皇子と私
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「近いうちに、大きな戦争がある」
いつもならばそんな話はしない白雄様が、唐突に話し出した。
「でも、いつも勝どきをあげている訳ですし、大丈夫ですよね?」
「いや、今回は危ないかもしれないらしい」
聞きたくない言葉に、胃が締まる感じがした。
動揺する私に、白雄様は「知らなかったのか?」と尋ねてきた。
「どういう……」
「お前の一族の長が次の戦争の結果を占ったらしい」
「長が……」
「その結果、俺は剣をもう一度握れるかどうかという致命傷を負うと」
下唇を噛み、不安に襲われそうになるのを我慢した。
長の占いは当たる。
結果は違えど、近い未来が訪れる。
私に、私に何かできないか。
怪我なら私の命魔法で何とかできるかもしれない。
ばれない様に、こっそりついて行けば……、そう考えていたのを察した様に「ついて来るなよ」と先手を打たれた。
「ど、どうして……!」
「李鈴、お前は戦争を知らない。そして、人も殺せない。そういう子だと知っている」
真っすぐに見つめてくる白雄様の視線から逃げる様に視線をそらすと、頬を挟むように固定され無理矢理視線をあわせ「約束しろ。ついて、来ないと」と言い聞かせる様に仰った。
震える唇を噛みしめ、ゆっくりと「嫌、です……」と返す。
それを聞いた白雄様は表情を変えずに長い溜息を吐きながら「頑固者」と仰った。
「お前が来てどうなる」
「どうにもならないかも知れません。でも、何もしないで白雄様が傷つくのは嫌です」
白雄様が剣を握れない体になって、その先の戦争でもっと酷い怪我をして死んでしまったら。
そんな事を考えるだけでとても怖い。
ぼろぼろと涙をこぼしながら嗚咽まじりで「行かないでください、白雄様」と言うと、白雄様は私の頭を抱きしめて「泣くな、李鈴」と苦しそうに言った。
「お前の泣き顔は好きじゃない」
「だって、だって白雄様……!」
白雄様の服を掴んで親にすがる子供の様に「行かないで」と繰り返し言うと、白雄様が落ち着ける様に背中をゆっくりと撫でた。
「まあ、その、大丈夫だ」
「大丈夫……?」
「長が『親族以外の親しい女性に話せば事態は好転する』と言っていた。だからお前に話した。俺に、親族以外に親しい女性は李鈴しかいないからな」
鼻をすすりながら、考えた。
つまり、私がやはりついて行けば白雄様は怪我をしない。
けれど、よく考えたら魔法を見られたら一族が軍事利用されないとは限らない。
それを回避する為に、私達一族はひた隠しにしてきたのだ。
だから、行くにしろどの道こっそりついて行くしかない。
私は顔をあげて精一杯作り笑顔をしながら「じゃあ、安心ですね」と言ったのだが白雄様は疑いの目を向けてきた。
「……その胡散臭い笑顔は何だ」
「やだなぁ、胡散臭いだなんて。……まだ、不安なだけです」
大丈夫、ついて行きませんよ。
白雄様は私の言葉を疑いながらも「わかった」と仰った。
ごめんなさい、白雄様。
私は、あなたとの約束を破ります。
いつもならばそんな話はしない白雄様が、唐突に話し出した。
「でも、いつも勝どきをあげている訳ですし、大丈夫ですよね?」
「いや、今回は危ないかもしれないらしい」
聞きたくない言葉に、胃が締まる感じがした。
動揺する私に、白雄様は「知らなかったのか?」と尋ねてきた。
「どういう……」
「お前の一族の長が次の戦争の結果を占ったらしい」
「長が……」
「その結果、俺は剣をもう一度握れるかどうかという致命傷を負うと」
下唇を噛み、不安に襲われそうになるのを我慢した。
長の占いは当たる。
結果は違えど、近い未来が訪れる。
私に、私に何かできないか。
怪我なら私の命魔法で何とかできるかもしれない。
ばれない様に、こっそりついて行けば……、そう考えていたのを察した様に「ついて来るなよ」と先手を打たれた。
「ど、どうして……!」
「李鈴、お前は戦争を知らない。そして、人も殺せない。そういう子だと知っている」
真っすぐに見つめてくる白雄様の視線から逃げる様に視線をそらすと、頬を挟むように固定され無理矢理視線をあわせ「約束しろ。ついて、来ないと」と言い聞かせる様に仰った。
震える唇を噛みしめ、ゆっくりと「嫌、です……」と返す。
それを聞いた白雄様は表情を変えずに長い溜息を吐きながら「頑固者」と仰った。
「お前が来てどうなる」
「どうにもならないかも知れません。でも、何もしないで白雄様が傷つくのは嫌です」
白雄様が剣を握れない体になって、その先の戦争でもっと酷い怪我をして死んでしまったら。
そんな事を考えるだけでとても怖い。
ぼろぼろと涙をこぼしながら嗚咽まじりで「行かないでください、白雄様」と言うと、白雄様は私の頭を抱きしめて「泣くな、李鈴」と苦しそうに言った。
「お前の泣き顔は好きじゃない」
「だって、だって白雄様……!」
白雄様の服を掴んで親にすがる子供の様に「行かないで」と繰り返し言うと、白雄様が落ち着ける様に背中をゆっくりと撫でた。
「まあ、その、大丈夫だ」
「大丈夫……?」
「長が『親族以外の親しい女性に話せば事態は好転する』と言っていた。だからお前に話した。俺に、親族以外に親しい女性は李鈴しかいないからな」
鼻をすすりながら、考えた。
つまり、私がやはりついて行けば白雄様は怪我をしない。
けれど、よく考えたら魔法を見られたら一族が軍事利用されないとは限らない。
それを回避する為に、私達一族はひた隠しにしてきたのだ。
だから、行くにしろどの道こっそりついて行くしかない。
私は顔をあげて精一杯作り笑顔をしながら「じゃあ、安心ですね」と言ったのだが白雄様は疑いの目を向けてきた。
「……その胡散臭い笑顔は何だ」
「やだなぁ、胡散臭いだなんて。……まだ、不安なだけです」
大丈夫、ついて行きませんよ。
白雄様は私の言葉を疑いながらも「わかった」と仰った。
ごめんなさい、白雄様。
私は、あなたとの約束を破ります。