客も、差し向けた人間も俺が切り捨てる」と物騒な心配のされ方をされた。
うん、白雄様には早期に姫たちの元へと行ってもらおう。
姫たちが切り捨てられないためにも。
私は文句を言わずに、茶釜の側に腰を下ろしお茶の準備を始める。
黙って粛々とお茶を淹れていると白雄様が「今日、とある噂を聞いた」と話し出した。
「どんな噂ですか?」
「李鈴が俺の夜伽相手だという噂だ」
「それは大変不本意ですね」
「そうだな、俺も遺憾だ」
「本人を前に遺憾ときましたか」
「お前だって不本意と表しただろ」
当たり前だ。
そんな噂が流れたら、本当に刺客を差し向けられかねない。
女の嫉妬は女に向くのだから。
淹れ終わったプーアル茶を白雄様に差し出し「そろそろ、姫たちの所に行ったらどうですか?」と促すも、白雄様はそっぽを向き「気乗りしない」と仰った。
「気乗りする、しないの話じゃないですよ。子作りは義務ですよ」
「連日行くのは疲れるんだ」
「連日どころか、ここ数ヵ月行ってないじゃないですか」
私の言葉に「行ってる」とぶすくれて言うが、行ってないでしょうが。
連日、私を呼びつけてお茶飲んでマッサージさせて安らかに寝てるでしょうが。
そう咎めると「あれは疲れるんだ」と言い出した。
「思ってもいない愛の言葉を言わなければいけないし、夜通し運動をしているようなものなんだぞ」
「この間、夜通し私と取っ組み合いして元気溌剌だった方の言葉とは思えませんね」
「李鈴の場合は、気を使わなくていい。だが、姫たちは違う。その差だ」
気だる気にお茶を煽り、おかわりを無言で要求してくる白雄様から茶杯を受け取りながら「私にも気を使ってくださいよ」と申し立てると、割りとマジなトーンで「は?」と返された。
そうですね、皇子に気を使えなど出過ぎた真似ですね、すみません。
素直に謝ると、白雄様は機嫌よく「冗談だ」と笑われた。
くそぅ、からかわれたか……。
「ちょっとビビったじゃないですか」
「ははっ、たまにはお前の血の気の引いた顔も見たいからな。昔は顔面蒼白で俺と話していたのに、今では第一皇子である俺を万の言葉を持って夜通し罵るまでになってしまったからな」
「あの頃は、いつ不敬罪で処分されるかと気が気じゃなかったですよ」
「今とて、不敬罪に問えるぞ?」
「白雄様のふかーい懐を信じていますから」
正味な話、今更不敬罪に問うなんてことはしないだろうと高を括っているだけで、私はいつだって首をはねられてもおかしくはない。
だが、この長年の付き合いで白雄様がそんなことをする方ではないと思っている。
お優しい方だからというのもあるし、私と白雄様の仲じゃないですかって感じもある。
自分で思っといてアレだな、すごい不敬だ。
だが、白雄様は気にした風もなく楽しそうに笑いながら「俺の懐に甘えてるんだな?」と仰った。
「まあ、そんな所ですね」
「ふふっ、お前に甘えられるのも悪くないな」
「では、その延長線で姫たちも甘やかしてあげてください」
「それとこれとは話が別だ」
「いや、本当に行ってもらわないと。私に刺客差し向けられてからじゃ遅いんですよ?」
私の必死な訴えを白雄様は喉で笑われ「並大抵の刺客が李鈴を殺せるとは思わないがな。逆に返り討ちにあう刺客が可哀想だ」と宣う。
確かに、私の防御魔法を破れる人間はそう居ないし、防御魔法なしでも剣術と体術には自信があるから大丈夫かもしれないけれど、少しくらい心配してくれたっていいんじゃないかな。
拗ねたのが白雄様に伝わったのか、居ずまいを整え「本当に襲われたら、生け捕りにしろ。その刺客も、差し向けた人間も俺が切り捨てる」と物騒な心配のされ方をされた。
うん、白雄様には早期に姫たちの元へと行ってもらおう。
姫たちが切り捨てられないためにも。