皇子と私
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「李鈴、約束をしよう。俺が無事に帰ってきたら、俺の胸に飛び込んできて口付の一つでもしてもらおうか」
「私になんの得もない約束ですね」
「約束してくれたら、なにがなんでも無事で帰って来るぞ」
「……約束ですよ」
そんな約束を前夜にした。
凱との大きな戦争の行軍に、変装をして兵士に紛れこむ事には成功したけれど、私には兵士達の様に誰かの命を奪う覚悟も死ぬ覚悟もない。
私にできるのは、後方支援しかできないと思い看護兵と一緒に傷付いた兵の治療にあたる事だけ。
戦況はばたばたと入ってくる伝令を聞く限りでも悪く、運ばれてくる負傷兵の数でも劣勢なのは見て取れる。
そして、聞きたくはなかった知らせが耳へと飛び込んできた。
「先生!先生どこですか!白雄様が重傷なんです!」
兵士の言葉に、軍医と一緒に飛び出したが道すがら「紅炎様が敵陣の真ん中に取り残されたらしい」「白蓮様が助けに行こうとしたけど、あの包囲網を突破するのは無理……」「じゃあ、紅炎様は……」という絶望的な会話を聞いてしまった。
その場で立ち止まり、考える。
私なら助けられるこの状況。
でも、その間に白雄様が死んでしまったら?
白雄様なら、こんな時になんて言う?
『紅炎を助けろ』
「っ!」
近くにいた馬に飛び乗り、私は紅炎様がいるであろう敵陣へと切り込んでいく。
背後で兵士達が「止まれ!」と言っていたが聞こえないふりをしてそのまま突き進むみ、包囲網の端が見えてきたがあの人数を馬で突破するのは難しい。
「どけぇぇぇぇ!雷電の鞭!」
剣の先端から細長く伸びた雷を鞭の様にしならせ敵を薙ぎ払っていく。
敵兵達の悲鳴に罪悪感と恐怖に襲われそうになるが、歯を食いしばり耐えながら紅炎様はまだかと前方を睨むと、鬼の様な形相をしながら敵兵を切り殺している彼の人を見つけた。
鞭を大きく振るい、紅炎様に巻き付け勢いよく引っ張り一本釣りをする。
その際に、見られると色々面倒なので感電させて気絶していただいた。
紅炎様回収に成功して引き返そうしたが、当り前ながら周りは敵兵に囲まれている。
「道を開けろ!浮遊岩衝!」
敵兵達の足元の岩を浮かせてそのまま落下させ退路を作り、不測の事態で右往左往する敵兵の間を縫って本陣へと帰還すると、一目散に白蓮様が駆け寄って来たので気絶した紅炎様を預けた。
兵士達が紅炎様に気を取られている間に隠者の水膜で姿を消して白雄様のテントへと向かう。
素早く中に入ると、左腕に包帯を巻かれた白雄様が横たわっていた。
声をかけたい気持ちを我慢し、離れた位置に腰を下ろし隠者の水膜を解除して治療魔法をかけていく。
「……李鈴?」
離れた位置にいるから顔など見えないはずなのに、薄らと目を開けた白雄様は的確に私の名前を呼んだ。
内心ドキドキしながらも「大丈夫、変装してるし」と自分に言い聞かせ沈黙を貫いたが、白雄様は顔を動かして確実に私の姿を視界に入れた。
「お前、ついて来るなと言っただろ……」
この距離でよく顔の認識できるな。
それでも沈黙で逃げ切ろうと思ったが、白雄様が何度も「おい、李鈴返事しろ」としつこく言うし最終的には「俺を無視するとはいい度胸だな。帰ったら覚えてろ」とドスの効いた声で言いだした。
「……白雄様。これは、夢ですよ。貴方様の望む夢です」
「俺はお前がここにいる事を望んでない」
「では、只の夢です」
そう言うと、白雄様が「夢か。夢なら、なにをしても許されるな?」と嫌な予感がする発言をした。
まずい、治療魔法はもうかけ終わっている。
白雄様も自身の腕が思う様に動く事を確認すると、ゆっくりと上体を起こしていたぶる様に私へと歩み寄ってきた。
「え、ちょっと白雄様?何する気ですか?」
「色々だ」
色々って何?!
待って、目が獲物に狙いを定めた獣と同じ目をしてますよ白雄様?!
「白雄様、紅炎様が面会に来られました」
「ちょっと待ってくれ、今少し忙しい」
「は、はい?」
一瞬、白雄様が入口に視線をやった瞬間に隠者の水膜で姿を消す。
危なかった……。
色々と身の危険を感じてしまった……。
「私になんの得もない約束ですね」
「約束してくれたら、なにがなんでも無事で帰って来るぞ」
「……約束ですよ」
そんな約束を前夜にした。
凱との大きな戦争の行軍に、変装をして兵士に紛れこむ事には成功したけれど、私には兵士達の様に誰かの命を奪う覚悟も死ぬ覚悟もない。
私にできるのは、後方支援しかできないと思い看護兵と一緒に傷付いた兵の治療にあたる事だけ。
戦況はばたばたと入ってくる伝令を聞く限りでも悪く、運ばれてくる負傷兵の数でも劣勢なのは見て取れる。
そして、聞きたくはなかった知らせが耳へと飛び込んできた。
「先生!先生どこですか!白雄様が重傷なんです!」
兵士の言葉に、軍医と一緒に飛び出したが道すがら「紅炎様が敵陣の真ん中に取り残されたらしい」「白蓮様が助けに行こうとしたけど、あの包囲網を突破するのは無理……」「じゃあ、紅炎様は……」という絶望的な会話を聞いてしまった。
その場で立ち止まり、考える。
私なら助けられるこの状況。
でも、その間に白雄様が死んでしまったら?
白雄様なら、こんな時になんて言う?
『紅炎を助けろ』
「っ!」
近くにいた馬に飛び乗り、私は紅炎様がいるであろう敵陣へと切り込んでいく。
背後で兵士達が「止まれ!」と言っていたが聞こえないふりをしてそのまま突き進むみ、包囲網の端が見えてきたがあの人数を馬で突破するのは難しい。
「どけぇぇぇぇ!雷電の鞭!」
剣の先端から細長く伸びた雷を鞭の様にしならせ敵を薙ぎ払っていく。
敵兵達の悲鳴に罪悪感と恐怖に襲われそうになるが、歯を食いしばり耐えながら紅炎様はまだかと前方を睨むと、鬼の様な形相をしながら敵兵を切り殺している彼の人を見つけた。
鞭を大きく振るい、紅炎様に巻き付け勢いよく引っ張り一本釣りをする。
その際に、見られると色々面倒なので感電させて気絶していただいた。
紅炎様回収に成功して引き返そうしたが、当り前ながら周りは敵兵に囲まれている。
「道を開けろ!浮遊岩衝!」
敵兵達の足元の岩を浮かせてそのまま落下させ退路を作り、不測の事態で右往左往する敵兵の間を縫って本陣へと帰還すると、一目散に白蓮様が駆け寄って来たので気絶した紅炎様を預けた。
兵士達が紅炎様に気を取られている間に隠者の水膜で姿を消して白雄様のテントへと向かう。
素早く中に入ると、左腕に包帯を巻かれた白雄様が横たわっていた。
声をかけたい気持ちを我慢し、離れた位置に腰を下ろし隠者の水膜を解除して治療魔法をかけていく。
「……李鈴?」
離れた位置にいるから顔など見えないはずなのに、薄らと目を開けた白雄様は的確に私の名前を呼んだ。
内心ドキドキしながらも「大丈夫、変装してるし」と自分に言い聞かせ沈黙を貫いたが、白雄様は顔を動かして確実に私の姿を視界に入れた。
「お前、ついて来るなと言っただろ……」
この距離でよく顔の認識できるな。
それでも沈黙で逃げ切ろうと思ったが、白雄様が何度も「おい、李鈴返事しろ」としつこく言うし最終的には「俺を無視するとはいい度胸だな。帰ったら覚えてろ」とドスの効いた声で言いだした。
「……白雄様。これは、夢ですよ。貴方様の望む夢です」
「俺はお前がここにいる事を望んでない」
「では、只の夢です」
そう言うと、白雄様が「夢か。夢なら、なにをしても許されるな?」と嫌な予感がする発言をした。
まずい、治療魔法はもうかけ終わっている。
白雄様も自身の腕が思う様に動く事を確認すると、ゆっくりと上体を起こしていたぶる様に私へと歩み寄ってきた。
「え、ちょっと白雄様?何する気ですか?」
「色々だ」
色々って何?!
待って、目が獲物に狙いを定めた獣と同じ目をしてますよ白雄様?!
「白雄様、紅炎様が面会に来られました」
「ちょっと待ってくれ、今少し忙しい」
「は、はい?」
一瞬、白雄様が入口に視線をやった瞬間に隠者の水膜で姿を消す。
危なかった……。
色々と身の危険を感じてしまった……。